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アジア写真帳(杭州)−曲院風荷


アジア写真帳(杭州)

 曲院風荷の風景


 曲院風荷もまた「西湖十景」の一つです。西湖の西北の隅にある一角で、岳王廟の向かい側にも入口があります。湖畔には数多くの柳が植えられ、また、夏になると湖には蓮の花が咲き誇ります。風光明媚ですし、また、中国的でもあって、夏の杭州では一番の見所でしょう。



 ここで、「曲院風荷」の名前の由来について説明しておきましょう。
 曲院というのは宮廷酒を造るところで、遠い昔、宋の時代にはこのあたりで西湖の水から宮廷用の酒を造っていたようです。その後、数多くの蓮が植えられ、夏になると一斉に蓮の花が花開きます。酒の香りと蓮の花の香りが風に乗って漂うことから、「曲院風荷」という名前がつけられたとされています。



 総面積28haという大変広大な公園で、前述の通り、蓮の花が咲く夏には必見のスポットです。蓮の花、中国風の建造物、西湖の水と周りの山々が作り出す風景は変化に富み、絶景でもあります。夏の日なら、半日くらいはゆっくりと見て回り、この雰囲気を楽しみたいものです。


 蓮の花畑には、木の橋がかけられ、間近で蓮の花を見ることができます。ですが、ご覧の通り、強い陽射しを避けるものがないので、日傘や帽子などを用意したほうが良いと思います。傘は杭州の名産品なので、私も日傘を探したのですが、好みのものがありませんでした。日本から持っていったほうが良いかもしれません。



 上の写真は酒の醸造所の記念館前にある休憩所から見える風景です。こういう風景、私は好きなんです。こうした風景は曲院風荷のあちこちで見ることができます。
 まさに一面、蓮の葉に湖が覆われていて、その先に橋の上に築かれた宋代を思わせる建物が見えます。この橋の左に酒の醸造所の記念館があり、この橋を渡って左に行くと蘇堤に出ることができます。蘇堤と合わせたコースづくりをして観光すると良いと思います。




 石橋、六角亭が築かれ、石橋の脇には柳の枝が垂れ、池には蓮畑がいくつも浮かんでいます。まるで蘇州の庭園を見るかのようなデザインです。この趣味の良いデザインが総面積28haという広大な公園
全体に広がっています。


 橋の上から撮った写真です。ここから先を見ると、少しずつ池の幅が狭くなっており、それが池の遠近感をさらに強調しています。心憎いばかりの設計です。


 一つ上の写真と同じ場所を少し前に進んでから撮影しました。この写真よりも一つ上の写真の方がより距離が離れて見えるのは、池の両側の木々の感覚を狭めることによって作り出している一つの錯覚で、その錯覚は橋に近づけば近づくほど感じないのです。


 自然に任せたような伸び伸びとした公園なのですが、建物や橋などの建造物が効果的に配置されていて、見た目にも調和がとれているのですが、観光する人々にとってもちょうど良い休憩場所になっています。ここを設計した人は大変な能力を持っていたのではないかと考えてしまいます。


 ここも、一幅の絵を見るような風景です。中国らしい石橋が池を渡り、青々とした柳が石橋の左で風に揺れます。石橋の向こうは蓮畑なのですが、ここに蓮の花が咲いていれば、もっと綺麗なんでしょうね。
 因みに、この石橋の左手から撮った写真が、このページの一番上の写真です。



 その石橋を柳の木の方に向かって歩くと、柳がやさしく迎えてくれるような気がします。


 失恋でもしたのでしょうか。池畔に腰かけて携帯に見入る女性です。その先には蓮畑が広がっています。見事な蓮畑を独り占めにして自分だけの世界に浸っているようです。実は、私も彼女から10m以上離れたところに一人座って、贅沢な時間を過ごしました。


 西湖につながるこの曲院風荷には、多くの水鳥が遊んでいます。美しい風景、見事な蓮の花、そして素朴な水鳥を見ながらの一人だけの時間というのは、本当に贅沢なものだと思います。


 白い蓮の花も咲いています。曲院風荷では、例えば、橋、建物や特徴ある花などポイントになるスポットを、いろいろな場所から角度を変えて見てみると、また、違った味わいを感じることがあります。ゆっくりと時間をかけて、自分のお気に入りのスポットのベストアングルを探してください。


 地元の老人たちが、こうして東屋の下でくつろいでいる風景をよく目にします。こんな落ち着いた所で老後を暮らせたらと羨ましく思う限りです。彼らは仲間内で話し込んでいる場合が多いですが、われわれ観光客が同じ東屋に入っていっても、一向に気にしません。ただ、あまりガヤガヤと話して、彼らの雰囲気を壊さないようにしてあげましょう。




曲院風荷の蓮


 曲院風荷が最も華やかに彩られるのは、夏の蓮の開花時期です。杭州での蓮の開花時期は、年によって変動はあるものの、概ね6月から7月中旬あたりが見頃であり、その前後でも若干蓮の花は咲いています。


 曲院風荷と蘇堤を結ぶ橋の前(酒の醸造所の記念館そば)は大きな蓮畑が広がり、ここに蓮の花が咲き乱れる頃は、それは見事な風景になります。この写真は2009年7月下旬の撮影ですが、時期的には少し遅すぎて形の良い花が少ないですね。ただ、花の数は沢山あります。


 蓮の季節になると、こうして多くの写真愛好家が集まってきます。蓮の花を撮影するなら、夜明けから8時くらいまでが蓮の開花時間ですから、朝食前に一仕事終えるつもりで蓮を見学に行く感じになります。
 蓮の撮影を目的に写真愛好家がよく集まるのは、ここ曲院風荷以外では弧山と茅家埠
があります。


 この写真は2013年5月下旬の撮影です。まだ蓮は殆ど開花していない状況です。彼らは既に開花している蓮の撮影もそうですが、開花する瞬間の蓮を撮影しようとしているようです。


 曲院風荷で撮影した蓮の花です。(このページに掲載の蓮の花はすべて曲院風荷での撮影です。)まだ開花して間もないようで、形も良く色合いも素晴らしいものがあります。


 上の蓮は少し形が疲れてきたかなという感じです。


 こちらの蓮は形が崩れてきてしまったかなという感じです。
 蓮の花の寿命は4日間程度だと聞いています。開花したての蓮が最も美しいのは当然です。ですから、朝早く出かけて、当日開花したであろう蓮を見つけて写真を撮れば、きれいな蓮をカメラに収めることができるのです。


 池の中央にある蓮畑です。2013年5月下旬の撮影です。蕾もたくさん見えますが、もうしばらく経つと、この蓮畑が見事に満開になるのです。
 ここ10年くらい私も6月に杭州に行きたいと思い続けているのですが、仕事の関係でどうも6月には時間が作れません。来年こそは、といつもチャンスをうかがってはいます。


 これは珍しい写真で、鳥が蓮の花をつついているところです。他の花弁は既につつかれて落ちてしまったのでしょうか。花弁がまだみずみずしいところを見ると、開花を終えて落ちたのではなく、鳥につつかれて落ちてしまったのではないかと思われます。


 5月下旬ですと、このように蕾ばかりが目立ちます。
 蕾も色合いが綺麗ですね。このあたりの蓮は明日あたりには開花するかもしれません。

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曲院風荷の朝の風景


 ここから先は、曲院風荷の観光ということから少し離れて、曲院風荷の入口の毎朝の様子について紹介します。
 上の写真は曲院風荷の入口前です。商店街があり大きな碑坊が建てられています。この前では、グループで太極拳の練習が行われています。写真は、剣を使った太極拳で華やかです。


 こちらは別のグループで太極拳です。これも、同じ商店街前の一角です。

 
 
 同じ商店街前で、このおじさんは一人で太極拳をしています。服装も決まっていますし、型も決まっていて、さすがに一人でしているだけあって見事なものです。暫く演技を拝見させていただきました。

 
 
 ところで話が全くそれますが、西湖湖畔を6時くらいから1時間かそれ以上かけてあちこち朝の散歩をするのが私の杭州での日課です。そうするとお腹がすくものですから、朝早い時間でもどの店が営業しているかという情報を予め調べています。ホテルの朝食はありきたりなので私は食べません。
 ここ曲院風荷付近での朝食場所は咬不得高祖生煎です。この店はチェーン店なので大した生煎包を食べさせてくれないだろうと最初はタカをくくって入らなかったのですが、ある日食べてみたら結構おいしくて、以来、時々利用しています。

 
 
 
 この咬不得高祖生煎も、ここ曲院風荷前の商店街内にあります。朝7時には営業しているようです。
 写真は、代表的なメニューの生煎包です。これが結構うまいのです。これに炒飯とか焼きそばを食べれば、立派な朝飯になるのです。まあ、日本だと松屋か吉野家あたりで朝食を食べるようなものですね。


 話がそれてしまいましたので、元に戻します。
 こちらは商店街から曲院風荷の敷地内に少し入ったところにある水月廊前です。ここも太極拳です。朝こうした太極拳やらダンスやらをする場所として、杭州では西湖の湖浜付近が有名ですが、ここの場所の方が落ち着いて自分の時間を楽しめそうな気がします。


 水月廊の隣にはスターバックスコーヒー(星巴克)があります。星は「スター」で、巴克は中国語読みで「バーカー」となりますから英語の発音の当て字です。スターバックスは中国に沢山の店を出していますので、全国的にこの字が使われています。ですから、中国人と英語で話す時も「スターバックス」というよりも「スターバーカー」と言う方が通じます。
 スターバックスはかなり中国に根付いています。この曲院風荷の敷地内に店舗を構えられるほどになっているのです。店舗の構えもすっかり中国チックですね。

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 さて、杭州・西湖の曲院風荷を紹介してきましたが、このように見どころ豊富な観光スポットだということが分かっていただけたと思います。上の写真の石橋もスタイルがいいですね。
 西湖には観光客を乗せる小舟が沢山ありますが、この曲院風荷までは入って来れないようになっているようです。


 曲院風荷周辺の湖畔は、こんな風に美しく整備されています。夏のシーズンでも観光客はまばらで、湖とは打って変わった静寂を楽しめます。このあたりの遊歩道にもベンチがいくつもあって、休息をとることができます。


 西湖の観光というと、白提蘇提とか三潭印月のあたりが人気があって観光客も多いのですが、ここ曲院風荷も負けず劣らず素晴らしい景色が広がっています。むしろ日本人の情感には曲院風荷の方が合うのではないかなとも思います


 夏に杭州に行くなら、西湖観光の中で曲院風荷は絶対に外せないスポットです


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