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杭州のグルメ-新新飯店の「新新庁」 |
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杭州のクラシックホテル、新新飯店 |
新新飯店は杭州随一の洋館のクラシックホテルで、1921年に開業して以降、蒋介石、宋美齢や魯迅といった中国の著名人が宿泊しているホテルです。日本人では、あの芥川龍之介も朝日新聞の特派員として杭州を訪問した際に、この新新飯店に宿泊したそうです。芥川龍之介は杭州が好きになれなかったようですが、その理由は洋風の建物が建ち始めてしまったからということだったようで、そういう意味ではこの新新飯店も芥川龍之介にとっては好きになれないホテルだったに違いありません。 時代が変われば、人々の評価も変わります。私はこの洋館のホテル、新新飯店に3泊しましたけれども、とても落ち着ける良いホテルだと思いました。 |
上の写真は道路から見た新新飯店の中楼です。杭州に来るたびにこの建物を見ていて、一度はこんな洋館のホテルに泊まりたいとは思っていたのですが、どうやら現在は一般客の宿泊には使われていないようです。 |
ロビーはあまり広くないですが、洋館のホテルですから雰囲気には重厚なものがあります。 |
北山街は西湖の北側を走る道路で、新新飯店はそんな北山街に面しています。ですから、ディナーを食べる時間にもなると、西湖にも夕暮れが迫り、白堤の向こうに杭州市街の灯りがともり、上の写真のような素晴らしい景色を見ることができます。 |
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新新庁の杭州料理 |
さて、そんな新新飯店には新新庁というレストランがあります。このレストランはあまり評判にはなっていないレストランですから、私も今回行くまでは全く情報がありませんでした。 今回食べてみて、なるほど本格的な杭州料理を食べさせてくれる一流レストランであることが分かりました。私も旅先では食事にこだわる自称グルメ人間ですが、この新新庁の料理は杭州の中でも指折りのものです。 上の写真は糖耦といって蓮根にもち米を詰めて甘く味付た杭州の伝統料理です。やはり杭州きってのクラシックホテルで食事するわけですから、杭州らしい料理を食べたいものです。前菜としてはあまりあっさりしているとは言えないのですが、昼間、杭州の美しい蓮の花を見た後に食べると、味わい深くなります。 |
また、こちらは西湖の幸を使った宋嫂魚羹というスープで、杭州に来たら一度は味わうべき名物料理です。これも美味しいですね。「羹」という字はとろみスープを意味していて、魚の入ったとろみスープです。実際には、桂魚の身、中国ハム、シイタケ、ネギ、ショウガなどが、とろとろのスープの中で煮込んであり、酢が味を引き締めています。 |
そして、杭州料理の定番、東坡肉です。新新飯店で食べたくなるのは、やはり伝統的な杭州料理ですね。この東坡肉を食べずに杭州料理は語れません。東坡肉は、脂身のある豚肉をトロトロになるまで醤油漬けで長時間煮込んだ料理で、見た目ほど脂っこくないのが特徴です。 杭州で食べる東坡肉は、あまり安すぎるレストラン等に行くと脂がきつすぎてもたれることがありますが、著名なレストランで食べる分にはどこで食べてもはずれがありません。 |
ここ新新飯店の東坡肉も上の写真で良く分かるように脂身の多い肉を使っていますが、よく煮込んであるので、見たほどには脂っこさを感じないのです。 ところで、この東坡肉の料理名には歴史があります。 西湖を舞台にした詩を書いている蘇東坡は、宋の時代の杭州地域の太守(首長)でした。蘇東坡は西湖に蘇堤を作ったことでも名を残していますが、こうした工事に関わった労働者たちの労苦に報いるために、蘇東坡が振舞った肉料理が蘇東坡の名を取って、「東坡肉」と呼ばれているのです。 そんな歴史の重みを感じながら食べると、ますます旨く感じます。東坡肉は日本でも知られている数少ない杭州料理の一つですね。 |
この日の野菜料理は、上湯菠菜(ほうれんそうのスープ煮)にしました。ほうれんそうを貝柱、ピータンやシイタケなどと中華スープで煮込んだ料理です。これがさっぱりした味付けでおいしいのです。東坡肉が脂っこくないと言っても、見たほどには脂っこくないという意味ですから、やはりこうしたさっぱり系の料理がないと食が進まなくなってしまいます。 一人旅なので沢山の料理を経験できませんでしたが、この新新庁、すべての料理に満足できました。杭州ではまた行きたいレストランの一つです。 |