MRT剣潭駅から士林市場へ |
|||
士林夜市は、台北を訪れる観光客なら一度は訪問したい場所です。MRT剣潭駅から徒歩5分のところにある士林市場ビルを中心に、その周辺一帯は夕方ともなると、路上に屋台がひしめくように並びます。もともと台湾の街にはどこでも夜市があって、台北市内でも観光客よりもむしろ地元の台北の人たちで賑わう夜市もあります。ここ士林夜市は観光夜市と言われているように、まさに観光客向けの夜市で、私はどちらかと言うと通化街夜市、寧夏夜市や双城一条街の夜市のような地元の人向けの夜市の方が好きなので、ずっと行っていませんでした。 久しぶりに行ってみると、市場は新しくなっているし、何と言っても観光客で凄まじく賑わっていて、お店の選択肢も豊富ですから、これはこれで結構面白いものだと評価を改めた次第です。 MRT剣潭駅からは、地図など見なくても人の流れについていけば士林市場に辿りつけますので、地図は省略します。 |
|||
MRT剣潭駅から士林市場へ続く路上です。夕方ともなると、屋台がひしめきます。ここはホットドッグ屋さん。「狗」という字は犬の意味で、熱狗と書いてホットドッグを意味します。中国語というのは外来語に対して、3つの当て字を使います。一つは意味から漢字をあてたもの、ホットドッグがその例です。二つ目は外来語の発音に漢字をあてはめたもの、タクシーを的士と書くのがこれに当たりますが、ここで難しいのが先に香港で当て字を作ってしまうと、広東語の発音で当て字ができてしまうので国語(普通語)の発音では外来語の発音からは遠くなってしまいます。因みに的士は広東語で「テッシー」、国語(普通語)の発音では「でっしー」です。そして、三つ目は全く関係なく言葉を決めてしまうものがあります。 こんなことが分かっていると、看板を見ながら30%くらいは何屋さんか当てることができるようになります。 |
|||
黒コショー味のソーセージ屋さんです。ソーセージ屋さんは沢山あって、どこも美味しそうです。 因みに、看板に書いてある通り、大きいのはNT$100で小さいのはNT$60です。台湾や香港は漢字も繁体字という本来の漢字を使用していますので、日本人も看板を見て凡そ書いてあることが理解できると思います。これが中国本土ですと、簡体字というかなり簡略化した漢字になってしまうので、意味不明な漢字に悩まされてしまうのです。 |
|||
そして、ここ士林市場の良いところは、先ほども書いたように観光客向けの夜市なので、日本人向けにメニューが日本語でも書いてあったり、簡単な日本語なら店員が理解してくれたりするところです。そういう意味では、あちこちの屋台を冷かして食べたいものを見つけたら、日本人でも臆せずに食べることができる夜市なのです。 | |||
串焼き屋さんです。この店にはメニューがないけど、指さしで大丈夫です。きっと値段くらいは日本語で言ってくれると思います。 | |||
上の写真は、MRT剣潭駅から士林市場まで行く途中で最も行列ができていたフライドチキン屋さん。新竹家郷香鶏排という店です。フライドチキンの店としては、豪大大雞排が有名ですが、そこよりも行列ができていました。しかし、大きいフライドチキンです。減量中の私がこんなものを食べたら他のものが食べられなくなってしまうので、当然パスしました。 | |||
フルーツ屋さんもあります。美味しそうなフルーツが並んでいて心惹かれるところがあるのですが、フルーツなら私の宿泊先の近くの地元の人向けの夜市で買えますので、ここはパスです。 | |||
上の写真は射的の店。この一帯には金魚すくいやパチンコの店、ポーカーの店などもずらりと並んで、さながら日本のお祭りの屋台みたいな賑わいです。日本文化の影響なのでしょうか。見ているだけで楽しくなります。 | |||
こんな楽しい屋台街をMRT剣潭駅から5分ほど歩いていくと、そこに上の写真の通り、目的地の士林市場が現れます。ここも一階には大変なにぎわいです。土産品や服飾品などの店が入っていて、ゲームなどもあります。私が士林市場に来た目的はB級グルメを食べることですから、地下一階の美食区へと移動します。写真左のショーウィンドウの上の方に「B1美食区」の文字が見えます。発音はできないけど意味が分かるから、漢字って便利ですね。階段かエスカレーターで地下に入ります。 | |||
士林市場美食区には台湾B級グルメが大集合 |
|||
地下に入ると、地下全体がB級グルメ屋台街になっています。雨が降っても、こういう地下の屋台街なら雨にぬれずにB級グルメが楽しめますね。 今日は蚵仔煎(牡蠣のオムレツ)を食べたいと思っていたせいか、蚵仔煎(牡蠣のオムレツ)の屋台がすぐに目に入ってしまいました。 |
|||
お姉さんが豪快に、そして次々と蚵仔煎(牡蠣のオムレツ)を焼いていきます。できたての蚵仔煎(牡蠣のオムレツ)は美味しそうですね。台湾の小振りな牡蠣をたくさん入れて、野菜をこれに加えて焼いていきます。すぐにここで食べたくなる気持ちを抑えて、まず、この地価の美食街を一周したいと思います。 まあ、いろいろなB級グルメがあります。台湾のB級グルメで食べられないものはないくらい、種類は豊富ですし、人気のあるB級グルメではライバル店も数多く出店しています。どの店が美味しいか、どんな店があるかなどは、台北ナビや旅々台北あたりを見てもらったらよく分かると思います。 それからタブレットを持っている方なら歩く台北 2014-2015 (Kindle版) もおすすめです。日本にいる時に予めダウンロードしていれば、WIFI環境がないところでも使えます。歩く台北 2014-2015 (Kindle版)は地図が多いので台北の街歩きに便利ですし、士林夜市の地図や店の紹介が詳しく載っていますから大変便利でした。 |
|||
エビやカニを中心に海産物がいろいろ並んでいます。お姉さんの目の前においてあるカップに入れて販売しています。これを買ってつまみながら屋台街を一周するのも悪くないと思いながらも、パスしてしまいました。もう少し、いろいろな店を見たいと思ったからです。 | |||
様々な味付けでソーセージを焼いている店です。芥末はからし(日本にもある黄色いからし)のこと、蒜味はニンニク味のこと、黒胡椒は分かりますよね。食べたいものばかりで迷ってしまいます。通路がもう少しすいていれば、こういった小吃をほおばりながら歩きたいところですけど、とてつもなく混んでいて、人にぶつかりながら歩く感じなのです。行った日と時間が悪かったのですね。土曜日の午後7時くらいなのです。一番のピーク時に行ってしまったのかもしれません。 | |||
イカとカニ、そしてエビフライが見えます。このイカは焼きいかにしてくれるようですね。エビフライなんて日本的で嬉しくなってしまいます。 螃蟹とは中国語でカニの意味で、海の蟹も湖沼の蟹もひっくるめて螃蟹といいます。台湾では台湾産もしくは中国産の蟹がメインですから、湖沼の蟹が中心になります。一口螃蟹と書いてあるから、丸ごとカニを食べるのでしょうね。食べたいけど、一人ではこんなに食べられませんね。士林夜市に来るときは3~4人くらいで来るのが適切かもしれません。多すぎると座って食べる場所を確保するのが困難です。ひょっとしたらウィークデイの夕方だったりすれば場所が確保できるのかもしれません。 |
|||
考えてみれば、以前に士林夜市に来た時にはこんなにひどい混雑ではありませんでした。今回気がついたのは、中国の大陸からの観光客がかなり入ってきているということです。この日だけ見れば、半分かそれ以上は大陸からの観光客だったのではないでしょうか。大陸の発音と台湾の発音は、同じ普通語を話していても異なります。以前ここに来た時は、2008年の台湾と大陸との「三通」(「通商」「通航」「通郵」)が実施される前で、台湾と大陸の直行便もなかったばかりか、中国人の台湾観光も許可されていない時代でした。私はその時代、大陸と香港、台湾をマーケットに仕事をしていましたが、上海から台北に移動するのに、わざわざ香港や成田経由で移動していたものでした。そんな時代を思い起こせば、当時に比べ倍以上の観光客が士林夜市にあふれるように来ているのは当然と言えば当然なのかもしれません。 上の写真はカタツムリです。 |
|||
私の大好物、臭豆腐です。いつものくさい臭いはしていますが、あまり強烈ではありません。ここは辛い臭豆腐が売り物のようです。あまり興味ないなあ。むしろ、写真は切れていますけど、麻辣臭豆腐の左に見える「しそば」(これ冷やしそばと書いてあるのですが、日本で言えば冷やし中華です。)の方が食べてみたい気が起こります。 | |||
座る場所を確保したいとキョロキョロしつつ、士林市場地下の美食区を二周ほどまわり、時間も6時半から7時過ぎになってきました。多少は席が空いてきたようです。何せ私は一人できましたから、一つでも椅子が空いていれば良いのです。さあ、座って食べ始めましょう。 士林市場ではお店のテーブルに座っても、他の店で買った料理を食べててもかまいません。ある店で一品食べて、そのまま別の店からもう一品持ってきて、もう一つ別の店からも一品持ってくるといったことも全く問題なくできます。ですから、席が空いている店で何が食べられるかを考えるよりも、席が空いていたら座ることが大切です。 |
|||
お目当ての蚵仔煎と担仔麺の夕食 |
|||
通路が詰まっています。と思ったら席が一つ空いていました。ここに座ってみましょう。お一人様の席というのはあちこちにあるので、確保はしやすいですね。ただ、正面に大陸出身の知らない人が座るより、士林夜市の雰囲気を味わうために混雑した通路がある方が良いのかななんて気もしましたし、何と言っても、写真を撮った後に店の女の子が飛んできて、どうぞどうぞお座りくださいと強力にすすめられてしまったこともあって、ここに座ったわけです。店にとっても一つだけ席が空いていても一人で来る人がそれほど多いわけではないので、お一人様の私も店にとっては価値があったということでしょう。 |
|||
今日の夕飯だから、ご飯か麺だけこの店で注文して、他はよその店から調達しようと思っていたのですが、意外にメニューが豊富です。蚵仔煎(牡蠣のオムレツ)もあるし青菜炒めもあります。しばらく熟慮して三品を注文です。 |
|||
まず来たのは青菜炒めです。思っていたより見た目はシナッとし過ぎてますね。でも、味付けはいいし、青菜の歯ごたえもまずまずです。 | |||
そして、蚵仔煎(牡蠣のオムレツ)です。周りがもう少しカリッとしている方が私は好きですが、牡蠣もたくさん入っていて美味しいです。お腹がすいていたから何を食べても美味しかったのかもしれません。とりあえずは、今日一番の目的だったものが食べられて、しかもまずまずの味でしたので満足です。 | |||
三品目は担仔麺。もっと小振りなお椀で来るものと想像していたのですが、意外にしっかりした大きさです。担仔麺はもともとは台湾の台南市の漁村で、漁の少ない時期の比較的食材に恵まれない時期に食べていたラーメンで、中細の麺に豚のそぼろ肉とエビ、香菜と刻んだニンニクが乗ったもので、お金がかからない食事として作られていたものです。さっぱりした味付けなので、また食べたくなってしまう味です。今や台湾料理店の麺のメニューには必ず登場し、どこの夜市でも一つや二つの専門店がある台湾を代表する麺料理になりました。 | |||
担仔麺の歴史を考えれば、乗せる具については質素であるべきなのですが、いろいろ乗っていますね。嬉しい限りです。麺は素朴な台湾らしい麺です。そしてスープはエビの出汁とニンニクが効いた担仔麺らしいスープです。担仔麺については期待通りの味でした。 減量中の私の夕食はこれで打ち止めです。ちょっと少ないかななんて気もしますが、実はこれでもカロリーオーバーです。 |
|||
ところが、食事を終えて通路を歩いていると、美味しそうな蚵仔煎(牡蠣のオムレツ)屋を見つけてしまいました。お兄さんがなかなか素早い手つきで蚵仔煎(牡蠣のオムレツ)を次々と焼き上げていきます。 | |||
お兄さんの後ろには、こんなに大勢の人が座れるテーブルがあって、焼きあがるのを待っています。ここは人気店ですね。上の写真の右側を見ると、大勢の人が並んでいるのが見えます。私はお一人様だから、どこか相席で入れてくれるかな、とも思いましたが、日頃からカロリーの採りすぎを注意されてますし、つい10分前には別の店で蚵仔煎(牡蠣のオムレツ)を食べていましたから、次回の楽しみにすることにしました。 | |||
次回のために店名を覚えておきましょう。忠誠號蚵仔煎という名前です。 | |||
士林市場の地下美食区からエスカレータで地上に昇ったところ、 次回のために覚えた忠誠號蚵仔煎という名の店があるではありませか。ここも行列ができています。この地上店の方がいくらかはゆったりしたスペースで食べられるようですね。いずれにしても、次回の台北訪問時には士林市場の忠誠號蚵仔煎で食べてみたいですね。 ということで、久しぶりの台北、久しぶりの士林夜市でしたが、なるほどB級グルメの選択肢が広く楽しめる夜市でした。でも、やはり観光夜市です。一見の観光客相手の商売ですから、味は地元の人が多い通化街夜市や双城一条街の夜市の方が上を行く感じです。お客さんの層も大陸の人や欧米の人が多く、地元台北の人はそんなに多くない気がします。言葉がどうしても心配な人には士林夜市をおすすめしますが、身振り手振りで何とかなるという方には、正直申し上げると通化街夜市や双城一条街の夜市をおすすめしたいところです。 |
|||
おすすめの本: 歩く台北 2018 |
|||
|