アジア写真帳>アジア写真帳(中国)>アジア写真帳(西塘)>西塘の夕食
|
西塘の夜も更けてきました。もう、8時を少し回ったところです。 永寧橋から見る煙雨長廊の様子も、夕景から夜景に変化してきました。おなかも少し減ってきましたから、ここで夕食にしましょう。 今回も、西塘へは一人旅です。夕食といっても、一人ですから、そんなに多くの料理は頼めません。これからの目標は、「夜景が楽しめて、夜の静寂が味わえて、そして料理は、江南らしく豚肉料理と川魚料理、それに、何か冷菜を食べられる店に行くこと」です。 |
ところが、困ったもので、8時を過ぎると、店じまいするレストランがいくつもあるんです。そこで、選んだ店が「明清食代」という永寧橋付近にある大きなレストランです。上の写真は7時くらいに撮影したものですが、川に沿って間口が広いので、川沿いの席を確保しやすいのでは、ということで、目をつけていた店です。 |
|
私が店に入った8時過ぎには、もう、お客さんが全然いません。おもわず、「まだやってますよね」って、質問してしまいました。これなら、川沿いの席が確保できそうです。 |
レストランの中を川沿いまで突き抜けてきました。一番端に二人席を発見。ここでいいですかと聞いたら、「もう、お客さんは来ないから、川沿いの広い席でいいですよ」との対応です。対岸のレストランの灯りが、川の水面でゆらゆらと揺れて、「これこそ、西塘の夜!」という感じの、素晴らしい雰囲気です。 |
この日、この時間、私以外にお客さんはあと一組だけ。川沿いの私とは反対側の席です。 まずは、ビールにしましょう。今日は少し歩き疲れました。 ビールは3種類あって、今日の注文はサントリービールです。中国のハルピン産です。ちょっと軽めですけど、おいしいですね。 |
メニューの一つは豚肉の煮込みです。見た目には、こってりし過ぎという感じですが、どうでしょう? |
少し見づらいので、お椀に取って、写真を撮りました。豚肉と何か海草みたいなものを一緒に煮込んでいます。太湖とか西湖とかにある水草でしょうか。味は見た目ほどにはこってり系ではなく、食べやすい味付けです。醤油をベースに煮込んでいます。 ここで、レストランの人から残念な報告がありました。私が注文した魚料理は、今日はもうできませんとのこと。材料がないなら、ないで、もっと早く言ってくれればと思いましたが、仕方ありません。肉料理と豆腐料理で今日は我慢です。 |
豆腐料理は、松花豆腐にしました。肉はこってりしてるでしょうから、さっぱり系の料理を頼んだわけです。冷奴の上に皮蛋が乗っています。「松花」は「松花皮蛋」という食材の名前から来ていると思います。ご覧の通り、結構な量ですから、これに魚なんかあったら、それこそ半分以上食べ残してしまいそうです。 言うまでもなく、皮蛋はあひるの卵に石灰や粘土などを塗り、2ヶ月ほど漬け込んだもので、漬け込んでいる間に、卵は固まり、白身は黒く変色し、黄身は緑がかった色に変化します。 中国の豆腐自体は、日本と比較しても味がないのですが、皮蛋独特の臭いが食欲を掻き立てます。 |
|
ここで、二胡を持ったおじさんが登場。せっかくですから、一曲弾いてもらいましょう。私一人の聴衆に対して、私のテーフルの横で弾いてくれるわけですから、なんて贅沢なんでしょう? 私が日本人だと言うと、「北国の春にしますか」と聞いてきたので、中国の古い歌にしてくれと答えました。西塘の夜です。「郷に入らば、郷に従え」です。 中国民謡の調べを、哀調を感じさせる二胡の音が、美しく奏でていきます。 |
ここで、今度はおばさんも登場です。おばさんは歌える歌のリストを持っていて、このリストから選んでくれとのことでしたが、私は中国民謡をリクエストしました。 おばさんは、中国古来の打楽器を操りつつ、おじさんの二胡の調べに乗りながら、切々と歌い上げていきます。西塘の夜のしじまに、二人の古典的な中国民謡が響き渡ります。百年前、二百年前の中国の夜に迷い込んだような、そんな錯覚に陥りながら、西塘の夜景を目に焼き付けていた私でした。 |
西塘の朝も素晴らしいですよ。 |