中環は世界を代表するビジネス街です。 ですけれども、大通りからちょっと裏に入ると、庶民の生活が一遍に顔を出してしまいます。それが中環のもう一つの魅力でもありますね。 この通りは威霊頓(ウェリントン)街といって、皇后大道に沿って山側に走っている通りで皇后大道から二本目の道です。 この通り沿いにはB級グルメ店が並んでいて、ここからも、餃子屋、カレー屋、ワンタンメン屋などの看板が見えますね。 そうなんです。ここは、中環からすぐ行けるB級グルメ通りなのです。 香港旅行でグルメ三昧というと、どうしても本格的な料理を出してくれるレストランばかりに目が行ってしまいがちですが、香港や中国、台湾などに旅行される方はぜひその地その地のB級グルメにも興味を持ってもらいたいなあというのが私の気持ちです。何故なら、点心や麺類をはじめとしたB級グルメには、そこに生活している人の匂いが充満していますので、その地域の人々を理解するためには必要不可欠だからです。さらに言えば、B級グルメにも旨いものが沢山あるのです。海外旅行するときには、予めB級グルメ情報も仕入れておく、これが私のアジアへの旅行スタイルです。 |
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さて、中環から威霊頓(ウェリントン)街に行くとき、目印になるのは、レストラン鏞記(YUNG KEE、ユンキー)酒家です。鏞記酒家はガチョウのローストで有名な店。私もかつてはこのレストランによく来たものです。家族で名物のガチョウのローストを食べに来たり、昼飯にガチョウのロースト乗せご飯を食べたりしました。でも、正直に申し上げると、私の周辺ではこの鏞記酒家について、おいしい、また行きたい、といった声は殆ど聞かれませんでした。香港在住の日本人の間では、鏞記酒家で食べるなら別の店で食べたいという人の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。 さて、その鏞記酒家が面している通りが威霊頓(ウェリントン)街です。 |
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鏞記酒家(ユンキー)で食べた焼鵝叉焼飯(ガチョウのローストとチャーシューご飯)です。鏞記酒家(ユンキー)は少なくとも20年くらい前までは、一階のフロアだけはご飯の上にローストを乗せたぶっかけ飯を食べさせてくれたのですが、今では一階でさえ上のようなお行儀の良いローストご飯になってしまって、値段もランチで100香港ドルを上回る水準になってしまいました。そういう意味では美味しいのではありますが、B級グルメ通りの価格帯からは外れてしまいました。かつての大衆食堂が高級レストランになってしまったということです。 ということで、あくまでも参考として鏞記酒家(ユンキー)のランチを紹介しました。 |
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鏞記酒家から威霊頓(ウェリントン)街に入って早速見えたのが、黄枝記です。マカオに本店を持つ粥麺で有名な店です。エビワンタンメンが大人気の店で、マカオにある黄枝記の本店はいつも大行列ができている超人気店です。入り口にもエビワンタンメンの写真が出ています。 (黄枝記はスタンレー街に移転しました。スタンレー街は威霊頓(ウェリントン)街とクイーンズロード(皇后大道)の間を走る道で陸羽茶室がある通りです。上の写真は移転後の店の入口です。) |
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この店のもう一つの看板料理は、蝦子撈麺という汁なしラーメン。「撈麺」とはスープなしのラーメンみたいなもので、よくかき回して食べます。「撈」という字は、麻雀をやる人なら見たことがあると思いますが、「海底撈月」、すなわち、海底(ハイテイ)自模(ツモ)という意味で使われます。(「海底摸月」という場合もあります。)すると、「撈」という字の意味ですが、引っ張るとか、すくい上げるとかという意味になるわけで、「撈麺」とは、ゆでた後すくい上げただけの麺ということになります。 写真の料理は「蝦子」(エビの卵)を乗せた撈麺で、通常、撈麺はよくかき混ぜて食べます。そうしますと、えびの卵が麺全体にまぶしたようになるわけです。これはかなり美味いです。しかも汁なしですから、きっとローカロリーだと思います。香港で食べ過ぎた時にも、この麺はお勧めです。 エビワンタンメンなら、後で紹介する沾仔記やマックズで食べたい気持ちになってしまうのです。ここ黄枝記に来たら、私はやっぱり蝦子撈麺ですね。でも、そうした蝦子撈麺ファンのためにエビワンタン付蝦子撈麺というメニューもあるのです。実は上の写真の料理こそ、そのエビワンタン付蝦子撈麺です。 |
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黄枝記の向かいにあるお菓子屋さんの奇華餅家。お菓子屋さんで、香港らしい土産が買えるので私も良く利用しています。この奇華餅家も100mくらい移動してリンドハーストテラス沿いにあります。威霊頓(ウェリントン)街を上環方面に歩いていくと道が二股に分かれますが、直進がウェリントン街で左側に行くのがリンドハーストテラスです。二股に分かれるところからすぐですから簡単に見つかります。 |
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さてさて、中環あたりで最も人気の高いワンタンメン屋さんはこちら、「沾仔記」です。 午後の4時くらいなんですが、お客さん、しっかり入ってますね。昔はもう少し古びた店舗だったのですが、最近はモダンな店舗になりました。 どちらも香港らしいワンタンメンを食べさせてくれる人気店です。 |
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ここ沾仔記のワンタン麺は香港の伝統的なワンタン麺で、ゴムのような麺です。20数年前に初めてこの麺を食べたときには、日本の麺との違いにそれこそ面喰いました。でも、その後食べ慣れてくると、このゴムのように噛み切りにくい麺の食感や味が懐かしくなって、わざわざ日本から香港までワンタン麺を食べに来たくなってしまうのです。 向かいのマックズ・ワンタンメンと甲乙つけがたい味ですが、最近はこちらの方が好きになってきました。以前はマックズ・ワンタンメンのファンだったのですが、慣れみたいなものかもしれません。 |
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マックズ・ワンタンメン・ショップです。ワンタンだけなら、向かいの「沾仔記」もいいけど、スープはこちらの方が私は口に合います。ワンタンメンなら、私の一番のおすすめ店です。ただ、量が少ないからちょっとしたおやつ代わりですね。ランチで食べたいというときは沾仔記が良いでしょう。 |
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マックズ・ワンタンメン・ショップで食べたワンタンメンです。 ウマソーですね。日本で言うと、エビワンタンメンですね。 プリプリしたエビも旨いし、コシのあるゴムみたいな麺も美味いし、この店はスープも美味い。何回か食べているうちに癖になってしまって、香港に来たらワンタンメンを食べに来ないと気が済まなくなります。ここウェリントン街に来れば、この二店に加えて、先ほど紹介した黄枝記もありますから、よりどりみどりです。 香港に来ると、香港粥を食べたり飲茶をしたり、夜は本格的な料理を食べたりということで、お腹一杯になってしまいますが、香港にはB級グルメにもおいしいものは沢山ありますので、ぜひ、色々とチャレンジしてください。 |
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チャレンジということで、威霊頓(ウェリントン)街で入ったことがなかった店を発見。呉越之間という上海麺の店です。威霊頓(ウェリントン)街とヒルサイド・エスカレータの交差点のあたりです。 呉は蘇州、越というのは私の好きな紹興。ちょっと心が惹かれます。こぎれいな店ですし、ちょっと入ってみましょう。 |
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上海料理店なら、まずは小龍包から食べてみましょう。 小龍包は、熱々のスープをこぼさないように食べるのがポイントです。口の中にパクッと小龍包を入れて、熱いスープが口の中に広がると幸せ一杯になります。だけど、やけどしないように気をつけなければいけません。この店の小龍包は、それなりの味ですね。特におすすめというほどの味ではありません。 |
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そして、ラーメンは東坡肉麺にしました。 東坡肉は杭州料理。もともとは、杭州の太守(首長)だった蘇東坡が、工事に関わった労働者たちの労苦に報いるために振舞った料理です。その料理に蘇東坡の名前をつけ、「東坡肉」と言われているわけです。ちょっと見づらいですが、麺の右奥の小さな茶碗の中に東坡肉が入っています。私はよく杭州に行きますので、現地の東坡肉を知っています。それと比較すると、ちょっと残念な味です。麺は上海麺らしく太麺で良いのですが、東坡肉がイマイチですね。 因みに、2009年1月現在、東坡肉麺は34香港ドル、小龍包は20香港ドルでした。 |
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威霊頓(ウェリントン)街を、ヒルサイド・エスカレータをくぐって、さらに進んでいくと、威記粥店があります。ローカルないい雰囲気です。ここのお粥も美味しいですよ。ただ、今日は、昼飯として麺を2食食べたので、パスです。 |
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威記粥店のあたりの街並みです。中環のすぐ裏なのに、こんなローカルな街並みになります。 ぶらぶらしていると、昔の香港を思い出します。 |
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威霊頓(ウェリントン)街を中環から上環方面に進んできたのですが、威霊頓(ウェリントン)街をちょっと外れて、ついでですから、もう一軒、おいしいラーメン屋さんを紹介しましょう。ということで、さらに上環方面に歩いていきます。このあたりの雰囲気はは、庶民の街という感じで私は好きなんです。 |
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紹介しようと思って歩いてきた店はここ。九記牛腩。歌賦街という通りにあって、中環と上環の間では、少し上環寄りにあります。。 牛?というのは牛のばら肉のことで、牛バララーメンで有名な店です。看板が見えると思いますが、何と店から大行列です。残念ながら、今日はパスせざるを得ません。もっとも、既に2食のラーメンを食っている私としては、食い過ぎにならなくて良かったかもしれません。 因みに、九記牛腩では、普通の牛バラ麺とカレー味の牛バラ麺とがあります。人によって好みはありますが、牛バラ自体が濃い目の味で少し脂っこいので、カレー味のほうが私は好きです。 本当は、食いたかったなあ。折角ここまで歩いてきたのですから。 |
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さあ、また、ウェリントン街に戻りましょう。 |
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ウェリントン街を歩いていると、市場のような通りにぶつかります。 それが吉士笠街です。 ウェリントン街にはすぐ山が迫っているので、吉士笠街の坂道の両側に生鮮品をはじめとした屋台の店が連なります。 写真は小さな果物屋さんです。 |
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吉士笠街です。緩やかな坂道の両側に所狭しと屋台が出ています。 中環の街市はあまり面白くないですが、ここ吉士笠街は活気があって香港らしさが感じられます。 ランドマークのあたりから5分くらい歩いたくらいのところにありますから、ぜひお立ち寄りください。ここで果物を買ってホテルで夜食にするなんてのも、良いかもしれません。 |
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このあたりの路地は店や屋台がひしめき合っていて、歩いてみるだけで楽しくなってきてしまいます。すごく生活感があるんですよね、この界隈は。 |
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そうした生活感ある通りを歩いていて、ふと振り返ると、中環の摩天楼が正面に見えたりしします。路地の屋台や小さな商店と摩天楼というコントラストの凄さが、香港の魅力です。ウェリントン街とその周辺を歩いていると、まさに、そうした香港の魅力を味わうことができるのです。 |
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