十全街から網師園へ |
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網師園は、蘇州の古典園林の一つで、世界遺産にも登録されている庭園です。この網師園もいわゆる私家庭園の一つです、もともとは南宋時代の高官が引退して老後を過ごすために建てた「漁隠」と名づけた庭園で、その後一時荒廃したものの、清代の乾隆年間にまたまた当時の高官が「漁隠」の土地を購入し、晩年を漁師のようにのんびりと暮らしたいとの思いをこめて、「網師園」と名づけて、整備したという歴史を持っています。網師園は、かつての住宅部分と庭園がともに公開されている唯一の庭園として貴重なものだといわれ、中国の国宝庭園にも指定されています。 網師園は、蘇州城内の南東部にあり、十全街という通りに面しています。十全街は蘇州のショッピングストリートの一つですが、網師園のあるあたりは、写真の通り、洒落た並木道に店舗が点在している郊外の住宅地といった風情です。 |
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十全街には、蘇州麺の老舗、同得興もあるなど、ちょっとした食堂はたくさんあります。 上の写真は十全街で見つけた包子屋さん。家常包子なんていう看板を見てしまうと、ちょっと買ってみたくなってしまう私ですが、昼飯を食ったばかりだったので、この日はパスしました。 |
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網師園の南側の門に続く闊家頭巷という小道です。 この一帯は、清代の政府高官や文人たちが好んで住んだ場所だったといわれ、この通りに沿って網師園のほか、清代の詩人、沈徳潜の家などが連ねています。 ただ、今はご覧の通り、特に欧米の観光客向けのみやげ物ストリートになっていて、石畳以外は風情が感じられません。 |
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しばらく闊家頭巷を歩くと、ようやく網師園が見えました。 実は闊家頭巷の風情を楽しもうと、わざわざ遠回りして南側の門から入ったのですが、普通に十全街側にある北側の門から入るべきだったかなと思いましたが、網師園の入口はこの北側の門だけで、本来の正門からは入れないようになっています。。 |
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網師園の魅力と見所 |
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網師園は、南宋の時代である12世紀に、航海と庭造りの技術に長けた史正志が萬巻堂という邸宅を作り、その敷地内に退官後に「漁隠」という庭園を造ったことに始まります。その後、何人かの手に渡り、清の時代にこの土地を購入した宋宗元という文人が手入れをして、網師園と名づけたものです。網師園の名の由来は「漁隠」にあることは言うまでもありません。 網師園は、拙政園や留園と異なり、邸宅と庭園が同一敷地内にあって、しかも庭園固有の入口がないため、庭園と邸宅を同時に見学できることだといわれています。網師園は、本来、大門から入って、前庁、大庁の順に建物が続きます。 上の写真は大庁の建物の門です。屋根やその下の装飾が見事です。字の両側にはかなり細かい彫刻が施してあって、当時の所有者の豊かさがうかがえます。 |
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前庁の応接コーナーです。網師園の主人は、まず客人をこの部屋にお通ししたうえで、網師園へとご案内したのでしょう。 このように、網師園では、庭園と邸宅を同時に見学できるという貴重な中国庭園ですというふうに、日本のガイドブックは口を揃えて紹介しています。私は、網師園についてのそういう紹介は、かえって網師園の評価を低めるものではないかと考えています。何故なら、網師園の魅力とは、邸宅と一緒になっていることにあるのではなく、狭い敷地ながらその中に中国庭園の美が凝縮され、見る者の心を和ませることにあると考えているからです。拙政園や留園のような大庭園とは異なる中国庭園の美が、ここ網師園にはあると思っているのです。 狭い庭園だからこそ、見る人を感動させ驚かせるような様々な精緻な仕掛けを作ったり、庭園を回遊させるための見所を随所に作ったりしています。素人の私には、おそらく設計者の意図の半分も、そうした仕掛けや意図を発見しきれていないとは思いますが、これからのパートで、気づいた点を記していきたいと思います。皆さんがこの網師園を回遊するときのヒントになれば幸いだと思っています。 |
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樵風径を歩いて大池へ |
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邸宅部分から庭園への入口です。ここからが網師園になります。 |
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網師園の入口を抜けると、すぐ右手に網師園の大池方面が少し顔を覗かせます。あくまでも方面が見えるだけで、大池自体は見えません。 手前の溝は水路で女性が座っている小さな橋の先で大池につながっています。女性が座っている小さな橋は下を船が通る太鼓橋のようなアーチ型になっています。もちろん、ここを船が通るはずもないのですが、この網師園の大池が外洋につながっているという創設者、史正志の航海好きな一面が見える気がします。 |
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ここからは、網師園の見所の紹介になりますので、地図があったほうが良いと思います。上の地図をクリックすると、大きな地図が別ウインドウに開きますので、時々地図も参照してご覧ください。 今は、地図の(2)前庁から(16)小山叢桂軒に向かうところです。 |
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小山叢桂軒の室内です。せっかくここに来るまでに大池方面が見えていたのに、この部屋では大池は窓から見ることはできません。黄石の築山が視界を遮っているのです。これはいわゆる「じらし」のテクニックで、留園でも見られる手法です。この小山叢桂軒の窓は一つ一つが額縁のように装飾されていて綺麗なのですが、それでも大池方面を見せないというのは、相当のじらしですね。 |
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小山叢桂軒から西に続く回廊です。樵風径と名づけられています。網師園は、敷地面積が留園の10分の1くらいの狭い庭園です。その狭い面積を少しでも広く見せるための工夫の一つが、大池への視界を遮断されている回廊です。回廊に沿って向きを変えても大池は見えてきません。 |
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そして、回廊を抜けて大池に出ると、この光景が広がります。 網師園では、池に映る白壁が美しいとよく言われていますが、それはこの辺りを指しているのではないでしょうか。また、池に写る白壁の建物が綺麗です。 網師園の主人は、客人とともにここから網師園最大の魅力であるこの大池を回るのですが、それは次のページで紹介します。 |
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