パタヤビーチは、バンコクから最も近いビーチリゾートです。バンコクからバスで約2時間で到着できるパタヤは多くの観光客で賑わっています。パタヤの主たる観光客である欧米人です。しかも長期にわたって滞在するロングステイの人も多いようです。日本人でロングステイされている方も少なくないようですし、また、日本人観光客も決して少なくないのですが、多くの観光客が訪れるパタヤでは日本人はマイナーな存在です。最近では特に多いのがロシア人です。ロングステイされている方が大変多いようです。ロシア人がなぜパタヤに多いのかはよく分かりません。 |
例えば、上の写真をご覧ください。これはソンテウ(トラック改造型の乗合バス)に掲示されている注意書きですが、タイ語、英語、ロシア語、中国語そして韓国語の順に表示されています。そしてこの順番は、実際に私がパタヤにいて感じたソンテウ利用者の比率の順にほぼ一致しています。一か所だけ一致しないのは一番聞こえた外国語はロシア語だったということです。そのくらいロシア人が多く、そのくらい日本人は少ないのです。 |
さて、パタヤ旅行の楽しみはパタヤのグルメ、とりわけシーフードです。パタヤの街にはシーフードの専門店が数多くあり、旅行者の胃袋を満たしています。観光客向けのシーフード料理で有名なパタヤのレストランは枚挙にいとまがありません。ただ、それらの多くはパタヤの主たる観光客である欧米人向け、最近では特に多いのがロシア人ですからロシア人の嗜好に合うシーフード料理でしょうし、それ以上に言えるのは、いわゆる観光客向けの無国籍料理みたいな海鮮料理になっているレストランが多いということです。上の写真にあるパタヤの夜の繁華街、ビーチロードを歩いていても、シーフードレストランを数多く見ることができます。 |
ただ、私が行きたいのはそんな無国籍料理ではなく、タイ料理のシーフードを食べさせてくれるレストラン、食堂です。すると、タイ人が多く利用しているようなレストランということになります。 そこで探したのが、上の写真にあるプラジャンバーンというレストランです。店の名前は英語でも出ていません。わずかにシーフードという英語が柱の陰に見えます。 |
プラジャンバーンの場所は上の地図を見てください。 セントラルパタヤロードを内陸の方へ走っていき、フードランドというスーパーマーケットの向かい側になります。タクシーやバイタクで行くなら、目印はフードランドです。また、ソンテウ(トラック改造型の乗合バス)で行くなら、セントラルパタヤロードで、セカンドロードより内陸側から乗りフードランドの大きな看板がありますから、そこで降りてください。ソンテウの場合、途中のビッグCまでしか行かない場合もありますが、ビッグCから歩いても5分くらいです。 なお、帰りのソンテウがなかなか来ないようでしたらビッグCのあたりまで歩けば客待ちしているソンテウがあります。 |
プラジャンバーンの店先にはシーフードが並べられています。ここで素材を選んで調理法を細かく指示するのがタイ流なのですが、英語を理解する店員は決して多くないですし、何と言っても分かりやすい英語メニューがありますので、テーブルで注文しましょう。ただ、店先のシーフードの素材を見てメニューの大体の組み立てを考えるのが、こういうシーフードレストランの楽しみの一つです。 |
店先でシーフードの素材を見ていると、これも食べたい、あれも食べたいと目移りしてしまいます。メニューでいろいろな料理を想像するよりも素材を見ながら料理を考えた方が、その日に食べたい料理のイメージが湧くものなのです。 |
そして、店頭でソムタムを作るお姉さん。なかなか良い手つきをしていますし、美味しそうなソムタムを作れそうな雰囲気があります。ソムタムは決まりです。 |
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プラジャンバーンのシーフード料理 |
この日サラダとして注文したのは、ラープ・プラームックです。イカのラーブです。ラーブというのは、イサーン(タイ東北部)料理で隣接するラオス料理の影響を強く受けた料理で、ナンプラー、ライム、唐辛子とミントなどで味付けされたサラダです。スパイシーな味付けがビールに合います豚や鶏のひき肉を入れるラーブ・ムーやラーブ・ガイと言ったところが一般的ですが、魚やイカなどのシーフードも時々使われます。 さて、この味付けですが、スパイシーではあるものの、思ったほどの辛さではなく、食べやすいです。次に紹介するソムタムが激辛だったので、ちょうど良い組み合わせになりました。イカが新鮮で美味しいです。タイのイカについては、種類も新鮮で豊富なので私は大好きです。バンコク近郊の最大の水産市場であるマハチャイ市場でも、イカはこんなに美味しそうに売られています。シーフードレストランではイカ料理の注文が欠かせないと私は思っています。 |
次のサラダはソムタム・カイケムです。ソムタムはご存じの通り、日本語で言えば青パパイヤのスパイシーサラダです。そして、カイケムというのは、中国でもよく食べられている咸蛋のことです。「 咸」は塩辛い、「蛋」は玉子を意味しますから、塩辛い玉子という意味になります。よく中華料理に入っている塩辛い玉子のことです。アヒルの玉子を使うことが多いです。 私からの注文を取ってくれた女性店員は英語が大変堪能で、「ソムタムについては辛さの好みはありますか」と聞いてきたので「君が食べても辛いと思うくらいに辛くしてください」と伝えたものですから、しっかり激辛のソムタム・カイケムが出てきました。ただでさえ酸っぱくて辛いソムタムが、すごく辛くて酸っぱいソムタムになって登場です。入口脇のソムタムづくりのお姉さんが唐辛子を何本か多めに入れて作ってくれたのでしょう。 |
実際に食べてみると、ソムタムは激辛です。その激辛のサラダの中にカイケムが入ると、普段は塩辛く感じる玉子が甘くさえ感じてしまうというと言い過ぎなのですが、少なくとも辛さを中和してくれる役割を担ってくれるのです。美味しいです。大満足です。 前菜のラープ・プラームックとソムタム・カイケムはともに大満足の味で、シンハービールによく合います。ビールを飲みながら、これらの前菜をつついて、メインディッシュが運ばれてくるのを待ちます。幸せな時間です。 |
上の写真は別の日に食べたソムタム・プー(沢蟹入りソムタム)です。私はソムタム・プーが大好きで、タイでも良く注文します。ただ、沢蟹が生のまま入っていますから、寄生虫がいるかもしれませんし、特に胃腸の弱い方にはあまりおすすめしていません。 自分は大丈夫だという人がある方は、自己責任で食べてみてください。味は保証付きです。 |
ヤム・タレーもスパイシーな料理が好みの方には喜ばれるサラダです。ヤムというのはすっぱからく和えたサラダを意味していて、タレーというのはシーフードを意味しますので、日本語でいうとシーフードのスパイシーサラダということになります。ヤム料理というと、ヤムウンセン(春雨のスパイシーサラダ)やヤムヌア(牛肉のスパイシーサラダ)が日本では有名ですが、シーフードが豊かなバンコクやパタヤなどでは、このヤム・タレーは私が好んで注文する料理です。 ここブラジャンバーンのヤム・タレーは期待にたがわず、イカやエビなどふんだんにシーフードが使われた上質なヤム・タレーです。美味しかったです。 |
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ヤム・ブラードック・フー |
同じヤム料理でも、日本ではめったに見かけない料理に、ヤム・プラードック・フーがあります。ブラードックはナマズのことで、料理名を日本語で名づければナマズのふわふわ揚げのスパイシーサラダとでもなるのでしょうか。 一つの注文で上の写真のように二つの皿で料理が運ばれてきます。奥の皿がナマズを挙げたもので手前の皿がヤムのサラダです。 |
ナマズはミンチ状にしてふわふわに揚げられています。大変崩れやすいので、スプーンとフォークで上手に崩していきましょう。 |
上の写真はヤム・ブラードック・フーに使われるヤムサラダで、玉ねぎやニンジンなどの野菜にマンゴーの細切りなどが加えられています。このヤムサラダだけを食べてもらうと分かりますが、唐辛子などで大変スパイシーに味付けられたものです。 |
このヤムサラダをナマズのふわふわ揚げに載せて食べると、それが実に美味しいのです。ナマズはもともとそんなに臭みがあるものではないですが、ヤムサラダを乗せて食べると揚げ物の脂っこさも消えて大変食べやすくなるのです。こうした食べ方の発想自体が素晴らしいですね。なかなか日本人では思いつかないような組み合わせです。実に美味しいサラダに変身するわけです。ボリュームがある料理なのですが、不思議と毎回完食してしまいます。 |
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スープはやっぱりトムヤムクン |
さて、スープも飲みましょう。タイ料理には様々な種類のスープがありますが、パタヤのようなビーチではやはりトムヤムクンが似合います。辛さが効いていて、なおかつ酸味もしっかりしているブラジャンバーンのトムヤムスープは大変美味しいです。小振りではあるものの、新鮮なエビのプリプリ感もたまりません。 上の写真はスモールサイズで注文したトムヤムクンです。スモールサイズでも3人までならこの大きさで十分でしょう。 |
スパイシーな料理は苦手と言う方には、トート・マン・クン(エビのすり身揚げ)やトートマンプラー(魚のすり身揚げ)もおすすめです。この日注文したのは、上の写真のトート・マン・クン(エビのすり身揚げ)です。エビの香りが強くて、サクサクした食感は十分に及第点の味です。温かいうちに食べると大変美味しいです。 脂っこくない料理をお好みであれば、トートマンプラー(魚のすり身揚げ)はさつま揚げ風ですので、むしろそちらを選択した方が良いでしょう。 |
このブラジャンバーンというレストランはパタヤビーチにあるという土地柄もあってシーフードがおすすめなのですが、 肉料理のニューもいろいろあります。この日、店に入る時に入口近くでコームーヤーンを焼いているのも見えましたので、思わず注文してしまいました。 コームーヤーンは豚ののど肉のバーベキューです。いわゆるトントロです。ブラジャンバーンのコームーヤーンは少しスライスが薄目ではあるものの、焼き方が絶妙で味付けもナンプラーと唐辛子が食欲を掻き立ててくれます。あっという間に食べきってしまいました。これは美味しいです。 |
このブラジャンバーンには、タイ料理の定番、ガイヤーン(鶏肉のバーベキュー)もあります。ガイヤーンもコームーヤーン同様に期待をはるかに上回る美味しい味付けです。これは本当に意外だったのですが、タレが美味しいのでしょうか、素晴らしい味付けです。鶏肉も柔らかく味が濃くて、最近バンコクで食べるガイヤーンよりも私の口には合います。 |
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メインディッシュはクンパオ(焼き海老) |
本日のメインディッシュは手長エビの炭火焼き(クンパオ)です。メニューを見ると、6尾で400バーツです。注文を取ってくれた英語堪能な店員に「私は一人なので半分にできませんか」と聞いたところ、「最少注文単位が6尾で500g程度なんです。でも、ここのエビの炭火焼き(クンパオ)は美味しいですから、6尾くらいすぐに食べきれますよ」と切り返されてしまいました。この才色兼備のスタッフのアドバイスがあったからばかりでなく、もともとこのプラジャンバーンというレストランに来た目的がエビの炭火焼き(クンパオ)にあったので、ちょっと多いと思いつつも注文したわけです。 テーブルに運ばれてきたクンパオを見てびっくりです。想像していた以上に大きいのです。これは食べ甲斐がありそうです。 |
日本人の中にはこういうエビ料理の食べ方が下手な方がいるので、私流の食べ方はここで紹介しておきましょう。エビの炭火焼き(クンパオ)については、頭から全部食べてしまうという人がいます。私も時々そうしますが、これだけ大きい手長エビが6尾も来るとそうはいきません。エビを上手にバラバラにして殻をきれいに取って食べましょう。 まず、エビの頭と胴体を切り離します。この際には、エビの頭をひねって回転させると簡単に胴体から頭が切り離せます。上の写真は切り離したところです。 |
そこでエビの頭の中を見ると、美味しそうなエビ味噌がいっぱい入っています。このエビ味噌がすごくおいしいのです。このエビ味噌をチューチュー吸うわけです。と言っても上品に食べていても、このエビ味噌を食べきれません。そこで口の中に頭を丸ごと入れて、口の中でチューチュー吸うのです。小さめのエビの場合は、ここで丸ごと食べてしまいます。 上海蟹はカニ味噌が美味しいのと同様に、エビの炭火焼き(クンパオ)はエビ味噌が美味しいのです。ただグリルしただけのエビなのですが、どうしてこんなに美味しいのでしょう。 |
そして、胴体の方の身を食べます。身もしっかり詰まっていて美味しそうです。ここで、私流に頭を切り離していると、エビの殻を簡単に剥くことができます。この方法は私が以前香港に住んでいた時に、白灼蝦(ゆでえび)(写真)の食べ方として香港人に伝授されたエビの殻の剥き方です。 さて、エビの炭火焼き(クンパオ)は下味をつけずにただグリルしただけですので、エビの身についてはたれに付けて食べます。美味しいですね。エビ味噌も美味しいし、身も美味しいです。店員が、このレストランのエビの炭火焼き(クンパオ)は美味しいから6尾くらい食べられますよ、と言っていた通りです。完食です。大満足です。 |
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そして、オースワンではなくホイ・トート |
もう一つ、注文していました。オースワンです。というか、オースワンでした。でも、料理が来てみるとホイトートみたいでした。 この店に入り、初めに私から注文を受けたのは英語が苦手なスタッフでした。私はメニューを見ずに、「ラーブ・プラームック、ソムタム・カイケム、クンパオ、オースワン、ビヤシン」とカタカナのタイ語で注文し、そのスタッフも復唱していたのですが、その後、「クンパオは何尾入っているか」と英語で質問した瞬間に走るように目の前から消え、代わりに英語堪能なスタッフが来たのでした。その英語堪能なスタッフにこれはオースワンですかと質問したら、そうですよと言ってメニューの写真を見せてくれました。確かにここブラジャンバーンでは、この料理がオースワンでした。 |
オースワンは、牡蠣と卵を片栗粉などでとろみをつけて炒めた料理で、とろ〜りとした食感が特徴です。一方のホイトートは、小麦粉に牡蠣などの貝を混ぜ玉子も絡めて、お好み焼きのように揚げた料理です。 出てきたのは紛れもないホイトートなのです。玉子の中にはもやしがたくさんです。牡蠣はあまり入っていません。確かに味付けは美味しいがです、それでももやしが多すぎますね。もうお腹がいっぱいになりました。オースワンらしくないオースワンですが、まあ、いいでしょう。マイペンライ(No Problem)です。 |
タイ料理の仕上げにご飯が食べたいという人に、後日、ブラジャンバーンに再訪した際に食べたカオパックン(エビチャーハン)も紹介しておきましょう。 上の写真で見る通り、実に美味しそうなエビ炒飯で、食べてみるとこれがまたビジュアルから想像していた以上に美味しいのです。ナンプラーの爽やかな香り、パラパラとしたタイのチャーハンらしいさわやかな食感、そしてふんだんに入れられた新鮮なエビ、‥‥。実に爽やかな味でかなり満腹になった後でも、お腹に優しく入ってしまう本当に美味しい炒飯でした。ブラジャンバーンではエビ炒飯もおすすめです。 |
ブラジャンバーンにはカレーもたくさんの種類があります。シーフードのカレーも当然あるのですが、他の料理がシーフードものに偏っているので、カレーは肉系のものにしています。上の写真はスパイシーなカレーだったらどれがおすすめかとスタッフの一人に聞いたところ推薦してくれたローストダックのレッドカレーです。辛さを下げますかと聞かれたので、普通の辛さで作ってくださいと注文したものです。 |
食べてみると、想定通りの辛さです。想定通りの辛さというのは、観光客向けに辛さを押さえた料理が多いパタヤにあって、地元の人向けの味を守っている店らしい、コクのあるカレーで容赦のない辛さです。辛い料理が大好きな私には良いのですが、ご飯が進んでしまいます。ご飯をしっかり食べ過ぎてしまいました。 普通の日本人には炒飯の方が良いかもしれませんね。 |
プラジャンバーンの店内です。かなり広いレストランなので、満員で入れなくなることはなさそうです。客層は90%くらいがタイ人で、この日は私以外に欧米系のシニアのカップルが来ていました。見た目に、ロングステイしている人のようです。 そういう店ですから、英語の通用度はあまり高くないです。オーダーくらいは聞き取りますけれども、細かい話をしようとしても、きっとスタッフが対応しきれないと思います。私のオーダーを取ってくれた英語堪能なスタッフは、どう見ても大学生のアルバイトのようで、いつでもこのレストランで働いているわけではなさそうなのです。 |
最後に、このレストランのメニューの紹介です。上の写真の通り、タイ語だけでなく英語で書かれたメニューがあって、メニュの中のいくつかには写真もついています。このメニューがあれば、タイ語のできない人でも、また、英語でメニューを読み取りきれない人でも、何とか指差しで注文できると思います。安心して訪問してください。 |