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西塘は、上海と杭州の中間に位置する嘉善県にある典型的な江南水郷です。 西塘には、「生きている千年の古鎮」というキャッチフレーズがつけられていますが、古鎮とは古い「鎮」、すなわち、古い「街」という意味で、元の時代から川沿いに家が建てられていたということですから、まさに千年の歴史を持った古い街ということができます。 大小8つの川が鎮を縦横に走っており、西塘は古くから水上と陸上交通の要衝として栄えてきた街です。明朝や清朝の時代には、江南地方の商業・工業の中心地として発展したそうです。古鎮の保存状態は大変良く、また、周辺には近代的な高層ビルが少なく視野に入らないため、訪れた人は、清の時代にタイムスリップしたかのような錯覚に陥ります。 しかしながら、観光地としての人気は相当なものがあり、旅行シーズンは多くの中国人観光客で賑わい、静けさを味わうことはできなくなりつつあります。 因みに、ここでの記録は2008年5月現在のものです。古鎮への入場料は、古鎮内での各施設への入場料を含め、100元でした。 それでは、私なりに、西塘を見て回るためのポイントをお話したいと思います。 1.西塘古鎮の位置関係を頭に入れる。現在、西塘の人口は約8千人で、ピーク時には2万人いたということですから、観光資源がなければ、ただの過疎地です。実際に西塘古鎮自体は、それほど広いものではなく、3時間から4時間くらいあれば、十分に見て回ることができます。ただ、西塘についての日本語の観光ガイドブックがなく(少なくとも私は見たことがありません。)、事前に見所をチェックしておくことが難しいことや、この街には日本語や英語のできる人が少ないことなどから、中国語のできない人は、道を尋ねるにも大変な苦労をしてしまい、なかなか目的地に辿り着けない観光地であることは間違いありません。このホームページでは、西塘の地図を写真に撮りましたので、まず、この地図を別ウインドウで開きながら、各ページを読み進めてください。いくらか、西塘古鎮の位置関係は頭に入るはずです。 |
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上の写真が永寧橋です。この永寧橋を西塘古鎮の中心地として位置づければ、西塘古鎮の位置関係は理解しやすくなります。地図の上では、左に煙雨長廊(一番上の写真)が続き、その川向かいに西街が横に伸びています。また、北側には北柵街が伸びています。これらを幹線道路として頭の中に入れておくと、西塘観光は楽になります。 下の写真は、永寧橋から北柵街方面を見たものです。 |
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西塘古鎮の見所は、まず第一に、江南水郷らしい「川」と「橋」と「舟」が織り成す風景でしょう。例えば、下の写真にある環秀橋などは、とても綺麗な石橋ですし、また、橋の上からの風景も見事なものです。橋に彫ってある詩も味わい深いものがありますので、見逃さないようにしてください。 |
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永寧橋から環秀橋方向を望遠レンズで撮影したのが、下の写真です。このように、「川」と「橋」と「舟」が、のどかな古鎮の雰囲気を引き立たせます。右側にある煙雨長廊とも相俟って、江南水郷に来たという実感が沸く構図です。 |
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西塘古鎮の見所の二つ目は、狭い路地です。この古鎮の路地は122本あるといわれていますが、路地といっても、道幅がわずか80cmの石皮弄などに入ると、空が殆ど見えないという風変わりな体験をします。よくぞ、ここまで細い路地を作ったと感心してしまいます。 因みに、下の写真は「石皮弄」です。「弄(ろん)」というのが「路地」を意味します。石皮弄、蘇家弄といったところが、有名な路地です。石皮弄や蘇家弄へは、幹線道路のうち、西街を歩いていくと辿り着けます。 |
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煙雨長廊も見所の一つです。煙雨長廊は、長さ1km以上にわたって、屋根つきの道が続いている。西塘は、明、清の時代に江南地方の商業集積地だったことは前に書きましたが、江南地方は雨が多く、西塘を訪れた人々が雨に濡れないように、自分の商店の前に屋根をつけていったことが始まりとされています。自分の商店に客を呼び込むためのサービスとして、ある店が店の前に屋根をつけたら、他の店も次々に屋根をつけ、長さ1km以上にわたって屋根がついてしまったということです。明、清の時代のショッピング・アーケードとでも呼んだらよいのでしょうか。 |
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こうして西塘古鎮の紹介をしていきますと、何となく賑やかな商店街の写真ばかりになってしまってますが、もっと静かな住宅地みたいなエリアがないかというと、それは、「焼香港」周辺で見ることができます。「焼香港」というのは、永寧橋の南からすぐに右に分かれる水路を指すようですが、この水路一帯を「焼香港」と呼んでいるようです。かつては、寺院が沢山あって、香のにおいが絶えることがなかったことから、この名前がつけられたといいますが、当時は西塘の高級住宅街だったようです。今は寺院は一つだけとなっていますが、その寺院(経堂)には、三国志の関羽が金運(蓄財)の神様として、養子の関平、一の家来の周倉とともに祀られています。潔癖症で一途な関羽が蓄財の神様というのは、ちょっと妙ですね。 |
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西塘には「生きている千年の古鎮」というキャッチフレーズがつけられていることは、すでに触れました。このキャッチフレーズの通り、西塘は観光地ではありますが、そこに暮らしている人々は沢山います。中国の水郷古鎮に住む庶民の素朴な日常に触れるのも、西塘観光の楽しみの一つです。 |
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上海周辺の他の水郷古鎮に比較すると、西塘は観光地化されているとはいえ、まだ素朴な面が強く残っており、人々もまだ素朴な人が多かったという印象があります。ただ、西塘に暮らしている人ですから、そこにはプライバシーという問題もありますので、特にシャッターを向ける際には予め了解をいただくなど、最低限のマナーは守りましょう。 |
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その他、西塘古鎮には、民居や博物館(酒、瓦、木彫り、ボタン等)などもありますが、説明をしてくれるガイドがいないと、日本人にはなかなか興味が持てないかもしれません。 |
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西塘古鎮を効率よく見て回るためには、やはりガイドをつけたほうが良いでしょう。 |
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西塘古鎮は、夜は夜で、静寂の中で川べりの食堂あたりで、赤いランタンに灯されて食事をするのが風情がありますし、朝は朝で、朝もやの中で、川や橋がひときわ美しくなります。昼間は観光客で賑わう古鎮も、朝や夕方、夜は、人出も少なく、水郷古鎮の本当の静けさを味わえる時間です。ですから、せっかく西塘を観光するのであれば、ぜひ、一泊されたら良いと思います。 |
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5.中国江南地域の他の水郷古鎮
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中国江南地域には、西塘以外にも水郷古鎮と言われる場所は数多くあります。有名なところでは、烏鎮、周荘、同里、朱家角、南潯などがありますが、いずれも観光地化されてしまっている点は共通です。ただ、その観光地化の程度が違うかなという印象です。 烏鎮は観光地化の程度が最も進んでいて、古鎮の風情など感じることは少なく、映画撮影所のセットの中にいる錯覚さえ起こします。ここは、あまりおすすめできません。 周荘(上の写真)も観光地化されていることは間違いないのですが、観光客で賑わう昼間の時間を避ければ、朝夕の静かな水郷古鎮の雰囲気が楽しめます。ただ、西塘と比較すると、西塘には古鎮で生活している人々が沢山いる分、生活観が感じられます。西塘の方が泥臭い古鎮だと思います。 |
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もう一つ、本格的な水郷古鎮としては同里が挙げられます。同里には、蘇州にある古典園林(中国庭園)に勝るとも劣らない退思園(上の写真)という中国庭園があって、退思園を見るだけでも同里に行く価値はあるのですが、水郷古鎮としての魅力から言うと、西塘や周荘には及ばないというのが私の印象です。 |
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ですから、中国の水郷古鎮でどこに行くのがおすすめかというと、私はこんな風に答えています。 1.水郷古鎮で1泊するスケジュールが取れるなら、西塘が一番、周荘が二番。 2.特に、上海と杭州を観光するなら西塘がおすすめです。 3.上海と蘇州を観光するなら周荘がおすすめです。 4.中国庭園にも興味があれば退思園がある同里がおすすめです。 5.上海から日帰りするなら、周荘の方が便利です。 6.古鎮の雰囲気だけ味わうのなら、朱家角や七宝でも良いのでは。 できれば、十分に余裕のあるスケジュールで西塘に1泊して、西塘の風情を味わってください。 |
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