アジア写真帳アジアグルメ図鑑アジアグルメ図鑑(上海・中国江南)>張生記

杭州料理の老舗、張生記-杭州のグルメ


アジア写真帳(杭州)   アジアグルメ図鑑(上海・中国江南)

 

 杭州料理の名門レストラン

 
 
  杭州料理というのは、中国の八大料理に数えられる伝統のある料理です。そもそも杭州という街が、その昔、宋の都であったことから、人と富が集まり料理が進化したという歴史があります。
 杭州をはじめとした中国江南地域においては、上海料理や准揚料理もそうであるように、湖沼や河川の魚介類を素材としてよく利用します。これらの素材を美味しく食べるために、臭みを隠すための味付けが施されているのが特長のような気がします。海の素材を利用する潮州料理や広東料理ほどあっさりしていない理由がここにあります。それでも、新鮮な食材の味をできるだけ生かした料理にしていくのが、シェフの腕の見せ所です。
 杭州料理の名店として有名なのは、孤山にある楼外楼です。私もかつては何回か行ったレストランですが最近は利用する機会がありません。


 それから、杭州のクラシックホテル、新新飯店にある新新庁も杭州料理の名門の一つに挙げても良いでしょう。その他、評判の高い老舗レストランとして、天香楼や山外山菜館なども挙げて良いと思います。


 また、庶民的な杭州料理の名門ということであれば、知味観がその筆頭です。知味観のチェーンには、味庄店や味宅店がありますが、これらの店ではレベルの高い杭州料理を食べることができます。


 そうしたなかで、今回訪問した張生記は評判の高い老舗レストランの筆頭に挙げても良い存在です。本店は双菱路という市街から少し離れたところにあって、かつては私も双菱路まで行って張生記の料理を満喫していました。2013年5月現在、張生記は6店を杭州市内に擁していますので、アクセスしやすいレストランになったと言えます。
 今回行ったのは、解放路店と言って、解放路と建国路の交差点に建つ天工芸苑ビルの6階に位置しています。この上層にはビルのホテルも入っていますが、エレベータで6階に上がりフロアを見渡すと、ホテルではないかと見間違えるような豪華なエントランスです。上の写真のカウンターで人数等を伝え、レストラン内に案内してもらうことになります。



張生記の杭州料理 


 張生記で食べた前菜は、まず、水晶南風蹄です。実は注文するときにイメージしていたのは、鎮江肴肉といって、蘇州から長江(揚子江)に沿ってさらに南京方面へ行ったところにある鎮江という街の名物料理である豚もも肉の塩づけハムでしたが、まさにそのイメージ通りの料理が出てきました。蹄が入っている分だけコリコリ感があって、そこが違うかなという感じです。鎮江肴肉と同様に、鎮江の黒酢をつけて食べます。
 これはすごく美味しいです。日本ではこの料理、絶対にないですね。

 
 
 続いて、これも前菜みたいなものですが、揚州煮干絲です。干絲とは干し豆腐を細切りにしたもので、煮干絲はこれを鶏がらスープで煮た料理です。名前の通り、揚州名物の一つです。因みに揚州は鎮江とは長江(揚子江)を挟んだ隣町で、准揚料理の中心地でもあります。
 日本だと、おいしい煮干絲がなかなか食べられないので、杭州料理ではないですけど注文してしまいました。期待にたがわず、揚州でのおいしい記憶が蘇ってきました。ここまでは、揚州の冶春花園でも同じような料理を食べていますから、興味のある人は本場の料理と比べてみてください。

 
 そして、杭州料理の定番、東坡肉です。やっと杭州料理が出てきました。私は東坡肉が好きなので、どこのレストランでも注文してしまいます。たまには杭州料理の定番の一つ、西湖醋魚でも注文すれば良いのですが、最近は一人で食べることがあるので一個単位で注文できる東坡肉を選んでしまうのです。
 東坡肉は、脂身のある豚肉をトロトロになるまで醤油漬けで長時間煮込んだ料理で、見た目ほど脂っこくないのが特徴です。ここ張生記の東坡肉は、結構大きいですね。
 

 肉の状態がよく見えないので、お皿に移して分解してみました。どうです? とろとろに煮込んでありますね。
 この張生記の東坡肉は、絶品の味です。肉の柔らかさ、味の深み、適度な脂身、どれをとってもやはり一流です。私が今まで杭州で食べた東坡肉のなかでも、間違いなく一番おいしいですね。
 ところで、この東坡肉の料理名には歴史があります。
 西湖を舞台にした詩を書いている蘇東坡は、実は宋の時代の杭州地域の太守(首長)でした。蘇東坡は西湖に蘇堤を作ったことでも名を残していますが、こうした工事に関わった労働者たちの労苦に報いるために、蘇東坡が振舞った肉料理が蘇東坡の名を取って、「東坡肉」と呼ばれているのです。




 スープは瑶柱文思豆腐羹にしました。一般的には宋嫂鱼羹と呼ばれている杭州名物のスープに近いです。これも美味しいです。「羹」という字はとろみスープを意味していて、とろとろのスープの中で桂魚の身、中国ハム、シイタケや豆腐などが煮込まれていて、体に良さそうな味です。大満足です。


 デザートはドリアンパイにしました。ねっとりとしたドリアンがたくさん入っていて、ドリアン大好き人間の私にはたまらなく美味しいデザートです。
 中国に行くと、このドリアンパイをよく注文するのですが、これまた過去に食べたドリアンパイの中でも最高の味ですね。張生記は素晴らしい!!

 ということで、張生記解放路店、大変満足しました。美味しい料理と素晴らしい雰囲気を持つレストランです。料金設定は若干高めだとは言え、この内容でしたら安すぎるくらいの値段です。これから私が杭州に行った時の行きつけの店になりそうな気配です。



関連するページ  
アジア写真帳(杭州)    アジアグルメ図鑑(上海・中国江南特集)
杭州のグルメ トップページ  
 杭州の名店、張生記 新新飯店の新新庁 高銀街の知味観味宅 
ソフィテルホテルの湧金閣  東坡路の玉麒麟  神仙鶏で有名!好紹欣 
 杭州料理の老舗「知味観」 杭州のラーメンなら奎元館  スイーツなら満記甜品 
広東料理の名粤軒で飲茶 咬不得高祖生煎の生煎包   高銀街の杭州料理店
柳浪聞鶯の茶館、聞鶯閣 曙光路の茶館