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アジア写真帳(杭州)−篆刻の西冷印社


アジア写真帳(杭州)


 篆刻の研究機関として名高い西冷印社は、杭州西湖の白提沿いにある孤山という島にあります。
 白堤は西湖の北部に築かれた堤で、あの白楽天(772〜846)が杭州の行政官だった時期に築かれたものです。この白提周辺は最も西湖らしい風景が多く、「西湖十景」の「断橋残雪」と「平湖秋月」も、この白提沿いにあります。
 上の写真は、西湖の「断橋残雪」です。ここから白堤が始まります。


 西冷印社のある孤山は白堤の西端に位置していて、西冷印社と白堤の反対側には、西湖の雄大な景色が広がっています。上の写真は、蘇堤を背景に西湖に浮かぶ舟ですが、この辺りは西湖の中でも最も風光明媚なところです。


 「断橋残雪」から「平湖秋月」に向かって白堤を歩いていくと、「平湖秋月」の向かい側辺りに西冷印社の入口が見えます。円洞門の先に、庭園が見えます。因みに、西冷印社の西冷というのは、その先にある西冷橋から名がとられたそうです。


 すぐ上の円洞門の中に見えた建物は柏堂という建物で、前には小さな池があり、ちょっとした庭園になっています。


 西冷印社は清代末期の1904年に創設され、この場所を本部としていました。篆刻の展示も素晴らしいですが、庭園としても風格のあるものになっています。西冷印社の中心は、この山の上にあります。山を登る階段や石の門にも風格が感じられます。




 階段を上り、しばらくすると、山麓にある石交亭という亭があります。1912年に建てられた頃は、西湖方面の展望があったのかもしれませんが、今は林に覆われ全く展望はありません。
 因みに、「石交」とは「結交金石」(金石の交わり=金や石のように変わることのない付き合いのこと)から取られた名前です。西冷印社は篆刻で有名ですが、もともとは金石学といって金属や石に刻まれた文や画像を研究する機関です。その「金石」から「結交金石」という4文字熟語が想起されているわけです。


 石交亭を過ぎ、上部の建物群のあるところまで登ってきました。上の写真は、西冷印社の上部の庭園にある回廊です。自然と人工の建築物が調和していて、まるで蘇州の庭園にいるようです。


 回廊を進むと、仰賢亭があります。上の写真で回廊の突き当たりにある建物が仰賢亭で、建物内には数多くの篆刻の展示があります。


 仰賢亭の建物内は写真が撮れなかったので、建物の外にあった篆刻の展示を撮影しました。


  これも見事な篆刻です。篆刻については全く知識を持たない私ですが、それでもこの展示の美しさには、大いに感じるものがあります。


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 西冷印社の上部庭園の朝は、西湖湖畔と同様に地元の人々の憩いの場となっています。この亭では、おじさんたちが中国将棋に夢中です。


 そして、こちらの建物前は、小鳥の愛好家たちが、自宅から鳥かごのまま小鳥を持ってきて、品評会です。この後、さらに愛好家たちが集まって賑わっていました。


 そして、この中国将棋や小鳥の品評会をしている辺りから西湖を見ると、眼下にこのように雄大な西湖の風景が広がります。正面は、小瀛州と呼ばれる島で、「西湖十景」の一つ「三潭印月」がある島です。
 西湖を眼下に見下ろせる場所というのは意外に少なく、ここ西冷印社の上部庭園と雷峰塔あたりしか思いつきません。そういう意味で、ここは貴重な西湖展望台と言うことができます。




 上部庭園の中央に聳え立つ華厳経塔です。1924年の建立です。岩にも文字が刻まれているところが流石に西冷印社です。


 「三老石室」と名づけられた石室です。何か由緒正しき石室のような気がしますが、私が言った夏の暑い時期ですと、地元の人たちの格好の涼み場所になっています。


 西冷印社のある孤山を入口とは反対側に下りると、白堤の北側に出ます。この辺りは、夏の時期ともなると、ご覧の通り蓮の花畑が広がります。詳しくは白堤のページをご覧ください。
 

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