香港の中華粥なら羅富記 |
香港の中華粥と言えば羅富記粥麺専家 |
私は香港を旅行すると、朝は粥、昼は飲茶、夜は本格料理と決めうちをします。では、朝の粥はどこで食べるのかと言うと、別に決まっているわけではありませんが、香港人は美味しい店に群がるグルメな人が多いので、地元の人で賑わうお粥屋さんに入ります。賑わっている店に入れば外れるリスクが低いからです。 日本人には粥なんてどこでも同じだと思っている人が多いかもしれません。ですが、粥のトロトロ感や味付けなどはやはり店によって相当な差があります。中華粥の専門店でも店により混んでいる店とそうでない店との差があるのはそのせいです。 |
で、私が以前住んでいた香港島で最も人気のあるお粥屋さんの一つがここ羅富記粥麺専家です。中環と上環にそれぞれ一軒ありますが、正しく言うと中環と上環の間に二軒あって、地下鉄駅は二軒とも上環の方が近いと思います。中環の方は地域が中環にあるだけで、旅行者が地下鉄駅で考えれば上環から来た方が近いということです。 |
店の前の道路標示です。皇后大道中と書いてあります。皇后大道(クイーンズロード)の中央という意味です。羅富記はこの皇后大道に面していて、目印は中環中心ビル(ザ・センター)です。中環中心ビルのはす向かいに羅富記があります。一つ上の写真にあるように、隣はスーパーのウェルカム(恵康)です。 |
この日私が羅富記に到着したのは朝の8時半です。土曜日でオフィスが休みということもあって中は空席が目立ちます。早速入ってみましょう。 |
|
テーブルに置いてあるメニューです。粥の部分です。これ以外に麺のメニューもありますが、羅富記では中華粥がおすすめなので、麺のメニューは省略します。なお、上のメニューは2017年10月現在のものです。 |
今度はかつてのメニューです。品目は変わっていませんが、価格は約2倍になっています。これは10年も前ではないと思いますが、香港の場合は大陸からの観光客が増えてきて物価が上がっています。特にこうしたB級グルメの価格は随分と上がってきたと思います。アベノミクスで円の価値が下がってきていることもあって、日本円に換算するとそれ以上の上昇率になってしまいます。国際化の時代に対外比較では日本人がますます貧乏になっているわけです。 |
そして2019年になると、メニューもこんな風に現代的になってしまいました。うーん、老舗らしさが失われてしまいましたね、それからメニューの種類も少し減っています。 もちろん価格も2年前と比較して10%程度上がっています。一番安い粥でもワンコインで食べられなくなってしまったわけで、日本人の貧困度をますます感じさせるメニューの変化です。 |
こちらはおかずのメニューです。羅富記に来る香港人のお客さんの殆どは粥か麺の単品注文です。数人で来てワイワイやるというイメージはないのです。それでもこういうメニューを置くのは大陸から来た観光客が増えたからでしょう。彼らは単品注文ではなく何かおかずみたいなものをつけるのが一般的です。私は香港人スタイルでいつも単品注文です。 |
さあ、お粥が運ばれてきました。上の写真だけ見ると、具が全く入っていないかのようですが、実は下の方に具が入っています。羅富記の粥が食べられるといって喜び勇んで食べ始めないようにしましょう。トロトロしたお粥を見ると、すぐにでも食べ始めたくなりますが、そこは少し我慢です。 |
この日は肉丸粥を注文しました。肉丸というのは豚肉の団子ですから、重いので下の方に沈んでしまいます。蓮華で少しすくいあげてから写真を撮りました。アツアツ・トロトロの粥の中に肉丸が見えます。肉丸は運ばれてきた時点でもう十分に食べられますが、私は初めから肉丸を食べることはしません。少し時間をおいてから食べることにしています。その方が粥になじんでより美味しくなるのです。 |
むしろ初めに食べるのは油条です。油條は揚げパンみたいなもんですから、ちょっと油っこいような気がしますが、そうでもありません。普通はそのまま食べるのではなくて、粥の中に入れて食べます。せっかくのさっぱりした粥が脂っこくなることもないし、粥でふにゃふにゃにしてから食べると、これ、美味しいのです。 ですから中華粥のお店で粥を注文すると「油条はいる?」と聞かれることがよくあります。聞かれても聞かれなくても私は注文しています。但し、これもお腹にたまるので、空腹感があまりないときは油条なしで食べています。因みに、広東語では「ヤウティウ」、北京語では「ヨウテャオ」と言います。 |
油条を粥の中に入れたところです。実際には油条をもっと粥の中に浸してふやけさせた方が食べやすいと思います。序盤戦はお粥と油条を中心に、中盤戦からは肉丸とお粥を中心に食べるのが、私の肉丸粥の食べ方です。 |
羅富記の中華粥の味付けは伝統的なもので、日によって味のバラツキもあまりありません。私はテーブルの上の胡椒を少し振りかけて少しピリッとさせて食べるのが好きです。朝食べても昼食べても羅富記の中華粥は美味しいですよ。 |
|
私のイチオシは皮蛋痩肉粥 |
羅富記はもう一軒、もっと上環駅に近いところにもあります。行きやすさということでは、羅富記の上環店の方がおすすめです。トラムの機利文街駅の前にあります。トラムの機利文街駅は上環駅(西港城駅)の二つ中環寄りです。地下鉄上環駅からならE1出口から徳輔道(デボーロード)を中環に向かって歩いて3分くらいです。 |
羅富記には、中華粥と言っても上で見たようにたくさんの種類があります。どの粥が美味しいのか、あるいは日本人の好みに合うのかという点では、私一番のおすすめは皮蚤痩肉粥(皮蛋と豚肉入り香港粥)です。と言うか、皮蛋が苦手でなければという前提で言わせてもらえば、最も無難な選択が皮蛋痩肉粥なのだろうと考えています。 注文して暫くすると、お粥が出てきます。上の写真だけ見ると、例によって具が全く入っていないかのようですが、実は下の方に皮蛋痩肉粥では具がどっさりと入っています。 |
お粥をよくかき混ぜて具が少し見える状態にしてみました。粥もとろりとしていて美味しそうです。米粒が見えなくなるくらい、時間をかけてスープで煮込まれたお粥にはしっかり味が染み込んでいて、お粥だけでも十分においしいはずなのですが、これに具がたっぷり入っているのです。 |
そして、これに油條を注文して入れます。 羅富記のお粥は朝食として食べる分には量的に決して少なくはないのですが、油條を入れるとしっかりとお腹いっぱいになるレベルになります。 |
さあ、香港での私おすすめの朝食、羅富記の皮蚤痩肉粥をお楽しみください。 |
私が最近好んで食べるのはレバー入り粥(猪肝粥)です。中華粥にレバー入れるなんてイメージが合わないという方もいるかもしれません。ではそれは日本人だからです。と言うのは、日本人は粥を病人食のように考えている人が多くて、病人食なのにレバーを入れるなんてという気持ちがあるかもしれません。また、せっかくさっぱりしている粥を食べるのにわざわざ油っこくすることもないのにと考える人もいるかもしれません。 |
でも、レバーが入っても全然油っこくないのです。また、もちろん粥というのは病人が食べるものではなくて、元気のある人も食べます。ダイエットを気にしている人なんかもよく粥を食べますが、栄養バランスを考えてレバー粥を食べる人も多いです。私がレバー粥を食べるのも、ダイエットしてるけど栄養バランスも気になるからです。 そして何と言っても美味しいのです。レバー入り粥は元朗の發記が特に美味しいので興味があったら参考にしてください。元朗まで行くのは大変ですが、元朗の發記は羅富記よりもおいしい中華粥を食べさせてくれる名店です。両方の店に共通しているのは米粒が見えなくなるくらいトロトロに煮込んである点です。それが美味しい中華粥の原点ですね。 |
因みに皮蛋が苦手な人は、魚片の入った粥は如何ですか。鮮魚片粥です。これも羅富記でおすすめの粥なんです。この魚片と豚レバー(猪肝)が両方入った猪肝魚片粥もおすすめですよ。 |
カオルーンサイド(九龍側)なら彌敦粥麺家がおすすめですね。ここの情報は別ページで紹介しています。 |
|
羅富記上環店の周辺を歩く |
羅富記の脇の路地を入ると、そこにもお粥屋さんがあります。でも、羅富記と比べるとお客さんの入りがあまり良くないのです。私はここで食べたことがないから勝手な評価はできませんけれども、お客さんが少ないお店は……。 料金的には羅富記の7掛けくらいですが、私は入る気しないなあ。 |
その隣にある焼き味(ロースト)を得意とするレストラン。この店が繁盛するのは昼からよる、そして深夜にかけてでしょう。私の動物的な感では、美味しそうな店です。とは言え、ここは上環ですから、上環あたりのホテルに宿泊した際には、覚えておいても良さそうなレストランではあります。 このように、上環の羅富記の近くには香港人向けの庶民的なレストランが数多く点在しています。こういったところで、香港のB級グルメを堪能するのも香港旅行の良い思い出になります。 |