興坪で水墨画の桂林を見る |
桂林と言えば水墨画の世界。こんな風に考えるのはちょっと年とった人だけかもしれませんが、実は私が桂林に対して持っていたイメージはその水墨画の世界で、今回の桂林観光はまさに水墨画の世界をこの目で見たいというその欲望から思い立ったものです。 では、その水墨画の世界はいつどこに行けば見れるのか、いろいろ調べてみましたけれども、場所は興坪古鎮のあたりなら間違いないだろうということで、黄布倒影(人民元20元札裏面の場所)の近くのホテルを一泊予約しました。そして時期なのですが、これは早朝であれば季節を問わないようでもありますが、確実なのは雨季(4月から7月)だろうとあたりをつけて、時期を定めました。 結果的に上の写真にあるような光景をこの目で見ることができたわけで、実に感慨無量です。水墨画のような桂林の風景をお望みならぜひ参考にしてください。但し、季節的にはもう少し自由度を高く持っても大丈夫です。 |
水墨画の世界の話をする前に、興坪や黄布倒影について若干ご紹介します。 黄布倒影は漓江下りを代表する風景で、人民元20元札紙幣の裏面に描かれている場所です。上の人民元札の写真からもわかるように、ポイントは、カルスト状の山々、漓江に映る山の影と奥にうっすらと見える山々です。 黄布倒影は興坪から少し桂林側に戻った場所にあります。漓江対岸から見ると確かに山の影が漓江に美しく映ります。ただ、天気や光線の加減で映り方はかなり左右されます。船上から見るより漓江対岸からから見た方がずっと綺麗なことは間違いありません。 |
実はここ黄布倒影の風景は漓江下りの船上からでは十分に楽しめません。何故ならば山の影が漓江の水面に映る姿があってこその黄布倒影ですので、漓江の対岸から山を眺めるためには岸にいる必要があるからです。そこで、今回の桂林旅行では黄布倒影付近のホテル、すなわち興坪古鎮から桂林側に少し上ったところにあるホテルに一泊したわけです。 興坪の夜は特に楽しめる場所もありませんので早寝早起きして、夜明け前から黄布倒影の対岸で水墨画の風景を楽しむ、これが興坪一泊の最大の目的です。 |
桂林から興坪へはバスでも行けるのですが、せっかくですから漓江下りの船で陽朔まで約4時間かけて船で下り、陽朔から興坪へバスで戻ると良いでしょう。漓江下りの船は10時くらいに桂林の埠頭を出航し、午後2時くらいに陽朔に到着します。その間、上の写真にあるように桂林らしい風景を堪能できます。そして、2・3時間陽朔で遊んでから興坪にバスで戻ると漓江の夕暮にも間に合います。時間のある人は陽朔でも一泊すると良いと思います。桂林に宿泊するよりは陽朔に宿泊したほうが観光客としては快適だと思います。 |
興坪の漓江の岸辺です。筏下り用の筏が並んでいます。この筏下りも楽しいものです。私は筏で片道20分くらいかかる興坪漁村に行きましたが、漓江下りとはまた違った味わいや雰囲気を楽しめます。 |
興坪は桂林と陽朔を結ぶ漓江の途中にある古い街で、中国広西チワン族自治区桂林市陽朔県に属しています。バスで移動すると、桂林から約1時間半、陽朔から約1時間ほどかかる場所にあります。興坪の歴史は今から1700年以上前の三国時代(西暦265年)に遡ります。歴史のある古い街で、興坪にはそうした中国の古鎮としての味わいに加えて、漓江観光の拠点としての魅力もあります。 興坪の周りには黄布倒影や九馬画山といった漓江沿いの名所に加えて、筏(いかだ)遊びの拠点にもなっていて漓江観光の拠点としての人気も高いものがあります。 |
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夜明けの黄布倒影(人民元20元札裏面の場所) |
私が桂林を旅したのは6月上旬で、季節的には雨季に属します。空は厚い雲に覆われ、時折雨が落ちてくる生憎の天候です。ところが水墨画の世界を見るためには、この季節の方が確実なのです。 興坪古鎮から15分も歩いた場所にあるホテルの周りには街頭や建物などの明かりは全くありません。暗闇から夜が少しずつ明けてきて、黄布倒影が姿を現すときの素晴らしさは何とも形容しがたいものがあります。朝4時半に起き、黄布倒影(人民元20元札裏面の場所)の近くのホテルから歩いて3分くらいの岸辺に出てみると、まだ真っ暗だったのですが、目が暗闇にだんだん慣れてくるとそこに鵜飼いの小舟を見つけました。全くの想定外で、これ以上のお膳立ては考えられません。 雨が降ったりやんだりの天気ですが、うまい具合に山々に雲がかかっています。 |
5時半くらいから多少明るくなった空も、雲の加減で明るくなったり暗くなったりします。そんななかを鵜飼い船が私たちのカメラを意識してくれたのか、あちらこちらへ動いてくれて、しかもポーズをとってくれたりします。何か夢のような世界です。実は私以外にもカメラを持って同じ岸辺に来ていた中国人が三人もいて、合計4人のレンズを意識しているかのように小舟が漓江を漂います。 この鵜飼い船はいつもいるわけではないので決して誤解しないでください。 |
この雨が降ったりやんだりの天気が軽く朝もやがかかった風景を生み出し、昼間よりもずっと情緒ある風景に仕上げてくれます。これを見たかったら、興坪に宿泊するしかありません。あるいは陽朔に宿泊して朝四時ごろタクシーで出発して興坪に向かっても間に合うことは間に合いますが、前日に撮影スポットを決めておかないと、当日では探しきれないと私は思います。 |
これぞ水墨画の桂林という写真が撮れたのは6時10分前くらいでした。実は三脚も持って行ってないのでかなり苦労してしまいました。三脚を持っていればもう少し早い時間からバシバシとシャッターを押せたと思います。岸辺に着いたのが5時過ぎでしたから随分とシャッターチャンスを逃したということになります。 |
上の写真は人民元20円の図案に近い構図で撮影したものです。小舟が山の影の間に出てくれていれば、つまりもう少し左に出てくれていればもうちょっと良い写真になっていたでしょう。 |
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黄布倒影は漓江に映る山の影が美しいことからつけられた名前です。その山の影に重なるように止まる鵜飼の小舟です。まさに黄布倒影らしい鵜飼いの風景が上の写真です。その美しさに心の中で感嘆の声を挙げながら撮影した写真です。 |
この小舟の漁師は私たち観光客の目を楽しませてくれるサービス精神の持ち主なのか、パフォーマンスもしてくれました。一緒にいた中国人観光客と相談して少しチップを渡すことにしました。上の写真は少し明るくなってからの写真です。 |
チップをお渡しする前でも、上の写真のようなパフォーマンスを見せてくれました。カメラを構えていた中国人観光客の一人がポーズをお願いしたからですが。 天秤棒に乗っていない一羽の鵜もパフォーマンスを見せてくれています。 |
休憩中の小舟もそれはそれで絵になります。水面に映る小舟の姿が叙情的です。 |
CTN漓江ホテル(Li River Hotel) |
私がこの日興坪で宿泊したホテルはCTN漓江ホテル(Li River Hotel)です。黄布倒影の目の前にあって、川べりに出れば黄布倒影の風景が広がります。天気が良ければ上の写真のような風景も楽しめるようです。(あくまでも川べりに出ればという意味です。ホテルのリバービューの部屋でも木々に遮られて漓江の眺めはそれほど良くありません。) 桂林や陽朔と違って夜は寂しい場所ですが、朝の黄布倒影を楽しめるのでおすすめのホテルです。歩いて15分くらいの興坪古鎮まで行けば何軒かのレストランやバーがあります。とは言え、途中に街灯や建物がなく真っ暗になりますから移動にはトゥクトゥクを利用したほうが安全です。 フロントには英語の流暢なスタッフも一名います。彼女の言によれば、日本人はめったに宿泊しないホテルだそうです。彼女以外も感じの良い親切なスタッフばかりですし、セキュリティも一定の水準にありますので、快適に滞在できるはずです。桂林観光を予定しているならぜひ検討してみてください。 |
朝もやに煙る鵜飼い風景 |
6時を回り、夜明けの時間から朝もやの時間へと入ってきました。空は厚い雲に覆われていますので、日の出の様子などは望むべくもありません。が、それ以上に感動させてくれるのが朝もやです。そして、黄布倒影の山にかかる何層かの雲も絵にかいたような美しさです。 |
この日は6時半過ぎまではこのような風景が見られました。結局、朝1時間半くらいは漓江の岸辺で朝の桂林の美しさを堪能することができました。 |
このホテルに泊まる場合でも、前日に写真を撮る場所を確認しておくことをおすすめします。漓江沿いに自動車も走れる道路が走っていますが、その道路から岸辺に出れる場所はそれほど多くありません。また、黄布倒影がよく見える場所がどこの岸辺なのかは、夜明け前の真っ暗な状態では確認のしようがないからです。 |
同じ撮影場所から黄布倒影以外の場所を撮ったものです。悪くはないですが、黄布倒影の山が見えている方が桂林らしい風景に見えませんか。ですから、せっかく桂林で早起きして漓江の朝を見るのであれば、黄布倒影を背景にした場所を確認しておくことが大切なのです。 |
山の影と鵜飼いの小舟の位置を合わせてみたのですが、それでも黄布倒影の山影にいるときとはかなり雰囲気が違います。見慣れている風景かどうかという点もあるとは思いますが。 |
黄布倒影の影に合わせた上の写真の方が、ずっと美しく見えます。 |
朝の時間で最も気に入った風景が上の写真です。雲のかかり方が絶妙です。漓江の水面は穏やかで、山影が水面に美しく浮かんでいました。 |
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朝を迎えた興坪 |
6時半を回ったころから空は一気に明るさを増し、雰囲気が大きく変わってきます。 |
漁師にお願いして休憩してタバコを吸ってもらいました。 |
鵜飼の小舟にいた漁師もお疲れです。 |
撮影に協力してくれた漁師さんはこのような方でした。突然の出演ありがとうござましたと心から感謝申し上げたいと思います。 |
漁師さんが帰っていきます。 |
朝7時くらいに漓江に出るとこのくらいの明るさですから、それはそれで美しいのですが7時でも8時でも漓江は静かですから、遊覧船や筏が走り出すまでの時間は同じような風景です。どうせ早起きするならもう2時間早起きしましょう。 |
鵜飼いの小舟が去っていった静かな朝の漓江です。 興坪エリアや昼間の黄布倒影についてはこちらのページで詳しく紹介しています。 |
興坪古鎮 |
最後に、興坪古鎮について少しだけ触れておきます。 上の写真は興坪古鎮を桂林側から入るところです。写真からもお分かりの通り、山々と漓江に囲まれた狭いエリアに、明代・清代に建てられた建物が集積しています。 |
朝七時過ぎの古鎮です。 ひっそりとしたこの時間に古鎮を歩くと、遠い昔にタイムスリップしたかのようです。因みに右の建物は現在カフェとして利用されていて、その奥には戯台といって村での催し物が開催されていた建物があります |
7時半くらいから古鎮の商店がボチボチ営業を開始します。食堂など7時にはかなりの数が営業を開始しています。9時くらいになると観光客も増えてきますので、古鎮らしい静かな雰囲気を味わうなら、それまでの時間に見て回ることをおすすめします。 |
桂林 TOP |
桂林の魅力(桂林観光のポイント) |
漓江下り |
陽朔 |
遇龍河(陽朔から現地ツアー) |
世外桃源郷(陽朔から現地ツアー) |
興坪とその周辺 |
興坪の朝の鵜飼い(水墨画の風景) |
黄布倒影(人民元20元札) |
興坪古鎮 |
筏に乗って興坪漁村へ |
高鉄陽朔駅(中国新幹線で桂林へ) |
桂林のグルメ |
本場の桂林米粉 |
おすすめレストラン、椿記焼鵝 |
桂林は広西料理の本場 |
桂林に行くなら
中国では規制により |