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アジア写真帳(上海) : 南翔古鎮で小籠包

アジア写真帳(上海)




南翔と言えば小籠包、小籠包と言えば南翔 

小籠包発祥の地、南翔へは地下鉄で

 上海郊外に南翔という街があります。南翔と聞いて豫園にある南翔饅頭店の小籠包を思い出す人も少なくないでしょうが、南翔饅頭店の小籠包のルーツはまさにこ南翔にあります。詳しくはこのページの中で紹介していきます。
 その南翔へは、上海地下鉄11号線の南翔駅が最寄り駅です、地下鉄2号線の江蘇路駅で11号線に乗り換えれば、約30分で南翔駅に到着できます。南翔の見どころは小籠包屋街、古猗園と老街だと思いますが、いずれも徒歩圏です。


地図をクリックすると大きな地図が別ウィンドウで開きます
 
 上の地図が南翔駅から各スポットに行くための地図ですが、南翔駅から小籠包屋街が徒歩15分程度、小籠包屋街から南翔老街が10分程度と考えてください。南翔駅の2号出口を出て和平街という道を歩くと、「古猗園」「老街」の看板が出てきますので、それを見落とさないようにして歩けば辿り着けます。小籠包街は古猗園の入口付近ですから古猗園の看板を目印にしてください。また、小籠包の古猗園餐庁は小籠包街を次の大きな交差点まで歩いて左側になります。

上海郊外、南翔の小籠包街

 まず、小籠包街から紹介します。小籠包街という名は私がそう呼んでいるだけで、古猗園路というのが正しい名前です。古猗園への案内看板を目印にして和平街から古猗園路に入ってしばらく行くと、小籠包の店が数十店並んでいます。どの店も100年続く老舗のようにうたっていますが、本当のところは分かりません。


 このあたりの店は古猗園路に面して小籠包の調理場を作っているところが多く、どこも美味しそうな感じがします。初めて行く人にはどの店も南翔小籠包の発祥の店のように思えてしまうかもしれません。

南翔の小籠包屋
 
 ここで豫園の南翔饅頭店との関係も説明しながら、南翔小籠包の由来を紹介します。
 小籠包の始まりは、1871年に嘉定県南翔鎮(今の上海市嘉定区南翔)の菓子屋「古猗園」が売り出した「南翔大肉饅頭」にあったとされています。その大肉饅頭は皮が厚く、饅頭の中にスープ入りの肉が入っているもので、今でも美味しくない小籠包屋に行くと出てくるものです。
 菓子屋「古猗園」は、それを皮を薄くするなど改良し「古猗園南翔小籠包」の名前で発売しました。ここが小籠包の起源でしょう。それまでは饅頭、ここからは小籠包です。

南翔の小籠包屋
 
 その菓子屋「古猗園」にいた弟子二人が1900年に上海で長興楼という店を開店し、1920年から南翔小籠包として売り出しを開始しました。この長興楼は南翔小籠包で有名になり、1960年に店名も「南翔饅頭店」と改名しました。これが今の豫園にある南翔饅頭店なのです。
 そして、その原型が南翔にある古猗園餐庁ということになります。古猗園餐庁は古猗園の敷地内にありますが、入口はこの小籠包屋街を抜けた所にある交差点の左側です。



古猗園餐庁で本場の南翔小籠包

南翔古猗園餐庁(小籠包発祥の地)

 古猗園路の小籠包屋街を抜けた所にある交差点を左に曲がるとすぐに上の碑楼が見えます。ここが小籠包の発祥の店、古猗園餐庁の入口です。日本では小籠包は台湾が発祥だと思っている人が多いようですが、そうではありません。上海でもありません。上海の南翔饅頭店の創業者が弟子をしていた、ここ南翔の古猗園餐庁なのです。

南翔古猗園餐庁

 古猗園餐庁は平屋建ての古い建物で、貫録を感じさせます。おそらく小籠包発祥の店である菓子屋「古猗園」もこの場所にあったのでしょう。敷地としては地図で見ても古猗園の中ですが、入口は先ほどの碑楼です。また、ここから古猗園の園内に入ることはできません。

南翔古猗園餐庁(小籠包発祥の地)

 私は8時半ごろに到着したので店内もまだ空いています。いよいよ小籠包発祥の店で小籠包を食べられるかと思うと気持ちが早ってしまいます。

南翔古猗園餐庁のメニュー

 古猗園餐庁の中に入ったら右手にある食券販売所で注文します。原味鮮肉小籠16個で30元というのは、上海豫園の南翔饅頭店に比べればはるかに安いですが、街の小籠包屋さんで食べればその半額かそれ以下ですから、観光地価格と言えます。
 小籠包の種類には、普通の豚肉の入った原味鮮肉小籠、蟹粉の入った蟹粉鮮肉小籠のほかにも、シイタケ入りとか卵入りとかがありますが、一押しは豚肉の入った原味鮮肉小籠です。16個ありますから大人の一人分です。二人以上で来たなら原味鮮肉小籠と蟹粉鮮肉小籠を注文したら良いと思います。
 ただ、私の経験からすると、蟹粉小籠はどこで食べても期待した水準には達していないので、多くの人数で来たなら試しに一つ注文するくらいの気持ちの方が良いと思います。私は一人で来たので原味鮮肉小籠一つを注文しました。
 また当然ですが、ここでは英語や日本語は全く通用しません。注文する内容を予め紙に書いておくと良いかもしれません。

小籠包発祥の地、南翔古猗園餐庁の店内

 そこで買った食券を小籠包の蒸籠が積んである場所にいるスタッフに渡すと品物が渡されます。まだ蒸している最中であれば、座る場所を聞かれますのでそのテーブルに着いて待機しましょう。蒸しあがってからスタッフがちゃんと運んでくれます。
 テーブルの上の茶壷には酢が入っています。これをつけて小籠包を食べてください。また箸やお椀などはスタッフがいる場所のすぐ左側に無造作に置いてあります。ここから勝手に必要な数だけテーブルに運んでおきましょう。

南翔古猗園餐庁の本場の小籠包

 待つこと10分、いよいよ小籠包が運ばれてきました。私は朝食を食べずに南翔に来ましたので、これが今日の朝食です。
 豫園にある南翔饅頭店と同じように若干小ぶりの小籠包です。無錫の小籠包はこれより大きくてスープが多いですし、台湾の小籠包は皮の薄さで勝負しているような気もします。

南翔古猗園餐庁の小籠包

 食べてみるとスープがたっぷり入っていて美味しいです。小籠包に入っているスープというのは、煮こごりを作って豚ひき肉の餡と一緒に包み、蒸し上がると煮こごりがスープになるわけですけど、その煮こごりを作る際に生姜、ニンニクやシイタケなどで味付けもしています。その味付けが良いのでしょう。
 朝空いている時間に行ったこともあって、相席にもならずにゆったりマイペースで食べることができました。小籠包発祥の店での小籠包、大変感慨深いです。豫園にある南翔饅頭店よりずっと満足感のある朝食でした。



南翔老街を歩く

南翔老街(上海から一時間で行ける古鎮)
 
 上の写真は南翔老街のメインストリートです。まだ朝早いので人は少ないです。昼くらいになると観光客も増えてきて道が賑わいますので、そうなってからの方が老街の雰囲気が出るかもしれません。
 上海から蘇州にかけてのエリアを中国江南地域(長江=揚子江の南という意味です。)と呼びますが、この中国江南地域には西塘、烏鎮、同里周荘など、たくさんの水郷古鎮があります。そうした古鎮は、上海から一日観光で行くべきところであって、特に水郷古鎮の場合は朝の風景が素晴らしいですから、できれば一泊二日で行くことを私はおすすめしています。
 ここ南翔や別ページで紹介している七宝は、そこまで時間が取れない人向けの古鎮として私がおすすめしている場所です。水郷古鎮のような風景の素晴らしさという点では見劣りするものの、昔の中国の街を半日で体験できるコースとして決して悪くはない観光地だと思います。

南翔老街(上海から一時間で行ける古鎮)

 もちろん、南翔の場合は古鎮としての価値と、小籠包発祥の地としての価値があります。七宝と比較すると老街の面白さは七宝の方が上だと思いますが、小籠包発祥の地や
古猗園の存在なども併せ考えると、南翔の方が一般受けするような気がします。
 上の写真は南翔老街ですが、このような写真を見ると運河があって南翔という街が水郷のように見えるかもしれませんが、運河があるだけであって水郷ではありません。誤解のないようにしてください。

南翔老街の双塔

 南翔老街のシンボル、双塔です。双塔と言って二つの塔を並べて建てる方式は中国各地で昔からよくあるものです。この南翔古鎮の双塔は、専門家の鑑定により、中国五大時代から北宋の時代(907年から1127年)に建てられたものと評価され、これが南翔は1000年の歴史を持つ古鎮であるという証明のようになっています。
 そうした意味では、南翔のシンボルと言われるのもうなづけます。この双塔がなければ南翔が誕生した時期を証明するものがないわけです。



南翔老街(上海から一時間で行ける古鎮)
 
 老街を歩いてみましょう・
 上の写真は鉄板豆腐の店です。お母さんは食べたそうにしていましたが、子供全く無関心です。おそらく地元の方でしょう。ここ南翔の老街というのは、観光客もたくさん来ますが、もっぱら観光客を相手にしたお店ばかりではなく、地元の人の日常を感じさせる普段着の街という性格もあります。鉄板豆腐は特に南翔名物でも何でもないと思います。

南翔老街(上海から一時間で行ける古鎮)の酒屋

 朝のこの時間から酒屋さんも開いています。いろいろなお酒を売っています。ここも特に南翔さんのお酒を売っているわけでもなく、地元の人が買う酒屋さんのようです。酒屋さんはあちこちで見かけました。紹興酒の専門店などもありました。

南翔老街(上海から一時間で行ける古鎮)

 店名や自慢の品を書いた旗が建物の上の方からぶら下がっています。この旗があるおかげで店を探すのが簡単です。香港などの街に行くと道路の上に横に伸びる大きな看板を多く見かけますが、その原型が旗なのでしょう。
 古装撮影なんて旗も見えます。貸衣装屋さんで、写真を撮ってくれます。

南翔老街の貸衣装屋
 
 上の写真が貸衣装屋兼写真屋さんです。ここに飾ってある衣装を着た写真を撮ってくれます。また、一時間とか借りて街の中を歩き、勝手に自分で写真を撮ることもできます。老街のあちこちで貸衣裳を着てポーズをとる女性や子供を見かけます。

南翔老街(上海から一時間で行ける古鎮)

 南翔の老街でも目立つのが小籠包屋さんです。味にこだわらなければ、小籠包街には立ち寄らずにこの老街で食べるのも選択肢の一つでしょう。ただ、やはりある程度お客さんでにぎわっている店を選ぶことが、美味しい小籠包に巡り合う条件です。そうした意味では、こうしたひっそりとした小籠包屋さんではちょっと心配です。

南翔老街(上海から一時間で行ける古鎮)の小籠包屋

 一方、ここ長興楼などでは、通りに面して小籠包の調理場が見えていて、お客さんで賑わっています。こういう店を選んだ方が無難です。私は既に小籠包通りに行って、古猗園餐庁で小籠包を食べた直後でしたので、後ろ髪をひかれながらもパスしました。

南翔老街(上海から一時間で行ける古鎮)

 楽器屋さんです。こんな老街の中に楽器屋さんがあるというのもちょっと違和感を感じるかもしれませんが、先に書いた通り、この老街は観光客向けでもあり地元の人向けでもあります。
 南翔という街は、上海から一時間以内の通勤圏にあります。上海のビジネスマン、ビジネスウーマンの子供もたくさんいますので、そうした子供たちがこうした楽器屋に遊びに来ているわけです。位置的に言うと、東京の近くにある川越みたいなイメージなのかなという感じです。



南翔の名園、古猗園

南翔の庭園、古猗園入口

 南翔の街の紹介の最後に、古猗園を紹介します。場所は小籠包街に面していますので、実際に観光するときは、小籠包街、古猗園、南翔老街というルートか、古猗園、小籠包街、南翔老街というルートをとる方が移動は楽です。
 上の写真は古猗園の入口です。この小さな入口からは想像がつかないくらい広い庭園で、中国の庭園に興味のある人にとっては見ごたえのある庭園です。

南翔の庭園、古猗園

 古猗園は明の時代にできた私家庭園です。私家庭園というのは個人の住宅に併設された庭園という意味です。南翔の豪商がここに住んでいたということになります。完成後何回か修復が行われ、現在の庭園は清の時代に完成したものとされています。
 清の時代にできた庭園と言えば、蘇州四大園林(庭園)の一つである留園同里の退思園などの名園と同じ時期に当たります。

南翔の庭園、古猗園

 古猗園は留園退思園のような世界文化遺産の庭園に比較してしまうと、その設計・配置の精緻さや建物の見事さは見劣りはするものの、そのスケールは比肩しうるもので、当時の中国庭園らしい雰囲気は十分に味わえます。
 上の写真は古猗園の中心部にある池です。蓮の花が咲く時期に来れば、蓮畑に数多くの蓮の花が開き、美しい姿を見せてくれるはずです。

南翔の庭園、古猗園の湖心亭

 池の中心部にある湖心亭と九十九折の石橋です。古猗園は観光地というよりも地元の人のための公園のようになっていますので、時間さえあればこの湖心亭に佇んで古猗園の風景を見るのも良いでしょう。

南翔の庭園、古猗園の池の景色
 
 湖心亭から見た風景です。天気が良くないので見栄えが今一つですが、池のあちこちに蓮畑があって、季節を選べばさぞ美しい風景が広がるのでしょう。高層マンションが建ち並ぶ南翔の街にありながら、そうした建物がほとんど見えないように工夫されていることも分かります。

南翔、古猗園の翔雲閣
 
 池の中の築山の山頂に立つ翔雲閣です。ここには、長寿を願う亀がいるというので上ってみましょう。上の写真のような築山の作り方というのは蘇州の庭園でもよく見られるものです。

南翔・古猗園の亀山百寿図
 
 これが長寿を願う亀です。龍の顔に亀の身体がついています。背中には「寿」と書いた額が乗っています。蘇州あたりの庭園に行けば、ここで写真を撮る観光客であふれる像なのでしょうが、あまり観光客の来ない古猗園では、亀も一人ぼっちです。

南翔・古猗園の亀山百寿図
 
 「寿」の字の裏側には100字の寿が描かれています。これを「亀山百寿図」と言います。せっかくですから私は亀山百寿図を持つ亀の像に、私と家族の長寿をお願いしてきました。

南翔の庭園、古猗園
 
 古猗園の園内です。地元の人がトランプに興じています。世界文化遺産と紙一重の庭園で青空トランプというのは贅沢な時間の過ごし方です。古猗園では地元の人がトランプだったりダンスだったり、まるで身近な公園で遊ぶかのように自由気ままに利用しています。こういうことが許される古猗園というのは、地元の人に長く愛されている庭園なのでしょう。
 人や車が忙しそうにしている上海から一時間、ここ南翔の古猗園に来ると、心も身体も洗われるような気がします。


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