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アジア写真帳(杭州): 霊隠寺


アジア写真帳(杭州)

杭州、霊隠寺の弥勒菩薩像(日本の布袋様)

 杭州で最も参拝客の多い寺院は、この霊隠寺です。霊隠寺は中国禅宗十大古刹の一つであり、326年にインドの高僧、慧理によって建立されたものです。最盛期の10世紀頃は3,000人以上の僧がいて伽藍ももっと大きかったと言われていますが、太平天国の乱の際に焼失してしまったそうです。なお、霊隠寺という名前は、まさに「この山には霊が隠れているに違いない」との慧理の言葉に由来しています。
霊隠寺で見逃せないのは、周りにある飛来峰に彫られている石仏です。この布袋様みたいな石仏は、実は、中国の弥勒菩薩です。飛来峰のシンボルともされている石仏で、中国人にもかなりの人気でした。


 霊隠寺の入口です。霊隠寺へは杭州市内からY1、Y2またはK7の路線バスに乗れば、10分程度で到着します。曲院風荷や岳廟から近いですから、これらと組み合わせて回ると時間が効率的です。
 入口には「霊隠飛来峰」と書かれています。「霊隠」の由来は先に書いた通りですが、「飛来峰」も慧理の「この山はインドから飛来してきたに違いない」との言葉に由来しています。飛来峰は高さ160mの小さな山ですが、周りの山と異なり、石灰石でできています。この山の雰囲気がインドの霊山に似ていたことから、慧理が飛来してきたと考えたといわれています。


 入口を入ると、こんな感じで参道が続きます。
 広々として明るい参道ですが、うっそうと木が生い茂り歴史を感じさせますし、禅寺らしく凛とした雰囲気を漂わせています。


 まず、飛来峰の方を回ります。こんな感じで飛来峰の周りに歩道が張り巡らされていて、歩道の周りのあちこちに石仏が彫られています。これらの石仏は10〜14世紀に彫られたもので、全部で338あるそうです。また、洞窟も72あり、これらの洞窟の中にも石仏が彫られています。


 この洞窟の周りには沢山の石仏が彫られています。この洞窟の中にも石仏が彫られているようです。では、この洞窟に入ってみましょう。

 洞窟の中も、こんな感じでたくさんの石仏が彫られています。高感度にして撮影したら意外に明るく写りましたけれども、実際はもっと暗い洞窟の中に石仏が彫られています。


 今の洞窟を出て、霊隠寺の方向へ少し向かうと、山の中腹に布袋様に似た弥勒菩薩像が見えてきます。これはどう見ても日本人にしてみると布袋様なのですが、一緒に行った中国人は弥勒菩薩だと言います。実際のところ、中国ではこのふくよかな像が弥勒菩薩像なのです。仏教が中国から日本に伝来するなかで、どこかで誰かが間違ってしまったのか、或いは、仏教伝来時の日本の事情で弥勒菩薩像を端正な形状に代えざるを得なかったのか、このあたりは専門家の意見を聞いてみたいものです。



 ここからは2007年の写真(この上までは2012年5月の写真です。)を紹介します。そうなのです。以前は石仏沿いに歩行路が付けられていて、アップダウンがあって疲れるものの、石仏の前まで行って写真が撮れていたのですが、現在はそうした歩行路はなく、石仏は遠くから見るしかないのです。


 2007年の写真です。なんだか勇ましい石仏を発見しました。ここで記念写真を撮る人も多かったですね。しかし、何の神様なのか分りません。誰か分る人いたら教えてください。


 2007年に初めて霊隠寺に来たとき、布袋様に似た弥勒菩薩像を探して飛来峰の周りをさまよっていると、すごい人だかりを発見しました。若い女性がポーズを取って写真を撮っていましたので、ひょっとして芸能人かと思ったのですが、シャッターを切っている人が一人なのでそうではないようです。
 写真を撮り終わり被写体の女性が動いたところで、背景にしていた石仏を見ると、それが弥勒菩薩像でした。


 さすがは飛来峰のシンボルだけあって、記念写真を撮る人で大混雑していましたね。一遍に5〜6人が並んで写真を撮っていたりすると後ろの菩薩像が殆ど見えなくなります。ようやく一人で写真を撮ろうとしているカップルの順番になって、私もシャッターを切りました。
 おそらくは石仏の保護という観点なのでしょうが、今はもう弥勒菩薩像の近くまで行って写真を撮ることはできなくなったようです。

それでは、このへんで霊隠寺の方へ行ってみましょう。




 霊隠寺の大雄宝殿です。大雄宝殿には、高さ24.8mの立派な仏像がありました。なかなか慈愛に満ちたお釈迦様でした。
 さて、今回の霊隠寺参りは中国人の友人二人といったものですから、この山に入る入口で大きな線香を買い、中国での初めての焼香にチャレンジです。
 霊隠寺で線香を買うと、その中に線香は五束入っています。これは五つの神様に祈りをささげるためで、実はお参りの順番も、天王殿(平安を保つ神様)→大雄宝殿(蓄財・事業成功の神様)→観音殿(願い事をかなえてくれる神様)→薬師殿(健康を保つ神様)→華厳殿(家族の幸福と学業成就の神様)と決められていて、使う線香も天王殿ではこれ、大雄宝殿ではそれ、という具合に決められています。(線香の色が決まっています。)


 上の写真は大雄宝殿に祭られている像です。何の神様なのか分かりませんが、中国の楽器を持った珍しい神様なので、思わずシャッターを切ってしまいました。シャッターを切った後に、「堂内は撮影禁止」という注意書きを見つけてしまったものですから、堂内での写真はこの1枚だけです。
 霊隠寺の堂内にはこのような立派な像が本当に沢山祭られているということだけ書いておきます。


  霊隠寺の中も、中国の他の寺院と同様に、香がたかれ沢山の中国人でにぎわいます。今日は私たちもこの中に入ってお参りするわけです。
 私は中国の作法の経験がありません。そこで、同行の中国人に作法を質問したところ、実はここに来るまで中国の仏教についてうんちくを語ってきた友人なのですが、自分も初めてだということです。仕方がないので、二人で周りの人々の作法を見渡したところ、皆やり方も別、お参りする方向が別、人によっては予め定められている線香の色も違うといった具合にバラバラです。
 それでは気楽に自分のスタイルでやりましょう、という話になったのですが、それでもご利益はあるのでしょうか。


 大雄宝殿の前にある石塔です。北宋960年に建造されたもので、九重八角楼閣式の石塔は、高さ12メートル、典型的な宋代の建築様式のようです。
  アジアの仏教国へ行くとどこもそうなのですが、日本人よりも敬虔な仏教徒が多いような気がします。私もしばし仏教の香りに浸り、ゆったりと心を休める時間になりました。


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