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アジアグルメ図鑑(上海・中国江南):満福楼の点心


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 上海でおいしい点心で飲茶を楽しみたいというのであれば、いくつかお勧めの店はあります。南京東路であれば老舗の新雅粤菜館あたりが良いでしょう。また、フランス租界の洋館で優雅に飲茶をしたいのであれば丁香花園の申粤軒がおすすめです。そのおすすめの店に負けず劣らずのレストランがこの満福楼(DYNASTY RESTAURANT)です。
 満福楼は香港にある有名レストラン満福楼の上海店です。私が香港に住んでいた頃は満福楼は私のお気に入りの店の一つで、満福楼が入っているルネッサンス・ハーバービューホテルの近くまで行くと、ついつい満福楼で食事をしてしまったものです。満福楼は昼の飲茶だけではなく、夕食の広東料理が何と言っても素晴らしく、日本から親しい友人が来ると大体この店にご案内していました。
 上海店は、虹橋の揚子江万麗大酒店(上海ルネッサンス揚子江ホテル)の二階にあって、入口からしてお上品で、あの香港のルネッサンス・ハーバービューホテルの満福楼を思い出させてくれます。


 満福楼の付近は虹橋経済開発区といって、日本の金融機関なども多く進出しているビジネスエリアです。したがって、客層は概してビジネス客が中心です。


 中国のレストランで席に着くと、まず、飲み物を聞かれます。この日は迷わず普洱茶(プーアー茶)を注文です。何故なら、点心を食べる際に最も相性が良いお茶が普洱茶だからです。相性というのは、点心と普洱茶の味が合うということもありますが、それ以上に点心を食べた際の脂肪分を分解する機能が普洱茶は強いので、点心をお腹一杯に食べてもカロリーの吸収を一定程度防げるということにあります。
 満福楼の急須はなかなかお洒落です。この日は二人で満福楼に行ったのですが、一杯目の急須は飲み終わったので、急須二杯目の半分くらいまで飲みました。このくらい飲むと、脂肪の分解も大いに期待できるのです。


 満福楼では昼の時間に点心食べ放題というメニューもあります。胃に十分なキャパシティがある場合は、食べ放題プランはお得です。ただ、この日はここ数日間の食い過ぎ続きで、私の胃も疲れ気味だったため、一点ずつメニューから注文する通常のプランを選定です。
 まず、最初に出てきたのが潮州蒸粉果です。粉果というのは、米の粉で作る餃子で、蒸して出てくる場合は特に中身が透けていて見るからに美味しそうです。広東省の広州ですと、「娥姐粉果」という粉果が有名です。「娥姐」は、昔、この粉果を生み出した女性の名前で、その女性はしかも若くて美しかったので、大変な人気だったようです。彼女はガラス張りの厨房でこの娥姐粉果を作り続けていたといわれています。そんな伝説的な点心粉果です。
 満福楼の粉果も、香港や広州で食べる粉果と同様に、ちょっと厚めの皮に豚肉やしいたけなどが包まれていて、おいしいです。本場の味です。
 



 続いて、鮮竹牛肉玉です。もともと牛肉球は庶民の点心なのですが、ここ満福楼のような高級店では見栄えもかなりいいですね。牛肉球は、基本的には焼売の一種と考えて良いと思います。「牛肉焼売」マイナス「焼売の皮」だと思えばいいですね。中国では、牛肉というのは高級品でもなければ旨い食材でもありません。安物の肉(牛肉のこと)を使った焼売なので、焼売の皮もないと思えばいいのです。


 じゃ、これは旨くないのか、というと、結構私は好きなんですよ。サクサクした感じもいいですし、生姜の利いた味付けも好きなんですね。
 それから、中国で点心を食べるときに「醤油がない」と騒ぐ日本人をよく見かけます。実は、中国では醤油をつけて点心を食べる習慣がありません。中国の点心師は点心を十分に味付けしていますので、何もつけずに食べて初めて、点心師の目指した味が分かるのです。酢などが必要な場合はその点心が出される都度、一緒に出てきます。例えば牛肉球であれば酢が一緒に出てきますので、酢をたっぷりつけて脂っこさを消しながら食べるとおいしいのです。


 そして、蟹籽焼売です。蟹の卵、蝦(エビ)と椎茸入りの焼売です。こんな豪華な焼売でも26元(2011年9月現在)なのですから嬉しくなります。蟹の卵には風味があってエビもプリプリです。食感、風味ともに最高です。上海料理では河エビがよく使われるため、プリプリ感が弱いのですが、さすがは香港発の福満楼です。香港の味がそのまま上海でも食べられるのです。感激です。


 そして、腸粉です。腸粉の語源ですが、「粉」という字が入ると米から作られたことを意味します。そして、「腸」というのは豚の腸に似ているからつけられたといいます。とすると、腸粉というのは、「米からできた豚の腸」みたいな意味合いなのでしょうね。
 見た目からつるっとした腸粉ですが、つるっとしているだけで味わいがないですね。これは普段から腸粉を食べてきている私としては納得できません。これはおすすめできない一品です。




 あまり美味しくない腸粉を食べて、いよいよデザートタイムです。この日は二人で行っていますから、以上の料理だけでお腹は一杯になります。これからは別腹にデザートを押し込むのです。
 まず、酥皮鶏蛋撻(エッグタルト)です。3つ入りです。エッグタルトは香港では圧倒的な人気を誇るスイーツです。一見すごく甘そうに見えますが、甘さは控えめで、甘党ではない私でもついつい手が伸びてしまう定番スイーツです。
 ここ満福楼のエッグタルトはさくさくした食感のパイ生地に程よい甘さのカスタードクリームが入れられています。


 エッグタルトを仲良く分けて食べた後に、私は楊枝甘露を注文です。楊枝甘露は、マンゴージュースとココナッツミルクやエバミルクを混ぜ合わせた飲み物の中に、マンゴー、ポメロというザボンのような柑橘系の果物、そしてタピオカが具として入っています。写真で見ると、タピオカに混じって柑橘系の果物が見えますが、これがポメロです。楊枝甘露はもともと香港で生まれたデザートで、各種レストランや甜品屋で食べることができる定番スイーツです。
 現在東京住まいの私にとっては、久しぶりの楊枝甘露でしたが、懐かしい味そのままで、大感激です。


 私の同行者はマンゴーヨーグルトを注文です。同行者の弁によれば、さっぱりした中にも甘さをほんのりと感じることができる、これまた優れものの味だということです。

 満福楼の点心、いいですね。久しぶりに香港感覚で点心を楽しむことが出来ました。合格です。ただ、冒頭にも書いた通り、満福楼の本当の良さは、本格的な広東料理にあります。ぜひ、夕食の機会に本場香港仕込の広東料理を楽しんでみてください。



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