同里の魅力 |
同里古鎮はかつては「富土」(「ふじ」ではなく「富む土」です)と呼ばれていましたが、宋代に「富土」という字を上下に重ね、上の点を消して二文字に分解することで「同里」と改名し、今日に至っています。太湖と京杭大運河に近く、水運の便に恵まれていたことから発展しまさに富む街でしたので、名前を変えてその富が目立たないようにしようという試みだったといわれています。 このページでは同里古鎮観光のポイントと同里古鎮への行き方を紹介しています。 |
上の写真は同里古鎮の中心ともいえる三橋付近です。太平橋、吉利橋、長慶橋を指します。同里には「走三橋」(三橋を歩く)といって、三橋を渡ると幸せになれるという言い伝えがあり、婚礼などの慶事には一族郎党で三橋を渡る習慣があるそうです。「太平橋を渡れば1年を健康に過ごすことができ、吉利橋を渡れば商売繁盛し、長慶橋を渡れば長生きできる」といわれ、太平橋、吉利橋、長慶橋の順に回って初めてご利益があると言い伝えられています。 |
水郷古鎮、同里の特徴は、やはり運河と橋のある景色でしょう。観光用の小舟が、同里の運河を次から次へと走りすぎていきます。この景色が風情があって水郷古鎮らしいです。江南水郷の古鎮は数多くありますが、風情という点では、一番が西塘で、二番目に周荘と並んで同里を挙げても間違いないと私は思います。 |
とは言え、同里は観光地化されてしまっていて、生活観が感じられるエリアが少なくなってきています。それでも、上の写真のように古鎮らしい建物と運河と小舟の三点セットが揃う場所が、同里の中にはいくつもあって、私は経験がないのですが、朝の同里古鎮は昼間のように観光客がいないので、静寂の中で古鎮本来の魅力を放っているのではないかと思います。 西塘や周荘では一泊して、夕暮れと朝の古鎮の風景を楽しませてもらっています。同里も同様の魅力があるに違いないと私は思っています。機会があれば、私も同里古鎮に一泊して、同里古鎮の朝を経験したいと考えています。 |
運河に沿ってレストランや茶館が並んでいるエリアでは、夕方が近づくとちょうちんに灯がともります。もう少し暗くなると風情が出てくるのですが、その時間まで同里にいなかったものですから上の写真は少し中途半端なものになっています。でも、朗らかそうな女性船頭さんやお客さんの満足そうな表情が印象的です。 逆に暗くなると小舟が走らなくなりますので、運河、小舟と提灯という三点セットは見る時間が限られてきます。 |
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小舟に乗るだけが同里の楽しみ方ではありません。むしろ私は自分の足で街の中を散策することをおすすめします。 運河に沿って歩くも良し、路地に入って歩くも良しです。古鎮のあちこちに昔ながらの風景がまだ残っていて、遠い昔を想像しながら古鎮の路地を訪ね歩くのも同里の楽しみ方の一つです。 |
上の写真は耕楽堂付近です。右側が耕楽堂の塀で左側に運河が流れています。石畳の道に風情があり、耕楽堂の白壁の塀も質素ながらも凛とした佇まいです。 |
さらに路地を歩けばタイムスリップしたような風景が広がります。注意すべきは古鎮は観光地でもある一方、ここに住んでいらっしゃる方もいるということです。居住者の方々のプライバシーには配慮しながら、明清の時代の中国を歩いてみましょう。 |
日が暮れてくると運河沿いのレストランや茶館、そして旅館が提灯に灯をともします。提灯の影が運河に緩やかな流れに漂う姿は、古鎮の風景の一つのハイライトです。私自身もその時間までいられなかったのですが、ぜひそんなロマンチックな古鎮の夜も楽しんでください。 |
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今まで書いてきたように同里古鎮は江南水郷古鎮の一つとしても見る価値のある観光地なのですが、同里の観光地としての価値をより高めているのは退思園という素晴らしい庭園の存在です。 退思園は、西暦1885-1887年、清の光緒時代に造られた庭園で、清朝の高官だった任蘭生が、同僚の讒言により官を追われたた後に、隠者の道を選び、故郷である同里に庭園を造営したものです。園名の「退思」は『春秋左氏伝』(中国の春秋時代<紀元前750年から500年頃>の歴史を解説した書で、春秋学も生まれた)にある「進思尽忠,退思補過」に(官として仕える場合は誠心誠意を尽くして皇帝に奉仕し、また官から退く場合は過去を反省し過ちを補う)に由来しているとされています。 |
退思園は、庭園兼邸宅です。いわゆる私家庭園と言われるものです。その敷地面積は約6500㎡と、蘇州の名庭園と言われる拙政園や留園に比較すると、こじんまりとした庭園です。しかし、閑静で簡素で、そして池を中心に建築物が無駄なく配置されているのが印象的です。 中国の庭園専門家は、退思園を「貼水園」(水に貼りつく庭園)と呼んでいますが、上の写真などを見ると、確かに池の水面が高く、建物が池の水に貼りつくように建てられていることが分かります。池周辺の景は、他の蘇州古典園林のどの庭園であっても、この退思園の景に勝るものはないと、私は思います。 退思園は2001年に世界文化遺産に選定されていますが、特に「貼水園」としての池の景が高く評価されたそうです。 |
退思園の特徴としては、「貼水園」という一面と、もう一つ、清代の庭園らしく「立体的な庭園」であることを挙げたいと私は思います。 清代に作られた庭園では、一般的に敷地面積が狭いなかで、建物を二階建てにしたりしながら、見る高さを変えて庭の変化をつけようとしている庭園が多く見られます。蘇州の耦園、揚州の个園や何園がその典型的な例ですが、退思園も同様です。 |
水辺を走る回廊の美しさも退思園の特徴で、こじんまりとした庭園に中国庭園の美が凝縮された名園と言えます。私はこの退思園を見学するだけでも、上海や蘇州から時間をかけて同里古鎮に行く価値は十分にあると思っています。 このサイトでは、退思園について4ページにわたって詳細に紹介していますので、ぜひご覧ください。 |
退思園以外では、明代に朱祥という高官の邸宅兼庭園も伝統的な様式で造られた耕楽堂も魅力的な庭園です。上の写真のように池を取り囲む形で建物が配置され、質素・簡素な中にも威厳を感じさせます。耕楽堂については知名度が低いため観光客が少なく、いつ行っても静かに庭園風景を楽しむことができます。古鎮の静寂を味わえる庭園なのです。 |
また、中華民国元年に建てられた嘉蔭堂(簡体字では「嘉荫堂」)も当時の建物を知るうえでは貴重ですが、嘉蔭堂の魅力はコレクションとして集められた木彫りの彫刻の素晴らしさにあります。木彫り芸術に興味のある方には必見のスポットです。 |
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同里への行き方 |
同里まで行くバスは、2015年6月現在、蘇州からですと蘇州駅(蘇州火車站)と蘇州南站から出ています。上の写真は蘇州駅前の蘇州北広場バスターミナル(蘇州北広場汽車客運站)です。蘇州駅前にあるので上海から高鉄などに乗ってきた場合でも、すぐに見つけることができます。 なお、蘇州市内は再開発でどんどん変化し、バスのルートやターミナルもそれに伴いよく変更されますので、必ず最新の情報をインターネット等で調査したうえで計画を立てたほうが無難です。 |
同里まで行くバスのチケット売場は、蘇州駅前の蘇州北広場バスターミナル(蘇州北広場汽車客運站)の二階にあります。エスカレータを登って二階の建物に入るとすぐに上の写真のようなチケット売場がありますので、ここで同里まで○枚と言って買うことになります。中国語の話せない人は「到同里○張」と書いて係員に渡せば買えるはずです。因みに「張」が「枚」を意味します。 |
チケットは蘇州から同里までで8元です。一時間に一本程度とあまり本数がないので時間に余裕を見てスケジュールを立ててください。 なお、印刷がずれていて分かりづらいですが、座席番号も30番と記載されています。指定席です。 |
チケット売場の奥に待合室があって、そこに搭乗口もあります。同里行きは12時10分発車であると書いてあって、この表示板の下が搭乗口になっています。その待合室内で待っても良いですし、時間がかなりあるようでしたら一度バスターミナルを出て10分くらい前までに戻ってくれば大丈夫です。 |
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