アジア写真帳アジアグルメ図鑑アジアグルメ図鑑(上海・中国江南)四川料理の紅辣椒

四川料理の紅辣椒:アジアグルメ図鑑(上海)


アジアグルメ図鑑(上海・中国江南) アジア写真帳(上海)

 紅辣椒は上海で人気の四川料理レストラン


 上海料理というのは甘辛い料理だと言われますが、私には辛いという感じはあまりしません。むしろ甘い料理だと思います。それはそれで美味しいのですが、毎日のように食べていると飽きてしまう味です。上海にいると、時々、辛くて刺激的な料理を食べたいと思ってしまいます。そんな時私が食べに行くのが、湖南料理か四川料理で、この日は四川料理の名店、紅辣椒にやってきました。地元の人に大人気の四川料理レストランで、夕方5時には広い店内が満席になってしまうほどの人気ぶりです。予約をしても「5時半に来てもらわないと席がなくなりますよ」なんて言われる始末です。

 
 そもそも四川料理というのは、四川省が本場の料理で、麻婆豆腐や回鍋肉、担担麺など、辛い料理で知られています。私が思うに、もともと四川の山奥では新鮮な素材が入りづらいため、素材の味よりもスパイスなどの味付けでもって、美味しく食べられるように工夫した料理ではないかと思います。良い素材が手に入る香港や上海では、素材の味を殺してしまうような調理法は好まれず、その結果、四川料理レストランに行っても、あまり辛くない四川料理を食べさせられることが一般的です。
 しかしながら、上海に中国全土の優秀な人材が集まってくる時代になって、上海にも四川省から来ている人が増えてきました。本場の四川料理を知っている彼らからしてみると、上海で昔から営業していたレストランで食べる四川料理は四川風料理にしかすぎず、四川料理では決してないのです。そこで、上海には本格的な本場の味の四川料理レストランが登場するようになり、その中の最高峰の一つが今回紹介する紅辣椒なのです。
 紅辣椒は上海市内にいくつか店舗があります。今回訪問したのは徐家雁店です。500人くらいは入れるであろう広い店内は満席で、夕方5時でも順番待ちで待っている人がいるほどの人気店です。メニューも豊富で、目移りしてしまいます。予め、中国版食べログである大衆点評で食べたいものを物色しておいた方が良いでしょう。

四川料理の鉢鉢鶏

  今日の前菜はは、鉢鉢鶏です。鉢鉢鶏というのは鶏肉を鉢の中の辣椒に数時間漬けこんだものです。見た目は棒棒鶏(バンバンジー)に似ていますが、辣椒に漬けこんでいる分だけ辛さが強いところが違います。その漬けこんだ辣椒に浸されてサーブされてきます。
 辛さのレベルが日本や香港、広州で食べる四川料理とは違います。なるほど鉢鉢鶏はここ紅辣椒の看板商品だけあって、本格的な味です。気に入りました。

麻醤油麦菜(上海の紅辣椒、四川料理レストラン)
 
 四川料理はただ激辛料理ばかりというのではありません。次に出てきましたのは麻醤油麦菜です。油麦菜というレタス科の野菜をごま油味の麻醤に付けて食べるシンプルな料理です。この麻醤が香り高くて美味しいですね。そして、油麦菜もサクサクしていて美味しいです。この料理を注文しておくと、四川料理の辛い料理が続く中で、一種の清涼剤のような効果があります。
 ここ紅辣椒でも麻醤油麦菜は人気料理で、上海の人も辛い四川料理の合間に麻醤油麦菜を食べて、口の中を癒しているのかもしれません。

カボチャの天ぷら(上海の四川料理店で)
 
 そして、カボチャの天ぷらです。これは四川料理というよりも、中国ではよく食べられている料理です。もちろん、口の中を癒してもらう目的で注文した料理です。何と言ってもカボチャは甘いですから、口の中がヒリヒリした時は効果があります。しかも美味しいですよ。
 さて、これで辛い料理が続々と運ばれても大丈夫な環境が整いました。いよいよ本格的な四川料理をいただきましょう。

 
 そこで運ばれてきたのは、ホタテと春雨のニンニク蒸し四川風です。この料理は広東料理としてよく食べられている料理(粉絲蒸扇貝ですが、四川風に辛く味付けされているところが、本来の広東料理の粉絲蒸扇貝と異なります。

 
 私としては、広東料理の粉絲蒸扇貝の方が素材の味が楽しめるので好きですが、四川料理らしくスパイシーに味付けされたこの料理もありかなと思います。そして、普通の四川料理レストランでは見たことがないこのような創作料理のメニューまである紅辣椒の素晴らしさを、こんなところでも感じてしまいます。
 広東料理の粉絲蒸扇貝については、こちらのページ(香港の海鮮料理)で紹介しています。



 毛血旺

上海の四川料理レストラン、紅辣椒の毛血旺

 今日のスープは毛血旺(豚の血豆腐と内臓の唐辛子煮込み)です。毛血旺は水煮牛肉や水煮魚などと並んで四川料理を代表するスープの一つです。
 見るからに激辛料理と思われがちですが、唐辛子をよけながら食べますので、見た目ほど辛くないのです。レバーみたいなものが少しだけ見えていますが、これが豚の血豆腐(豚の血を豆腐状に固めたもの)です。毛血旺の魅力は何と言ってもスープの複雑さです。聞くところによれば20種類以上のスパイスを入れ、辣油、山椒、唐辛子と酢で味を加減するそうです。と言っても、もともとは余った食材をごった煮にした屋台料理ですから、繊細な味というよりも豪快な味と言った方が良いでしょう。中にもやしが入っていて、このもやしを食べるときに、唐辛子などの辛い調味料をたっぷりつけたままだと、咳き込んだりしてしまいます。

毛血旺に入っている豚の血豆腐
 
 これが豚の血豆腐(豚の血を豆腐状に固めたもの)です。レバーを柔らかくしたような味ですから、レバーが好きな人、中華料理だとレバニラ炒めが好きな人には好まれる味だと思います。

毛血旺の具

 そして、内臓類はごたごた沢山入っています。
 いやあ、美味しいですね、毛血旺。四川料理レストランに来た甲斐があります。とは言え、辛いですから、麻醤油麦菜やカボチャの天ぷらを時々つまみながら毛血旺を食べます。

 


 仕上げは担担麺と秘製拌麺

上海の四川料理レストラン、紅辣椒の担担麺

 今日は辛い料理が大好きな上海在住の友人と二人で紅辣椒に来ています。いくら辛い料理が好きだと言っても、二人では食べられる量が限られてしまいます。日本人的にはやはり締めは麺にしようということになりましたが、四川料理の麺だけでもここ紅辣椒には数種類あって迷ってしまいます。
 しかし、四川料理の麺と言えば、日本人的には担担麺ですから、まず担担麺からいただきます。中国の四川料理レストンで食べる担担麺はスープがないことが多いのですが、ここではたっぷりのスープの中に入ってサーブされます。


 そして、自分のお椀の中に入れる時にスープをあまりとらないようにして食べます。もちろんスープもたくさん入れて飲んでも差し支えありません。ただ、写真だけ見ると辛そうに見えないかもしれませんが、実は激辛で、スープはかなり辛いことを覚悟してください。

上海、四川料理レストラン、紅辣椒の秘製拌面

 もう一つ注文した麺は、秘製拌面といって、汁なし麺です。汁なし麺の上にたれが乗っている状態で運ばれてきます。上の写真はかき混ぜた後のものです。
 これはかなり美味しいですね。担担麺もそうですが、ここ紅辣椒の麺は自家製の打ちたての麺です。麺も美味しいですし、味付けは痺れるような辛さです。激辛というよりもパンチの利いた辛さということができます。大満足です。

 ここ紅辣椒には素晴らしい料理が沢山あります。地元の人に大人気なレストランだけあって、何を食べてもはずれがありません。また、一皿当たりの量も多いですから、今度はもっと大勢で来ていろいろな料理に挑戦したいものです。



美味しかったので再訪問 

 
 前回の訪問から3か月後、夢にまで出てくる紅辣椒の料理を食べたくなって、今度は三人で訪問です。前回と同じ料理もいくつか注文しながら、前回挑戦できなかった料理を中心に注文しました。
 まず、小皮蛋(ピータン)の四川風です。小皮蛋というのはウズラのような味です。これを上の写真でご覧の通り、唐辛子などで和えた料理です。小皮蛋自体が濃い味をしていますから、香辛料が多少きついくらいで小皮蛋としての味の個性が失われません。皮蛋と香辛料それぞれの個性がぶつかり合ってなかなか美味しいではありませんか。


 豚の顔の炒め物と中国語では書いてあった料理です。私は瞬間的にマグロの頬肉を思い浮かべ、ひょっとしたら一番美味しい部位かななんて期待してしまった料理です。
 食べてみると、結構固い肉です。豚の顔と言えば、ふっくらしたイメージがあって顔の肉もふっくらしているだろうと思っていましたが、予想は見事に外れました。では、肉が固いから美味しくないのかというと、そういうことではありません。肉がコリコリしていて、これはこれで満足です。
 以上二つは、四川料理として普通に辛い料理でした。

 

 続いて出てきたのは唐辛子の炒め物です。 上の写真を見るとインゲンの唐辛子炒めのように見えますが、そうではなくて唐辛子自体を炒めたものです。大ぶりの唐辛子です。注文時に相当辛いけど大丈夫ですかと店員に念を押された料理です。
 食べてみると、これはかなり辛いです。激辛ではなく超激辛です。でも、辛いもの好きな私たちには、これはやめられない味です。口の中がやけどしそうな状態になりますけど、顔中汗だらけにもなりますけど、次から次へと箸が伸びてしまいます。これは確かにすごい料理です。本場の人はこれを顔色変えずに食べられるのでしょうか。

 
 焼き茄子の麻辣和えです。この料理も激辛なのですが、直前に出てきた唐辛子炒めの後に食べると癒し系の料理になります。本来この特製の香辛料をもっと味わうべきなのに、これはもう私たちの舌は完全に機能を停止したようです。この激辛料理を食べても、不思議なことに辛く感じなくなってきました。


 そして、粉蒸五花肉です。「粉蒸」とは炒めたもち米をつぶしこんだ中に肉を入れて蒸し揚げる料理のことを言い、「五花肉」というのは豚のバラ肉のことです。 つまり、豚のバラ肉をもち米をつぶしこんだ中に入れて蒸し揚げた料理です。四川が本場のようですが、四川以外でも、家庭料理として一般的に知られた料理です。もち米の甘さが染みこんでいて、今日のメニューの中ではひときわ甘く感じた料理です。柔らかく煮込まれていて合格の味です。ただ、激辛料理の好きな私の友人二人にとっては好みの料理ではなかったらしく、私一人が食べていました。

 

 この日のメインディッシュは指香羊棒骨です。羊の骨付き肉のバーベキューをネギ、唐辛子、八角、花椒、胡椒、陳皮などの調味料で味付けしたものです。大きな皿の上には今日の人数分三本の骨付き肉が乗せられています。。


 ネギに隠れて羊肉がよく見えないので、ちょっと大きめの取り皿に羊肉を乗せたところですが、肉付きの良い部分を一口かじってしまった後なので、肉が多いように見えませんね。素晴らしい香りがテーブルの周りに充満したので、写真を撮るのも忘れて思わずむしゃぶりついてしまったのです。

 
 肉が残っている部分をアップしました。香辛料の絡み具合もこの写真から分かりますね。これだけ香辛料がついていると、羊肉の臭さは殆ど気になりません。羊肉も柔らかく、また骨の周りにたくさんついているので、食べ甲斐があります。実は最後に今日も担担麺を食べようかと思っていましたがもう満腹でギブアップしたくらいです。

 紅辣椒の料理はこの日も私たちを大満足させてくれました。3人でビールを10本くらい飲みましたけど、それでも一人130元程度ですから、円安でも2600円くらいです。何というコストパフォーマンスなのでしょう。間違いなく再再訪すべきレストランです。このレストラン、紅辣椒のメニューはまだまだ20倍か30倍くらいの料理が並べられていて食べたい料理が沢山あるのです。大衆点評には沢山の写真が載っていますし、徐家雁店以外の店舗も掲載されていますので、そちらもご覧ください。



アジアグルメ図鑑(上海・中国江南) アジア写真帳(上海)

グルメな上海旅行をするために
上海グルメ(はじめに、朝食・昼食編) 上海グルメ(夕食編)