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アジア写真帳(上海) : 旧フランス租界を歩く

<東平路と汾陽路周辺を歩く>

アジア写真帳(上海)

上海:東平路のサーシャス(Sasha's)

 中国の流行の最先端を行く上海の街の中でも、今、ナイトライフで最もトレンディな街は、東平路ではないでしょうか。写真の建物はサーシャス(Sasha's)というレストラン、ナイトクラブです。瀟洒な洋館です。東平路と衡山路の交差したところにあります。
 この建物の最初のオーナーは、当時の中国を代表する富豪であり政治家の宋子文です。彼の姉妹である宋慶齢、宋靄齢、宋美齢はそれぞれ孫文(中華民国を建国)、孔祥熙(孔子の子孫で大富豪)、蒋介石(孫文を支えて辛亥革命を指導、後に国民党代表として中華民国を台湾へ遷都)と結婚していますので、宋子文の一族は当時の中国における、まさに華麗なる一族だったわけです。そんな一族の長である宋子文が建てただけあって、内外装ともに洒落た洋館です。


 夕暮れ時のサーシャス(Sasha's)です。
 サーシャス(Sasha's)の中には、今でも宋子文とその姉妹を描いた絵画が何枚も飾られているとのことですが、私はまだサーシャス(Sasha's)の中には入ったことがなく、いつも外から建物を眺めるだけです。一緒に行く相手が見つからないのです。

上海:東平路の街並み

 東平路には、レストラン、バー、エステやショップが、旧フランス租界時代の洋館に混じって、店を開いていて、どこも街の雰囲気に溶け込む洒落た外観です。
 写真右側には上海音楽院付属中学校があって、昼間歩くと子供たちの歌声が聞こえてきたりします。この中にも旧蒋介石邸などがありますが、中学校の建物の一部として使われていますので、ちょっと驚いてしまいます。


 この建物が旧蒋介石邸だと思います。
 実は、ここの敷地は上海音楽院付属中学校で、ゲートの横の守衛室のおじさんが部外者を敷地内に入れてくれません。敷地の外からの写真撮影しかできないので、まだ確認できていないのです。
上海:東平路の雑貨店Simply House

 東平路にある人気の雑貨店、「Simply Life」。どこかのアパレルのブランドの名前に似ているので、初めて行ったときはあまり期待はしていなかったのですが、今はすっかり私のお気に入りの店です。実用的な家庭雑貨を中心に品揃えしているのですが、その品揃えが中国テイストを感じさせるセンスの良さを感じさせます。また、ヨーロッパのメーカーが中国テイストを入れて製造した商品などもあって、デザインも秀逸です。
 このSimply Life以外の雑貨店もそれぞれ個性的な品揃えで、ついつい店で長居をしてしまいます。価格もそんなに高価なものではないので、普段自宅で使う雑貨として購入されたら良いと思います。

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上海:東平路のレストラン

 東平路の洋館は、レストランなどに転用されている建物が多いですね。そもそも大きな洋館が多いとはいえ、レストランやカフェとしてそのまま使える広さの家に住んでいた人が多かったということで、旧フランス租界の繁栄を、こんなところからも感じてしまいます。
 ここ席家花園は、伝統的な上海料理を食べさせてくれるレストランとして有名です。内装や調度品も見事ですので、機会があればぜひ食事をしたいレストランです。


 東平路をさらに進むと、汾陽路、岳陽路と桃江路が交わるロータリーに出ますが、このロータリーの中央にプーシキンの像があります。プーシキンはロシアでは高い人気のある詩人です。かつてロシアの革命を逃れて初めて上海に集団移民したロシア人が集団で居住したのが岳陽路周辺でした。プーシキンの没後100年を記念して中国とロシア両国の人々の募金により銅像が建てられたそうですが、日本軍や文化大革命で破壊され、現在のプーシキン像は1987年に建造されたものです。
 プーシキン像は東平路や汾陽路周辺を散策するときの良い目印になります。

上海のグルメ(朝食・昼食編)上海のグルメ(夕食編)もご覧ください



上海:汾陽路の路地

 東平路からプーシキン像のあるロータリーを通り汾陽路に入ると、すぐ和平官邸というレストランがあって、こちらはなかなか豪華な洋館です。そろそろ昼飯の時間が近づいてきたので、今日はこの和平飯店で昼飯にしようということで、もう少し周辺を歩いてみることにしました。
 和平官邸の隣の敷地には「コラボ」というイタリアンレストランがあって、そこに行く路地もなかなか良い雰囲気です。

上海汾陽路のイタリア料理レストラン、コラボ

 コラボの建物です。洒落た洋館ですね。
 コラボは、上海を中心にしたイタリア料理レストランチェーンです。社長は日本にいた中国人で、日本のイタリア料理店で修行した人だと聞いています。共同経営者として日本人も加わっていて、日本のイタリア料理の味を中国にも広めたいという夢を持って経営に当たっていると聞いています。

汾陽路のイタリア料理レストラン、コラボのメニュー

 コラボの看板です。
 メニューも日本語で書いてあるので分かりやすいですね。上海にしては高い昼飯ですが、旧租界時代の建物で優雅に食事が楽しめるなら悪くないですね。中国に来て5日間くらい、ずっと中華料理を食べてきましたから、そろそろイタリア料理も悪くないですね。それに、日本のイタリア料理の味を目指しているのなら、口に合うかもしれませんし。

上海:汾陽路のレストラン、ポールナー

 ここは、コラボに行く路地からさらに汾陽路を行った所にあるレストラン、ポールナーです。ドイツ風のビールを飲ませてくれるレストランです。
 この建物は、そもそもユダヤ系ロシア人、ミッシェル・スピールマンの邸宅だったものですが、その後、中華民国の軍人で蒋介石とともに反共・抗日で知られる白崇禧が別荘として使用したことがあるため、白公館といわれています。この白公館には、ポールナーとアンブロシアという二つのレストランがあります。一つの邸宅が二つのレストランになってしまうほどですから、この邸宅の広さがわかろうというものです。また、見事な庭園があることでも有名な邸宅です。

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 昼飯前の腹ごなしに東平路と汾陽路周辺をぐるぐる歩いていて復興中路に来ました。復興中路の角近くにあったのが、上の写真の門です。何だろうと思ってみていたら、どうやら茶館のようです。門の中に「悟茶」という字が見えます。

上海:復興中路の茶館、悟空悟茶の外観
 
 門を入ると、周囲にはあまりないようなモダンな建物で、茶館のイメージとは違うよなあなどと考えていたら、……。
 突然、雷鳴が響いて大雨が降り出しました。そろそろ和平官邸かコラボで昼飯にしようかと思っていた矢先の雨です。あまりにひどい雨なので少しこの茶館で雨宿りです。


 この店の名前は「悟空悟茶」といいます。店内は中国の伝統音楽が流れていて雰囲気はいいです。窓際を中心にテーブル席が沢山あります。8人がけくらいのテーブル席に案内されました。茶盆が各テーブルに置かれていて本格的です。

上海:復興中路の茶館、悟空悟茶の提灯

 天井を見ると、汾陽宮(Fenyang Palace)と書かれた提灯が飾られています。よくよくデザインを見ると、マークが「茶」の字をデザインしたものになっていて洒落ています。天井の竹も雰囲気がいいですね。
 そうこうしているうちに、白いチャイナドレスを着た可愛らしい店の小姐(ウェイトレス)が来て、昼食メニューを渡されました。昼飯セットというのが38元であって、「前菜+主菜+麺+茶」のセットになっています。外を見ると、相変わらずの大雨で雷鳴も響き渡っています。
 ここで、方針変更。昼飯はここ「悟空悟茶」の昼飯セットに変更です。
 麺は陽春麺と上海炒麺からの選択です。蘇州麺をさんざん蘇州で食べてきましたので上海炒麺を選んだのですが、小姐(ウェイトレス)が申し訳なさそうに「今日は上海炒麺はないんです」と言うものですから、陽春麺を注文し、主菜は魚香肉絲、お茶は蘇州名産の緑茶、碧螺春を注文しました。

上海:復興中路の茶館、悟空悟茶の昼飯セット
 
 左が陽春麺、右が魚香肉絲です。魚香肉絲は江南地域で好まれている中華料理で豚肉細切りを魚香というちょっと辛味の効いた調味料で炒めた料理です。なかなか旨そうです。

上海:茶館、悟空悟茶で食べた魚香肉絲麺

 魚香肉絲を陽春麺に載せて、チンゲン菜を周りに載せると、立派な魚香肉絲麺の出来上がりです。これに、生姜なども入った泡菜、牛肉煮,魚のぶつ切り煮と豆の煮物という四品の前菜がついて38元です。
 前菜の四品は、どれも酒のつまみみたいでお茶請けとしてよりも、ラーメンのおかずとして考えれば上出来です。特に、牛肉煮と魚のぶつ切り煮は旨かったです。魚香肉絲も魚香の辛味がかなり効いていて私好みの味です。陽春麺は、日本で言えば細うどんみたいなもので、ラーメンを期待すると期待はずれの麺ということになりますが、上海の麺はこういううどんみたいなものが主流ですので、私としては想定内の味です。正直言って、お茶だけでも50元や60元する茶館が多い中で、良心的な価格設定です。
 食べ終わっても雷雨は続いています。
 結局二時間、この店にいることになりました。トイレの場所を小姐(ウェイトレス)に聞いたら店の外だと言うのですが、一緒に傘を持って相合傘で送り迎えしてくれました。中国なのに、このサービスレベルは感激です。
 席に戻ると、小姐(ウェイトレス)がフルーツを持ってきてくれて、「もう少しで雨があがるでしょうから、どうぞごゆっくりしていってください」と言われたときは、上海でもこういうサービスができるようになったのかとその進化に驚きました。
 「悟空悟茶」、なかなか良い店を発見しました。


アジア写真帳(上海)


私のおすすめの一冊

上海歴史散歩
―レトロな建物群から国際都市の魅力を探る −

 外灘(バンド)、南京路、フランス租界や旧上海県城、虹口といった上海各エリアの建物の建物を1つひとつ丹念に探りながら、国際都市上海の歴史とその魅力を紹介しています。
 特に、フランス租界の建物について詳しく紹介されています。
 近代以降の上海の歴史に興味ある人にとっては、大変興味深い本になるはずです。また、写真も多く地図も分かりやすいので、旅行者にとっても大変、参考になる本です。この本を片手に上海の街を歩けば、上海の魅力が見えてくるはずです。

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