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点都徳の飲茶はおすすめ|アジアグルメ図鑑(香港)


 点都徳の飲茶は伝統的な広州式飲茶

点都徳は広州発祥の老舗茶楼

広式飲茶の点都徳店内(深圳)

 深圳には美味しい飲茶ができる店がたくさんあります。深圳には中国各地から人が集まっていて深圳生まれの人というのは30歳くらいかそれより若い人を除くと殆どいません。そういう意味では飲茶文化というのはこの深圳の街にはありません。それでも香港と広州という飲茶の本場に挟まれた位置にありますから、美味しい飲茶ができる店は数え上げたらきりがありません。
 ワゴン式飲茶なら華洋酒楼、オーダー式では唐宮海鮮舫金谷1号金碧軒丹桂軒などです。ただ、それらの店はいずれも広東料理レストランです。飲茶文化を生んだ茶楼は一つもありません。
 そんな深圳に広州から進出してきたのが点都徳です。点都徳は1933年に広州で茶楼として創業した老舗ですが、今では広州、深圳など華南地域ばかりでなく上海にも店舗を有する人気チェーン店です。

広式飲茶の点都徳茶器(深圳)

 2018年11月現在、点都徳は広州には30店以上、深圳では10店以上あります。メニューはどの店舗で食べても同じです。内装も上の写真にあるようなつくりで似たような感じです。そういう意味では行きやすい点都徳に行けば良いと思います。深圳では福田区や南山区に数店ずつあります。
 もともとは茶楼ですから中国茶のセットも広式飲茶(広州式飲茶)の茶具です。中国茶の楽しさと美味しい点心を味わえる店、それが点都徳です。他のレストラン系の飲茶の店と違って、一日中いつでも飲茶が楽しめます。



 点都徳の美味しい点心

広式飲茶の点都徳の焼売(深圳)

 点都徳で食べた点心で美味しくなかったというのはあまり記憶がありません。もう既に10回か20回くらい行ってますし、店に行かないで宅配で配送してもらって家で食べたことも10回以上あります。
 そういうわけで何を食べても良いのですが、日本人なら誰が食べても満足するのは上の焼売だと思います。焼売の上に乗っているエビに注目が集まりがちなのですが、実は焼売自体の味も素晴らしいのです。豚肉がごそっと入っていて食べ応え十分です。私は一人飲茶が多いですから、一人でこの焼売4つを食べてしまいます。日本でならこれにご飯をつけて焼売ライスにしたいです。日本で食べるどんな焼売よりも美味しいです。

広式飲茶の点都徳の陳皮牛肉球(深圳)

 陳皮蒸牛肉球です。牛肉球というのは牛肉焼売から焼売の皮を取ったようなもので、豚肉と比べると臭みや脂っこさがあります。そこで、陳皮という柑橘系の実を使って爽やかな香りをつけ臭みを消しています。それでも脂っこさというのは消えないので、食べる時には酢をかけます。テーブルに運ばれてきたときに酢も一緒についてきますので、その酢につけて食べてください。すると脂っこさが消え、食べやすい点心になります。
 牛肉球は私のお気に入りの点心の一つです。普洱茶に合いますし、味も美味しいです。ここ点都徳の牛肉球は、とりわけ美味しい牛肉球の一つです。

点都徳のエビ野菜餃子(深圳)

 こちらはエビと野菜のニンニク味餃子です。三つで蒸籠がいっぱいになっていることから分かるように、これもかなり大きな餃子です。そして、美味しいです。
 プリプリのエビと野菜がニンニク味で蒸されています。このニンニク味がかなり効いていてそれがこの餃子の魅力を高めています。日本人なら多くの人が共感を覚える味です。日本にはこんなに美味しい蒸し餃子はありませんが、日本人好みの味という意味で共感を覚える味だと思います。

広式飲茶の点都徳の潮州粉果(深圳)

 潮州粉果です。ここ点都徳では潮州蒸果皇と言います。粉果というのは米でできた厚い皮で、様々な具材をくるんだものです。もともと厚い皮にくるんでいるのではなくて、具材が多いので皮を厚くしているのだと思います。

潮州粉果(点都徳、深圳)

 少し食べて断面から見てみると、皮の厚さや具材の多さがあります。これだけの具材を薄い皮にくるんだらすぐに皮が破れてしまいます。
 店によってはこの中にエビを入れたりマンゴーを入れたりして変化をつけていますが、点都徳ではそういった現代的な味付けにはなっていません。おそらく伝統的な粉果なのだと思います。
 皮も美味しいですし具材も美味しいですから、満足できる粉果です。皮が厚いので結構お腹にたまる点心でもあります。

 
広式飲茶の点都徳で飲茶(深圳)

 湯葉巻蒸しです。これも飲茶の定番ですね。ビールを飲みながら食べてしまうと分からないのですが、お茶を飲みながら点心をつまむと、この湯葉巻蒸しがいかに中国茶によく合うかが分かります。
 私もずっと以前は飲茶だと言いながらも、お茶ではなくビールを飲みながら点心をつまんだものです。飲茶とは読んで字のごとくお茶を飲むことです。お茶を飲みながら点心をつまむのが本来の飲茶の姿です。点心はお茶に合うように作られていると言っても過言ではありません。特に点都徳のような本格的な飲茶の店では、ビールなんか飲んでいたらもったいないと思います。本来の飲茶の姿に戻ってお茶を飲みながら点心をつまみましょう。



点都徳のお腹にたまる点心

荔湾艇仔粥(広州点都徳、深圳)

 点都徳で食べる主食には、粥、饅頭や腸粉などがあります。点都徳の点心をいろいろ食べましたが、 日本人に合いそうなものをここでは紹介していきます。
 まず、粥では荔湾艇仔粥です。荔湾というのは広州のエリアの名前で今では点都徳の本店(大茶楼)などもある市街地ですが、かつては漁村があった地区です。その漁民たちが食べていた粥をベースにした点都徳での粥の定番です。どうせ中華粥を点都徳で食べるなら、荔湾艇仔粥がおすすめです。ピーナッツが入っていてちょっと甘さを感じさせるところが味のポイントです。
 粥では他に状元及第粥(レバー入り粥)や皮蛋痩肉粥がおすすめです。状元及第粥はレバーが入っていますが、脂っこさや食べにくさはありません。皮蛋痩肉粥は皮蛋を苦手にしない人なら最も食べやすい粥ということで、中華粥初心者の方に私がおすすめしている粥です。

広州点都徳のチャーシュー饅頭(深圳)
 
 チャーシュー饅頭です。日本だと肉まんの人気が高いですが、本場では香港でも広州でも肉まんという饅頭はありません。あるのはチャーシュー饅頭です。
 これも大きな饅頭で、蒸籠からこぼれ落ちそうな大きさです。点都徳のチャーシュー饅頭については、饅頭部分の美味しさをまずご紹介しないといけません。ふっくらしていて軽い饅頭です。この饅頭の生地は香港や広州でも滅多にない美味しさと言えるでしょう。

広州点都徳のチャーシュー饅頭(深圳)

 そして、チャーシュー饅頭の断面です。香港、深圳、広州のチャーシューは日本のチャーシューに比べて甘いです。したがってチャーシュー饅頭の中のチャーシューも甘いです。この味に慣れてしまうと全く違和感はないのですが、初めて食べる人は「えっ、これがチャーシュー?」という気持ちになるでしょう。でも、これが本当の味です。餃子にしても麻婆豆腐にしても日本の中華料理は本場と全く違います。日本の中華料理は実は中華風料理であって中華料理ではないのです。
 ふっくらした饅頭の中に美味しいチャーシュー。チャーシュー饅頭はおすすめです。

広州点都徳の陳村粉(深圳)

 麺類では焼そばなどもありますが、ここでのおすすめは陳村粉です。 陳村粉は広東省南部や香港でよく食べられている米から作る麺で、河粉という米の麺を改良したものです。河粉と比較すると、薄く、さわやかで、滑らかさと柔らかさが違います。蒸して食べるのが一般的ですが、これも麺が薄いからできる調理法です。。
 この陳村粉という名は、順徳の陳村にあった店が初めて作ったことから付けられています。ということで、陳村粉は順徳料理なのです。順徳という場所は広州市の隣ですので、順徳料理というのは今は広東料理の中に組み込まれていて、皆さんは知らないうちに順徳料理を食べているはずです。

広州点都徳で飲茶(深圳)

 幅広で平べったいから、日本のきしめんみたいなものですかとよく聞かれますが、全く違います。スープに入れて食べるのは見たことがありません。上の写真のように蒸した麺の上に具が乗っていますから、これをよくかき混ぜて食べます。美味しいですよ。上に乗る具によっては脂っこいことがあります。その場合は牛肉球と同じように酢をかけて食べてください。さっぱりした陳村粉本来の味になります。
 順徳では麺と言えばこの陳村粉です。日本のうどんよりもタイのクイッティアオなどに似ているような気がします。

広州点都徳の紅米腸(深圳)

 点都徳での主食、続いては腸粉です。点都徳にはもちろん普通の白い腸粉もあって、エビが入っていたり、チャーシューが入っていたりしています。それはそれで普通に美味しいのですが、紅米腸がかなり美味しいのです。
 上の写真は金沙鮮蝦紅米腸と言います。点都徳での人気商品の一つです。紅米というのは日本でいう赤米のことで、そのまま炊いて食べるとかなり不味いそうで、中国でもこれを炊いたご飯が出てくることはありません。でも、腸粉の材料としてはよく使われていて香港でもよく食べることがあります。赤米粉で腸粉の皮を作るのです。

広州点都徳の紅米腸(深圳)

 赤米粉で作った皮の中には、エビと油条が入っています。油条は例のお粥に入れるパンのようなものです。金沙鮮蝦紅米腸のすごいところは、エビがプリプリでその周りに油条が詰まっていて、するとエビフライのような味になるのです。それを上の写真にあるような二種類のたれを使い分けて食べるのです。手前が辛いたれ、奥が普通の腸粉のタレです。ちょっと甘めです。

 
広州点都徳の上海蟹(深圳)
 
 というわけでお腹にたまる点心を紹介してきましたが、上の写真にあるように、シーズンになると点都徳でも上海蟹(大閘蟹)を食べることができます。ちょうど上海蟹が解禁になった日に点都徳に来ていたものですから、思わず注文してしまいました。
 上海蟹(大閘蟹)というのはただ蒸すだけの料理ですから、料理の良し悪しなどありません。ただ、店によって素材の良し悪しというのはあるわけで、点都徳のような老舗の有名店であればあまり粗悪な蟹を出さないだろうという安心感はあります。

広州点都徳の上海蟹(深圳)
 
 この日が解禁ですから、まだ蟹も小さくて迫力はなかったのですが、卵がいっぱい入ったメスをいただいて上海蟹(大閘蟹)食べたぞという満足感は得られました。
 深圳で美味しい上海蟹を食べようと思えば、高級上海料理レストランの江南厨子西湖春天あたりがおすすめです。日本で食べる価格に比較したらはるかに安く食べられますから、江南厨子あたりで食べると後悔しないですね。



 点都徳のデザート点心

広州点都徳のデザート点心(深圳)

 さて、ある程度お腹がいっぱいになってきてもデザートは別腹です。デザートを食べましょう。茶楼である点都徳には、さすがに沢山の美味しいデザートメニューがあります。 
 私のイチオシはココナッツプリンのマンゴープリン挟みです。見た目に美味しそうですけど、食べてみると期待以上の美味しさです。広東料理の良いところは美味しさで楽しませるだけでなく、目でも楽しませてくれるところですね。

広州点都徳のデザート(深圳)

 ココナッツプリン自体もほど良い甘さで滑らかで美味しいのですけど、マンゴープリンを挟むことで味に変化が出て満足度がさらに高まります。このデザートは他の飲茶の店でも見ることはあります。点都徳が開発したのか、どこかのレストランのメニューを真似したのかは分かりません。
 とにかくこれは注文するしかないデザート点心です。

 
ドリアンパイ(広州点都徳、深圳)

 続いてはドリアンパイです。深圳の点都徳のデザートで最も人気があるのはこのドリアンパイです。もともと深圳人はドリアンが大好きです。ドリアンのデザートはいろいろありますし、中国全土で人気があるドリアンピザだって深圳が発祥の地です。
 皿にパイが4つ並んで出てくるのではなく、ちゃんときれいに盛り付けて出てきました。さすがに老舗のセンスの良さを感じさせます。

ドリアンパイ(広州点都徳、深圳)

 パイの中にはねっとりしたドリアンが入っています。ドリアンなんか臭くて食べられないという人もこのパイなら食べられるかもしれません。初めてドリアンを食べる方を含めてぜひ試してもらいたいデザート点心です。
 中国茶との相性ということでは、ドリアンパイはココナッツプリンのマンゴープリン挟みよりおすすめです。ドリアンの甘さとパイの油がちょうど中国茶に合うのでしょう。ドリアンを食べた人ならお分かりの通り、ドリアンは食べた後からも甘さが来ます。その甘さの余韻を残しながら中国茶を飲むのです。

エッグタルト(広州点都徳、深圳)

 甘さということならエッグタルトも忘れてはなりません。飲茶で食べるエッグタルトは、特にオーダー式飲茶では注文後に作るのでアツアツの状態で出てきます。ですから、香り高いし最も美味しいときに食べることができます。
 点都徳の場合はパイ生地も美味しいですから、お腹との相談ですが、これもぜひ食べておきたいデザートです。食べ過ぎで太ることを警戒されるのであれば、お茶は普洱茶(プーアー茶)を注文したら良いと思います。油を落としてくれますから食べ過ぎでもほとんど体型に影響しません。

広式飲茶の点都徳(深圳)

 点都徳には食べたくなる点心がたくさんあります。点都徳の良いところの一つに、冒頭でも触れたように一日中何時でも飲茶を楽しめるということがあります。一回の食事で注文しきれなかったら二度三度と店に通うこともできます。その頃には、中国茶の淹れ方も上手になっていると思います。
 点都徳で本当の飲茶の楽しさを味わってください。