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アジア写真帳(紹興)

紹興観光のポイント(市内編)


  紹興市は浙江省省都の杭州市と寧波市の間に位置し、人口約430万人の大都市です。紹興へは、杭州から10分おきかそれより頻繁に出ている直通バスで約1時間、上海からでも十分に日帰り圏内にある街です。紹興というと、日本人はすぐに紹興酒を思い出すのですが、紹興には、紹興酒だけではなく、沢山の見所があります。
 というのも、紹興という街は、かつては会稽(かいけい)という名で歴史のあちこちに登場している街だからです。会稽は、「史記」の「臥薪嘗胆」のくだりでも出てきますし、映画「レッドクリフ」にも出てくる三国時代の孫権も、一時、会稽太守だったことがあります。蛇足ですが、赤壁の戦いを前に、諸葛孔明が周愉・魯粛を説得し、孫権に開戦を迫った舞台は、残念ながら会稽(紹興)ではなく、呉(蘇州)です。
 また、紹興は魯迅生誕の地として有名で、魯迅の生家や通った塾などが、当時のままに保存されています。さらに、「書聖」といわれる王羲之が「蘭亭序」を書いた蘭亭も紹興にあります。そして、さらに足を伸ばせば、柯岩(かーいえん)という風光明媚な観光地もあります。
 このように見所豊富な紹興の観光のポイントを、このページにまとめてみます。


 まず、紹興市内です。市内の見所としては、次の四点でしょう。
 @魯迅故居周辺(魯迅生家とその周辺)
 A府山公園から倉橋直街(運河と旧市街の雰囲気を楽しみます)
 B越王殿(紹興はかつては越の都でした)
 C八字橋周辺(運河の街紹興の昔の姿を彷彿させるエリア)
 時間の関係で、すべては回れないという場合も、少なくとも@とAくらいは回りたいものです。
 


 上の写真は、魯迅生家にある魯迅の部屋です。紹興に来て魯迅故居を見ない人も少ないとは思いますが、魯迅に興味のない人には、退屈な場所ではないかと思います。予め、魯迅の小説をいくつか読んで、事前知識を持った上で行かれると良いと思います。

中国語はそんなに難しくありません。
私の経験でも、英語よりはるかに早く話せるようになります。
初歩の中国語ができるだけでも、中国旅行が百倍楽しくなりますよ。



中級者用の教材もあります。
このレベルになれば、中国での移動も自由自在です。


 魯迅故居のエリアにある咸亨酒店です。
 ここは、魯迅の小説「孔乙己(こんいーちー)」の舞台となった居酒屋で、科挙(中国で官僚になるためには、このテストに合格する必要がある。)になかなか合格できない知識人、孔乙己が毎日酒を飲みに来たという設定になった場所です。
 この店あたりで、紹興の名物料理、臭豆腐でもつつきながら紹興酒を飲めば、紹興の雰囲気に浸れます。

 
 発展著しい中国では、至る所で再開発が行われています。紹興もその例外ではなく、再開発が年々進み、昔の紹興が残っているエリアは、ますます少なくなってきています。運河と旧市街の雰囲気を楽しみたいのであれば、府山公園から倉橋直街の一帯や、八字橋周辺がおすすめです。
 府山公園から倉橋直街のあたりは、朝の散策にも適していますし、また、越王殿に行く途中でもありますので、ぜひ、回ってみてください。また、八字橋周辺は運河の両側に昔の紹興の街が残っていて、生活感が強く感じられるエリアです。ここは、魯迅故居からも近いのですが、あまり観光地化されていないので、少し、分かりづらいかもしれません。




 写真は、府山公園から倉橋直街に入ったあたりですが、このあたりにも沢山の茶館があります。どうせ、茶館に入るなら、運河沿いの店で烏篷舟が行き交う運河を見ながらお茶することをおすすめします。私のお気に入りの茶館は府山公園にあります。
紹興市は、龍井茶の産地である杭州市の隣だけあって、お茶の文化が発達しています。時間を作って、ぜひ立ち寄ってみてください。


 以上の市内のスポットへは、公共バスが頻繁に走っていますので、バスで移動すれば良いと思います。バス路線は、ホテル等で売っている紹興市の地図に、詳細に載っていますので、これを参考にしてください。
 また、タクシーも安いですから、利用価値があります。中国語の話せない人は、行き先を予め紙に書いておけば、安心して乗れると思います。また、風情を楽しむのであれば、自転車タクシーもおすすめです。風景や街並みをゆっくり見ながら移動できるのも、自転車タクシーの魅力です。



紹興観光のポイント(郊外編)


 次に、紹興の郊外の見所です。よく知られた観光地として、次の5つが挙げられます。
 @蘭亭(「書聖」といわれる王羲之が「蘭亭序」を書いた場所)
 A柯岩風景区(今、中国人に人気の景勝地)
 B東湖(昔の石切り場に水を引き入れて湖にした景勝地)
 C大禹陵(中国夏王朝の王である禹を祀った陵墓)
 D柯橋古鎮(殆ど観光地化されていない水郷古鎮)
 このうち、東湖と大禹陵は、市内中心部からバスで15〜20分くらいで行けますが、他はバスの本数も少なく、30分かそれ以上かかります。
 人により好みは分かれるかもしれませんが、私としては、蘭亭と柯岩風景区はおすすめですね。

 まず、蘭亭です。私の場合、書に興味があるとかいうことは、全くないのですが、ここで王羲之の字を見たり、曲水の宴が開かれた場所などを見ていると、何か心に惹かれるものがあります。この写真の筆使いを見ても、見事なものだと、素人ながら見入ってしまいます。
 蘭亭へは、行き帰りの時間を入れて、約2時間半くらいです。紹興で1泊できるスケジュールを組めば、ゆったりと回れると思います。




 私個人的には、郊外で一番のお勧めというと、この柯岩風景区です。
 柯岩風景区は、「天工大仏」と呼ばれる大仏(石仏)と、「雲骨」と名づけられた巨石のある「柯岩景区」、山と湖を中心とした風光明媚な「鑑湖景区」と、魯迅の小説に登場する「魯鎮」(昔の紹興をモデルにしている。)をテーマパークかした「魯鎮景区」からなるスポットで、広大な面積とスケールを誇る観光地です。
 上の写真が「天工大仏」、下の写真が「雲骨」です。


 この二つの石を見るだけでも価値はあるのですが、さらに、昔の紹興近郊の風景を模した鏡水湖や普照寺も、また、「柯岩景区」の魅力です。
 しかし、この雲骨という石、よく倒れないなと感心してしまいます。


 「柯岩景区」の鏡水湖や「鑑湖景区」では、紹興で昔からよく利用されている烏篷舟(うーぱんちゅえん)と呼ばれる舟で移動できます。「烏篷」とは、「烏」が「からす」、すなわち、外側を黒く塗っているので「烏」であり、また、「篷」とは、日除け、風除け、雨除けを意味します。雨が強く降ったり、風で寒かったりした場合は、竹の屋根を閉めれば、雨よけ、寒さ除けができるのです。
 運河の多い紹興では、かつては、この烏篷舟が庶民の移動手段だったわけで、今は風情ある乗り物として、観光客に親しまれています。


 「鑑湖景区」では、一転して、広々した田園風景が広がります。上の写真にあるような湖の小道や橋が、昔の紹興らしさだと、中国人の観光客みたいな人が言っていました。
 鑑湖は紹興酒の名を、水の面で高めた湖です。湖と小道と橋という昔の紹興らしさを、紹興酒の名前を高めた鑑湖に作り、江南地方の自然とともに、楽しんでもらうということが、この鑑湖景区のコンセプトなのだと思います。
 魯鎮景区(紹興出身の魯迅に焦点を当てたテーマパーク)とともに、紹興人の誇りを感じないわけにはいかない観光地です。

 紹興周辺の観光地に東湖がありますが、中国人観光客はあまり多くはありません。この柯岩風景区に、観光客を食われているのではないかと思います。スケールは10倍・100倍の大きさで違いますので、私も、東湖に行かれるのなら、それはやめて柯岩風景区をおすすめしたいと思います。

 
 そして、「魯鎮景区」です。魯鎮とは、魯迅の小説、「故郷」「阿Q正伝」や「狂人日記」に出てくる架空の街で、魯迅が少年期を過ごした紹興がモデルになっています。「魯鎮景区」は、その架空の街、魯鎮を作り上げたもので、言い換えれば、昔の紹興の街を再現しているとも言えます。
 魯鎮では、昔の紹興の建物、橋や運河が再現されているとともに、魯迅文学の名場面も石像になって、再現されています。なかでも、「阿Q正伝」の阿Qは、街のあちこちで登場します。魯迅文学も少し読み直したうえで、魯鎮の街を歩けば、興味深く散策できると思います。


 このページの中で、紹興の見所を説明したわけですが、上の写真にある越王殿をはじめ、他にも見所が沢山あります。とても時間が足りなくて、紹興酒の工場見学など、しようという気になりません。
 このページでは、市内と近郊に分けて説明しましたが、杭州や上海から日帰りの場合には、「市内+蘭亭」くらいがギリギリのところでしょうか? できれば、紹興で1泊して、朝の紹興の雰囲気を楽しんでもらうとともに、柯岩風景区まで足を伸ばしてもらいたいところです。
 紹興旅行を計画されている方は、ぜひ、このホームページの内容も参考にしていただいて、楽しい旅行を計画してみてください。なお、紹興の夜については、このホームページでは紹介していませんが、なかなか賑やかで1泊しても飽きませんということも、お伝えしておきましょう。


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