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北角(ノースポイント)、トラムが市場を走る街

北角(NORTH POINT)


トラムが市場を走る街、北角の春秧街への行き方

トラムが市場を走る街(香港北角の春秧街)

 北角は香港島の庶民の街。
 トラムが市場の中を抜けていく春秧街(CHUN YEUNG St.)で有名な街です。
 マーケットの中で、トラムが立ち往生しているかのような光景。こんな日常が繰り返されています。いつからこんな風になったのかについて、私はよく知りませんが、少なくとも20年前もこうでした。

香港北角の春秧街を走るトラム

 トラムは、香港島の北側を、西は堅尼地域(ケネディタウン)から、屈地街(ウィッティ・ストリート)、上環、中環、湾仔、銅鑼灣 、北角(ノースポイント)などを経て、東の筲箕湾(ショウケイワン)まで走っています。ところが、トラムというのは、西の堅尼地域(ケネディタウン)から東の筲箕湾(ショウケイワン)まで、通しで走っている車両はなくて、例えば、堅尼地域(ケネディタウン)始発なら、最も東まで走る電車でも銅鑼灣までしか行きません。

香港北角の春秧街を走るトラムは北角行き
 
 そして、屈地街(ウィッティ・ストリート)発がここ北角(ノースポイント)行きになっています。北角行きのトラムは、終点北角の一つ手前の駅から、本線から離れてここ春秧街(CHUN YEUNG St.)を通る迂回路線に入ります。この迂回路線を経て、北角始発の西行きトラムになるわけです。
 したがって、筲箕湾(ショウケイワン)行きのトラムは、この春秧街(CHUN YEUNG St.)は通りません。北角行きに乗らないと、トラムは市場の中を走りませんのでご注意してください。上の写真のように、「北角」行きと表示されているトラムに乗ってください。


 トラムに乗って北角(ノースポイント)に行く場合は、中環あたりから乗ると時間がかかってしまいますので、時間がない人は銅鑼灣(コーズウェイベイ)か天后(ティンハウ)のあたりから乗車したほうが良いでしょう。
 2階席に上がって一番前の席を確保するのがポイントです。
 乗車した時にその席が空いていなくても、心配することはありません。何故なら、終点の一つ前の駅までには、殆どのお客さんが降りてしまうからです。地元の人は、最後の一区間が市場を抜けるため時間がかかることを良く知っているのです。他の観光客がいなければ、最後の一区間だけでも、2階の一番前の席に座れるはずです。



 トラムの二階席から春秧街を見学

香港北角の春秧街

 そして、その2階の一番前の席からの眺めです。そんなに広くない通りには、屋台がせり出してきていますし、トラックは通るし、一般の乗用車も通ります。もちろん、マーケットですから、買物客で賑わっています。ここをトラム(二階建て電車)が通り抜けるのです。
 なかなかの迫力です。先日、久しぶりに行きましたが、相変わらずの光景に嬉しくなってしまいました。

トラムが市場を走る街(香港北角の春秧街)
 
 何時に行っても同じような風景は見られるのですが、ベストの時間は買い物客が多い3時から6時くらいです。この時間に北角に着くようにスケジュールを立てると良いと思います。上の写真は夕方5時くらいに撮影したものです。(2016年に撮影しました。)
 トラムは春秧街(CHUN YEUNG St.)の入口でいったん停車し、先ほども書いたように、地元の人たちは殆どそこで降車してしまいます。そこからトラムは春秧街(CHUN YEUNG St.)を抜けていきます。買い物客で混雑しているのは写真奥の方です。

トラム二階席から見た香港北角の春秧街
 
 上の写真は春秧街(CHUN YEUNG St.)の中央を過ぎたあたりです。もう先には進めないのではないか、と思ってしまうような混雑ぶりです。トラムの走行は線路の両側にひいてある白い線の内側です。つまり、この両側の白線には「白線の内側はトラムが走るので入らないでください」というメッセージが込められているのですが、トラムが10m以内に近づいても人々には一向に慌てている様子はありません。右側のピンクのシャツを着たお姉さんや左手前の眼鏡で白シャツのおじさんを見ればわかります。それどころか、白シャツの後ろの短パンのおじさんはこの後、左から右に線路を横断しています。

トラムから見た香港北角の春秧街
 
 春秧街(CHUN YEUNG St.)の楽しみ方は、例えばMTR(地下鉄)で北角まで来て、春秧街まで歩き、トラムが通り抜ける春秧街の様子を見るという方法もあります。しかし、やはり最も感動するのはトラムの二階席からのこの風景です。北角行きのトラムに乗って、この二階席からの光景を楽しんでください。

香港北角の春秧街を走るトラム


 ちょっと古い写真ですが、1997年ごろの春秧街(CHUN YEUNG St.)です。
 1995年くらい前まで、春秧街の店の軒先はもっと出っ張っていて、もっと迫力のある街だったのですが、やはり、安全に対する意識が高まってきたせいか、その頃の改装でちょっと迫力不足になってしまいました。それでも、市場の中を人をかき分けて走るようなトラムの姿は、ここでしかお目にかかれません。
 90年代の写真ですから、すごくノスタルジーが感じられますね。
 でも、よくよく見ると、この光景って、今とあまり変わらないかもしれませんね。

香港北角の春秧街

 トラムがノロノロと通り過ぎて行った後の春秧街です。写真の奥にトラムが見えなければ、また、写真右下にトラムの線路が見えなければ、この街並みは、普通の香港のどこにでもあるマーケットと変わりませんよね。
 このマーケットには、付近の住民が買物に来るところです。まさに、香港の日常生活そのままです。いいですね。しかも、この庶民的な雰囲気は、本当に自分にぴったりです。中環(セントラル)あたりで気取って仕事をするのもいいけれど、香港を実感しようと思ったら、香港島ならこの北角あたりが最高です。
 道行く人たちの表情もいいですね。つんつんしてなくて。カメラ持って歩いている変な日本人には、誰も興味を示さないし、見向きもしません。きっと自分の客とは思っていないから、お店の人も声をかけてこないのでしょう。

香港北角の春秧街

 この写真も、トラムの2階席から撮影したものです。進行方向を写しています。
 不思議なことに、これから進もうとしているトラムの線路に沿って、綺麗に人がいなくなりましたね。こんなこと、珍しいです。でも、手前のトラックのドアが開いていて、これがトラムにぶつかるんじゃないかな、なんて心配になります。

香港北角の春秧街
 
 トラムは北角の春秧街を通り抜けて右折したところが終点です。そこで乗客全員が降ります。上の写真は終点の停留所の横で中国将棋に興じる人たちです。昔ながらの香港を見る感じで嬉しくなってしまいます。
 中国将棋のおじさんたちの左後ろに見えるのが春秧街です。



1997年頃の春秧街

香港北角の春秧街の焼味屋

 少し、このマーケットを歩いてみましょう。
 私の好物、焼き味屋さんです。「焼き味弁当が18香港ドル」なんて表示も見えます。私は弁当も嫌いではないですが、やはり、ぶら下がっているものを買って食べたいですね。

 

 店頭にぶら下がっているものをアップして撮ってみました。いい色に焼けていますね。旨そうです。
 鶏は、1羽55香港ドル、半羽で28香港ドルです。日本円に直せば、1羽700円くらい、半羽なら350円くらいです。焼き味はどこで買っても同じというわけではありませんので、やはり地元のお客さんが群がっているような店で買えば、味にはずれはないと思います。でも、この店は旨そうな焼き具合です。

香港北角の春秧街の魚屋

 もちろん、魚屋さんもあります。この店では近海魚や小魚が多いですね。魚屋さんは量り売りが基本です。

香港北角の春秧街の魚屋

 こちらは、蟹や蝦といったものが中心です。
 香港の人たちは、こういった商店で蝦や蟹を買って家で上手に料理できるのでしょうか? 私の家では何度か中華料理風の味付けで、蝦やカニ料理に挑戦したのですが、出来上がりは無残なもので、やはり、蝦・蟹は外食するに限るというのが結論なんです。

香港北角の春秧街の魚屋


 香港人も料理の素材には、かなりこだわります。ひょっとすると日本人以上かもしれません。市場に行くと、こうした感じで素材をじっくり見ている香港人によく出くわします。食通の人が多いですからね、香港は。
 魚屋の兄ちゃん、若くてかわいいですね。

香港北角の春秧街のフルーツ店
 
 もちろん、果物屋さんもあります。果物屋さんとは別に、野菜屋さんもありました。
 冬の香港は、フルーツの種類は少し寂しくなります。それでも、龍眼(ロンガン)なんかも見えますね。ただ、まだシーズンではないので、ちょっと小粒です。この時期は、マンゴーの方がおすすめですね。


 近くにあった焼き味屋さん。ぶっかけご飯を店内で食べることができます。
 旨そうな肉が並んでいるのと、満足そうにお店を出てきた女性の表情からすれば、結構いい店かもしれません。



2012年の北角・春秧街も同じ街並みだった


 2012年11月に香港旅行した際に、久しぶりに「トラムが市場を走る街 北角(ノースポイント)春秧街」に来ました。上の写真は北角に向かう二両のトラムですが、二両目の日本のイオンクレジットの広告デザインがなかなか秀逸です。

香港のトラム

 なかなか目立つデザインで、描かれているモデルさんもスタイルが良くて美人さんばかりです。つくづく思うのですが、トラムというのは当然窓がありますから、大きな絵を描こうとしても、ところどころ穴が開いたようになります。一番右の女性の腰の下に運転手がいて、左の女性のウェスト部分が一階席になっています。なかなか大胆な図柄です。
 このデザインが気に入ったので、こちらに用意しています。

香港北角の春秧街を走るトラム

 北角(ノースポイント)の市場で立ち往生するイオンクレジットのトラムです。
 2012年は尖閣問題で日中関係が悪化しましたけど、その問題があるから日系企業が嫌がらせを受けているわけではないということは、昔の北角の写真を見ていただいてますからお分かりですね。
 例によって、買物客が勝手に線路を横断しますので、安全のためのろのろと走っています。いいですね。北角はいつ来ても楽しいです。


 少し、市場内も歩きましょう。
 このお肉屋さん、次々とお客さんが来ます。きびきびと動く短パンの親父さんが魅力的です。


 ちょっとお客さんが途切れました。親父さんは店の肉が美味しく見えるかどうか、陳列をチェックして、並び替えたりします。なかなか芸が細かい。おかげで、銅です、お肉が美味しそうでしょう。この親父さんはプロです。


 また、お客さんが群がります。きびきびと軽い身のこなしでお客さんをさばく親父さんです。働く男って、仕事ができる男って、魅力的ですね。


 本当は親父さんの店で肉を買いたかったけど、香港旅行者としては買っても料理のしようがありません。そういう場合は、上の写真にあるような焼き味屋さんに行きます。美味しそうな肉がぶら下がっています。観光客としては、左の台の上に出ている24香港ドルの焼き味弁当なんか、如何でしょうか。ホテルに持ち帰って食べることもできます。


 北角は香港ですから、海産物のお店も豊富です。こちらは香港人の夕食の定番、エビや貝類が安く売られています。網ですくって重さを量って販売されています。


 蟹も売られています。ちょっと小さいなあ。なんて考えていたら、写真の映りも悪くて全然美味しそうに見えませんね。


 お魚もあります。このあたりで売られているお魚はきっと廉価です。ガルーパ(石班)のような高級魚はあまり売られていません。

香港北角の春秧街
 
 上の写真は夕方6時くらいのものです。買い物客のピークは過ぎています。この15分くらい前までは買い物客であふれていたのですが、随分とお客さんの数が少なくなりました。日によって混み方は違うとは思いますけれども、5時くらいまでに行くともっと活気のある風景が見れると思います。


 トラムの線路脇のぎりぎりのところで商売しているのがフルーツ屋さんです。威勢の良いお母さんが掛け声鋭くお客さんに声をかけています。凄い販売力だと、横で観察していて感心してしまいました。


 隣のフルーツ屋のお兄さんは、ちょっといい男です。物静かではありますが、人気のお兄さんらしくて、この写真を撮る直前までお客さんが群がっていました。一息ついた彼の横顔が素敵です。


 上の二つの店に比べると、通常の店舗で売っているフルーツ屋さんは迫力がないですね。店舗を構えているだけあって、やっぱり価格が高いのでしょうか。お客さんが集まってきません。北角・春秧街はなかなか競争が厳しいところのようです。


 この日の私は大好物のロンガンを買って帰りました。ホテルで皮を剥いて食べるのです。ロンガンの味はライチに似ていて美味しいですよ。

香港北角の春秧街にある製麺店
 
 春秧街(CHUN YEUNG St.)にある自家製麺のお店です。美味しそうな中華麺が売られています。ここで買ったものを日本に持ち帰り、日本の醤油ラーメンのスープに入れて食べたことがあります。それでも美味しく食べられましたが、麺を買って帰るならスープもあわせて買って帰るべきだったかなと思っています。懐かしい香港のゴム麺のようなラーメンを日本で味わうのも悪くないです。


 おっと、この北角・春秧街で、ドレスの店を見つけてしまいました。しかも露天の店です。いくらで販売しているのか知りませんけど、こんな食品市場みたいなところで、ドレスが売れるのでしょうか。


 ここ北角の春秧街を歩くと、香港の日常生活に触れるような気がします。私たち外国人から見ると、マーケットの中を走るといったこと自体が驚きなのですが、香港人にとっては何でもない日常の風景です。
 また、トラムが走ってきました。2階席の一番前には、白人の観光客が座っています。彼らもまた、この奇妙な光景に心を躍らせているに違いありません。