アジア写真帳>アジアグルメ図鑑>アジアグルメ図鑑(上海・中国江南)>川福楼でこじき鶏
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川福楼は蘇州では珍しい四川料理の老舗 |
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蘇州第一の繁華街といえば、ここ観前街です。蘇州へ旅行した際には、必ず一度は足を踏み入れるエリアです。平日の昼はそれほど人通りが多くないのですが、夕方や休日は上の写真の通りにぎわいます。 蘇州を代表する老舗レストランの多くも、ここ観前街に店を置いています。と言っても、観前街の一本南を走る太監弄という通りです。松鼠桂魚で有名な松鶴楼や得月楼といった老舗の蘇州料理店や老舗の蘇州麺店である朱鴻興麺館、さらにはファストフード店なども数多く軒を連ねています。 |
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川福楼も、その観前街の一本南を走る太監弄という通りにあります。 私がよく蟹粉麺を食べる朱鴻興麺館の向かい側くらいにあるので以前から川福楼の存在は知っていました。ただ、川福楼という名前から四川料理であることがわかりますので、蘇州で四川料理を食べる必要もあるまいということで、今まで素通りしていたものです。 (注)中国では四川料理を川菜と呼び、川の字が店名に付くと四川料理であろうことがすぐにわかります。 |
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蘇州に来たら伝統的な蘇州料理が食べたくなるので、松鶴楼や得月楼などに行くのが私の常でした。松鶴楼では松鼠桂魚(桂魚の丸揚げ甘酢あんかけ)や清爆蝦仁(川エビの炒め物)などが有名で、得月楼では得月童鶏(鶏の蒸焼きの特製ソースかけ)や桜桃汁肉(豚肉の蒸焼き特製ソースかけ)あたりが有名で、これらがまた美味しいのです。名物に美味いものなしなどという言葉は蘇州のグルメには当てはまらないのです。 そして、蘇州料理の老舗にはもう一軒、王四酒家というレストランがありましたが数年前に閉店してしまいました。ここの看板料理は叫化童鶏(乞食鶏)でした。王四酒家が閉店してしまうと、叫化童鶏(乞食鶏)を食べられるレストランが蘇州になくなってしまったのです。松鶴楼や得月楼のメニューにもこじき鶏はないのです。 ところがある日中国語のグルメサイトを見ていたら、なんと四川料理の川福楼のメニューにこじき鶏があることがわかったのです。そのサイトによれば川福楼は四川料理レストランなのですが、人気メニューの一つにこじき鶏があるということなのです。それでは川福楼に行かなければなりません。ということで今回の訪問になりました。 |
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というわけで、初めて来た川福楼です。最近名前を変えて、川福老灶房としています。創業数十年の歴史を持ち、蘇州を中心に30余の店舗を有する四川料理チェーン店です。店内の雰囲気は伝統を感じさせるとともに清潔感があります。 |
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この日は出張なので一人飯です。こじき鶏を一人で食べるとお腹いっぱいになってしまうでしょうから、その他の注文は軽めにして料理を待ちます。 ところで、こじき鶏は中国江南地域の名物料理ですが、この変わった名前にはこんな謂れがあります。 清の前期、常熟(蘇州のすぐ近くの都市)で一人の乞食が鶏を一羽盗んだものの、調理道具を持っていなかったため、蓮の葉で包みそれをさらに黄土の泥でくるんで火の中に入れて焼いた。泥が乾いてから割ってみると、蒸し焼きにされた鶏の美味しそうな匂いがあたり一面に漂った。以来、この料理は叫化鶏(「叫化」とは乞食を意味します。)と命名され、周囲に広まったというものです。 この江南エリアには蓮の花も多いし黄土もありますので、この伝説の舞台、常熟でもできますし、ここ蘇州や杭州といった江南エリアなら、どこででもありえる話です。したがって、今や、叫化童鶏(乞食鶏)は、蘇州でも、杭州でも、そして、上海でも、いろいろなレストランが名物料理として挙げるメニューの一つになっています。でも、蘇州の名だたるレストランではこのメニューはなく、ここ川福楼だけがメニューに加えているのです。 |
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皮蛋の唐辛子焼乗せ |
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軽い前妻のつもりで注文したのが皮蛋の唐辛子焼乗せです。この半分くらいの量でイメージしていたのですが、これはかなり量があります。こじき鶏を食べる前の前菜、冷菜として注文したのですが、ちょっと一人では多すぎるくらいの皮蛋です。 |
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それよりも驚くのが皮蛋の上に乗っている具です。これは青唐辛子を細かくして焼いたもののようです。食べてみると激辛です。私は辛い料理が大好きですので4分の1くらいをさっさと食べてしまいましたが、皮蛋は美味しいし辛さも適度(私にとっては)なのでぐいぐいと食べ進んだものです。ところが、後からかなり激しい辛さが口の中を襲ってきます。おおーっ、辛い。さすがは四川料理レストランです。 |
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蘇州の人は、甘辛い蘇州料理に慣れていますから、蘇州にある四川料理レストランもそんなに辛い味付けにしないだろうとタカをくくって食べていたのがいけませんでした。想定外の本格的な辛さです。ちょっとピッチを落とす必要があります。 まあ、皮蛋も隠れるほどにこんなに唐辛子を乗せて食べていたのですから、口の中がマヒしそうになるのもうなづけます。まあ、四川料理レストランとしては、さすがに老舗の味とほめたくなります。 |
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そこにちょうど良いタイミングでキャベツの炒め物が出てきました。これも若干辛めの味付けですが、なんといっても火が出そうな口の中ではこの辛い野菜炒めも中和剤として効果を発揮してくれます。 皮蛋を食べながら、合間に野菜を口に運んで辛さを中和します。そんな具合に前菜を楽しみながら、いいえ、前菜と格闘しながらこじき鶏を待ちます。 |
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川福老灶房のこじき鶏 |
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お待ちかねのこじき鶏が出てきました。川福楼(川福老灶房)では蒜香叫花鶏というメニューです。ニンニク味のこじき鶏という意味です。 紙に包まれて出てきたのは蒸焼きにしたからでしょうけど、これ、やっぱり伝統的なこじき鶏ではないですね。ドライアイスなどと一緒に持ってきてムードアップをしていますが、こういう子供騙しの料理は老舗レストランとしてはいかがでしょうか。 |
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上の写真はかつて王四酒家で食べた叫化童鶏(こじき鶏)です。先ほど紹介した伝説さながらに、黄土で包まれていて、それを木槌で割ったところです。この王四酒家では、鶏を蓮の葉でくるみ、それを新聞紙で包んで、さらに黄土の土でくるみます。黄土を割ると、新聞紙が出てきてしまうのはちょっと興醒めですが、衛生的に考えれば、土が鶏肉にかからないようにするためにやむを得ないことです。 せめてこのくらい伝説に則って調理しないといけないのではないでしょうかねぇ。 |
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蒸焼きの加減は程よくて、初めてこじき鶏を食べた人なら、これがこじき鶏なんだと喜んで美味しく食べるに違いありません。でも、基本的に全く違うのは川福楼(川福老灶房)では炭焼きの香りがしないことです。川福楼(川福老灶房)では蒜香叫花鶏というメニューですから、炭の香りの代わりにニンニクの香りがするのかというと、ニンニクの香りもほのかです。良く言えばにんにくの香りが上品に付けられているのです。 |
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川福楼(川福老灶房)の蒜香叫花鶏は焼き加減も良く確かに美味しく食べられます。でも、このくらいの鶏料理は他のレストランでもいろいろあって、この味よりももっと美味しい鶏肉料理は蘇州にもたくさんあります。こじき鶏と命名されていなければ私も決して川福楼には来なかったと思いますが、メニューに騙されたという印象です。 川福楼は老舗の四川料理レストランですから、ここで食事をするなら四川料理のメニューを選択すべきでしょう。ただ、蘇州に来て何泊もするなら話は別ですが、一泊とか二泊でしたら蘇州の名物料理を味わった方が良いと思います。蘇州のグルメ水準は決して低くありませんから、きっと蘇州料理に満足できると思います。 |
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上海から蘇州への行き方 |
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アジアグルメ図鑑(上海・中国江南) 蘇州編 主な内容蘇州旅行指南(蘇州旅行の楽しみ方)松鶴楼 こじき鶏の王四酒家 得月楼の桜桃汁肉 唐宮海鮮舫で飲茶 ワンタンの熙盛源 蘇州麺の朱鴻興麺館 蘇州麺の老舗、同得興本店 山塘街の秘伝臭豆腐 品芳茶社の点心 蘇州のグルメ(アジアグルメ図鑑(上海、中国江南)へ) |
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