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上環のおすすめ飲茶、鳳城酒家(一人飲茶向き)


 上環のおすすめ飲茶、鳳城酒家(一人飲茶向き)


 鳳城酒家上環店で早茶(朝飲茶)

香港の鳳城酒家上環店

 鳳城酒家は香港に数店の店舗を持つ広東料理レストランとして知られていますが、その発祥は広東省の順徳です。順徳料理は広東料理の一つで、もともと広東料理の源流の一つだと言われています。鳳城酒家は順徳で生まれて香港に進出し、すっかり香港を代表するレストランになり、2018年にはミシュランにも掲載されるほどになりました。順徳の鳳城酒家はこちらで紹介しています。
 香港の本店は九龍・太子にありますが、本店や北角店は伝統的な雰囲気です。一方、上の写真の上環店は少しカジュアルな雰囲気です。鳳城酒家上環店はマカオフェリーのビルから歩いてすぐのところにあります。 干诺道(connaught road)に面して西営盤方面に少し行ったところにありますから、場所は分かりやすいと思います。

鳳城酒家上環店の点心メニュー

 この上環店や銅羅湾店の点心メニューは本店とは違っていて、種類が豊富です。本店のメニューは鳳城酒家の伝統を守っている一方、 上環店や銅羅湾店は新しいメニューを積極的に取り入れていると言えます。
 例によってメニューの横の大中小が価格を示していて、小がHK$21.8だったと記憶しています。(2018年11月現在)

香港の鳳城酒家上環店の早茶メニュー

 この上環店でも朝の時間は早茶の割引があります。すべての点心がHK$21.8になります。HK$21.8というのは一番安い小の点心の価格と同じですから、お得感があります。さらに、上の写真のようにいくつかの点心は特別な価格が付けられています。例えば、一番右のエビと豆苗の餃子は、大の点心ですけどHK$17.8と書いてあります。忘れましたが、大の価格はHK$30くらいですからかなりお得感があります。
 この早茶の割引は朝11時までに注文して12時までに清算した場合に適用されます。朝、ホテルでお決まりの朝食なんか食べない方がお得ですよ。

 
香港の鳳城酒家上環店で早茶(朝飲茶)

 こういう割引があると、どうしても特別価格の点心を注文したくなってしまいます。そこでエビと豆苗の餃子です。エビと野菜の餃子というのは定番点心の一つで、日本人好みの味だと思います。見た目にもきれいですから、目と舌と両方で楽しめる点心です。
 エビを入れた餃子ということでは蝦餃(ハウガウ)があります。蝦餃(ハウガウ)に比べるとエビのプリプリ感は落ちますが、それでも日本では食べられない美味しい餃子なので、気に入ってもらえると思います。

香港の鳳城酒家上環店で早茶(朝飲茶)

 続いては、一般の点心メニューから選んだチーズ入りエビボール揚げです。これは香港でもかなり珍しい点心で、この店のオリジナル点心かも知れません。カラッと揚げられていますので胃に重たくありません。この日は一人飲茶ですので一人で三つ食べても全く胃がもたれません。

チーズ入りエビボール揚げ(鳳城酒家上環店)

 エビボールの中です。エビも少し見えますよね。エビの味は結構強いです。そしてそこにトローリとしたチーズが入っていて、そのバランスが素晴らしいです。これかなり美味しいです。 

香港の鳳城酒家上環店で早茶(朝飲茶)

 そしてお腹にたまる料理として腊味濡米飯(燻製入りモチ米ごはん)を注文しました。これも本来は大の料理ですが、早茶の特別メニューでHK$17.8になっていたものです。
 日本ではもち米をあまりこういう食べ方はしないのですが、香港ではよく見かけます。鳳城酒家の燻製入りモチ米ごはんはとりたてて絶賛するほどの味ではないものの、香港らしい味付けで私はいっぺんに好きになりました。他の点心も食べることを考えれば、大きさもちょうど良いですし、美味しいですし、良い選択だったと思います。



 人気の定番点心

香港飲茶の定番、四寶滑鶏扎(鳳城酒家上環店)

 定番の点心と言いますか、点心のメニューのなかでの私のお気に入りを紹介しましょう。
 四寶滑鶏扎(四つの宝の鶏肉巻き)です。「扎」という字はまとめるとか一括りにするとかといった意味で、鶏肉や准山(山芋を乾燥させたもの、漢方にもよく使われる食材)が一括りにされています。

香港飲茶の定番、四寶滑鶏扎(鳳城酒家上環店)

 バラバラにするとこんな感じです。このようにバラして食べるのが普通です。 お茶を飲みながらこれを順に食べていくというもので、飲茶では伝統的によく食べられている点心の一つです。初めて食べたころは面白みを感じない点心でしたが、最近はお茶の友としてよく注文しています。

香港飲茶の定番、綾魚球(鳳城酒家上環店)

 綾魚球(つみれ揚げ)です。同じような点心に牛肉球があって、牛肉球の方が人気はありますし、私も他の店では牛肉球の方をよく食べますが、ここ鳳城酒家では綾魚球の方をよく注文します。というのも、綾魚球はもともとは鳳城酒家の出身地である広東省順徳の料理で、 そういう意味では鳳城酒家の看板点心の一つと言っても良いのです。そういう気持ちで食べるからなのかもしれませんが、確かに美味いのです。
 ただ実際に順徳に行って、順徳の鳳城酒家で綾魚球を食べたらもっと美味しかったので、上環店の味で満足してはいけないと思った次第です。

香港鳳城酒家上環店で朝飲茶

 お腹にたまる点心のおすすめは、平凡ながらチャーシュー饅頭です。まあ普通に美味しいチャーシューまんです。ただ、日本と比べると饅頭自体はふっくららして甘さがありかなり美味しいです。また、チャーシューがかなり甘い味付けになっていることも 特徴です。

鳳城酒家上環店で朝飲茶

 こんな感じでチャーシューがゴロゴロ入っていて、甘いたれもこぼれんばかりの量が入っています。 

チャーシューの腸粉(鳳城酒家上環店)
 
 腸粉であれば、おすすめはチャーシューです。特に朝茶で行くと作り立ての腸粉が出てくるので、腸粉自体の味が違います。私は朝茶で利用することが多いので、いつも美味しい腸粉を食べることができます。ランチや下午茶では腸粉の美味しさがどこまで感じられるかはちょっと分かりません。

 

朝茶の時間の日替わりメニューもおすすめ

 
 こんな日もありました。日替わり特別メニューに香港でもあまり見かけないレアな点心が並んだのです。それも新作ではなく伝統的な点心です。私のように毎週一度ならずに二度三度とは飲茶をしている者にとって、特別メニューの中にレアものが出てくると注文しないわけにはいきません。金丝百花球と崧化蛋散です。

 
金丝百花球(香港鳳城酒家)
 
 上の写真が金丝百花球です。エビを中心にシーフードのボールを揚げた点心で、揚げた部分を龍の髭のように伸ばしています。龍というのは中国や香港で縁起の良いものととされていて、幸運、財産、幸福をもたらすものとされています。特に龍の髭は龍のシンボルなので、大変縁起が良いということになります。そういう縁起の良い点心がこれです。

金丝百花球(香港鳳城酒家)
 
 中にはエビを中心にしたシーフードの揚げ物が入っていて、エビにはプリプリ感もあります。この点心はこの鳳城酒家でも通常メニュには入っていませんし、他のレストランでも殆ど見かけません。もし、日替わりメニューにこの点心が入っていたら迷わず注文しましょう。幸運が舞い込みます。きっと良いことがあるはずです。

崧化蛋散(香港鳳城酒家)
 
 そして、上の写真は崧化蛋散です。お菓子のような点心です。私は20年以上前に香港で仕事をしていた頃、蛋散を何回か食べたことがありますが、自分で注文したのは初めてです。と言うか、最近はすっかりメニューから姿を消しているのです。

崧化蛋散(香港鳳城酒家)
 
 揚げ物のように見えますが、食べた感じは軽い煎餅という印象で、昔からの香港のお菓子だと当時の香港人スタッフから聞いています。写真の通り上にたっぷりと砂糖がかかっていて、当然ながら甘いです。当時は飲茶と言いつつも、点心をつまみながらビールばかり飲んでいたので、実は苦手な点心でした。蛋散は甘すぎてビールには合わないのです。
 ところが、お茶との相性は抜群に良いです。なるほど飲茶の伝統的な点心らしい味なのです。

崧化蛋散(香港鳳城酒家)
 
 甘さというのは実は砂糖だけではありません。下にシロップが隠れていて、実はこのシロップをよくつけて食べると甘さが倍増してますますお茶に合うのです。久しぶりに食べましたけど、こんなにお茶との相性が良いのにどうしてこのメニューを最近は見かけないのでしょうか。

フカヒレ餃子(鳳城酒家上環店)
 
 そして、時にはフカヒレ餃子なんかも日替わりメニューに登場します。この日替わりメニューがいろいろ変化するので、私も鳳城酒家上環店に飽きずに通ってしまうのです。そして、日替わりメニューとは言え、伝統的な点心が多いので完成度が高いのです。美味しいのです。

レバー焼売と鶏肉焼売(鳳城酒家上環店)
 
 レバー焼売と鶏肉焼売のセット。レバー焼売だけで出てくるよりこのセットで出てくる方が多いです。レバー焼売は、例えば鳳城酒家本店や陸羽茶室に比べると貧弱ですが、鶏肉焼売が私のお気に入りです。

鳳城酒家上環店の点心
 
 腸粉も時々日替わりメニューします。定番の叉焼腸粉やエビ腸粉ではない変わり種の腸粉もたまに登場します。最近は特に日替わりメニューの充実度が高くて、私は日替わりメニューの利用が増えています。

 
 これは一回だけしかお目にかかっていませんが、イカのカレー味。これも伝統的な点心の一つで、意外にもお茶に合うのです。



 ランチタイムには麺類も注文することも

伝統的なうずら焼売(香港・鳳城酒家)
 
 ランチ時に利用すると、点心に加えて焼きそばやチャーハンなどもメニューに加わります。一人で食べに来た時は本当は焼きそばやチャーハンの単品でお腹いっぱいになるのですが、香港でそんな食べ方をすると笑われてしまいます。と言うのも、鳳城酒家は酒楼で飲茶の時間ですから、お茶を飲みながら点心を食べるのが基本で、ついでに焼そばを食べるという注文にすべきなのです。
 そこで注文したのがウズラ焼売です。これも伝統的な点心の一つで、老舗の店ではメニューに入っていることが多いです。いつもの蟹焼売とかエビ焼売とかと一味違った伝統の味を楽しめます。美味しいですよ。

香港・鳳城酒家の焼きそば
 
 そしてお待ちかねの焼きそばです。焼きそばも何種類かありますが、この日はちょっと変わり種の魚香茄子焼きそばにしました。焼きそばの上に魚香茄子を乗せた焼きそばです。魚香茄子は茄子と豚肉を魚香という調味料で炒めたものです。若干辛みがありますが、鳳城酒家の魚香はあまり辛くない部類です。

鳳城酒家の焼きそば
 
 ちょっとアップにして見てみましょう。麺は伊麺の平麺。これが美味いのです。一人で焼売と焼きそばを食べるとちょっと多いのですが、普洱茶を飲みながら完食しました。

香港鳳城酒家の朝飲茶(早茶)
 
 この日も朝に鳳城酒家上環店に来ています。本店と上環店と共通しているのは、朝7時くらいから飲茶ができるということです。点心のメニューは違いますけど、どちらの店も朝飲茶(「早茶」と言います。)に適した店だと思います。
 飲茶と言うのは広東人の習慣です。毎朝のように早茶をして、それから仕事に行ったり家事をしたりします。一人で来る人も多いです。私も基本は殆ど一人飲茶ですから、この朝の時間帯ですと全く違和感がありません。逆にランチタイムになると、グループや家族で来るお客さんが圧倒的に多いですから、一人飲茶だと浮いた感じもします。
 上の写真を見てもらうと新聞を見ているお客さんが多いですが、たいていは新聞を持ち込んで一人で飲茶屋に来て、二品くらいつまみながらお茶を楽しんで帰るという人です。ですから相席は当たり前で、それぞれ新聞を見たり私のようにスマホを見たり、思い思いの時間を過ごすのです。これが本来の飲茶です。香港酒家本店や上環店で飲茶をするなら朝飲茶(早茶)がおすすめです。

鳳城酒家上環店は目の前がトラムの駅
 
 鳳城酒家上環店は地下鉄上環駅から5分くらいの距離ですが、ちょうど目の前にトラムの港澳碼頭(マカオフェリー)駅がありますから、せっかくですから帰りは中環辺りまでトラムに乗っていくと良いと思います。
 この上環店の評価です。香港の点心の中でも味はかなりの水準だと思います。見た目の派手さはないですし、客層も地元の人ばかりで庶民の店のように思われるかもしれませんが、さすがに味はしっかりしています。ただ、鳳城酒家本来の順徳料理からは点心を見る限りはかけ離れていると思います。一般の料理メニューには順徳料理も多かったので、ディナータイムなどでは順徳の料理を楽しめるレストランだと思います。




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