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アユタヤのワット・チャイ・ワッタラナーム

 

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 ワット・ヤイチャイモンコンの概要と寝釈迦(涅槃仏)

アユタヤ、ワット・ヤイチャイモンコンの仏塔

 アユタヤの見所は、ほとんど川に囲まれた島のようなところに集中しているのですが、このワット・ヤイ・チャイ・モンコンは、島の外、列車のアユタヤ駅から南に2km程度行ったところにあります。この市街から離れたところに所在していることが、アユタヤ陥落時のビルマ軍の寺院破壊からこの寺院を守ってくれました。すなわち、ビルマ軍はアユタヤ王朝を打ち破った時にアユタヤ市街の寺院などを破壊しましたが、このワット・ヤイチャイモンコンについてはその被害から免れたのです。
 ですから、ワット・ヤイチャイモンコンは、アユタヤの寺院の中で唯一、建造されたままの姿を保っている貴重な寺院です。アユタヤ観光のツアーなどには必ず組み込まれています。美しい構成の建物や仏像が残る寺院で、大きな寝釈迦像などもあります。アユタヤ遺跡らしい雰囲気のある寺院で、かつてのアユタヤ王朝の栄華をしのばせます。上の写真にある巨大仏塔と寝釈迦(涅槃仏)が見所です。

アユタヤ、ワット・ヤイチャイモンコンの寝釈迦像

 上の写真がワット・ヤイチャイモンコンの有名な寝釈迦です。ワット・ヤイチャイモンコンの入口から入ると、まずこの涅槃像の前を通ります。この寝釈迦仏像は、安置している建物が破壊され、雨露に晒されていたわりには、比較的に美しい姿を保っています。
 後ほど紹介するワット・ヤイ・チャイ・モンコンの仏塔の周りには4つの大きな建物があったようです。そして、正面の建物、そこが本堂だったと推測されますが、その本堂にあったのが、寝釈迦ということになります。寝釈迦像の頭の方に見えるのが、建物の壁だったところです。
 日本ではあまり見かけない寝釈迦ですが、タイではあちこちで見ることができます。どの寝釈迦像も、見ていてとても心が安らぐ仏像です。
ワット・ヤイチャイモンコンの涅槃仏の優しい表情

 敬虔なタイ人の親子が寝釈迦像に金箔を貼っています。
 タイで寝釈迦というと、バンコクのワット・ポーの寝釈迦像が有名です。ここワット・ヤイチャイモンコンの寝釈迦像はワット・ポーに比べるといくらか小さいのですが、それでも巨大であることは写真からもお分かりの通りです。それ以上に印象的なのは、どちらの寝釈迦像も慈悲にあふれた穏やかな顔つきで、寝釈迦像を見る人の心をいつも癒してくれることです。
ワット・ヤイチャイモンコン

 寝釈迦像へのお供えです。ご飯などと一緒にチキンのバーベキューがお供えしてあるのが、いかにもタイらしいです。



ワット・チャイヤイモンコンの巨大仏塔

ワット・ヤイチャイモンコンの巨大仏塔

 ワット・ヤイ・チャイ・モンコンの仏塔です。
 高さ72mのこの仏塔は1569年に建てられたもの(ワット・ヤイチャイモンコンは1357年に建立されています。)ですが、当時、ビルマ軍との戦いに勝利したナレスアン大王が、ビルマの建てた仏塔よりも高い仏塔を建てようとしたものだそうです。が、残念ながら、高さではビルマ軍の建てた仏塔に及びませんでした。当時は高さを測るのにも正確さに欠け、大王はビルマ以上の高さを誇る仏搭を建てたつもりだったに違いありませんが、結果的には及ばなかったと言い伝えられています。因みに高さは72メートルあります。
 いずれにしても大変美しい建物で、この位置から見ると、建物や仏像の構成が良く分かると思います。仏塔の中央に仏塔に登る階段があり、その両側に仏像が鎮座しています。とてもバランスの良い構成の寺院です。

 ワット・ヤイチャイモンコンの高さ72mの仏塔
 
 仏塔に登る階段はお客さんであふれかえっています。上の写真はタイのこどもの日に行った時のもので、この日はすべての仏教寺院への入館料が無料になります。ですから、タイ人の親子や家族連れが大勢押しかけています。この仏塔に登る階段は普段はこんなに混んではいません。写真を撮った日の特殊事情です。

ワット・ヤイチャイモンコン

 両側に鎮座する仏像の表示用はとても穏やかです。この仏像を含め、ワット・ヤイチャイモンコンの仏像はビルマ軍に破壊されていませんから、作られた当時のままということになります。
 アユタヤ時代の仏像は、スコータイ仏が女性的な曲線美を持っているのに対して、男性的です。特に四角い顔つきとか広い肩幅などが特徴として挙げられます。ただ、スコータイ仏の特徴の一つとされる頭の「まげ」はアユタヤの仏でも受け継がれています。
 なお、アユタヤ王朝はスコータイ王朝の時代に台頭した王朝で、スコータイ王朝はアユタヤ王朝に呑み込まれる形で消滅(アユタヤ王朝の血筋が跡取りになった)したという関係です。

 
 巨大仏塔の前に鎮座する大きな仏像を見ていると、確かにウエストのあたりのラインはかなりくびれていて、そこだけ見ているとスコータイの仏像に似た感じがします。やはり四角っぽい男らしい顔つきがスコータイ仏と比較した時の特徴なのでしょうか。

 
 上の写真は仏像の手の指です。親指以外は長さが同じで、親指を含めて太さが同じです。ワット・ポーの寝釈迦をはじめ、タイでは指の長さが同じという仏像をよく見ます。カンボジアのアンコール遺跡でも指の長さが同じという仏像を見たことがあります。

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ワット・ヤイチャイモンコンの仏像群

 仏塔の周りには、恐らく百近い数の仏像が鎮座しています。
 おそらくこの仏像が並んでいるあたりは回廊だったのだろうと思います。右側が巨大仏塔ですが、その間に柱の跡のようなものが残っています。この回廊はビルマ軍の破壊されたのではないだろうと思いますが、いずれにしてもかつては建物(回廊)の中に安置されていた仏像だろうと思います。
 今は野ざらし状態となっていますが、他のアユタヤ遺跡とは異なり、ワット・チャイヤイモンコンの仏像は破壊されていないので、アユタヤ時代の壮観な仏像群を見ることができますを。

 
 仏塔に向かって左側のサイドに鎮座する大きな仏像です。恐らくは豪華絢爛に装飾されていたであろう往時の仏塔の前に建屋があってその中に設置されていたものでしょう。穏やかな顔をした仏像です。


 アユタヤ時代の仏像は顔が四角張っているものが多いのですが、上の仏像のように少し細面の顔をしている仏像もあります。そんなことが分かると、一つずつ仏像を丹念に見ていきたくなってしまうのです。



仏塔の裏側に回る


 巨大仏塔の背面には、釈迦に教えを乞う弟子たちの姿を描いた像があります。この像も私のお気に入りです。タイの寺院ではこの情景に似た像を数多く見かけます。ラオスでも見たことがあります。登場人物はよく分かりませんが、恐らくは小乗仏教を奉じているタイをはじめとした東南アジアでは有名な構図なのだろうと思います。

 

 この像は私のお気に入りではありますが、制作時期は比較的新しいものと考えられるため、歴史的な価値という点からいえば、他の仏像とは一線を画しています。
 しかし、茶色の巨大仏塔を背景にした純白の像は見事なものです。

ワット・ヤイチャイモンコン

 少し離れた位置から見たところです。
 仏塔の裏は、よく手入れされた庭園のようになっていますが、ここも、建物が破壊された跡です。その雰囲気は公園のような美しさです。 


 上の写真は巨大仏塔に向かって左側のエリアです。このゾーンにも仏塔を囲むように、仏像がこのようにずらりと並んでいます。ここもかつては回廊だったものと推測されます。
 殆どの仏像には黄色い袈裟がかけられており、今でも、恐らくは近隣の敬虔なタイの人々が手入れをしているのでしょう。 観光客もそれぞれお気に入りの仏像を探しているかのようです。

 
 この巨大仏塔に向かって左側のエリアは、その背後に崩れた建物の跡が残っていますから、アユタヤの寺院らしい写真を撮影することができます。それでも、ワット・ヤイチャイモンコンを訪問する観光客の多くは、入口を入り、寝釈迦を見てから巨大仏塔を正面から見て、すぐに帰るというパターンが多いので、巨大仏塔の左右や裏側のあたりは観光客もまばらです。

 
 このワット・ヤイチャイモンコンが建立されたのは1357年。以来、800年弱もの間、タイの人々を見守ってきた仏像群です。もとは回廊に安置されていたものが、アユタヤ陥落以降野ざらしになりつつ、ずっとタイの人々の平和と幸福を祈り続けてきたわけです。そんな歴史がこの仏像群からはひしひしと感じられます。



今でも信仰を集める寺院 

 
 
 ワット・ヤイチャイモンコンの境内で最もタイ人が群がっていたのはここです。ワット・ヤイチャイモンコンは観光客にも人気の遺跡ですが、地元の人々にとっても大切な信仰の場所なのです。

 

 仏像を見ると穏やかな風貌をした仏様で、黄色い袈裟も二枚着せられていて信仰を集めている様子がうかがえます。 この仏像前では、ワット・ヤイチャイモンコンの境内の中でも観光客の姿はほとんど見かけません。タイ人になったつもりで、私も敬虔な祈りを捧げました。

 
 上の写真は日本で言えば布袋さんなのですが、タイでは弥勒菩薩です。金色の弥勒菩薩です。上で紹介した仏像と同じ建物に安置されています。貴重なものなので、ガラスケースに安置されています。実は、弥勒菩薩像は、中国や台湾でも日本でいう布袋さんですから、日本の弥勒菩薩像だけが独自の風貌をしているのです。両脇を豚が固めている理由よく分かりません。


 仏教で言う菩薩というのは成仏を求める修行者を指していて、弥勒菩薩もその中に含まれます。このタイの弥勒菩薩は日本の布袋さんとは少し見栄えが違いますので、 この表情だと弥勒菩薩に見えますね。これが中国に伝わると、下にあるように、まさに布袋さんになってしまうのです。この布袋さんのような弥勒菩薩が、仏教が中国から日本に入った後に、もっと思索する(物思いにふける)像へと変化しているのです。
 因みに、下の写真は中国・杭州の霊隠寺にある弥勒菩薩です。



  この仏像や弥勒菩薩はワット・ヤイチャイモンコンの巨大仏塔の向かい側にある建物にあります。
 ワット・ヤイチャイモンコンの巨大仏塔をまた見上げてみます。確かに往時のアユタヤ王朝の映画を感じさせる巨大な仏塔です。