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アジアグルメ図鑑(上海・中国江南):泰康湯包

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 上海で上海らしい小吃を食べたい時にはどこに行ったら良いでしょうか。
 私なら、豫園にある南翔饅頭店の小籠包とか呉江路の小楊生煎館の生煎包をまずおすすめします。上海が2回目とか3回目とかになると、そういった有名店はもう行きましたので、どこか穴場を教えてくださいなどということを聞かれたりします。そんな時におすすめしているのが湯包の店で、湯包は上海でもいろいろな店で食べることが出来ます。
 私もまだ入ったことがない店で、南京東路にある泰康湯包は、分かりやすい場所にあるので以前から気になっていたお店です。この泰康湯包が私のおすすめの店として良いかどうか、自らチェックしてみます。
 泰康湯包は、南京東路の歩行街に面していて、地下鉄の人民広場駅と上海第一食品ビルとの間にあります。泰康湯包の店の前から南京東路の東方向、つまり外灘や浦東方向を見ると、上の写真のようになります。


 泰康湯包は泰康食品のビルの二階にあります。一階は上海をはじめとした中国の特産品を売っている食品売場で、いつも大勢のお客さんで賑わっています。観光客が土産を買うのに適した店です。
 二階の泰康湯包へは、このお客さんたちを掻き分けて、一階奥の階段へと進みます。


 階段を登ると、ガラス越しに点心を作る調理場が見えます。観光客としては、こういったパフォーマンスは嬉しいですね。
 湯包というのは小籠包を大きくしたものだと思われがちですが、そうではなくてスープを入れた大きな饅頭です。食べるというよりも、むしろ飲むものだと考えた方が良いと思います。因みに、上海と南京の間にある揚州市富春茶社は、この湯包の名店です。濃厚な蟹粉スープが一杯入った富春茶社の蟹粉湯包はまさに逸品で、機会があればぜひ皆さんにも食べてもらいたい料理です。


 さて、泰康湯包の店内です。泰康湯包ではテーブルに着くと小姐(お店の女性)がメニューを持ってきますので、メニューを見ながら指差しでも注文できます。ですから、北京語が話せない人でも簡単に注文できます。また、品物はいちいち取りに行かなくても、写真のように小姐が持ってきてくれます。さすがは上海一の賑わいを誇る南京東路のお店です。
 この日は、東京を朝出発して午後早くに上海入りし、ホテルで荷物を下ろしてから直行してきました。機内食を食べたうえでの昼食ですから、ちょっと軽めにならざるを得ません。二人で行ったのですが、湯包を一つずつと、鮮肉小籠包、蟹肉小籠包の三種類の料理を注文しました。これでも少し食いすぎですね。

 



 さて、湯包が出てきました。写真ですと大きさが分かりづらいのですが、普通の取り皿に一個しか乗らないくらいの大きさですから、小龍包と比較するとかなり大きいことが分かってもらえると思います。
 実は、ここで困ったことが起こったのですが、スープを飲みづらいからストローはないのかという質問を小姐にしたところ、小姐はストローはないので楊枝で穴を開けて飲んでくださいとのつれない対応です。揚州では、名門の富春茶社はもとより、他のお店でも湯包にはストローがセットされていて、ストローでチューチューとスープを吸うのですが、ここ上海の泰康湯包では楊枝で穴を開けて飲んでくれとの対応です。やむなく、楊枝で穴を開けて飲みましたが、案の定、すぐに取り皿がスープで洪水状態になってしまって、スープを味わうどころの話ではなくなってしまいました。お皿とテーブルに美味しいスープをたっぷりと飲ませる結果になりました。
 泰康湯包の湯包は味の評価はしません(できません)が、注文しないほうが良いでしょう。ということは、湯包を食べるなら別の店に行った方が良いということです。


 続いて、鮮肉小籠包です。豚肉のスープが入った小籠包です。これはまずまずの味で、小龍包のレベルが高い上海でも戦っていける味です。でも、南翔饅頭店に比べるとちょっとコクがないかなと感じてしまうのは、湯包の印象が悪かったせいでしょうか。


 そして、蟹粉小籠包です。小籠包の先端が黄色くなっているので見分けることが出来ます。
 うーん、この小籠包に入っている蟹粉スープは、上海の水準から考えると旨くないですね。私も同行者も鮮肉小籠包の方が美味しく感じました。日本の専門店で高いお金を出して食べる小籠包よりは、ずっと美味しいしコストパフォーマンスも高いのですが、蟹粉小籠包を食べるのに、わざわざこの泰康湯包を選択する必要もないですね。点数をつければ、ギリギリ落第しないくらいの点数です。


 ここで、小籠包の食べ方について説明しましょう。小籠包はご存知の通りスープが命です。二つに割ってスープをこぼしたりすることは論外ですし、箸で皮が破けスープがこぼれだしてしまうような食べ方も良くありません。
 箸でつまむときは、写真にあるように小籠包の先端を持ちます。そうするとスープをこぼさずに食べることが出来るのです。スープが熱くて一口に食べられない時は、小籠包の端を噛んで小さな穴を開け、そこからスープを少しずつ飲みます。蓮華を使って小龍包を受けるのも上手な食べ方です。幸い私は猫舌ではないため、小籠包を一口で食べてしまいます。小籠包はスープが熱いうちが食べごろですから、猫舌の人は火傷しないように気をつけて食べてください。
 なお、小籠包はしょうがの入った中国酢につけると、さらに旨いですね。


 上の写真にあるように小籠包はどんどん食べ進むのですが、湯包はまだ手付かずです。この後、湯包の皿が洪水状態になったのは前述の通りです。

 さて、この店、泰康湯包への私の評価ですが、いささか辛口にはなるものの、以下の通りです。小吃店の多い上海にあって小吃を味わうことを目的として泰康湯包に行くと、ちょっと期待はずれの結果になりがちです。小吃が目的なら別のお店をおすすめします。ただ、南京路の散策時に休憩を取るつもりで入るなら利用価値はありそうです。その場合も、注文は鮮肉小籠包に決め打ちした方が良さそうです。


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 中華美味紀行という題名の本ですが、内容の殆どがいわゆる小吃(点心や麺類などの軽食)をテーマにしたエッセイです。最近読んだなかでは、一番面白かった本です。
 作者の南條竹則さんは、高級料理店の料理は日によって味にバラツキが出ることがあるけれども、小吃の味は安定していて旨い店は旨いのだということを書いていますが、これは私と全く同意見です。
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