回民街(イスラム人街)には西安ならではのB級グルメがいっぱいある |
かつて西安(長安)はシルクロードの出発点でした。シルクロードは、シルク(絹)だけではなく、人や文化、モノが運ばれ、小麦や麺文化もこのシルクロードを通って伝わったとされています。様々な食文化もシルクロードを通って伝わったのです。 そのシルクロードで大きな役割を果たしたのがイスラム人で、ここ西安の回民街(回民というのはイスラム人のことですから、日本語に直せば「イスラム人街」になります。)の近くには西安大清真寺(モスク)があり、かつてはイスラム教徒が数多く住んでいたのでしょう。今では西安随一のB級グルメ街になっていますから、ここで店を出している人たちすべてがイスラム教徒だというわけではありません。 上の写真は西安の回民街(イスラム人街)の肉挟馍(ロウジャーモー)の人気店に並ぶ行列です。 |
回坊風情街とも呼ばれる回民街には、イスラムと中国がミックスされた独特の食文化を持つ西安のB級グルメ店が軒を連ねています。 上の写真は夕方7時くらいの回民街です。夕食を西安らしいグルメで楽しもうとする観光客であふれます。大変なにぎわいですね。昼間よく見かける白人さんたちの姿はあまり見かけません。殆どが中国各地からの観光客なのでしょう。ですから、英語などは通じるはずもありません。ただ、日本人にとっては漢字で書いてあるので、何とか店の種類は分かるでしょうし、メニューの一定の解読はできるはずです。 安心して行ってみましょう。 |
上の写真は朝8時くらいの回民街です。人出は少ないですが、ぽつぽつと店は開いています。西安らしい朝食をこの回民街でとることも可能です。 正面に見えるのが鼓楼です。回民街はこの鼓楼の裏手に広がりますので、回民街に来るときは鼓楼を目印にすると良いと思います。 |
|
イスラム料理と言えば羊肉 |
西安らしいB級グルメというと、私が真っ先に思い浮かべるのは羊肉です。串に刺して店頭で焼いている店はいくつもあって、どこも賑わっています。この羊肉を焼く匂いがこの街の匂いになっている気がします。羊肉串はここ回民街では外せないB級グルメです。 |
この回民街(イスラム人街)には上の写真のように羊の肉を扱う店が多くて、美味しそうな香りが街じゅうにあふれます。羊肉の串焼きや羊の脚など、日本人はあまり食べないですけど、中国では人気の高いB級グルメが手軽に食べられます。この店には串もありますが、肉や腿をもう少し大きめに調理して販売しています。でも、暇そうです。 |
上の写真の店には麻辣羊蹄の看板が出ています。羊の脚の部分を麻辣味で揚げているものです。西安の料理は陝西料理と言われています。陝西料理というのは日本ではあまり知られていませんが、西安を中心にした陝西地域の料理を指します。西安は昔の長安ですから、かつては中国の都でした。それだけに料理の質は高いとは言えますが、なにぶんにも内陸に所在していますので海の幸はあまり入らない地域です。その分、濃いめで辛い味付けになります。 この麻辣羊蹄も陝西料理らしく濃いめで辛い味付けでしょうから私好みの味だろうと想像しましたが、実は他に食べたいものがあったので今回はパスしました。 |
やっぱり食べやすいのは羊肉串でしょう。これですと二本とか三本くらい食べても、この後に食べる麺類などのB級グルメが食べられなくなってしまうほどのボリュームはありませんから 、安心して食べられます。 回民街で食べる焼きたての羊肉串は西安旅行の良い思い出になるでしょう。 |
羊肉串を食べようと思って店頭に来ると、やっぱりついでに串以外の羊肉も食べたくなってしまいますが、 カロリー制限をしている私はかろうじてその食欲を抑えました。 |
上の写真はかぶりついて食べたくなるような羊肉ですよね。でもこの日は心を鬼にして、羊肉串だけで我慢しました。 |
羊肉串をかじりながら、さらに回民街の散策を続けます。美味しそうな店がいろいろあります。 |
これはお菓子の店ですね。製造直売です。 この回民街はシルクロードの出発点、西安らしいイスラムと中華がミックスされた文化が感じられ、入りたくなる店が軒を連ねている魅力的な通りです。この通りに回坊風情街という名称がついているのもうなづけます。 |
|
西安は麺の本場、ビャンビャン麺と油溌麺 |
そして、麺打ちをしている姿もここ回民街ではあちこちで見かけます。こういう光景を見ると、打ち立ての麺を食べたくなりますね。 西安の主食はコメではなく麺です。さきほども紹介したとおり、かつて西安(長安)はシルクロードの出発点で、小麦や麺文化もこのシルクロードを通って伝わったとされています。小麦はメソポタミアから栽培が始まったと言われていますが、中国にも栽培方法や小麦粉にする技術がシルクロードを通って伝わったのです。 |
そんな由来もあって、西安では麺作りが盛んで、麺の専門店は沢山あります。私が回民街でお目当てにしていたのも実は西安らしい麺なのです。ただ麺といっても日本のラーメンのような中華麺ではなく、西安では太めのうどんのような麺です。 中国で日本風の麺なら蘇州ラーメンが近いかなと思います。香港ではワンタンメンやカレーラーメンの人気が高いのですが、美味しいですけどゴム麺のような弾力が強すぎる麺が多いですね。。 |
上の写真は西安の回民街(イスラム人街)のB級グルメ通りにあった麺屋の店頭に並ぶ麺です。日本のラーメンとは見た目が全く違いますけれども、ラーメン好きなら食欲をそそられる麺が並んでいます。 |
そんな中国の麺どころ、西安を代表する麺はビャンビャン麺です。せっかく西安に来たのですから、西安らしさを感じられる回民街(イスラム人街)でビャンビャン麺を食べてみましょう。この回民街でビャンビャン麺を食べさせてくれる店は、両方の指を使っても数えきれないくらい沢山あります。 |
では、ビャンビャン麺を回民街のどこで食べたら良いかというと、無難なのはお客さんで混んでいる店を選ぶことだと思います。この回民街に来るお客さんの多くは中国の観光客で、彼らはWEBなどで情報を調べたうえで評判の高い店を選択しています。ですから、美味しいと言われている店にはますますお客さんが連なるのです。 |
実は私も中国語の食べログのようなサイトで予め情報を十分に吟味したうえで、この回民街に来ています。ですから、お目当ての店も実は決めていて、あちこちで麺打ちをしている店を冷かしはするものの、そこには入る気はありません。 |
この日に目をつけていた店は老劉家ビャンビャン麺という店です。もともとはロウジャーモー(肉挟馍)で有名になった店のようですが、今では店の名前にビャンビャン麺をつけて、老劉家ビャンビャン麺と名乗っています。 ところで、ビャンビャン麺の漢字は上の写真にある複雑な字を書きます。この字は勝手に作られた合成文字(宝島も同じように合成文字がありますね。)ですから、中国内ではビャンビャン麺をパソコン等で打つときは「biangbiang面」と書きます。しかし、この文字、どういう意味があるのかなあと考えてしまいます。之繞(しんにょう)の上に心があって、その上に「長、馬、長」、またその上に「糸、言、糸」、その左に月があります。見ようによっては「戀」という字の間に「長、馬、長」が挟まっていると見ることもできそうです。どう考えてもこの漢字の意味は謎です。 |
ここがこの日の朝から目をつけていた目的のレストラン、老劉家ビャンビャン麺です。左側にはロウジャーモー(肉挟馍)の看板もあり、この店の由来を感じさせてくれます。昔ながらの西安らしい建物も魅力です。 老劉家ビャンビャン麺では、羊肉のビャンビャン麺が50元、牛肉のビャンビャン麺が40元です。ここは迷わず、羊肉入りビャンビャン麺を注文しました。 |
上の写真がビャンビャン麺です。羊肉もたくさん載っています。写真では分かりませんが、美味しい臭いが漂います。乗せられている具が多くて麺はあまり見えませんけれども、少し見える太くて平たい麺はかなり幅広の麺です。そして分厚いのです。食べてみると、麺にこしがあってほど良い硬さの麺です。スープは少し酸辣味がして、酸っぱくて辛いです。その他にも独特の香辛料の味わいがあります。羊肉の味もよく出ていて、なるほどこれが西安の味なのかと納得しながら食べられる麺です。ビャンビャン麺、美味しいです。そして、麺の量が少なく見えるかもしれませんがが、さすがに太い幅広麺なので結構お腹いっぱいになります。 西安で食べたビャンビャン麺については、こちらのページで詳しく紹介していますので、興味があれば参考にしてください。 |
そして、西安で有名な麺料理でもう一つ有名なのが、油溌麺です。油溌麺は唐辛子入りの味噌やピーナッツが載せられている汁なし麺です。最近は中国各地でこの油溌麺が人気で、あちこちの西安料理店で食べられます。中国への出張や旅行の多い私も上海、深圳や大連などでこの油溌麺を食べていて、実はすっかり油溌麺のファンになってしまっていたのです。 上の写真は、回民街にある老陝油溌麺の油溌麺です。かなり太めの麺に沢山の唐辛子とネギ、そして羊肉が乗っています。西安の他の店でも油溌麺を食べましたけれども、ここは唐辛子の量が多いですね。 |
油溌麺は食べる前に麺全体をよくかき混ぜて食べます。この食べ方については汁なし麺には共通していて、日本でも油そばを食べる時には最初にかき混ぜて食べますよね。それと同じ要領です。 アップした写真で見ると量が少なく見えるかもしれませんが、とにかく幅広で分厚い麺ですから、これで結構満腹になってしまいます。スパイシーで期待通りの味です。大満足の油溌麺です。 私は油溌麺のファンなので、本場西安で三日間の滞在中に三回食べています。私が食べた油溌麺についてはこちらのページで紹介しています。ぜひ、ご覧下さい。 |
|
肉夹馍(ロウジャーモウ) |
肉挟馍(ロウジャーモー)も西安ならではのB級グルメです。回民街(イスラム人街)を歩けば、ビャンビャン麺や油溌麺などの専門店と同様に、肉挟馍(ロウジャーモー)の店も数多く見かけます。見た目にはハンバーガーのようではありますが、食べてみると全く違う食べ物であることが分かります。 いずれにしても肉挟馍(ロウジャーモー)は地元の人にとっても人気の食品ですし、観光客も西安観光では楽しみにしているグルメですから、肉挟馍(ロウジャーモー)を食べさせてくれる店の数は数えきれないほどあります。上の写真は庶民的な店で食べた肉夹馍です。 |
一方、上の写真は西安随一の高級レストラン、西安飯庄で食べた肉夹馍です。 正直に申し上げると、一般の店での肉夹馍は油が少しきつくて、もたれるほどではないにせよ、ちょっと食べづらさがありました。その点、西安飯庄の肉夹馍は味がしつこくなく食べやすかったという印象です。 |
実は回民街には沢山の肉夹馍(ロウジャーモウ)の店があって、しかも上の写真のように行列ができている店を何軒も見かけたのですが、ここ回民街では肉夹馍を食べていません。ですから、回民街のこうした人気店での肉夹馍が果たして普通の日本人にとって食べやすいのか否かということについては自信がありません。 |
さて、上の写真を見ながら肉挟馍(ロウジャーモー)の説明をしましょう。右に積まれている白いものが肉挟馍(ロウジャーモー)のパンの部分です。パンと言うよりもピザの生地のようです。西安生まれの中国人の話によれば、肉挟馍(ロウジャーモー)のパン生地がシルクロードを通ってイタリアに持ち込まれ、そこからピザが生まれたということです。自慢げに話していましたので、これは彼としては確信を持っている話なのでしょう。食べてみると、確かにピザの間に肉を挟んだような味ではあります。 一方、パンにはさまれるのはパンの左に見えるにある肉で、羊肉や牛肉が使われるのが一般的のようです。これに左のたれをつけて出来上がりというわけです。肉夹馍も西安名物ですから、西安滞在中に一度は食べてみる価値があると思います。そんな時に、ここ回民街には肉夹馍の専門店が沢山ありますから便利です。 |
最後に、上の写真は西安の伝統的なタクシーです。サイズ的にはタイのトゥクトゥクを思い出しますが、西安の冬は寒くなりますので、お客さんが乗るところは厚手のビニールで覆われています。回民街には沢山の観光客が来るので、この伝統的なタクシーが回民街の出口、鼓楼周辺で何台も待機しています。 料金は乗る前に交渉になりますので、中国語のできない人は筆談できるようペンと紙を持参しておくと良いでしょう。 |
このページの先頭へ 西安の回民街はB級グルメ通り |
西安の城壁
西安の城壁(永寧門を歩く)
大雁塔と小雁塔
大雁塔がある大慈恩寺は
玄奘三蔵ゆかりの寺
鐘楼と鼓楼
回民街(イスラム人街)
回民街は西安のB級グルメ通り
レストランで食べる
西安随一の名店、西安飯庄
酔長安で
お洒落でスパイシー陝西料理
B級グルメ
西安名物、ビャンビャン麺
油溌麺は西安のB級グルメ
肉挟馍(ロウジャーモー)
賈三灌湯包で羊肉湯包の朝食