アジア写真帳>アジア写真帳(中国)>「現代中国小説勝手格付」
総合評価 |
ビジネスマンの目で、次の5区分で評価しています。
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項目評価 |
次の6つの視点から5段階評価
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今、中国では貧富の拡大、土地の高騰、住宅問題、官僚の汚職、不倫・愛人問題、ローン地獄など、日本が10年以上かけて経験した時代を一度に通過し、社会にひずみが出てきています。そうした現代の上海に住む男女4人を中心とした物語で、北京でTVドラマ化され大人気を博したものの、あまりにも現実を描いているためか、上海では途中打ち切り、その他の都市では放映されなくなってしまいました。 今の中国社会の根深い問題が分かる問題作です。 |
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時代は20世紀後半、中国の大躍進や文化大革命といった大きな社会変化のなかで、貧しい一家を支えるため、売血で金を稼ぎながら家族の平和を実現していく余華の傑作。 登場する人物が個性豊かに描かれており、たくましさ、優しさ、愛情や憎しみ、そしてこの時代の中国庶民の価値観や道徳観が赤裸々に描かれている。緊張感のある時代の涙なくしては聞けないような話なのだが、主人公やその妻の性格や行動のユーモラスさに思わず笑いがこぼれてしまう。 |
作者 | 作品名 | 出版社 | 初版 | 総合 評価 |
項 目 評 価 | 備 考 | |||||
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文学 度 |
政治 度 |
ビジネス度 | 文化 度 |
ストーリー性 | コミカル度 | ||||||
張戎 | ワイルドスワン (上・下) |
講談社 | 93年 | S | 5 | 5 | 2 | 3 | 5 | 1 | 文化大革命時代の知識階層の苦悩と悲劇を描いた傑作。中国にも、文化大革命を知らない若者も増えてきましたが、こういう悲惨な時代があったからこそ、今の中国があると思います。(文庫本あり) |
谷崎 潤一郎 |
上海交遊記 | みすず 書房 |
04年 | S | 5 | 3 | 2 | 5 | 5 | 1 | 谷崎潤一郎は大の中国好きとして知られていますが、中国旅行での紀行文や旅行後に書かれた小説などが収められた一冊です。「上海交遊記」「蘇州紀行」「西湖の月」や「鶴唳」など秀作が多い。 |
山崎 豊子 |
大地の子 (上・中・下) |
文芸春秋 | 91年 | A | 5 | 5 | 4 | 3 | 5 | 1 | 二つの祖国の間で揺れる中国残留孤児の心を描いた傑作。NHKテレビでの放映で有名だが、ぜひ原作も読んでみたい作品。(文庫本あり) |
横光 利一 |
上海 | 岩波文庫 | 56年 | A | 5 | 4 | 3 | 5 | 5 | 1 | 舞台は1925年。欧米列強や日本に支配されつつある中で、在留邦人を主人公に、排日、排英の動きが日増しに高まる上海を描いている。 |
買平凹 | 廃都(上・下) | 中央公論 | 93年 | S | 5 | 3 | 2 | 4 | 5 | 1 |
中国の都市の文化人の苦悩を描いた作品。 中国社会の難しさを知ることができる。 大胆な性描写で中国では発禁本。 |
買平凹 | 土門 | 中央公論 | 96年 | A | 5 | 2 | 2 | 5 | 4 | 1 | 都市化されようとしている農村を舞台に人々の揺れ動く心を描いた小説。市場経済化の急速な進展のもとでの人々の葛藤が読みどころ。 |
虹影 | 飢餓の娘 | 集英社 | 97年 | S | 5 | 4 | 2 | 4 | 5 | 1 | 重慶のスラム街から這い上がる一人の少女の闘いを描いた自伝的小説。少女の心の成長がよく描写されている。ストーリー性も素晴らしく感動的。 |
格非 | 時間を渡る鳥たち | 新潮社 | 97年 | A | 5 | 2 | 2 | 5 | 5 | 1 | 現代中国人の心の内面を描きだしている。 高い文学性を感じさせる短編集。 |
莫言 | 豊乳肥臀 | 平凡社 | 95年 | S | 5 | 5 | 2 | 5 | 5 | 2 | 日本統治の時代から現代までの農村の変化を描いた問題作。政治体制の変化に翻弄される人々の生活に焦点を当てている。中国では禁書。 |
莫言 | 転生夢現 | 中央公論新社 | 06年 | S | 5 | 5 | 4 | 5 | 5 | 3 | 莫言の新作。中華人民共和国の成立から文化大革命を経て現代に至るまでの農村の姿を、元地主から転生したロバ、牛、豚、犬、猿の目を通して、赤裸々に描く問題作。 |
馬波 | 老鬼 わが青春の 文化大革命 |
集英社 | 96年 | A | 5 | 5 | 2 | 5 | 5 | 1 | 文革時代に反革命の容疑から差別を受けた学生を主人公にした小説。内モンゴルが舞台。 「ワイルド・スワン」に匹敵する感動の作品。 |
加藤幸子 | 長江 | 新潮社 | 01年 | A | 5 | 4 | 3 | 5 | 4 | 1 | 幼少時代を第二次大戦後の中国で暮らした日本人と、同時期、すなわち、文革時代を生き抜いた中国人との心のふれあいを描いた傑作。 |
鄭念 | 上海の 長い夜 |
原書房 | 88年 | S | 5 | 5 | 3 | 5 | 5 | 1 | 元国民党政府外交官の未亡人が書いた文革時代の実体験。文革が当時の中国人に残した精神的な傷跡を赤裸々に描いています。「ワイルドスワン並みに迫力ある展開です。 |
李佩甫 | 羊の門 | 勉誠出版 | 03年 | A | 5 | 4 | 2 | 5 | 5 | 1 | 中国人とはどういう人間なのかということをつくづく考えさせられた本。平原の貧村を舞台に、中国の政治・ビジネスが動くメカニズムを描いている。 |
陳丹燕 | 上海メモラビリア | 草思社 | 03年 | A | 5 | 2 | 3 | 5 | 4 | 1 | 上海の街、とりわけ、フランス租界のエリアの街並み、人々や生活をテーマにしたエッセイ集。この本を読むと、上海の人々を分かったような気がしてくる。 |
財部鳥子 | 天府 冥府 | 講談社 | 05年 | A | 5 | 3 | 3 | 4 | 4 | 2 | 満州からの引揚げを経験している作者が、中国黒龍江省の佳木斯(ジャムス)を舞台に描いた作品。軍人から経営者、そして、引揚団の団長である作者の父を中心に、日本人が旧満州で味わった天国と地獄を、日常生活の視点から描いている。 |
莫言 | 至福のとき― 莫言中短編集 |
平凡社 | 02年 | A | 5 | 4 | 3 | 5 | 3 | 3 | 「至福のとき」、「宝の地図」や「沈園」など、莫言の中短編小説5作品をおさめた一冊。莫言は中国の体制変化と農民の生活というものを描くと天下一品で、「至福のとき」も庶民の生活・価値観・道徳観というものを見事に描いている。 |
張愛玲 | 傾城の恋 | 平凡社 | 95年 | A | 5 | 4 | 3 | 5 | 5 | 3 | 張愛玲は清末の政治家、李鴻章の曾孫。この本には、清末から日中戦争の時代にかけての、名家の女たちを主人公にした3作品が収められている。時代の変化のなかで翻弄される女心が描かれている。「傾城の恋」は香港で大流行したラブロマンスの作品。 |
清岡 卓行 |
アカシヤの大連 | 講談社 | 60年 | A | 5 | 4 | 2 | 4 | 3 | 1 | 清岡卓行が生まれ育った大連は、そのアカシアの香りとともに、彼の美しい記憶の中にある。戦中・戦後の大連を舞台に、多感な青年の心の変化を描く文学作品。エンディングが希望に満ちているところに、作者の大連に対する愛情が見える。 |
梶村 啓二 |
使者と果実 | 日本経済新聞 出版社 |
13年 | A | 5 | 3 | 2 | 2 | 5 | 1 | 日経小説大賞受賞を受賞したデビュー作「野いばら」と同様、純粋な愛をテーマにした作品。第二次大戦前夜のハルピンで芽生えた許されない愛の物語が、ハルピン、ベルリン、ブエノスアイレスと舞台を変えながら展開されていく。チェロが奏でるグラナドスの「ゴイエスカス」を伴奏に、物語はドラマティックに結末を迎える。結局、この許されない愛が成就したのか否かは読者の想像に任されているところが心憎い。 |
余 華 | 活きる | 角川 書店 |
02年 | S | 5 | 4 | 4 | 5 | 5 | 2 | 作者のあとがきによれば、「活きる」とは「生き残る」ことではなく「生き続けること」であり、言い換えれば「自分の人生を実感する」ことだという。この小説の主人公は地主の息子として生まれ、放蕩の挙句に貧農に身を落とし、家族を次々と失うなど、決して恵まれた人生とは言えない。しかし、生き続けることが楽しいことなのだと我々に教えてくれる。国家や文化等を超えて読む者に感動を与えるのは、それが人間の普遍性だからなのかもしれない。 1994年に張芸謀(ジャン・イーモウ)監督により映画化され、カンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞した作品。 |
余 華 | 血を売る男 | 河出書房新社 | 13年 | S | 5 | 4 | 3 | 5 | 5 | 4 | 時代は20世紀後半、中国の大躍進や文化大革命といった大きな社会変化のなかで、貧しい一家を支えるため、売血で金を稼ぎながら家族の平和を実現していく物語。登場する人物が個性豊かに描かれており、たくましさ、優しさ、愛情や憎しみ、そしてこの時代の中国庶民の価値観や道徳観が赤裸々に描かれている。緊張感のある時代の涙なくしては聞けないような話なのだが、主人公やその妻の性格や行動のユーモラスさに思わず笑い転げてしまう。余華の傑作。 |
吉田 修一 |
路(ルウ) | 文芸春秋社 | 12年 | S | 5 | 4 | 5 | 4 | 5 | 3 | 台湾新幹線の開業に携わった若い女性商社社員を主人公に、台湾ビジネスや台湾の人々とのふれあいを描いた傑作。台湾からの引揚者や台湾新幹線に関わった台湾人も副主人公と言っても良いでしょう。日本人と台湾人の絆の強さを改めて感じさせてくれる作品です。日本には台湾のファンが多いのですが、それ以上に日本ファンの台湾人は多いものです。台湾を好きになる日本人をもっと増やしたいと思いつつ、この小説を強力に推薦します。 |
楊 逸 | 時が滲む朝 | 文春文庫 | 11年 | S | 4 | 5 | 3 | 3 | 3 | 2 | 第139回芥川賞受賞作品。中国の田舎出身の純粋な大学生が民主化運動に加わり六四天安門事件で挫折するまでとその後の人生を描いた作品。愛国とは何か、人生とは何かを問いかける作品である一方、思想的に身動きの取れない現代中国人の悩みと迷いが理解できる作品ともいえる。 |
作者 | 作品名 | 出版社 | 初版 | 総合 評価 |
項 目 評 価 | 備 考 | |||||
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