漓江下り |
桂林の観光のハイライトは漓江下りです。桂林に観光に来て漓江下りをしなかったら何のために桂林に来たのか分かりません。桂林観光では漓江下りが必須のイベントです。漓江下りというのは、一般的には桂林から陽朔まで約4時間かけて漓江をゆっくりと船で下り、漓江沿いの桂林の風景を楽しむツアーです。 日本からのツアーには、フリープランでなければこの漓江下りがセットされているはずです。フリープランで行く方やチケットとホテルを個人で手配していく方のために、いくつかヒントを書きましょう。 |
個人で漓江下りをする場合、第一に気を付けなければならないのはチケットを前日までに手配しなければならないということです。漓江下りの船には、埠頭に当日どんなに早く行ってもチケットを手に入れることはできません。チケットは街中の旅行代理店や、空港、列車駅やホテルなどで手配できますし、インターネットでも手配できます。私は日本にいる間にネットで手配しました。 第二に、漓江下りは大きく、豪華船と一般船とに分けられます。豪華船はもともと外国人用に用意されたツアーですが、今では中国人の利用者の方が圧倒的に多くなっています。逆に一般船は中国人用ですが、外国人だからと言って利用できないことはありません。豪華船と一般船とでは価格が倍くらい違います。豪華船だと英語の説明もあります。漓江下りの2016年の相場は、一般船は150元くらい、豪華船は300元くらいからで、しかも日本人用のツアーだと500元くらいからです。(500元だと日本語サービスがホテルから埠頭までの移動中のみという場合もあります。) |
上の写真は私が利用した豪華船の船内です。写真を見ると外人が多そうですが、100人くらい乗れる船で外人さんは私以外にこの3人の女性だけで、他は全員が中国人だったはずです。豪華船と言ってもこの程度の内装ですから、そんなに豪華ではないわけです。写真右のガイドさんは中国語と英語で説明してくれますが、スピーカーの音が割れるのでかなり聞き取りづらいです。 とにかく、当日にチケットを手配することが不可能だという点をよく理解して、桂林到着後にチケットを手配する時間的な余裕がない場合は、日本にいるうちからネットで手配することをおすすめします。なお、初めて桂林に行かれる方は、ホテルまでの送迎があるツアーを選択された方が良いと思います。埠頭に行ってもたくさんの船が停泊していますから、自分が乗る船を探し当てるのは大変です。中国の携帯電話を持っていて、かつ、中国語を片言でも話せる方であれば、携帯でガイドと連絡を取りながら自分の船に辿り着けますが、そうでない場合は相当の困難を伴うということを承知しておいてください。 |
さて、漓江下りは桂林から陽朔まで約100㎞を約4時間かけて船で下ります。朝8時くらいにホテルに迎えが来て、10時くらいに桂林の埠頭を出航し、午後2時くらいに陽朔に到着します。その間、上の写真にあるように桂林らしい風景を堪能できます。 ただ実際に、まさに桂林らしい風景になるのは楊堤から先ですし、また陽朔に近づいたころには漓江下りにもかなり飽きてきます。これを時間で言うと、出航後1時間くらいで楊堤付近に到着して、ハイライトの一つである黄布倒影(人民元20元札裏面の場所)を通過するのが出航後2時間半から3時間後ということになります。この間に集中して桂林らしい景色を楽しみたいところです。 |
上の写真は、リンゴのように見える岩です。遠くから望遠レンズでとっています。この日は天気があまり良くないので遠いと画像もかすんでしまいますが、「近づくとリンゴの形に見えないので今がベストポジションです」などと言っている船のガイドさんの割れた声がスピーカー越しに聞こえます。 実際に景観を楽しむということであれば、船室内にいるよりも船のデッキに出た方が良いです。「右に見えますのは○○、左に見えますのが××」という具合に説明がありますので、デッキにいた方が移動して見ることができるからです。 |
漓江下りで有名なスポットを二つ紹介します。 一つ目は、上の写真にある九馬画山です。九頭の馬が見えると言われる九馬画山。7頭が白で二頭が |
漓江下りで有名なスポット、二つ目は黄布倒影です。人民元20元札紙幣の裏面に描かれた場所として有名です。ここは確かに桂林らしい風景で、私は人民元20元札で見慣れていた風景なので、さすがに嬉しかったです。晴れていればもっとよく分かるのですが、山の影が漓江に映る姿もとてもきれいです。 今回の桂林観光の最大の目的も、ここ黄布倒影付近の風景を楽しむことにありました。実はここ黄布倒影の風景は漓江下りの船上からでは十分に楽しめません。何故ならば山の影が漓江の水面に映る姿があってこその黄布倒影ですので、漓江の対岸から山を眺めるためには岸にいる必要があるからです。そこで、今回の桂林旅行では黄布倒影付近のホテル、すなわち興坪古鎮から桂林側に少し上ったところにあるホテルに一泊しました。 |
話を戻しますと、漓江下りのハイライトは九馬画山と黄布倒影です。ところが困ったことに、この二つのスポットを通過する時間は、10時頃に桂林の埠頭を出発するとちょうど昼食時にあたってしまうのです。ですから、多くの観光客はこの二つのスポットを船室から見ています。 でも、どうなんでしょうか。漓江下りでは大した料理は出ません。ガイドは「食事の用意ができましたからどうぞ船室内で食事をお楽しみください」などとアナウンスしますけれども、私は少しだけ料理を口にしただけで、すぐにデッキに戻りました。黄布倒影から陽朔まで約一時間半、陽朔の街に行けばいくらでも美味しいもの(多少はマシなもの)を食べられます。陽朔で腹ごしらえすることを前提に観光したほうが良いと思います。 |
陽朔の船着き場です。午後二時くらいの到着です。黄布倒影から陽朔の間は、漓江も少し広々として来て、伸び伸びとした風景が広がります。漓江下りは初めてでしたので、桂林から陽朔まで4時間の船旅を選びましたが、陽朔発の漓江のぼりというツアーもあって、こちらですと陽朔から九馬画山まで観光することができます。こっちのツアーの方が良かったなあと思う次第です。このあたりの話は、陽朔の話の時に説明します。 漓江下りについてはこのページで詳細に紹介しています。 |
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黄布倒影(人民元20元札裏面の場所) |
前述した黄布倒影について少し詳しく紹介します。 黄布倒影は漓江下りを代表する風景で、人民元20元札紙幣の裏面に描かれている場所です。上の人民元札の写真からもわかるように、ポイントは、カルスト状の山々、漓江に映る山の影と奥にうっすらと見える山々です。 |
黄布倒影は興坪から少し桂林側に戻った場所にあります。漓江対岸から見ると確かに山の影が漓江に美しく映ります。ただ、天気や光線の加減で映り方はかなり左右されます。船上から見るよりはずっと綺麗なことは間違いありません。 |
私が興坪に宿泊した朝はあいにく雨が降ったりやんだりの天気でしたが、それでも軽く朝もやがかかった風景は昼間よりもずっと情緒があります。これを見たかったら、興坪に宿泊するしかありません。あるいは陽朔に宿泊して朝四時ごろタクシーで出発して興坪に向かっても間に合うことは間に合います。 |
興坪には上の写真のように「20円図案景観」とされている場所が、今回私が気付いただけでも二つあります。そのくらい人気がある風景なのです。いずれも興坪古鎮から桂林方向へ向かう道路脇にあって、そんなに目立つ案内看板はありません。 |
上の写真が「20円図案景観」とされている場所から撮影した写真です。二つ上の写真はそんな看板がある場所ではなく川べりから撮影した写真です。「20円図案景観」とされている場所は川から20mくらいの高さにある丘にありますので、そんなに悪いわけではないけど、山の全景が河に映しづらいですから、できれば川べりに出た方が景観としては良くなります。 |
漓江沿いの自動車の通れる道を歩いていると所々で漓江側の視界が開ける場所があって、様々な角度から黄布倒影の風景を楽しむことができます。ただ、私が最もおすすめするのは川べりからの風景です。 黄布倒影についてはこちらのページで詳しく紹介しています。 |
朝もやに煙る鵜飼い風景(水墨画のような世界) |
そんな黄布倒影の風景で最も素晴らしいと思うのは夜明けの時間です。周囲には街頭や建物などの明かりは全くありません。暗闇から夜が少しずつ明けてきて、黄布倒影が姿を現すときの素晴らしさは何とも形容しがたいものがあります。 この日はちょうど鵜飼いの漁師もいて思わぬ素晴らしいショットを撮影することができました。山の影と林の影の間を走る鵜飼いの船など、めったに撮影できるものではありません。ラッキーとしか言いようがありません。 |
この日は朝4時半に黄布倒影の向かいにあるホテル(興坪古鎮から歩いて15分程度)を出て、川岸に下りて夜明けを待っていました。あいにくの小雨模様でしたが、我慢強く待った甲斐がありました。私以外にも10人弱の観光客が夜明けを待っていました。そんなところにひょっこり漁師が表れていろいろなパフォーマンスを見せてくれたのです。 |
カメラを構えていた中国人観光客の一人がポーズをお願いして上の写真のように天秤棒の両端に鵜を乗せたポーズまで撮影できてしまいました。このホテルに泊まれば必ずこんな風景に出会えるというわけではありませんので誤解のないようにしてください。でも、桂林や陽朔の街中に宿泊していたら絶対に見れない風景であることは間違いありません。 |
まるで水墨画を見ているかのような風景です。夜明けの時間の天気は変わりやすく、霞が強くなったりしますが、かえって霞が強い方が雰囲気の良い写真が撮れるようです。上の写真は私が気に入っている写真の一つです。 |
黄布倒影の山影を通過する鵜飼いの小舟です。昼間にこの同じ場所に来ても、このページの上の方で紹介したような人民元20元札の風景でしかありえないのですが、朝のこの時間、すなわち漓江下りの遊覧船が通る前の時間、できれば夜明けの時間であれば黄布倒影の風景が広がっているのです。 |
パフォーマンスに少し疲れた漁師がしゃがむのも絵になります。本当の桂林の風景がここにはあるような気がします。 |
すっかり夜が明けてきてしまいました。タバコを吸う漁師です。漓江に映る黄布倒影の山影もかなりはっきりしてきました。漓江に映る鵜飼いの小舟の影も悪くないですね。 朝の興坪、素晴らしい風景に巡り合えました。一泊ではなく二泊すべきだったと後悔しています。 |
CTN漓江ホテル(Li River Hotel) |
私がこの日興坪で宿泊したホテルはCTN漓江ホテル(Li River Hotel)です。黄布倒影の目の前にあって、川べりに出れば黄布倒影の風景が広がります。天気が良ければ上の写真のような風景も楽しめるようです。(あくまでも川べりに出ればという意味です。ホテルのリバービューの部屋でも木々に遮られて漓江の眺めはそれほど良くありません。) 桂林や陽朔と違って夜は寂しい場所ですが、朝の黄布倒影を楽しめるのでおすすめのホテルです。歩いて15分くらいの興坪古鎮まで行けば何軒かのレストランやバーがあります。とは言え、途中に街灯や建物がなく真っ暗になりますから移動にはトゥクトゥクを利用したほうが安全です。 フロントには英語の流暢なスタッフも一名います。彼女の言によれば、日本人はめったに宿泊しないホテルだそうです。彼女以外も感じの良い親切なスタッフばかりですし、セキュリティも一定の水準にありますので、快適に滞在できるはずです。桂林観光を予定しているならぜひ検討してみてください。 |
興坪古鎮 |
興坪は桂林と陽朔を結ぶ漓江の途中にある古い街で、中国広西チワン族自治区桂林市陽朔県に属しています。バスで移動すると、桂林から約1時間半、陽朔から1時間弱かかる場所にあります。興坪の歴史は今から1700年以上前の三国時代(西暦265年)に遡ります。歴史のある古い街で、興坪にはそうした中国の古鎮としての味わいに加えて、漓江観光の拠点としての魅力もあります。 興坪の周りには黄布倒影や九馬画山といった漓江沿いの名所に加えて、筏(いかだ)遊びの拠点にもなっていて漓江観光の拠点としての人気も高いものがあります。上の写真は興坪の筏乗り場です。私も興坪古鎮から後述する興坪漁村まで筏に乗って移動しました。船で移動する漓江下りとはまた違った楽しさがあります。 |
上の写真は興坪古鎮を桂林側から入るところです。山々と漓江に囲まれた狭いエリアに、明代・清代に建てられた建物が集積しています。 |
雨上がりの朝の興坪古鎮のメインストリートです。何百年もの歴史を刻む石畳の道路の両脇に商店が並びます。興坪は漓江観光の拠点となる観光地ですが、まだいわゆる観光地らしい土産物屋はなく、地元の人向けの商店がほとんどです。多少は土産物っぽいものも販売されてはいますが、素朴な古鎮としての味わいが感じられます。 |
朝七時過ぎの古鎮です。 ひっそりとしたこの時間に古鎮を歩くと、遠い昔にタイムスリップしたかのようです。因みに右の建物は現在カフェとして利用されていて、その奥には戯台といって村での催し物が開催されていた建物があります。 |
興坪古鎮にはレストランや食堂も点在しています。のちほどグルメの項目でも紹介しますが、そうしたレストランでは地元の広西料理のメニューに加えて、スパゲティやピザ、ハンバーガーといった欧米からの観光客向けのメニューもあります。店内の雰囲気は中国民家風、料理は地元の料理と欧米料理といった具合になります。 |
商店の数はそれほど多くなく、メインストリートを少し歩けば民家もあります。どこにでもある中国の田舎の風景ですが、欧米からの観光客も大勢やってくる観光地でこうした風景が見られる場所はそれほど多くありません。ノスタルジックで良い雰囲気です。 |
小型トラックで遊ぶ地元の子供たちです。興坪古鎮では、北京、上海や広州などの大都市ではほとんど見かけない中国製の小型トラックをよく見かけます。なかには、ヘッドライトが今にも落ちそうな古い車も走っています。そんなところが古鎮らしい雰囲気をさらに高めています。 |
興坪のタクシーです。これは新車のタクシーです。でも、車の性能が悪いのでスピードはあまり出ません。構造的にはタイのトゥクトゥクと同じで、小型のトラックの荷台を改造してお客さんを乗せます。 私のホテルは興坪古鎮から歩くと15分くらいあったので、タクシー(トゥクトゥク)をよく利用しました。私のホテルから興坪古鎮まで、一人で乗っても二人で乗っても10元です。興坪のタクシーは女性ドライバーが多いです。このドライバーは威勢が良くて親切です。私の顔を覚えてくれて、すれ違うと必ず声をかけてきます。当然ですが、英語は話せません。中国語しか通じませんので念のため。 |
夜8時くらいの古鎮です。もう歩いている人も殆どいません。興坪古鎮にはホテルや旅館はたくさんあるのですが、 皆さんどこに消えてしまうのでしょうか。私が宿泊したホテルのスタッフに聞いてみると、古鎮の中心部に行ってみたところでどうせ大した店はないのでホテルの中や隣接したところでご飯を食べたりお酒を飲んでますよということでしたが。 |
古鎮にあるレストラン兼バーです。殆どお客さんなんかいません。 本当にひっそりとした古鎮の夜です。これが陽朔ですと、欧米人向けや中国人観光客向けのバーが夜遅くまでにぎわっています。そうしたナイトライフを楽しみたい人は陽朔が向いていますし、むしろ早起きして朝の幻想的な風景を楽しみたい人には興坪が向いているということになるでしょう。 |
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興坪漁村 |
日本語のサイトでは、興坪古鎮と興坪漁村が同じ場所であるかのように描かれているサイトが多いのですが、興坪古鎮と興坪漁村は場所が全く違います。興坪漁村へは興坪古鎮から筏に乗っていきます。漓江を下って所要時間20分くらいです。筏の話は後で紹介します。 さて、興坪漁村とはどんなところかというと、興坪古鎮が古い街なのに対して村ですから、民家が集積しているエリアです。かつてクリントン元大統領が訪問した村なのですが、クリントン元大統領が何故興坪漁村を訪問したのかはよく分かりません。ただ、興坪漁村の金玉満堂という建物に行くと、当時の写真が紹介されていて、金玉満堂の屋根で撮影した写真も飾られています。そこで、金玉満堂の屋根が一つの観光名所になってしまいます。 |
金玉満堂の屋根に上ると1元取られます。そして、記念写真を金玉満堂のスタッフのカメラで撮るよう盛んにすすめられます。おそらく10元か20元すると思います。そこで、記念に私のiPhoneで写真を撮ってもらったのですが、それですと1元です。私が自分でシャッターを押す分にはもちろんタダです。 民家の屋根が連なり、その奥に桂林らしいカルスト状の山々が連なる風景はなかなか良いものです。このあたりの民家の屋根は、明代のものだと思います。いわゆる徽式(現在の安徽省あたりで多い様式)の建物で、白壁と灰色の瓦、そして、小さい窓も特長です。夏暑くなる桂林では屋根を高くして空間を作ることにより、部屋の中が暑くなるのを防止しているのです。 |
興坪漁村で見かけた倉庫です。倉庫も相当に年季が入っています。このように、興坪漁村と興坪古鎮は全く違う雰囲気を持っています。ただ、足の便の悪い興坪漁村まで わざわざ行く価値があるかというと、漓江の筏下りをしてみたい人なら大いに行く価値はあると思います。私も筏下りをしたくて興坪漁村まで行ったようなものです。因みに興坪古鎮で声をかけてきた筏乗りから200元で往復すると誘われたのですが、交渉の結果、1時間90元で往復してもらいました。筏には4人まで乗れますから、一人あたりにすれば安いものです。(2016年現在。なお、私は一人旅でした。) |
そこで筏(いかだ)下りの話です。筏と言ってもエンジンがついていますから、モーターボートみたいなものです。興坪古鎮にはたくさんの筏が並んでいますから、筏の近くに行ってキョロキョロしていれば船頭が声をかけてくるはずです。 船頭は中国語しか話せないので、交渉は中国語になります。中国語を話せない人は「興坪漁村まで行きたい。往復でいくらですか?(我想去兴坪渔村。往复多少钱?)」と書けば、料金を数字で答えてきますから、予めこの文言を紙に書いておいてペン持参で行ってください。 |
興坪古鎮から興坪漁村に行く筏から撮影した写真です。遊覧船より水面が近いので風景はずっと良いものになりますし、もともとこの区間の風景は最も桂林らしいところなので、きっとこの筏での往復は桂林旅行の良い思い出になるはずです。詳しくは興坪漁村のページで紹介しています。 |
陽朔とその周辺 |
続いて、漓江下りの終点である陽朔の街について紹介します。結論から言うと、桂林旅行をするなら陽朔を拠点にすると良いというのが私の考えです。桂林市内に宿泊するのではなく陽朔に宿泊するのです。そして、一泊くらい興坪に宿泊するともっと良いでしょう。 ホテルは高級ホテルからゲストハウスまで揃っていますし、食堂やレストランは旅行者が食べやすい料理が揃っています。また、桂林のように街が大きすぎませんから旅行者にとっては居心地も良いのです。さらに言えば、桂林市内より風光明美ですし、空港からの直通バスや興坪にある新幹線駅(高鉄陽朔駅)へのバスもあります。 上の写真は西街という陽朔のメインストリートですが、その賑わいは写真から十分にわかると思います。興坪と違ってナイトライフも充実していますので、一日中楽しめる街が陽朔だと思います。 |
欧米からの観光客はそうした情報を豊富に持っていますから、陽朔に行くと欧米人の多さに驚かされます。欧米人の老若男女が陽朔を起点に桂林観光(漓江観光)をしているのです。当然ですが、欧米からの観光客が多いので英語の通用度も桂林市内より上回っています。 また、桂林から陽朔までの漓江下りよりも、陽朔から興坪までの漓江のぼりの方が時間も短く要所を見て回れるのでベターではないかと考えていることについては前述したとおりです。 |
陽朔を起点にした現地ツアーもたくさんあって、上の写真は遇龍河といってWindowsの背景画面にも出てくる場所です。この日はあいにくの天気であまり綺麗に見えないかもしれませんが、晴れていれば素晴らしい景色になるスポットです。ここも筏遊びで有名な場所です。 |
また、上の写真は世外桃源郷(シャングリラ)というテーマパークです。陶淵明が「桃花源記」の中で描いた桃源郷が桂林らしい山々に囲まれた一帯に再現されています。 その他、洞窟や岩場など様々な観光スポットが陽朔周辺には点在していて、それらを組み合わせたツアーが数多く企画されていますから、陽朔の旅行代理店やホテルなどで予約して参加すればよいのです。私は陽朔からの半日ツアーに参加しました。日本語ツアーは高いでしょうけど、英語ガイド付きツアーなら100元くらい払えば、当日でも様々なツアーに参加できます。 ただ、私が英語ガイド付きツアーに参加してみたら、ツアー参加者のほとんどは中国人で、外人は私を含めて3人しかいませんでした。英語付きツアーとでも呼ぶべきものです。中国人観光客は集合時間を守らないので、30分くらい出発が遅れるのは日常茶飯事です。そうしたマナーの悪い中国人のツアーに入っても腹を立てない方にしかおすすめできませんが。 |
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桂林のグルメ |
最後に桂林のグルメについて触れたいと思います。桂林と言えば有名な料理は桂林米粉です。桂林米粉は桂林を発祥の地として中国全土で食べられますが、桂林に来たらぜひ味わいたい料理です。というか、実は桂林の料理というのは基本的に広西料理なのですが、この広西料理は日本人の口には合わないと私は思うのです。私は中国の料理が大好物で、広東料理、上海料理、北京料理、中国東北料理、それに四川料理や湖南料理といった本場ではすごく辛い料理も含めて、口に合わないなどと感じたことはないのですが、この広西料理は正直言って美味くないと思うのです。広西料理についてはのちほど紹介するとして、まず桂林米粉です。桂林米粉だけは桂林で美味しく感じた地元の料理です。 |
桂林でも陽朔でも興坪でも、桂林米粉の食堂はたくさんあります。どこに入ったら良いかというと、お客さんで賑わっていて清潔な食堂を選ぶのが無難だと思います。 こういう食堂に入ったら、まず食券を買います。そして食券を持って「取粉」と書いてある窓口に出します。そうすると調理場の人が作り始めますからできるのを待ちます。混んでいると3分くらいかかるかもしれません。まあ、田舎ですからお店の人もお客さんも外人に対して親切です。言葉が話せない人に対しては特に親切で、言葉が話せない人の分が出来上がると指さして教えてくれたりもしますから安心です。 |
そして上の写真のように盛り付けられて出てきます。タレが丼の下の方に入っていますが、唐辛子やニンニクなどの調味料が予め入っている食堂もあれば、調味料が全く入ってなくて調味料置き場で自分で好きなだけ入れる食堂もあります。 米粉は日本語でいえばビーフンです。米を液状にして練ったうえで火を通して圧縮し、麺状に固めたものです。切り口が丸いものを米粉(ビーフン)と呼び、平たいものを切粉(チェーフン)と呼びます。見た目からして日本のうどんのようで、柔らかくつるつるしていて日本人なら好きになる味だと思います。 |
日本のうどんと異なるのは食べ方です。一般的にはスープに入れずにタレとかき混ぜて食べる鹵菜粉です。タレが下に入っていて、これに調味料を自分で好きなだけ入れてかき混ぜるのです。上の写真はかき混ぜた後の米粉です。焼いてない焼うどんというか、うどんで作った油そばというか、まあ、そんなような感じです。これは美味いです。 私はもともと麺類が好きですからあまり参考にならないかもしれませんが、今回桂林で食べた桂林米粉はどこも美味しかったです。ただ、賑わっている店を選ぶという店選びのコツを実践しているからかもしれません。 桂林米粉についてはこちらのページで詳しく紹介しています。 |
桂林米粉が口に合うからと言って、毎日毎食桂林米粉を食べるわけにもいきません。そこでやはり地元の料理はどうなんだろうかということになるわけです。すなわち、広西料理です。 広西料理は広東省の広東料理(素材の味を生かした料理)と湖南省の湖南料理(唐辛子をかなり効かせた辛い料理)の間などという人もいますが、それは地理的なことを言っているだけで味付けの説明ではありません。広西料理は海の素材が入手しづらいエリアですから、味付けを濃いめにして食べるのが特徴で、甘味、辛味と酸味を組み合わせた料理ですが、広東料理や上海料理などと比べるとかなり脂っこくなってしまいます。 広西料理で有名な料理にビール魚(啤酒魚)という料理があります。上の写真です。陽朔名物だともいわれています。これは川魚をビールを入れた鍋で煮た料理です。魚をビールで煮るという調理法は新たな発見ではありますが、もしそれが美味しいのであれば中国全土にこの調理法が広がるはずです。当然美味しくないから他のエリアに広がらない。でも、美味しくない素材(魚)しか手に入らないからこんな調理法を用いる。そんな感じの料理です。もちろん、私は食べませんでした。 |
そうしたなかでできるだけ美味しく広西料理を食べようとしたら、賑わっているレストランを選ぶという鉄則に加え、良い油を使っていると思われる大型の比較的高級なレストランを選ぶと良いと思います。上の写真は、中国のサイトで評価の高いレストランで食べた奇香茄子(茄子の甘辛揚げ)です。これは私が桂林で食べた広西料理の中では最も美味しく感じた料理です。これとて、脂っこい中華料理が大好きな私さえ脂っこいと感じる料理ではありました。 |
チャーハンくらいは口に合うかなと思って、二回ほどチャレンジしました。初回は上の写真の広西風酸辣チャーハンです。見るからに水分が飛んでないダメな炒飯の典型ですが、それはこのレストランの火力が弱いからだろうと許してあげても、米が美味しくないのです。これは致命傷です。レストランのシェフに聞いたら、この味付けが本来の桂林風だと胸を張って言っていましたが、酸っぱいけども辛さが足りなくて、逆に甘さが意外に強すぎます。酸辣チャーハンだからもっと辛いと思っていたのに、広西料理のだめさ加減を再確認させられるチャーハンでした。 もう一回は中国全土で食べられる揚州炒飯(玉子チャーハン)にしたのですが、これまたベチャベチャなご飯で、炒飯らしさが感じられない料理です。水分が多い米質でチャーハンに合わないのだろうかとか、もともと桂林の米が美味しくないのだろうかなどと疑いたくなってしまいます。 そこで旅行後に二人の中国人に「桂林の米は美味しくないね」と言ってみたところ、「桂林の米は美味しいですよ。美味しいから米粉も美味しいのです」と言われてしまいました。彼らの言によれば、たまたま行ったレストランの調理が下手だったのではないかという意見ですから、次回はもう一度広西料理にもチャレンジしてみたいと思っています。 |
仮に私が言うように広西料理が美味しくなかったとしても、そんなに悲観することはありません。上の写真にあるように、興坪のレストランでさえ、広西料理だけでなく各種洋食もメニューに載せているのです。左にサンドイッチやピザがあり、右下にハンバーガーやスパゲティが見えますね。広西料理がどうしても口に合わなければ洋食に逃げる手はあるのです。 |
でももっと良い方法は美味しい広東料理レストランに行くことです。上の写真は桂林市内の椿記焼鵝というレストランで食べたガチョウのローストです。まさに広東料理です。 桂林が所在する広西エリアは広東省に隣接しています。また、広西エリアはガチョウの産地でもあるので美味しいガチョウが食べられるのだそうです。確かにここのガチョウのローストは香港や広州などで食べるものに遜色ない、と言うよりもむしろ美味しいくらいの味です。肉も良いですし、写真からもわかる通り焼き方も素晴らしいです。 |
上の写真は同じく椿記焼鵞で食べたホタテと春雨のニンニク蒸です。これも広東料理の定番です。味付けは素晴らしいです。でも悲しいかな、ホタテが小さくて豪華さに欠けます。これが山奥にある桂林で食べる限界なのです。良い素材が安価に手に入らないのです。したがって海の幸については素材の質が良くないということになるのです。 でも味付けは上手ですから大変満足できました。桂林に来て広東料理を食べるなどというのは邪道ですが、美味しくない広西料理を食べて欲求不満になるより、ずっと良い思い出になります。なお、椿記焼鵞では広西料理も食べられますので、こういうレベルの高いレストランで広西料理に挑戦すれば、ひょっとして美味しいのかもしれません。 |
グルメの紹介の最後はやはり桂林米粉です。今度はスープ入りの米粉です。これですとまさに日本のうどんを食べているような気分です。私としては先に紹介したスープなしの鹵菜粉の方が好みではあります。 いずれにしても、朝食や昼食時には桂林米粉の食堂で米粉ともう一品何か注文して軽い食事をとるのが、日本人の口に合う桂林でのグルメの楽しみ方かななんて思います。そして、夕食は広西料理へのチャレンジは一回くらいにして、むしろ地理的に近い広東料理か湖南料理あたりを食べるのが無難な気はします。ただ、湖南料理はかなり辛いので激辛料理を苦にしない人にだけおすすめします。 |
桂林 TOP |
桂林の魅力(桂林観光のポイント) |
漓江下り |
陽朔 |
遇龍河(陽朔から現地ツアー) |
世外桃源郷(陽朔から現地ツアー) |
興坪とその周辺 |
興坪の朝の鵜飼い(水墨画の風景) |
黄布倒影(人民元20元札) |
興坪古鎮 |
筏に乗って興坪漁村へ |
高鉄陽朔駅(中国新幹線で桂林へ) |
桂林のグルメ |
本場の桂林米粉 |
おすすめレストラン、椿記焼鵝 |
桂林は広西料理の本場 |
桂林に行くなら
中国では規制により |