ジャイアントパンダ繁殖研究基地とは |
日本の動物園でも最も人気のある動物がパンダです。もともとは中国にしかいない動物で四川省や陝西省などの山奥に生息していました。ところが現在では生存しているジャイアントパンダは2000頭を下回り、ワシントン条約で絶滅危惧種として指定されています。 |
ここ成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地は1987年にこの絶命危惧種のパンダ保護を目的に設立され、6頭の病気にかかっていたりケガをしたりしていた野生のパンダの保護をスタートにして、その後約150回の出産を経て200頭を超えるパンダが出生し、うち150頭以上が現在も生存している(いずれも2015年現在)という成果をあげています。 ここで見られるジャイアントパンダはこの基地で生まれた子が多いようで、養育が難しいと言われているジャイアントパンダをこれだけ育てた研究機関は他にもありませんし、これだけ多く見ることができる場所は中国でも他にありません。 |
多くのパンダは育成する建物の中に入っていてガラス越しにしか見ることはできませんが、毎日何頭かはテラスや自然の林の中で放たれていますので、観光客はそうしたジャイアントパンダを身近に見て、写真やビデオをとることができます。 特にテラスには大好物の竹が置かれていますから、そこでパンダの食事風景を見ることが可能です。 |
パンダは朝のうちに活動すると聞いていますので、訪問するなら朝です。私が行ったのは11月です。朝8時半でも上の写真のように濃い霧が立ち込めています。実は私が帰る11時半でも濃い霧が立ち込めたままでした。成都は盆地で昔から霧が出やすいという気候であるのに加え、PM2.5もかなり悪い数値です。 そして、この成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地は成都市街から離れたところにあって自然が多いことも霧が出やすい原因の一つです。上の写真は成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地の入口です。ジャイアントパンダは中国語では大熊猫と書きます。 なお、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地への行き方はこちらのページにまとめてありますので参照してください。 |
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成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地の概要 |
成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地は成都市郊外の山の中にあります。園内は上の写真にある通り山の中です。樹々が生い茂り自然が残る場所に広さ約130ha(上野動物園の約10倍)の敷地を有しており、そこにパンダの生育できる環境を作るとともに、研究センター、パンダ用の病院、産院、飼育室なども建てられ、パンダの保護活動を進めているわけです。 |
観光客が入れない場所には、上の写真のようにパンダが本来の自然の中で戯れる姿も見ることができます。霧の中ですからなかなかパンダを探すのは難しいですが、よく目を凝らせばこのように野生のわぅなパンダも見ることができます。 |
また、パンダの大好物である竹を取るスタッフの姿も多く見かけます。二百頭近いパンダの旺盛な食欲に対応するための竹を取るわけですから、スタッフの方のご苦労は大変なものでしょう。因みにパンダが最も好むのは筍だと聞いていましたが、筍も時々あげるのでしょうかね。 |
園内の地図は成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地のホームページに掲載されています。ですが、実際に園内を歩いてみると、上の写真にあるように案内看板があちこちにあるのでほとんど迷いません。嬉しいことに日本語も書かれています。迷うとすれば自分がどこにいるのかが分からなくなってしまうことだけで、自分がどこにいるかわからなくなったら、看板になっている地図もあちこちに立てられていますから、その地図を見て確認するのが最も良いと思います。 ホームページの地図は予め見ておいて、大体の配置を頭に入れるためのものと考えれば良いでしょう。 |
多くのパンダは飼育室に入っています。飼育室には鉄の檻があって外からはガラス越しに見えるだけです。この飼育室内のパンダは写真やビデオ撮影には適しません。上の写真のように光ってしまいますし、そもそもガラスが汚れています。ですから可愛いパンダの写真を撮ろうと思うなら外にいるパンダを撮った方が良いと思います。 |
上の写真の陽にパンダがいるステージがいくつもあって、そこに日替わりでパンダが来るようになっています。大好物の竹が置かれていますので、ご飯を食べるパンダを身近で見れるようになっているのです。5mから10mくらいの距離にパンダがいます。 左のパンダのようにご飯を食べていてくれれば一番絵になるのですけれども、右のパンダのように寝ていられるとちょっと困ったものです。右のパンダはご飯を食べてお腹いっぱいになってしまっていたのかもしれません。パンダが最もよく活動する時間帯は朝です。ですから、8時の開園の直後を狙って行けば、ご飯を食べているパンダをたくさん見ることもできますし、また、見学客もあまり多くありません。ここでも早起きは三文の得なのです。 |
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パンダの可愛い食事風景 |
大好物の竹に囲まれて嬉しそうなパンダ二頭が並んでいます。右側のパンダは上の写真では 横になっていたパンダで、竹を食べては寝て、また起きだしては竹を食べるということを繰り返しています。一方左のパンダは次から次へと竹を食べ続けています。 パンダの食事風景は可愛いので、左のパンダの例でパンダの食事風景を順を追って見てみましょう。 |
竹を何本か手にして、竹をつかみやすくするために枝の部分を食べ始めます。 ところで、パンダは四千年前からいた動物で、その頃は熊などと同じように肉食動物だったようです。それが氷河期に入り山に動物がいなくなり、また木の実などもなくなってしまった中で、いつの日か竹を食べることを覚え、今は竹を食べるようになってしまったということです。逆の言い方をすれば、その時にパンダが竹を食べることを覚えなければ、氷河期にパンダは絶滅していたかもしれないとさえ言われています。 地球の気候変動など環境変化に対応するため、パンダの体が進化したという説です。例えばパンダの奥歯が竹の幹や笹の葉をかみつぶしやすいように平らになっているのもそうした進化の一つだそうです。ただ、そのような進化を遂げたにしても、竹の栄養分は少ないのでパンダの体をキープしていくためには沢山の竹を食べないと生存していけないそうです。パンダが朝から晩まで食べているのはそうした栄養補給のためには不可欠な行動なのです。 |
パンダが太い部分をかみ砕くのも奥歯を使います。上の写真はまさに枝をかみ砕いている様子だと思います。 |
上の写真も下の写真も、パンダが美味しそうに竹の枝を口でしゃぶっているかのように見えます。よく見ると、上の写真はまさに口の中に竹を加えようとしているところです。 |
上の写真は竹の太い幹を奥歯で砕いて食べやすくしているところです。 |
写真をアップするとかみ砕かれた枝もよく見えます。あの竹の固い枝をかみ砕くのですから相当な力です。でもよくよく考えればずっと昔は肉食動物で熊などと同じような小動物を食べていたわけですから、当然ながらパンダの歯は相当強いはずなのです。 、 |
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さあ、もう少しパンダの行動を観察してみましょう。上野動物園と違ってここではほぼ野生に近い形でパンダの食事の様子を見ることができるのです。しかも朝のうちに来れば最前列からパンダの様子を観察できるのです。遠慮せずに何分でも気が済むまで観察しましょう。 |
何本か竹の枝を取ります。この際に竹を縦にするのはこのパンダの癖でしょうか。 |
竹はパンダの好物ですが、とりわけ竹の幹が大好物のようです。そして、もっと好きなのが筍だと聞いています。この日は竹しかありませんから、竹の幹を早く食べたいと思っています。ですから、顔の前あたりの歯を早く食べ終わって幹をしゃぶりたいという気持ちでいっぱいです。パンダがそんな行動をしているため、竹の葉が揺れてちょっとブレた写真になっています。 |
そのあと、幹をかみ切って食べやすくした後、いよいよ幹を奥歯でかみ砕いています。この時のパンダの顔が最も満足そうに見えます。同じように竹を食べているパンダでも、幹をくわえているときと葉を食べているときとでは、パンダの満足度が違うように私には見えます。 |
幹を食べ終わって、もっと太い幹の竹を探しているような様子です。パンダの歯が見えます。人間もたとえば腕をかじられたら、腕をかみ切られてしまいそうな獰猛な歯です。 |
結局、彼が手にしたのはあまり太くない竹でした。てっきり太い竹を手にするに違いないと思っていた私の勝手な予想は外れていました。 |
そして、美味しそうに竹の幹まで食べ進んだ食いしん坊のパンダです。こんな風にパンダを観察していると、可愛いですから、いつまでも食事風景を観察していたい気持ちになります。 |
食いしん坊で人気者の美蘭(オス、11歳) |
ここ成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地には150頭を超えるパンダが生息していますが、中でも人気が高いのが、アメリカのアトランタ動物園生まれの美蘭君です。2006年生まれですから私が行ったときは11歳でした。この美蘭君のどこが可愛いかというと、はっきり言ってかなりの食いしん坊だからです。どうですか? 上の写真の太い竹を手にして満足そうにしています。物干し竿みたいな竹を持っているんです。これを手に入れて満足そうな美蘭君なのです。 |
期待通り物干し竿のような竹に食いついてくれました。迫力ありますね。パンダにもおそらく学習効果があって、太い幹の部分は端っこから食べた方が食べやすいということが分かっているのでしょう。竹の橋をかじって縦に噛み裂いて食べやすくするのです。最終的に幹の固い部分を奥歯でかみ砕くためには竹の幹を丸ごと口に入れてはだめなのです。 |
縦に切り裂いた竹の幹を奥歯で噛み砕いています。この時の美蘭君の顔は戦闘モードです。そして、ほかのパンダにとられないようにするためか、右手で太い竹をキープしている姿が可愛いです。 |
縦に切り裂いた竹の幹から味が染み出しているようですね。美蘭君の顔がかなり満足げに変わってきています。 |
私が立ち位置を変えて、美蘭君の正面に移って美蘭君をカメラでとらえました。美蘭君までの距離は10mくらいあるので、この角度では霧が視界を覆っています。ですけど、美蘭君のご満悦な顔を正面から捉えることができました。これは可愛いです。 よくよく見ると美蘭君の周りには太い幹の竹がゴロゴロあります。スタッフの人が美蘭君に太い幹の竹を与えているのか、美蘭君が自分で集めてきているのか、それは分かりません。でも、食いしん坊の美蘭君のことですから、周りから太い幹の竹を集めてきている可能性が強い気がします。 |
例によって奥歯で縦に切り裂いた竹の幹を噛み潰しています。 |
上の写真では新たに縦に切り裂いた竹の幹を口に運んでいます。縦に切り裂いた竹の幹を食べ終わったら、右側に抱えている太い幹を裂いて口に運びやすい大きさにして、また食べるという行為を繰り返しているのです。 |
ご馳走様という満足感ある表情をしている美蘭君です。でも、周りには太い竹の幹がいっぱいありますから、当分の間、食事を楽しめそうです。 |
この成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地では、パンダの名前を近くに張り出しています。何歳のパンダ七日、雄なのか、雌なのかというようなことが分かるようになっています。日本語でも書いてあります。 |
美蘭君がアトランタ動物園生まれなのはこの案内板で知りました。この看板の一番下に、「幼少期より欧米や日本をはじめとする世界中のパンダファンから絶大な人気を誇っています」と書いてあります。 |
日本にいた梅梅が出産した最初の子、奇縁 |
成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地には日本とゆかりの深いパンダもいます。奇縁です。奇縁の母親の梅梅は、中国で奇縁(双子で生まれています。)を産んだ後に日本の和歌山県白浜アドベンチャーワールドで生活し8年間で8頭のパンダを生んで育てたということで有名なパンダです。中国で産んだ奇縁と奇珍を合わせると10頭のパンダを産んで育ててくれた中国でも有名なパンダです。 |
奇縁は広い山の中に生活していて、私が山の前を通りかかったときにちょうど山の中から出てきてくれました。霧が濃くて最初はよく分からなかったのですが、30m先の奥の方からのしのしとパンダらしき動物がゆっくりと歩いてくるのが見えたのです。上の写真は望遠レンズでとらえた奇縁です。 |
そのパンダはどんどん私たちのほうに近づいてきて私たちを見上げます。上の写真を見ると柵が見えますね。パンダはその柵の前までしか来れませんから、一番近くまで来たということになります。 |
それまでパンダは山の下を歩いていたのですが、そこからパンダは道を戻って山を登り私たちに近づいてきます。こうやって歩いている姿を見ると、大きな動物がのしのしと歩いてきて、熊のような動物であった片鱗を見せてくれます。上の写真を見るとパンダの爪も獰猛ですね。 |
でもやっぱりパンダです。歩いているパンダも可愛いです。この成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地でも、歩いているパンダを見るのは稀です。なかなかないチャンスに出会えたのも、パンダが比較的活動をする朝の時間帯に来たからかもしれません。 |
パンダが木製の橋を渡って私たちにさらに近づいてきます、近寄ってくるパンダにシャッター音が集中します。二人しかいなかった観光客がいつの間にか10人位に増えています。 |
パンダは木製の橋を渡ったところで立ち止まり、私たちを見つめています。しばらくこんなポーズで動きませんでした。 |
すると、急にUターンをして木橋を渡り、山を下り、山の裏手の奥の方へと帰って行ってしまいました。エサの竹もあったのに竹には目もくれず、私たちに近づいてきて、何かを確認して帰って行った奇縁。不思議な行動でした。 このパンダが奥に消えて、それからパンダの名前を確認したら奇縁でした。日本にいた梅梅がまだ中国にいるときに産んだ双子の一人です。 |
陳麻婆豆腐調料(麻婆豆腐の素) 50g×4p我が家で利用している麻婆豆腐の素です。麻婆豆腐の本場、中国四川省成都市で作られた麻婆豆腐の素です。さすがに本場の麻婆豆腐だけあって、日本製とは辛さのレベルが違います。ただ、花椒が別になっていますので辛さが調節できます。この1パックで、3〜4人前を4回作ることが出来ます。辛い料理が苦手な家族もいる我が家では、出来上がった麻婆豆腐を二つの食器に分けて盛り付け、片方にだけ花椒を入れることで、激辛麻婆豆腐と中辛麻婆豆腐の二つの麻婆豆腐がテーブルに並びます。私としては、絶対におすすめの麻婆豆腐の素です。これを食べたら、日本製の麻婆豆腐の素は使えません。 私の場合は麻婆豆腐の香りをさらに強めるため、五香粉(ウーシャンフェン) を入れています。ここまでやると、もっと刺激的な麻婆豆腐になります。 |
赤ちゃんパンダの部屋 |
成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地には産まれたばかりのパンダ専用の部屋もあります。当然ながら檻の中で飼育されていて、見学者はガラス越しに檻を見て、その中に赤ちゃんパンダを見ることになります。この日私が見たのは4頭の赤ちゃんパンダで、ほとんど動きません。ゴロンと寝ころんだままです。竹が置かれているところを見ると、ここで赤ちゃんパンダが竹をかじることもあるあるのでしょうね。 私が赤ちゃんパンダの飼育室に行ったのが11時頃だったと思います。もっと早い時間に行けば動きのある赤ちゃんパンダが見えたかもしれません。 |
パンダの赤ちゃんが動いたのはこの時だけで、一頭のパンダがじゃれようとして他のパンダの上に覆いかぶさったときでした。私は見学者の4列目くらいの後ろにいましたので、よく見えません。赤ちゃんパンダ室は観光客に人気で人が群がっているのですが、間口はわずか1mくらいです。ですから5人も観光客がいると一番前では見れません。私の時は30人以上が群がっていましたからほとんど見学不能でした。 もう少し正しく言うと、赤ちゃんパンダ室は間口は3mくらい、だけど赤ちゃんパンダの飼育室が二部屋あって、この日はたまたまなのかどうか、赤ちゃんパンダは一つの部屋に固まっていて、一つの飼育室に4頭いただけで、もう一つの飼育室には誰もいなかったということです。 |
以上、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地について紹介してきました。私は特にパンダが大好きというわけではありません。成都に来たらパンダ繁殖研究基地には行くべきだと友人にすすめられて気乗りしないまま来たわけですけれども、来て良かったというのが正直な感想です。今は私も、成都に行く知り合いがいたら、パンダ基地に必ず寄るようにアドバイスすると思います。パンダをこんな身近で見れて癒されるというのはここ成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地ならではだからです。 見学するのに最低でも二時間程度はかかりますし、成都市街から片道で30分くらいかかるので、合計して3時間以上の時間はかかりますが、それ以上の価値があると思います。また行かれるのでしたら地下鉄とバスで簡単に行けるのでツアーなどに入らない方が良いでしょう。ツアーでの見学者を見ていると、次から次へとパンダの育成室を案内されてしまうので、ゆっくりとパンダを観察できません。気に入ったパンダを見つけたら何分も何十分もそのパンダを眺めるという勝手な行動ができなくなってしまうのでは、少し欲求不満になりそうです。 成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地への行き方についてはこちらのページに載せています。 |