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香港のおすすめの焼きそば


 香港の焼きそば


香港の焼きそば、いろいろ


 
昔、子供の頃、ホンコン焼きそばという即席焼きそばが売り出され、大変な人気商品になりました。今でも日清食品から販売されているロングセラー商品です。子供心に香港というところは焼きそばの本場なんだというような印象が私についてしまったのもこの日清食品のホンコン焼きそばのおかげです。
 では、香港の焼きそばはホンコン焼きそばのようなソース味かと言うとそんなものは滅多になく、いろいろな種類の焼きそばがあります。このページでは香港で食べた焼きそばのいくつかを紹介します。
 まず、上の写真は香港らしい焼きそばの一つで鮑汁伊麺です。これに肉の細切りを入れれば肉絲炒麺になるし、乗せる具によって様々な種類があります。


 上の写真は、香港を代表する焼きそばの一つ、干焼伊麺です。街の小さな粥麺専門店で食べたものです。伊麺というのは小麦粉を卵だけでこねた麺で卵の味が濃いのが特徴です。それを揚げて保存が利く状態にしておくと、料理する時は水分を直ぐに吸収し素早く料理できるようになっているのです。普通はスープそば、いわゆるラーメンとして使われる麺です。で、干焼は水分をなくすという意味ですから、焼きそばというよりも汁なし面に近い感じでしょうか。
 伊麺は香港を代表する麺だけあってとても美味しいですから、この干焼伊麺もあまり店によって外れがありません。もちろん伊麺自体の良し悪しは、日本でラーメンを食べても店によって麺の味や太さなどが様々なのと同様に、香港でも様々です。ただ、伊麺を極めた人であれば別ですが、普通の日本人ならどこで食べても美味しく感じられるはずです。

伊麺の焼きそば(香港)
 
 上の写真は鳳城酒家で食べた魚香茄子焼きそばで、麺は伊麺の平麺です。香港の焼きそばは麺の違いや乗せる具材の違いでいろいろ種類があります。レストランによってメニューはいろいろですから、行ってメニューを見てから美味しそうな焼きそばを選んでください。私のおすすめは伊麺です。

 一つアドバイスです。香港ではたっぷりのオイスターソースで炒めているものなので、この焼きそばに限らず、日本人には脂っこく感じてしまいます。でも、酢をかけるとその脂っこさも消えますので酢をたっぷりかけて食べると、大体の日本人は「香港はやっぱり焼きそばの本場だねえ。美味しいですね」などと言います。日清ホンコン焼きそばの作った香港のイメージが日本人には強いようなのです。

 香港の焼きそばには、他にもビーフンがあったり、日本で言う固焼きそばがあったりで、本当に様々なのですが、その中で香港らしさを感じる焼きそばということなら、干炒牛河という河粉でできた焼きそばを選びます。河粉は米でできた麺です。因みに、米でできた麺を中国では「麺」ではなく「粉」といいます。すなわち干炒牛河とは、米でできている麺と牛肉の焼きそばなのです。
 これも見た目はかなり脂っこそうなのですが、黄ニラが沢山入っているのでそれほどでもありません。さらに酢をたっぷりかけて食べれば脂っこさなんて飛んでしまいます。


 この写真は湾仔にあった潮州料理の大衆レストランで食べたのですが、黄ニラたっぷり、牛肉たっぷりで、河粉はふっくらしていてとても美味しかったです。
香港の焼きそばの人気商品、干炒牛河

 一方、こちらは街の粥麺店で食べた干炒牛河です。黄ニラの代わりに普通のニラを使っています。美味しくないわけではないですが、さっぱり感は黄ニラにかなわないです。ちょっと食べづらいかなというところです。
 香港で食べる焼きそばには当たりはずれがあまりないということを先ほど書きましたが、干炒牛河に関しては黄ニラの量が味付けを左右するので、当たり外れがあります。(黄ニラが入ってないときには酢を多めにかけて食べやすくしています。)それでも、私が香港で一番おすすめしたい焼きそばは干炒牛河なのです。無難に食べようと思えば、干炒伊麺あたりかも知れません。

 日清ホンコン焼きそばが作り上げた「香港は焼きそばのメッカ」というイメージ。そのイメージが壊れないように、皆さんが香港で美味しい焼きそばに出会えるように、この後、おすすめの焼きそばを紹介していきます。



 潮州焼きそば(阿鴻小吃の焼きそば)

香港で食べたいる潮州焼きそば

 おすすめの焼きそばの第一に紹介するのは潮州炒麺、すなわち潮州焼きそばです。潮州料理というのは広東料理の一種で、香港で人気のある料理の一つです。
 そもそも伊麺という麺も潮州が発祥だと言われていますから、伊麺も潮州焼きそばではないかと私なんかは思ってしまいますが、香港人に聞くとそこは明確に違うのだそうです。
 何が違うのかというと食べ方です。潮州焼きそばの場合は、酢だけでなく砂糖もかけて食べるのです。私はどうもその食べ方が好きになれないので酢をたっぷりかけるだけで潮州焼きそばを食べてしまうのですが、香港人に言わせると「そこが間違っている」のだそうです。私は酢をたっぷりかけて食べた方が美味しいと思うので、その食べ方で20年以上も潮州焼きそばを食べ続けています。


 上の写真は香港空港にある阿鴻小吃という潮州料理店の潮州炒麺です。阿鴻小吃は観塘にあって香港で最も人気のある潮州家庭料理店の一つです。香港空港第2ターミナルに支店があります。そこで食べた潮州焼きそばもやはり細麺で、しかもあまり脂っこくないのです。恐らく日本人にとってはすごく食べやすい焼きそばだと思います。でも、これを潮州焼きそばだと言われると、私の持っている潮州焼きそばのギトギトしたイメージは少し崩れてしまいます。

香港・阿鴻小吃の招牌撈麺は超おすすめ
 
 どうせ阿鴻小吃で食べるなら招牌撈麺がおすすめです。この料理は撈麺ですから正しくは焼きそばではありませんが、日本人的には焼きそば感覚の味です。撈麺というのは和えそばですが、この招牌撈麺に関しては少し炒めてから和えていると思います。

阿鴻小吃の撈麺、焼きそばじゃないけどおすすめ
 
 阿鴻小吃の撈麺には二種類あって、一つはXO醤味の招牌撈麺、もう一つは普通の豚の油で炒めるだけでXO醤を使用しない蔡瀾撈麺です。好みは人によって分かれると思いますが、私は少しピリッとした味付けの招牌撈麺をおすすめしたいと思います。
 香港空港で食べられますから帰りの飛行機を待つ間にぜひ試してみてください。香港で一番美味しかったなんていう印象になるかもです。

潮州撈麺(香港)

 因みに上の写真は、 ランチセットの撈麺です。これが潮州料理の平麺で、私が持っている潮州焼きそばのイメージは実はこれなのです。この撈麺も酢をたっぷりかけて脂っこさを中和すると、すごく美味しいですね。潮州料理らしいこのセットは、これからも昼過ぎに香港空港から帰る時の、私の定番メニューになりそうです。



 蝦子撈麺(エビの卵がけ混ぜ麺)

香港元朗、好到底の蝦子撈麺

 撈麺ということであれば、蝦子撈麺(エビの卵がけ混ぜ麺)も忘れるわけにはいきません。上の写真は、元朗、好到底の蝦子撈麺です。プチプチしたエビの卵が自家製麺にどっさり乗っていて、かなり美味しいです。香港で蝦子撈麺を食べさせてくれる麺店はいろいろありますが、私の経験ではここで食べた蝦子撈麺がベストです。

黄枝記の蝦子撈麺はマカオ、香港で食べたい
 
  わざわざ元朗まで行きたくないという方や時間が足りないという人は、少し味は落ちるけど、中環(セントラル)にある黄枝記が良いでしょう。黄枝記はマカオが本店ですが、香港中環でも全く同じレベルの味を楽しめます。リンク先のページで香港店の場所も紹介しています。
 話は少しそれるのですが、実は蝦子撈麺の美味しい店というのは、何故か雲呑麺も美味しいのです。好到底しかり、黄枝記しかり、沾仔記しかり、マックズ・ワンタンメン・ショップしかりです。でも、蝦子撈麺を食べて雲吞麺も食べると、結構な量になります。小食な女性には食べきれないし、男の人でもちょっと多すぎるかもしれません。でも、蝦子撈麺を食べながら、エビワンタンをつまみたい。そんなニーズは誰にでも必ずあるはずです。
 黄枝記にはそんなニーズに応えるメニューがあります。エビワンタン付蝦子撈麺です。上の写真では、どのくらいエビワンタンが付いているかが分かりませんね。

蝦子撈麺とエビ雲呑のセット(香港)
 
 そこで、例によって麺をかき混ぜて雲吞や菜心も見えるようにしてみました。エビワンタンは四つ入っていました。これで十分にエビワンタンの美味しさも味わえます。このメニューは香港の支店で食べたものですが、マカオの本店にもあります。また、他の店では、メニューになくても作ってくれる時があります。
 香港には食べたい料理がたくさんあって、行きたい店もたくさんあります。そんな時にこの一石二鳥メニューは大変ありがたいのです。



 シンガポールビーフン(カレー味)

シンガポールビーフンは香港焼きそばの人気商品

 香港の焼きそばのおすすめ、三つ目です。
 香港の焼きそばで忘れてはならないのはシンガポール焼きビーフン(星洲炒米粉)です。カレー味で炒めたビーフンです。これが意外に美味しいのです。ただ、以前は香港でよく食べた記憶があるのですが、最近はあまり見かけなくなってきたメニューの一つです。最近は茶餐庁のような食堂というか喫茶店というか、そんな店では見かけるメニューです。
 これが本当にシンガポールの焼きビーフンの味なのかというと、私は甚だ疑問ではありますが、香港で「シンガポールビーフン」と言えばカレー味なのです。ちょっとだけ辛い味付けですから、辛い料理が苦手な人でも問題なく食べられます。

シンガポールビーフンはカレー味
 
 かつては酒楼(いわゆるレストラン)のメニューにもあったという記憶があるのですが、最近は専ら茶餐庁で食べています。カレー味のビーフンで、必ずエビが入っています。それに牛肉やら豚肉やら野菜やらが一緒に炒められていて、これ、本当に日本人が大好きな味です。

茶餐庁(香港湾仔)

 茶餐庁という食堂の種類は日本人にはあまりなじみがないでしょうから、少し紹介しておきます。
 茶餐庁というのは香港式喫茶店のことで、軽食のメニューは香港式から西洋式(パンやパスタ類)まで揃えているような店で、香港中にたくさんあります。私がシンガポールビーフンをよく食べに行くのは、湾仔、利東街の近くにある大發茶餐庁です。ここのシンガポールビーフンが特に美味しいというわけでも何でもありません。要はこういう店に入るとメニューにシンガポールビーフンがありますということを説明しています。

何人かで食べるなら陳村粉もおすすめ

陳村粉も香港で食べたい麺料理

 香港の焼きそば、おすすめの最後は陳村粉です。
 陳村粉は広東省南部や香港でよく食べられている米から作る麺で、河粉という米の麺を改良したものです。河粉と比較すると、薄く、さわやかで、滑らかさと柔らかさが違います。蒸して食べるのが一般的ですが、これも麺の薄さならではです。
 この陳村粉という名は、広東省順徳の陳村にあった店が初めて作ったことから付けられています。順徳料理という広東料理の一種なのです。今では広州、深圳や香港の広東料理のレストランでもメニューに入っていることは少なくないので典型的な広東料理だと思われがちですが、そうではないのです。私も香港や深圳のレストランで時々食べます。主として大人数で飲茶する時に注文します。なぜ大人数の時かというと、上の写真のように量が多いからです。

本場の陳村粉(順徳、香雲軒)

 上の写真で分かるように薄い幅広麺で、食べやすくするために短く切っています。きしめんのお化けみたいなもんですね。蒸したうえで、醤油などの調味料で味付けされています。上の写真は本場順徳まで行って食べたものですが、本場の陳村粉はさすがに美味しいですね。順徳まで来たかいがありました。

香港で食べた陳村粉

 上の写真は香港で三人で飲茶したときに食べたものです。飲茶の時間だけメニューに入るという店もあります。どこの店にでもあるというメニューではありませんが、メニューに陳村粉という名を見つけたらぜひ注文してみてください。香港で陳村粉を食べるなら、順徳料理のレストランでミシュラン入りしている鳳城酒家本店あたりがおすすめですね。
 香港の焼きそばというのは本当にいろいろ種類がありますね。そして、どれもそれぞれ特徴があって美味しいですから旅行者にとっては何を食べるべきか本当に悩んでしまうと思います。ぜひ美味しい香港の焼きそばを楽しんでください。




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