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アジア写真帳(中国・北京)-前門と大柵欄

(1998年11月29日以来)

アジア写真帳(中国・北京)-前門と大柵欄Beijing

前門大街


 大柵欄は名前のとおり大きな柵(門)があった街。天安門広場の毛主席記念館側と道路を挟んだところにある前門大街から西に折れて入っていく道沿いに広がる商店街です。昔からの北京の老舗が集まっている地域で、独特の風情があります。北京でショッピングを楽しむなら、断然、この前門大街と大柵欄ですね。何故なら、北京の老舗が集まり北京らしい買物ができるのと、街並みが北京らしいので北京でショッピングをしている実感が味わえるからです。外国人は少ないですが、中国国内からの観光客は多く見かけます。
 上の写真は、前門大街の起点となっている前門です。地下鉄前門駅の真ん前ですし、交通の便が良いところです。また、天安門広場からはすぐ目の前ですから、天安門広場の観光に合わせて、このエリアの散策をするのも良いと思います。


 前門大街の入口にあるゲートです。昔はここに電車が走っていましたので、線路のあとも残っています。前門大街では、電車を廃線にして商店街も再開発して、広くなった通りを歩行者天国にしてしまいました。風情には欠けるものの、広くて明るくて綺麗な商店街に生まれ変わりました。


 前門大街に入ってすぐのところにあるお店。とてもお洒落なつくりですが、実は中国の駄菓子屋さんです。こういう店はいいですね。B級グルメならぬB級土産を買うには最適の店です。前門大街から大柵欄一帯には、こういった庶民のお店も沢山あります。


 北京ダックで知られる全聚徳です。全聚徳は1864年の創業ですから既に150年近い歴史を有する老舗中の老舗です。その一号店は、ここ前門大街です。写真の全聚徳は新しくお洒落に改装された建物に入っていますが、もともとの創業の地に新店を出したわけです。
 全聚徳の北京ダックは、さすがに美味しいですし値段も手ごろですからぜひご賞味ください。


 2009年8月に行った時は、前門大街が広くなって改装された直後です。次々と新しいショップがオープンする中、我が日本のユニクロも近日オープンのようです。ユニクロの左には、香港の貴金属店の老舗、周大福が入るようです。高級な貴金属店の隣にユニクロが店を構えるなんて、凄いもんですね。



大柵欄


 このように暫く前門大街を歩いていると、右手(西側)に大柵欄のゲートが見えます。この通りを大柵欄といいますが、この通りを中心に左右に広がる路地に構える店なども含めて、商店街としての大柵欄といいます。


 大柵欄にあるおすすめの店をいくつかご紹介しましょう。
 まず、シルクの専門店、瑞蚨祥。
 建物からして老舗であることを誇るかのようなゴージャスさで目立つのですが、瑞蚨祥の店内に入ると、シルクの品数に驚かされます。ブラウスなどの製品もいろいろ置いている一方で、やはりメインはシルクの生地です。生地で買って、例えばチャイナドレスなどをオーダーするといったショッピングをするわけです。パジャマやシャツなど着心地も良いので、シルクに慣れるといくらでも欲しくなってしまいます。
 旅行期間が短いときは、縫製ができたら郵便か何かで送ってもらうようにする方法もあります。この瑞蚨祥は老舗中の老舗ですから、後で製品が届かないなんてことはないはずです。


 大柵欄にある老舗でおすすめの店として、二つ目は、帽子の店、馬聚源です。
 改革解放前の北京の歌にこんなものがあるそうです。「頭頂馬聚源、身穿瑞蚨祥、腳踩內聯昇(帽子は馬聚源、服は瑞蚨祥、靴は內聯昇が一番良い)」。この歌に出てくる「帽子の馬聚源、服(シルク)の瑞蚨祥、靴(布鞋)の內聯昇は、大柵欄でショッピングする際に外せない名店です。
 さて、上の写真は、帽子の馬聚源です。創業は1817年ですから、もうすぐ200年の歴史になります。入口横の帽子を取って挨拶するおじさんの彫像がいいですね。
 写真の通り、馬聚源と同じ店舗内に、歩瀛齋(ブーインジャイ)という布鞋、いわゆる布靴の老舗も入っています。この店も歴史が古く、創業は1858年です。布鞋については、、毛沢東、周恩来や鄧小平も、歌に出てくる內聯昇で布鞋を作っていたそうですので、布鞋については內聯昇で買いたいと思っていたのですが、意外や、歩瀛齋の布鞋で気に入ったのが二足もあったものですから、歩瀛齋で買ってしまいました。
 したがって、この日は內聯昇には行かずじまいでした。
 布鞋は軽くて履きやすいですね。歩瀛齋の布鞋に慣れると、いつも履いている革靴が重く感じられます。


 大柵欄でのおすすめの店、次は、中国茶の張一元茶庄です。
 広い店内には茶缶が並んでいて、その前のカウンターには、いろいろな種類のお茶の値段が出ています。金額は1斤(500g:中国の基本単位)での値段ですが、通常は50~100gずつ小分けして買います。この店では、カウンター前の売り子さんが独特の包み方でお茶を包んでくれます。日本から旅行で行く人は、できれば真空パックを持参して、その中に入れて日本に持って帰れば最高の状態でお茶を楽しむことができます。(真空パックに入れないからといって、香りが簡単に飛んでしまうわけではありませんからご心配なく。)
 この張一元茶庄で有名なのは、やはりジャスミン茶でしょう。ジャスミン茶は殆ど飲まない私でも、ここではジャスミン茶を購入しました。日本で買えるジャスミン茶とはモノが違う香り高さです。北京土産としても良いと思います。
 2階では、好きなお茶をその場で楽しむことができるスペースがあって、中国式の作法で、チャイナドレスを着たお姉さんが美味しいお茶を淹れてくれます。雰囲気いいですよ。(有料です。)




 次のおすすめは、漢方薬の同仁堂。
 中国で漢方薬を買うためには、薬局にいる医師に内診をしてもらって、その医師の処方箋を薬局に提出しないともらえません。ちょっと面倒だし、そもそも専門的な言葉なので、とても中国語で話せる気がしません。したがって、私の場合、中国の薬屋さんでは、漢方薬をベースにした一般の市販薬を見せてもらって買うのが精一杯です。これでも、事前に成分等を調べていかないと思ったような買物ができませんので、準備は大変です。


 まあ、こんな感じで老舗の店が並んでいますが、老舗の店は、どこも素晴らしい造りで外装もお洒落です。一方で、大柵欄には小さな商店も沢山あって、こちらの店では安物中心の品揃えで、凄い店になるとニセモノとかも置いています。老舗の高級店と庶民的な店が混在しているところも大柵欄の面白いところです。


 大柵欄にある狗不理です。狗不理は、天津に本店がある包子の店で、最近は、ファーストフード的な店も出店する一方で、高級志向の店舗も増やしていると聞いています。
 ここ大柵欄の店舗は、ご覧の通りの豪華さ、けばけばしさです。大柵欄の雰囲気にはマッチしています。ここには、入口にチャイナドレスの小姐(おねえさん)がいるので、高級志向の店でしょうね。同じ狗不理でも、ファーストフード店では、明確に味が落ちます。狗不理に行くなら、入口で小姐(おねえさん)が挨拶してくれるような高級志向の店をおすすめします。
 大柵欄でショッピングをしていると、お腹もすいてきますので、この辺りで腹こしらえするのも良いでしょう。この狗不理、美味しかったですよ。


 狗不理もまた、老舗の店です。店の前には、狗不理の包子を食べている西太后の像があります。これについて説明しましょう。
 西太后は、ある時、天津土産にもらった狗不理の包子を食べて以来、狗不理の包子を好物の一つにしたと言われています。狗不理は1858年に天津で開店したのですが、西太后が狗不理の包子をひいきにしていることが広く庶民にも知られ、その名声が一気に広がったといわれています。西太后が狗不理の包子を食べている像がこの店の前にあるのも、そうした歴史があるからです。


 大柵欄では、老舗店はもちろんのこと、ちょっと入りたくなるような店が沢山あります。路地の方に入っていくと、またまた、違う雰囲気の大柵欄が広がります。いくら時間があっても足りない興味深い街です。


アジア写真帳(北京)