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アジア写真帳(紹興):蘭亭


アジア写真帳(紹興)

 中国で最も有名な書作品は、王羲之が書いた「蘭亭序」です。この作品を書いた場所が、ここ、紹興にある蘭亭です。
 353年(東普の永和9年)3月3日、王羲之と当時の名士たち41名がこの地で集まり、曲水(曲がりくねった小川)の両側に座り、清流に流された酒盃が自分の前で止まったら即興で歌を詠むという宴会を楽しんだとされています。その時、37首の詩が詠まれ、王羲之により一編の序文が作られました。これが有名な王羲之の代表作「蘭亭序」です。王羲之は書道の革命家とも言われ、その後の書道家たちにも大きな影響を及ぼしていると言われています。
 唐の太宗もまた書道をよくする人でしたが、太宗が崩じた時に、「蘭亭序」を含む王羲之の真筆すべてを一緒に陵墓に埋めてしまったため、王羲之の真筆は存在しないと言われています。現在、王羲之の書とされているものも、唐代に太宗の命令で複写したものか、太宗が作らせた拓本のみであると言われていて、ここ蘭亭においても、王羲之の真筆は全くありません。
 因みに、写真の「蘭亭」という字は、清の第4代皇帝である康熙帝が書かれたものだそうです。

 蘭亭の入口です。中国の庭園ですと、どうしても池が前面に出ているところが多いのですが、ここ蘭亭は山の中にあることもあって、森閑とした雰囲気を漂わせています。


 門をくぐると、暫くは竹林沿いに小道が続きます。何となく、京都あたりの神社仏閣を思い出してしまいました。すがすがしい道です。




 小道を抜けると、「鵞池碑亭」があります。鵞鳥(ガチョウ)がいる池ということです。王羲之はガチョウを可愛がっていて、多くのガチョウを飼っていたそうです。
 この「鵞池」と書いた碑は、高さ193cm、幅86cmありますが、東湖から持ってきたものだそうです。


 この字をよく見ていただくと分かりますが、「鵞」の字と「池」の字の太さが違います。もともと王義之が「鵞」を書いていたところに、その息子王献之が「池」を書き足したもので、親子の合作ということになります。
 因みに、王羲之は「書聖」と称されていますが、息子の王献之とあわせて、「二王」ともいわれています。この場合、王羲之を「大王」、王献之を「小王」と呼びます。いずれの字も、勢いのある筆遣いで、見事です。

 「鵝池碑亭」の近くの池には、今でもガチョウが放し飼いにされて、池を悠然と泳いでいます。岸に上がったガチョウが行儀良く、三羽並んでいます。このガチョウは王羲之が可愛がっていたガチョウの末裔だろうかなどと、考えてしまいます。
 池に映るガチョウの姿も綺麗です。



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 王羲之たちが風流を楽しんだとされる「流觴亭」です。この「流觴亭」の脇に、「曲水流觴」(曲水の宴。人々が曲水の両側に座り、清流に流された酒盃が自分の前で止まったら、即興で歌を詠むという宴会)を行った小川があります。因みに、「觴」という字は、「古代の杯(さかずき)」を意味します。
 ここが、蘭亭の中心部なんでしょうね。


 「曲水流觴」の跡です。見ての通り、幅の狭い清流が曲がりくねって流れていて、これなら、あちらこちらで杯が石に引っかかって止まりそうです。ある本では、「曲水流觴」について、「杯が自分の前を通るまでに歌が詠めないとその杯を飲まなくてはならない」と解釈していることもありますが、それは、学生のコンパの「のり」、いわゆる「一気飲み」です。
 そうではなくて、杯が止まったら詠むのです。しかも即興で詠むのです。
 杯が清流をゆったりと流れ、時々杯が石で止まる。そこで即興で歌を詠む。風流な世界が目に浮かびませんか?
 


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 「御碑亭」です。「御碑亭」は高さ12.5m、八角形の東屋で、中には高さ6.8m、幅6.8m、重さ1.8トンの中国最大の古碑「蘭亭御碑」がある。
 正面には、康熙皇帝(清の第4代皇帝)が1693年に蘭亭に来訪された折、蘭亭の美しさに感激し、王羲之の「蘭亭序」の全文をその場で書かれたとのことで、それを碑に彫ったものです。背面には、乾隆帝(清の第6代皇帝)が蘭亭を訪れた時に詠んだ七律詩「蘭亭即事」が彫られています。乾隆帝は康熙帝の孫ですので、「祖孫碑」と呼ばれています。
 ここは、中国人にとっては、蘭亭一番の観光ポイントかもしれません。


 康熙皇帝が摸筆した「蘭亭序」の全文です。
 中国人にとっては一番の観光ポイントでも、日本人の私にはちょっと辛い。
 書き出しの「永和9年」を見て、「蘭亭序」が書かれた年だということは分かっても、最後まで読む気力もないし、能力もありません。中国人ツァー客は、ツァーガイドの後に付いて、この全文を中国語で(当たり前ですが)声を合わせて読んでいたりします。

 
 「御碑亭」の脇には、王羲之の書いた字を摸して彫られた字にあわせて、観光客も水で字を書ける遊び場で、次から次へと人がポーズを作り、字を書いていきます。中国人の知的な一面を見てしまった感じです。


 筆と机はいくつもあって、観光客が気楽に字を書いています。私は毛筆が苦手なものですから、写真だけ撮って退散しました。




 いつの間にか、夕方になってしまいました。夏は5時閉園です。
 鵞池のガチョウたちも、池から自分たちの宿舎に移動を開始しました。こうして、蘭亭の一日が終わります。


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 但し、中国の人が実際に現地に行って記載したものを日本語に翻訳しているので、交通の利便性についての感覚や、食事やホテル等への評価などは、日本人の感覚と多少異なりますので、ご自分の旅行の参考にするに当たっては、そのあたりを十分に勘案した方が良いと思います。
 


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