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潮州料理の佳寧娜(深圳)


 深圳の佳寧娜潮州菜で潮州料理



 深せん市の旧市政府の近くに立てられている鄧小平さんの肖像画です。絵の前を歩く人のサイズを見て、この絵のサイズを理解してください。
 改革解放を唱え、深せんにその先陣を切らせた鄧小平さんは、まさに深圳の英雄です。この肖像画のバックは定期的に描き代えられていて、今は、中央に深圳の新しい市政府(屋根が波打った建物)が描かれています。


 深圳の駅前です。
 深圳市は、鄧小平さんが1980年に、人口わずか数千人の漁村を経済特区として指定して以降、恐ろしい勢いで発展を遂げています。その後、2008年には特区内で200万人、宝安区などの区を含めた市全体では430万人とされていましたが、2014年には1500万人を超える人口にまで膨れあがっています。
 こういった街の性格上、広東省の外から来た人が多く、特に工場の労働者は広東省以外の南方の省から来ている人が多いようです。
 このように、広東省以外の出身者が多いと、使用される言語は普通語(北京語)が中心で、広東語も一部では聞こえますが、かなり限定的です。

 
 
 また、深圳のグルメという点では、広東料理以外の料理が多いので中国各地の料理を手軽に楽しめる環境にあります。香港や広州では広東料理のレストランや食堂が多いのですが、深圳ではそれ以外に四川や上海、湖南、東北、貴州といった各地域の料理もあふれているのです。
 そんな状況ですから、深圳での広東料理やその系統である潮州料理のレベルはそんなに高くなかったのですが、最近では良いシェフが深圳にも集まるようになってきたのか、広東料理のレベルも上がってきました。
 上の写真は深圳市の羅湖地区、すなわち、MTRで香港から深圳に入ったところのエリアにある佳寧娜広場前です。人民南路と春風路の交差点にあります。この佳寧娜広場ビルには、香港の老舗潮州レストランの佳寧娜をはじめ、様々なレストランが入居していますし、この交差点のはす向かいにある新都酒店(センチュリープラザホテル)二階にある丹桂軒はレベルの高い広東料理レストランで、私はよく飲茶で利用しています。



 2014年の記録

 
 さて、このページで紹介する佳寧娜は潮州料理のレストランです。潮州は広東省東部のスワトー付近を指していて、海の幸に恵まれた地域であり、海の素材の味を生かした料理が一つの特徴です。その一方、潮州家庭料理などと呼ばれる気取らないおふくろの味みたいな料理も、もう一つの特徴です。潮州料理レストランに大人数で行くなら、一方で蒸しガルーパ(このページの下の方で紹介します。)や花蟹など潮州料理らしい海鮮料理も入れながらもう一方で、潮州家庭料理と組み合わせてメニューを作ると、豪華で美味しい料理が食べられます。
 潮州料理の味付けというのは日本人に合っていると私は思います。実際に私が最も好んで食べる中華料理が、この潮州料理なのです。

 
 さて、前置きが長くなってしまいましたが、佳寧娜での料理紹介に入ります。
 まず、潮州料理の前菜の定番、鹵水料理です。鹵水は、塩、醤油、酒、生姜やスパイスを入れた鍋で、豚や鶏の骨を煮出して作る濃いめのだし汁で、鹵水料理とはこのだし汁に豆腐とか、ガチョウや豚、牛の肉や臓物などを入れて長時間漬けたり煮たりして作る料理です。この鹵水料理は日本人の舌に合うと思うのですが、なぜか日本の中華料理屋さんでは滅多にお目にかかれません。
 この日は鹵水料理の盛合せにしました。奥にガチョウの肉、手前に豚の内臓が並べられています。内臓が苦手な方は、鹵水鵝片といって、ガチョウの肉を鹵水で漬け込んだ料理を選ぶと良いでしょう。佳寧娜の鹵水料理は特に美味しいというわけではありませんが、日本にいて鹵水料理にはすっかりご無沙汰していたものですから、美味しくいただけました。

 
 続いて潮州家庭料理の定番、揚げ豆腐です。揚げたての豆腐に塩などで味付けをしたシンプルな料理です。見た目には臭豆腐を想起させるかもしれませんが、全く違います。
 中華料理で豆腐料理というと、日本人は麻婆豆腐とか蟹粉豆腐といった味付けのはっきりしたものを思い浮かべがちですが、家庭料理としては塩をベースにしたこうしたシンプルな味付けの料理になるのです。素朴に美味しいです。

 
 そして、上の写真は家庭料理の定番、魚香茄子〔保/火〕です。(〔保/火〕というのは、保の下に火という字)いわゆる土鍋煮込みです。魚香という調味料は若干辛味もありますが、むしろ甘辛い微妙な味付けです。この料理はとろ火で長時間煮込んでいますから、魚香の風味が茄子によく染み込んでいて、美味いのです。今日のは少しこってりさが欠けているかな。

  
 この日は二人で来ています。ですからあまり多くのメニューを注文できません。
 ということで、本日のメインメニューです。大連鮑のチーズ風味焼きです。一つ38元(日本円で650円くらい)ですから、嬉しくなる安さです。この鮑だけはナイフとフォークで食べます。


 ナイフとフォークで切ったところです。コリコリした食感、アワビの甘みとチーズの香りが意外にマッチします。ウーン、と唸ってしまいます。潮州料理の味付けというよりもフランス料理を食べているかのようです。中華料理の香りが全くしません。香港で海鮮料理を食べても、やはりこの料理のように西洋料理のような味付けをすることがよくありますので、別に驚くほどではないのでしょうが、ここは深圳です。深圳の料理水準もこのレベルまで上がってきたかと思うと、嬉しくなってしまうのです。
  大連産の鮑もいいですし、味付けも最高です。とにかく美味しいです。

 
 今日の締めは福建炒飯(あんかけチャーハン)です。福建炒飯は広東料理レストラン以外では滅多に食べられません。今日一緒に来た人は中国が二回目で、広東省は初めてという人なので、生まれて初めて食べる本場の福建炒飯です。この味に大満足したことは言うまでもありません。
 福建炒飯を食べるときはお椀に取り分ける前に、炒飯とアンをよくかき混ぜて味を隅々にまで行き渡らせることが美味しく食べるコツですから、お忘れなきようにしてください。


 デザートはレストラン側の差し入れで、フルーツ盛合せです。
 この佳寧娜レストランは、とりわけ美味しい潮州料理を食べさせてくれるというほどではありませんが、無難ではずれが少ない味ですし、立地条件が良く場所も分かりやすいので、初心者の方にもおすすめできるレストランです。



 2008年の記録


 この日は中国生活が長い日本人の友人と二人での夕食です。
 私の友人が選んだ店は、佳寧娜潮州菜。香港にも多数店舗を有するチェーン店です。二人ですから、そんなにたくさんは食べられませんが、少なくとも清蒸石班(ガルーパの蒸し)だけは食べようということで一致。他は、私が中心にメニューを選択です。
 まずは、潮州料理の前菜の定番、潮州鹵水鵝片。ガチョウを鹵水というたれで煮た前菜です。これは、本当に心安らぐ、故郷の味というやつです。旨いです。


 続いて出てきましたのが、潮州蠣煎です。牡蠣入りのお好み焼きとでも言いましょうか。 これまた、懐かしい家庭の味です。潮州料理は、一方では、フカヒレスープや海鮮料理の高級な料理も少なくないのですが、もう一方で、家庭料理の方は、本当に日本人好みのさっぱりした中華料理なんですよ。
 合格です。


 続けて、家庭料理の定番、魚香茄子〔保/火〕です。茄子の魚香土鍋煮込みです。これがもう癖になる旨さです。魚香については、上で説明しているのでコメントは省略します。
 これを注文するときは、どちらかというと白いご飯にこれをぶっかけて魚香茄子飯として食べることが、私の場合は一般的です。(周りの人でそんなことをしている人は決して多くありませんので、念のため。)すると、不思議や不思議、ご飯が進んでついついご飯をお代わりしてしまいます

 ですが、今日は違います。
 メインディッシュの清蒸石班(ガルーパの蒸し)が来るまでは、お腹を一杯にしてはいけません。というよりも、味付けが濃い魚香茄子〔保/火〕は、ガルーパの蒸しよりも後に出してもらうほうがいいですよね。香港の潮州レストランだと、そういったことまで気を使ってくれる所は多いのですが、深圳ではそのレベルまでは達していないようですね。


 やっと出ました。清蒸石班(ガルーパの蒸し)です。
 しかも、今日のガルーパは、私の友人が奮発してくれて、老虎石班といって高級品です。身の締りがいいですね。旨いです。実は、最近、香港に行く機会もなく、1年くらい清蒸石班(ガルーパの蒸し)を食べる機会に恵まれなかったので、夢にまで見た料理です。旨い!旨い!旨い!!
 かつて香港に住んでいたころは、ガルーパを汁ごとご飯にかけて食べていましたが、今日は、ガルーパだけで味わって、白飯は、後で魚香茄子をかけて食べることにします。


 今晩の仕上げは暖かい西米露です。ちょっと甘いですが、中華料理の後は、甘い料理は合いますよね。

 二人ですから、そんなにたくさんは食べられませんが、今日は、ガルーパ、牡蠣、ガチョウ、それに、魚香茄子と、自分の好きなものが食べられて、本当に満足です。深圳は、広東料理のレベルが低いとか聞いていましたが、決してそんなことはないということが、今日の料理で分かりました。要は、美味しい店を選んで入ることだけですね。


ナビーション