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豆腐花の西施豆腐坊−アジアグルメ図鑑(上海)

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 初めて上海観光に行った人にどこが印象に残ったか聞いてみると、特に中国は初めてという人の間では「豫園」という反応が多いようです。上海の街の中で日本人が持っている中国のイメージに合うところが豫園なのでしょう。
 豫園の前に広がる豫園商場も観光客向けの土産物屋が無数に広がっていて、そのごちゃごちゃした雰囲気と独特のけばけばしさが異国の地に来たという雰囲気を盛り上げてくれるようです。


 その豫園の近くにある上海老街も、豫園観光に来た観光客に昔の上海の街を堪能してもらおうということで、近年整備が進んでいる一帯です。昔の方がもっと雰囲気が出ていたのですが、最近は街を綺麗にしすぎてしまって、見た目には上の写真のように、何か捉えどころのない風景になってしまいました。
 でも、ここにある店は、以前から営業をしていた店も多く、また、豫園商場の店が観光客向けであるのに対して、上海老街の店はもともとは地元の人向けの店だったという違いがあります。誤解のないように付け加えれば、もともとは地元の人向けの店が観光客もターゲットに加えて商売の幅を広げているということです。


 甜品を食べさせてくれる西施豆腐坊もそんな店の一つです。
 西施というのは、呉越戦争の時代に、越の重臣の范蠡(はんれい)が、絶世の美女といわれている西施を呉王夫差に召しだし、その魅力で呉に浪費させ呉の国力をそいだという話に出てくる女性の名前です。西施は、虞美人、王昭君、楊貴妃とあわせ、中国四大美女の一人とされています。また、杭州にある西湖は、西施のように美しい湖の意味をこめて西の字を充てたといわれていますし、唐代、宋代の詩人が、西湖と西施をよく結び付けて、詩を詠っています。
 こんな風に、西施と言えば中国人が誰でも知っている美人の名前ですから、西施豆腐坊は地元の女性をターゲットに豆腐花を食べさせてくれる甜品屋だということが分かります。

 
 
 西施豆腐坊の店先にはメニューが並べてあります。西施豆腐坊には、豆腐花のほかにも小籠包、焼売や臭豆腐などの小吃のメニューがあります。でも、西施豆腐坊に来たら、私のおすすめは甜豆腐花です。甜豆腐花を店の中で食べるなら、中に入ってから注文しましょう。

 
 
 店先のカウンターの中には豆腐などの小吃が並んでいます。


 甜豆腐花は豆腐花に甘い味付けがされているデザートです。豆腐花だけでも私にとってはおいしいのですが、やはり甘い味付けを加えるとさらに食べやすくなり、満足度が高まります。
 上の写真のように、店先で食べたいメニューを言うと、お姐さんが盛り付けてくれます。これを店内で食べてもいいですし、路上で立ち食いしてもOKです。



 

 甜豆腐花です。豆腐花の上に甘い小豆が載っています。ご覧の通り、結構な分量があるのですが、お腹いっぱいの時でも意外にすいすいと食べられてしまいます。さっぱりしていて、食べやすいしおいしいのです。因みに、甜豆腐花は5元、ただの豆腐花は3元でした。(2010年8月現在)

 
 
 アップで撮ってみました。小豆がたくさん載っているんです。美味しいですよ。


 西施豆腐坊の店内です。この通りそんなに広くありません。
 ですから、隣で臭豆腐を食べてる人がいると、日本の「くさや」を100倍強烈にしたような臭いで、豆腐花の微妙な味わいを楽しむ感覚に支障が出たりします。臭豆腐は、私の好物の一つで、臭豆腐の本場である紹興(上海から電車やバスで2時間程度)に行くと、あちこちで食べてしまう、ある意味癖になる小吃です。あの魯迅も通ったと言われる臭豆腐屋のような専門店に行った場合は、当然あの強烈な臭いを覚悟して行くわけなので問題ありませんが、今回は西施豆腐坊には甜品である豆腐花を食べに来ているのですから、臭豆腐の強烈な臭いが室内に充満していると、ちょっと興醒めです。
 そんな場合は、外の綺麗な空気のもとで、いいえ、排気ガスも吸い込みながら、西施豆腐坊の豆腐花を味わいましょう。そして、まだ臭豆腐の味を未経験なら、ぜひ臭豆腐にも挑戦してみましょう。臭豆腐は臭いは強烈ですが、食べると本当においしいので、やみつきになりますよ。

 西施豆腐坊、豫園観光のついでに、ぜひ、立ち寄ってみてください。

 
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