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蘇州観光・グルメのおすすめスポット|蘇州古典園林の魅力

(2010年5月1日以来)

蘇州観光・グルメのおすすめスポットSUZHOU

蘇州と蘇州古典園林

拙政園の梧竹幽居と回廊

拙政園の梧竹幽居と回廊

 古都蘇州の目玉は、何と言っても中国庭園です。蘇州古典庭園、蘇州古典園林などとも言われます。
 蘇州の庭園では、拙政園留園獅子林、そして滄浪亭が四大名園と言われています。蘇州にはこの四大庭園以外にも、見逃せない庭園があります。網師園耦園芸圃といった庭園です。これらの比較的こじんまりした庭園も、味わい深い趣きがあり、見逃せないスポットです。

網師園の大池

網師園の大池

 さらに、バスに30分ちょっと乗れば、同里古鎮に退思園もあります。退思園は、蘇州の庭園に負けず劣らずの庭園で、私のお気に入りでもあります。これらの庭園を含めて、今まで紹介したすべての庭園がユネスコの世界文化遺産に登録されています。
 蘇州旅行の楽しみ方を紹介するのがこのページの目的ですが、蘇州古典園林(中国庭園)の楽しみ方については別のページで詳しく紹介していますので、ここでは、中国庭園観光のアドバイスは最低限のものにとどめておきたいと思います、

留園の池で中国琵琶を弾く女性

留園の池で中国琵琶を弾く女性

 まず、蘇州観光に当てられる時間があまりない人へのアドバイスです。例えば上海から日帰り旅行で蘇州観光する場合などです。
 こうした時の観光スポットとしては、まず、蘇州の庭園の中からどこを選ぶかで悩むはずです。私なら、時間がないのですから広い拙政園は外し、留園を選択します。これにもう一つ庭園を加えるなら網師園芸圃をおすすめします。留園なら2時間弱でポイントは抑えられますし、網師園芸圃は1時間もあれば見ることができます。朝上海を出発し、夕食を蘇州で食べて帰るコースを考えれば、新幹線で30分ちょっとで着ける蘇州なら、庭園観光に3時間程度はかけられるのです。
 留園は優雅さが自慢の庭園、一方、網師園芸圃はこじんまりした住宅併設の庭園です。趣きは全く違いますので、飽きることはないでしょう。

芸圃の茶室から見る庭園風景

茶室から見る芸圃の風景

 そして、ぜひ楽しんでもらいたいのが各庭園に設置されている茶室です。
 上の写真は芸圃の茶室で20元も出せばお茶を楽しみながら庭園の風景を楽しめます。芸圃の場合は、最も眺めの良い場所に茶室があります。
 ところで、私が蘇州で飲むお茶は碧螺春です。碧螺春は龍井茶と同じく緑茶の一種で、龍井が杭州産であるのに対して、碧螺春は太湖周辺が産地となっています。すっきりしていて香の良いお茶です。茶碗のお湯が残り3分の1くらいになったら、ポットから継ぎ足して飲みます。この碧螺春は2杯目も3杯目も美味しくいただけます。あわただしく庭園を歩き回るのではなく、じっくりと腰を落ち着けて楽しむ中国庭園は、蘇州観光の良い思い出になるはずです。

同里の退思園、攬勝閣からの眺め

同里の退思園、攬勝閣からの絶景

 蘇州で一泊できるなら、ぜひ拙政園を見学しましょう。拙政園は大変広く、また観光客も多いので、できれば朝八時頃には入園して、静かな庭園を楽しみましょう。蘇州庭園で最も見所が豊富なのは何と言っても拙政園です。見学のポイントは拙政園のページに記載してありますから、そちらを参考にしてください。
 また、一泊できるのであれば、同里古鎮まで足を伸ばして退思園を見るという選択肢もあります。特に、中国江南地域の水郷古鎮の雰囲気を楽しみたいと思っている方には、同里古鎮の退思園はおすすめです。
 先ほども書きましたが、蘇州古典園林(中国庭園)の楽しみ方については別のページで詳しく紹介していますので、これより詳しいことはそちらのページを参考にしてください。

蘇州への行き方(上海・蘇州間の移動方法)については、こちらをご覧ください。




古典園林以外の蘇州観光

蘇州、虎丘の雲岩寺塔

蘇州・虎丘にある虎丘等(雲岩寺塔)

 蘇州観光というと、上海からの日帰りなどで済ましてしまう人が多いようですが、これだけ多くの価値のある中国庭園があり、また、中国庭園以外にも虎丘寒山寺盤門などといった見所もあり、また、平江路山塘街といった運河沿いの散歩道もある街ですから、できるだけ1泊、或いは2泊くらいして、蘇州という街を堪能してもらいたいと思います。
 とは言え、特に仕事を持っている人にはなかなか時間が取れない事情もありますので、ここからは日帰り旅行でも蘇州を楽しめるように、庭園以外の蘇州の見所も説明し、最後にグルメ情報を紹介したいと思います。

蘇州虎丘の王羲之が書いた剣池

蘇州・虎丘にある剣池

 蘇州は紀元前514年、呉がここに都を置き、闔閭(こうりょ)の時代に街としての整備が進んだのが歴史の始まりとされています。闔閭といえば、越の勾践(こうせん)との間で繰り広げられた呉越戦争が有名で、臥薪嘗胆(薪の上に寝たり苦いものをなめたりして、成功するために苦労に耐える。)などの言葉を生んでいます。虎丘は呉王闔閭(こうりょ)の墓のあるところで、その名の通り小高い丘になっています。
 この虎丘の最大の見所が虎丘塔という斜塔で、確かに今にも倒れそうな角度で建っています。また、上の赤い「剣池」という字は王羲之(おうぎし)の書で、まことに見事な書体です。この剣池の下に、数々の財宝とともに呉王闔閭(こうりょ)の墓があるとされています。

 庭園以外で蘇州最大の見所といわれている虎丘ではありますが、だからと言って蘇州に行ったら必ず見るべきというほどの観光地ではありません。特に、広さが半端ではありませんので、意外に観光に時間がかかることも理解しておいた方が良いと思います。後で紹介する盤門山塘街なども含めた観光地から選択する一つの候補に過ぎません。

蘇州・盤門の瑞光搭

蘇州・盤門の瑞光搭

 蘇州には、呉越時代の呉の国に由来する見所もあります。その中で特に有名な場所がこの盤門と虎丘です。盤門周辺は盤門風景区として整備されていて、ゆったり回れば2時間でも3時間でも楽しめるエリアになっています。私は、夕方暗くなる前の1時間くらいで回りましたが、やはり2時間はかけてゆったりと楽しみたいところです。
 蘇州城は、紀元前508年に呉王闔閭(こうりょ)が城を築いたのがその始まりです。設計したのは、伍子胥(ごししょ)であるとされています。当時、伍子胥が蘇州に作った城門の中で、今でも残っているのはこの盤門だけです。
 盤門風景区の見所は大きく分けて次の3つでしょう。
 ①瑞光搭(上の写真)とその周りの池や建物群
 ②盤門と呉門橋など盤門周辺
 ③伍子胥(ごししょ)祠
 盤門周辺には蘇州城の城壁や、弓や石を打つ穴、投石器などがあって、また、呉の旗が城壁にたなびく様子などを見ていると、かつての蘇州城を見ているかのようです。

蘇州・盤門、伍子胥(ごししょ)祠にある伍子胥像

伍子胥(ごししょ)祠にある伍子胥像

 伍子胥(ごししょ)祠は呉越戦争の時代に呉を支えた伍子胥の祠です。
 紀元前494年、呉王夫差が会稽(現在の紹興)で越王の勾践(こうせん)を破ったときに、伍子胥は越王勾践(こうせん)の降伏を認めず一族を根絶やしにすることを呉王夫差に進言します。しかし、呉王夫差はその進言を拒否し、その後、越の范蠡(はんれい)の策略により、呉の経済の破綻(范蠡が呉に送り込んだ西施が呉王夫差に大量の無駄遣いをせびらせたりした)や伍子胥の失脚(デマを飛ばして呉王夫差から自刃を命じられた)といったことを経て、とうとう紀元前473年に呉は越に滅ぼされることになるわけです。
 伍子胥が自刃したのが紀元前484年です。その2年後の紀元前482年に、越は突然呉に反旗を翻し、挙兵しています。まさに伍子胥を亡き者にしたからこそできた挙兵でした。逆に言えば、伍子胥さえ生きていれば、呉は越に滅ぼされることはなく、大きく飛躍して考えれば、今の蘇州はもっと繁栄していたのかもしれません。
 そんな呉の英雄、伍子胥ですから、蘇州では善良そうな顔をした像になっています。



蘇州の忠王府、太平天国の拠点が設置されていた

蘇州の忠王府

 次に紹介するのは、蘇州博物館の隣にある忠王府です。太平天国の忠王(李秀成)の前線基地となっていた場所です。
 太平天国の乱は、清の時代の1851年に起こった大規模な反乱で、1864年に終結しています。日本では、太平天国の「乱」といわれるので、太平天国という国そのものが賊のように聞こえますが、むしろ清を倒すための革命として位置づけたほうが分かりやすいと思います。当時は民衆の支持を得ていましたし、現在の中国でも概ね好意的にとらえられているようです。
 太平天国は1851年に江西省に興り、南京(太平天国では天京と呼んだ。)に首府を置いたのが1853年です。清がアヘン戦争でイギリスと戦ったのが1840年ですから、清が弱体化していた時期に太平天国が起こったということになります。江南地区の攻略を進めていた忠王の李秀成により、太平天国は蘇州を1860年に陥落させましたが、その後蘇州でさらなる前線基地としていたのが忠王府です。

蘇州・忠王府にある太平天国の礼拝堂

忠王府にある礼拝堂

 太平天国はキリスト教を信仰する国です。洪秀全は、太平天国の建国に当たり、キリスト教的理想を掲げ、地上の天国を作り出そうとしたとされ、「人は神の前に平等であり、皆兄弟姉妹である」という天下一家的な思想が根底に流れています。但し、太平天国を建国した洪秀全をキリストの弟として位置づけているところが決定的に異なります。
 初期の太平天国は、キリスト教に忠実であろうとつとめています。忠王府にも礼拝堂(教会)がありました。日本ではあまり知られていない太平天国ですが、ここ蘇州で少し太平天国を理解してみませんか。

蘇州・寒山寺の鐘
寒山寺の鐘

 日本人が蘇州という街の名前を聞いて最初に思い出すのは、ひょっとして寒山寺かも知れません。寒山寺と言えば「楓橋夜泊」の七言絶句で有名です。その中で「姑蘇城外にある寒山寺から、夜半を知らせる鐘の音が聞こえてくる」とうたわれた寒山寺の鐘です。
 上の写真は鐘全体を撮影しました。この写真ですと大きさが伝わらないのですが、鐘の高さ8.5m、直径は5.188mで重さ108トンということです。

蘇州・寒山寺の境内
蘇州・寒山寺の境内

 上の写真は寒山寺の境内です。黄色い壁と黒い屋根で色が統一されていて、雰囲気は十分に楽しめます。寒山寺の境内はいつも線香の煙で朦々としているのですが、今回は午後4時ころの到着で参拝客が少ない時間に来てしまったせいか、迫力ある線香の煙は経験できませんでした。

楓橋夜泊を詠んだ張継
寒山寺に隣接する楓橋古鎮にある張継の像

  「楓橋夜泊」を詠んだ張継の像です。張継は唐代の役人です。張継作の有名な詩はこの「楓橋夜泊」だけです。詩人と紹介されるのは、彼としては不本意かもしれません。 張継の「楓橋夜泊」はこんな内容です。
月落烏啼霜滿天 月落ち烏啼いて霜天に滿つ
江楓漁火對愁眠 江楓漁火愁眠に對す
姑蘇城外寒山寺 姑蘇城外寒山寺
夜半鐘聲到客船 夜半の鐘聲客船に到る

  月が沈み夜もふけた頃に、烏(カラス)が鳴き、霜の気配が一面に漂っている。
  川辺の楓や漁火が、眠れずにいる私の目に映ってくる。
  姑蘇城外にある寒山寺からは 
  夜半を知らせる鐘の音が、この客船にまで聞こえてくる

 京杭運河を船で旅していた張継が、蘇州(姑蘇)城外にある楓橋の近くで停泊した船の中で夜を迎えた時に詠んだ詩です。カラスの鳴き声が聞こえるだけの静かで暗い夜に、楓や漁火の火がチラチラと目に入ってくる。そうしたなか、寒山寺の鐘の音が心に響いてくる。そんな情景を詠っています。
 寒山寺と楓橋古鎮についてはこちらで詳しく紹介しています。

蘇州・山塘街の運河風景

運河沿いにある蘇州の山塘街

 蘇州は東洋のベニスといわれた街ですから、運河もまた有名です。蘇州の運河の風情を楽しむのであれば、山塘街平江路が有名ですが、どちらか一つということであれば、山塘街が私のおすすめです。
 山塘街は、運河沿いに続く昔ながらの商店街で、昔の蘇州風の雰囲気を味わえる街です。ある意味、観光客向けですけれども、まあまあ蘇州らしい雰囲気と小吃(しゃおち=軽食)が楽しめて、中国らしい、しかも蘇州らしい土産物が買える街ですので、観光客に人気のあるエリアです。上の写真にあるように運河の風景もそれなりに楽しめますし、日が落ちれば提灯の灯りが運河の風情を醸し出します。

蘇州の運河(山塘街)
 
 夕暮れの山塘街は、昼間よりも賑わいます。それは、運河の両側に灯る明かりに照らされる蘇州風情を見学する観光客が多いからです。昔の蘇州の風情は確かにこんな感じだったのかなあと思います。

蘇州の山塘街

ショッピングが楽しめる山塘街の街並み

 山塘街は観光客に人気があるといっても、そのほとんどは中国人観光客ですから、街を歩いていても何となく庶民的です。前をたまたまチャイナドレスを着たお姉さんたちが歩いています。でも、こんなことはごくごくまれで、むしろ普段着の中国人が歩く普段着の中国の街、それが山塘街です。
 山塘街に来たらぜひ楽しんでもらいたいのが小吃(しゃおち=軽食)です。


蘇州・山塘街の美味しい臭豆腐

蘇州・山塘街にある秘伝臭豆腐

 小吃(しゃおち=軽食)の店は山塘街には本当に数多く、東呉麺館大阿二生煎、五芳斎といったチェーン店から、臭豆腐の専門店蘇州の伝統菓子である海棠糕や梅花糕の屋台まで、数多く店が軒を連ねています。中国らしい街を歩きながら中国らしい小吃を楽しむ、そうした店を冷やかし小吃をつまみながら、かつての蘇州の街を想像できるというのが山塘街の楽しみですね。
 そうした小吃店の中で私が最もおすすめしたいのは聞其香という臭豆腐専門店です。この聞其香という臭豆腐専門店の臭豆腐はとにかく旨いのです。山塘街に来てこの店の臭豆腐を食わないなどというのは、あまりに勿体無いと私は思うのです。


 こうした小吃を食べたりするのが山塘街の楽しみであるならば、一方の平江路はもう少し落ち着いた雰囲気の散策路です。そうした意味で人により好みは分かれるかもしれませんが、蘇州日帰り旅行の中で行くとしたら、私としては山塘街をおすすめします。平江路については、蘇州に一泊するのであれば、拙政園から近いこともあるので足を伸ばしても良いところだと思います。



蘇州のグルメ

得月楼の蟹粉豆腐

得月楼の蟹粉豆腐

 蘇州旅行の魅力の一つは、蘇州のグルメです。
 実は20年位前になりますが、初めて蘇州に行く前に「蘇州の飯は旨いのか」と上海人に聞くと、「あそこの飯はだめだ」と決め付けるように言われたうえに、「どこで食っても旨くない。上海じゃ金が取れないような料理を出すんだぜ」とまではっきり言われたことを思い出します。 上海人からそんなことを言われる蘇州料理ですけれども、実際に食べてみると美味しい料理を出すレストランは沢山あります。いわゆる蘇州の伝統料理にも美味しい料理はいろいろありますし、中国を代表するラーメンである蘇州麺も私のお気に入りです。
 ここからは、蘇州のグルメについて、特に、蘇州への日帰り旅行をイメージして、ご紹介します。

蘇州麺の老舗、同得興本店の店内の様子

蘇州麺の老舗、同得興本店の店内の様子

 蘇州への日帰り旅行ということであれば、朝、上海を出発し、昼食を蘇州麺か小吃で、夕食を蘇州の本格料理で楽しんだうえで、上海へ戻るというのが一般的です。つまり、本格料理を1回、蘇州麺か小吃を1回、というのが蘇州での食事になります。でも、もし皆さんがラーメン好きであれば、朝飯を上海で食べずに新幹線和諧号に乗り、蘇州に来てから同得興で食べてみるとかすれば、朝、昼、夕の3回の食事を蘇州でとることができます。因みに、上海・蘇州間は30分強で移動できます。
 ここから紹介する蘇州のグルメの良し悪しを考えながら、蘇州でとる食事を2回にするか3回にするかを考えてみてください。

蘇州料理の老舗、松鶴楼の松鼠桂魚

蘇州料理の老舗、松鶴楼の松鼠桂魚

 まず、蘇州の本格料理から紹介しましょう。
 蘇州料理といえば、何と言っても松鶴楼です。松鶴楼は市内に数店舗ありますから、住所や地図などを「大衆点評」という中国語サイトなどで予め調べておくと良いと思います。日帰り観光客にわかりやすいのは、観前街にある本店か山塘街の支店でしょう。
 この松鶴楼の看板料理といえば、上の写真にある松鼠桂魚(桂魚の丸揚げ甘酢あんかけ)でしょう。どうですか、この見事な盛り付け。桂魚は川や湖沼にいる淡水魚で、中国では淡水魚の王様といわれています。これに衣を付けて熱い油に入れて強火で揚げて、反り返った形や揚げられた外見が、まるでリス(松鼠)の尻尾のように見えることから、その名が付いたと言われています。大変に手の込んだ盛り付けです。そして、味ですが、揚げ方にも特徴があるのか、表面はサクッとしていますが、中の桂魚はふんわりと柔らかく揚がっていて、美味しいのです。ちょっと甘めのタレも淡白な魚の味に馴染みます。
 この松鶴楼では松鼠桂魚以外にも美味しい料理がいろいろあります。こちらのページで紹介していますので参考にしてください。

得月楼の桜桃汁肉

得月楼の桜桃汁肉

 老舗の蘇州料理レストランでは、得月楼もおすすめです。松鶴楼の本店と同じく、観前街の一本南を走る太監弄という通りにあります。店の格としては松鶴楼に譲るところはありますが、メニューの豊富さや美味しさなどはひけを取りません。
 得月楼での人気料理というと蟹粉豆腐(三つ上の写真)です。中国で蟹といえば上海蟹ですが、上海蟹の最高級品は陽澄湖の蟹です。そして、その陽澄湖というのは蘇州市にあるのです。ということで、上海蟹の本場である蘇州で蟹粉豆腐がおいしくないわけがありません。得月楼の蟹粉豆腐も味付けは芳醇で、さすがです。
 得月楼でのおすすめのもう一つは桜桃汁肉です。写真を見ると、ちょっとどぎつく脂っこいような印象を与えるでしょうが、この料理が実に旨いのです。豚肉はよく煮込んで柔らかく食べやすくなっていますし、かかっている桃汁は少し甘い味付けで食べやすくなっています。
 その他にも、得月楼には得月童鶏や松鼠桂魚や河エビの炒め物(油爆蝦)など、蘇州料理の名菜がいろいろあります。価格もリーズナブルなので、おすすめのレストランです。

王四酒家の乞食鶏

王四酒家の乞食鶏

 蘇州の代表的な料理の一つに叫化童鶏(乞食鶏)があります。叫化鶏の「叫化」とは乞食を意味しますので、日本では「こじき鶏」と呼ばれています。この変わった料理名にはこんな謂れがあります。
 清の前期、常熟(蘇州のすぐ近くの都市)で一人の乞食が鶏を一羽盗んだものの、調理道具を持っていなかったため、蓮の葉で包みそれをさらに黄土の泥でくるんで火の中に入れて焼いてみると、泥を割った中から美味しい鶏の蒸し焼きが出てきた。この鶏が大変良い香りだったので、周りの人にもこの調理法が広まったとのことで 以来、この料理は叫化鶏(と命名され、周囲に広まったというものです。
 この叫化童鶏(乞食鶏)は、蘇州でも、杭州でも、そして、上海でも、いろいろなレストランが名物料理として挙げるメニューの一つになっています。が、どうせ食べるなら、ここ王四酒家がおすすめです。王四酒家の乞食鶏は炭火で蒸し焼きにされていて、とてもジューシーです。また、泥を割って蒸し焼きにされた鶏をお客さんのテーブルで取り出してくれるので、ショー的な要素もあります。
 王四酒家も観前街の一本南を走る太監弄という通りにあります。

大閘蟹(上海蟹)は蘇州の名産

上海蟹の最高級品は蘇州産

 蘇州のグルメについていろいろ書いてきましたが、実は一番のおすすめは陽澄湖の上海蟹です。
 「上海蟹」という言い方は日本特有のもので、中国では「大閘蟹」と言い、陽澄湖産のものが最高級とされています。陽澄湖は琵琶湖の5分の1くらいの広さの湖で、蘇州市や昆山市などに属しています。上海からは車で2時間くらいでは行けますのでそんなに遠くはありませんが、少なくともその陽澄湖やその一帯を中国人は決して「上海」とは言いません。蘇州や昆山のエリアなのです。
 ですから、蘇州人の友人は私に言います。「日本人は何故『上海蟹』と呼ぶのですか。大閘蟹は蘇州の蟹です」と。上海蟹のシーズン、すなわち秋から初冬であれば、蘇州では陽澄湖の蟹(上海蟹の最高級品)を廉価に食べることができるのです。

上海蟹の故郷、陽澄湖の夕陽

上海蟹の故郷、陽澄湖の夕陽

 蘇州で本場の大閘蟹(上海蟹)を食べるなら、陽澄湖まで足を延ばしましょう。庶民的な農家料理の食堂でも素晴らしい蟹を食べることができます。上の写真にあるような夕陽に陽澄湖が赤く染まるのを眺めつつ、本場の味を楽しむことができます。上海の値段の半額以下、日本で食べる価格の3分の1以下で美味しい蟹をいただけます。
 陽澄湖の蟹については、陽澄湖への行き方やレストランの紹介などをこちらのページで紹介しています。季節さえ合えば、絶対のおすすめです。



蘇州麺といえば同得興。同得興の本店です。

蘇州麺といえば同得興。同得興の本店です

 それでは、次に、蘇州麺のお店の紹介に移りましょう。蘇州麺は中国を代表するラーメンの一つで、せっかく蘇州に来たのならぜひ味わってもらいたい料理です。
 とかく中国旅行中は食べ過ぎになりやすいものですけれども、蘇州なら蘇州麺店での食事を入れるなどして、軽い食事で時々胃を休めるのが良いと思います。昼食は特に、本場の蘇州麺がおすすめです。また、上海を早い時間に出て朝食を同得興朱鴻興麺館のラーメンにしようということも可能だということは既に書きました。
  蘇州麺といえば、第一に名前が挙がるのがここ同得興です。まず、同得興の蘇州麺から紹介します。店内に入ったら、写真奥、すなわち、入口のすぐ脇にあるカウンターで注文します。(少し上にある同得興本店の店内写真をご覧ください。)注文の仕方は次の要領です。
 1.ベースとなるラーメンを決めます。
   こってり系(紅)かさっぱり系(白)かを選びます。
   同得興で人気があるのはこの「白」です。
   朝食なら、さっぱり系の白を迷わず選びます。
 2.トッピング
   肉やうなぎなどのトッピングを選択します。
   人気があるのは焖肉です。
ということで、例えば白焖肉麺を選択すると、10元です。(2012年5月)
 中国語で注文しないといけないので、話せない人は予め紙に書いておいてカウンターの人に渡してください。あるいは、同得興であれば十全街店ですと、紙での注文ですからハードルが低いかもしれません。

同得興の白焖肉麺

同得興の白焖肉麺

 白焖肉麺です。青菜はセットで付いてきました。
 同得興の白スープは旨いですね。あっさり系で胃にやさしいスープですから朝から食べられます。スープが旨い!! 麺は細麺でこれも旨いんです。焖肉はトロトロに煮込んだ豚肉です。焖肉がいつもながら柔らかくて、これも最高ですね。スープの中に入れておくと、麺を食べ終わる頃には焖肉の味がかなりスープにしみこんできます
 中国に来ていつも思うのは、何故日本の麺には、焖肉を入れずにチャーシューを入れるのかということです。チャーシューより焖肉の方が私は好きなのです。

蘇州麺は細麺。具が別皿で来ることも

蘇州麺は細麺。具が別皿で来ることも

 さて、一方、朱鴻興麺館も蘇州麺の老舗の一つです。
 朱鴻興麺館も松鶴楼得月楼王四酒家と同じく、ここでは、上の写真の通り、ラーメンと具が別皿で出されます。まず、蘇州麺をご覧ください。縦横に綺麗に盛り付けられています。細麺でおいしいです。スープは薄味の鶏がらスープです。あっさりしたラーメンが好きな人には喜ばれそうなスープです。でも、私的には、蟹粉を入れなかったら、ちょっとパンチ不足かなという感じのスープです。
 そして、ここ朱鴻興麺館でのおすすめは蟹粉麺です。蟹粉がこんなに出てくるとツナみたいに見えますけど、しっかり蟹粉です。沢山あるので、麺にかける前に、蟹粉だけ賞味します。旨いです。
 
朱鴻興麺館でのおすすめは蟹粉麺

朱鴻興麺館でのおすすめは蟹粉麺

 蟹粉を麺にかけ生姜を散らしますと、こんな感じで蟹粉麺の出来上がりです。
 先ほどスープはあっさり系だと書きましたが、蟹粉を入れると濃厚蟹ラーメンになります。蟹粉とスープの相性が凄く良くて、私好みのスープになります。札幌や函館などで食べる蟹ラーメンより、ずっと濃厚なスープです。申し訳ないですが、札幌や函館などで食べる蟹ラーメンと比較すること自体が失礼なくらいの旨さです。
 麺に蟹粉を絡ませて食べると、これがまた旨い。うーん、絶品の味です。私はもう朱鴻興麺館の蟹粉麺がすっかり癖になってしまいました。
では、朱鴻興麺館の蟹粉麺以外はどうでしょうか。例えば紅焖肉麺も美味しいのですが、焖肉自体の脂が強いですから、スープと一緒になるとちょっとしつこい味になります。私は好きな味ですが、人により好き嫌いは出ると思います。焖肉を蘇州麺と一緒に食べるなら、同得興の白スープ(さっぱりしたスープ)に入れた方に軍配を上げざるを得ません。
 したがって、肉系の具にするなら同得興、蟹粉麺にこだわるなら朱鴻興麺館というのが私のおすすめになります。その他、うなぎとかエビの入った麺もありますが、中国のうなぎは骨が多く食べづらいし、蘇州のエビは川エビなのでプリプリ感がありません。私としては、あまり推奨しません。

蘇州市内各地に店舗がある東呉麺館

蘇州市内各地に店舗がある東呉麺館

 蘇州のラーメン専門店の御三家のもう一つは東呉麺館です。写真は東呉麺館の焖肉麺です。青菜を追加でトッピングしています。
 東呉麺館も蘇州には沢山の店舗があります。この東呉麺館の蘇州麺も旨いのですが、ここはかなり大衆路線の店で、味もワイルドです。女性などにはスープが少し脂っこく感じられるかもしれません。でも、この店の醤油味のスープは私は決して嫌いではありません。いかにも中国らしいラーメンなのです。同得興朱鴻興麺館に行く時間がない人は、市内各地にある東呉麺館を利用するのも良いと思います。上海にある滄浪亭よりは、ずっとずっとおいしい本格的な蘇州麺が食べられます。

蘇州では、無錫風小籠包が旨い

蘇州では、無錫風小籠包が旨い

 そして、蘇州で忘れてはならないのが無錫小籠包です。無錫小籠包は蘇州のあちこちで食べられますが、おすすめは熙盛源でしょうか。場所は十全街と鳳凰外の交差点近くで、私のお気に入りの庭園、網師園の近くです。網師園の近くには蘇州麺の同得興もありますが、この熙盛源もおすすめです。この熙盛源のおすすめは無錫小籠包が一番で、ワンタンも有名です。白湯ワンタン(普通のスープ)と紅湯ワンタン(辛いスープ)があって、白湯ワンタンの方が人気があるようです。
 さて、無錫の小籠包といえば、王興記。そこの小籠包は皮に20以上のひだをつけて包み込みます。そういう意味では、熙盛源の小籠包も、はっきりとしたひだをつけてひねって包み込むところが、無錫風です。例えば、上海の南翔饅頭店の小籠包この写真を見ると分かるのですが、ひだがもっと少ないのです。さらに言えば、ちょっとサイズが大き目のところも無錫風です。
 さて、食感ですが、まずは、スープの量に驚かされます。沢山入っています。皮は底が厚くて周りの皮が柔らかいんです。これは、スープの量が多いので、壊れないようにする工夫なのでしょうか。スープは濃い目の鶏がらです。アツアツのたっぷりスープの入った小籠包、旨いです。
 朝飯で蘇州麺を食べたときの昼飯に、または、午後のちょっと重めのおやつに熙盛源を利用しては如何ですか。

品芳茶社の西山碧螺茶餅

品芳茶社の西山碧螺茶餅

 熙盛源網師園の近くなら、平江路にある品芳茶社の点心拙政園から平江路と小新橋巷を通り耦園へと歩く道筋にあります。蘇州の雑踏を忘れさせてくれる心休まる私のおすすめの散歩道です。少し小腹がすいたら、平江路を小新橋巷との交差点から南へ少し下ったところにある品芳茶社で、点心でも食べていきましょう。
 エビ餃子や甘いお団子系など幅広く点心のメニューはありますが、私のおすすめは西山碧螺茶餅です。蘇州郊外の西山で採れた碧螺春で味付けされた菓子なのでしょうか。見た目にもおいしそうです。実際に食べてみると、ふむふむ、これは旨い、絶品です。お茶とゴマの組み合わせがおいしいのです。熱々の出来立てだということもあるのかもしれませんが、これは大満足です。
 
広東料理の唐宮海鮮舫で飲茶

広東料理の唐宮海鮮舫で飲茶

 グルメ紹介の最後に飲茶の話をしましょう。飲茶はそもそも広州や香港など南方の習慣ですので、蘇州では香港のような飲茶屋さんはそう多くはありません。が、広東料理店であれば、ランチタイムから午後の時間は飲茶タイムになっている店も蘇州にはいくつかあります。
 私がおすすめする唐宮海鮮舫もその一つで、蘇州ではまずまず高級な広東料理レストランです。このレストランの点心では、蝦餃皇(エビ餃子)が一番人気だと聞いていましたが、確かにエビがプリプリしていて旨いこと、旨いこと。視覚と食感の両面で楽しませてくれる点心です。いわゆる蘇州江浙料理で使われるエビは川や湖沼のエビですので、グニャッとしていてプリプリ感が不足しています。しかしながら、同じ蘇州で食べても広東料理専門店では海のエビを使うのでプリプリしているのでしょう。
 また、その蝦餃皇(エビ餃子)以上に旨かったのが、エビニラ餃子です。ニラの味が強いのですが、エビの香りがほんのりとします。見た目は平凡なニラ餃子なのですが、味付けが良くて、これが一番旨かったかなあという印象です。それからアワビ焼売も旨かったですね。香港や広州の点心に慣れている私が食べても美味しいのですから、間違いありません。
 こういったレストランもありますので、日帰りでの蘇州旅行では蘇州のグルメをなかなか堪能しきれませんね。


<蘇州古典園林の魅力>


まず、こちらからご覧ください
蘇州旅行指南(蘇州旅行の楽しみ方)
蘇州古典園林を見る前に
蘇州古典園林(中国庭園)の楽しみ方