山塘街の概要 |
書店で売られている蘇州に関するガイドブックなどを見ると、運河沿いに明清時代の蘇州を再現した街として、山塘街が紹介されています。 実はこの日、朝一で留園を観光し、留園から山塘街に寄ってみようという気になって、留園近くで自転車タクシーを拾いました。この写真は、留園から山塘街に向かっているところです。朝の蘇州は、排気ガスがひどいとはいえ、なかなか気持ちが良いものです。 |
山塘街のどこに行きたいのかとか、何をするのか、飯を食うのかとか、自転車タクシーの親父さんがさかんに質問してくるので、その理由を聞いてみると、山塘街と言う街は縦に長い街で、目的地がどこかによって私を降ろす場所が全然違うということでした。後で調べてみると、もともと山塘街というのは全長約4kmの長さがあり、そのうちの一部が観光用に再開発されたとのことです。 |
写真は観光客向けに再開発された山塘街の入口です。午前中ですから、人通りはそれほど多くありません。昔の蘇州の街を再現した街だということなので、杭州の清河坊のような華やかで賑やかな街を思い描いていたのですが、賑わいの面や店の集中度等から見て、清河坊に比較するとちょっとさびしい街ですね。 |
運河の方を見てみましょう。アーチ上の石橋があって蘇州らしいといえば蘇州らしいのですが、川幅が広すぎて風情がないですね。もっと白壁の建物が続いて風情が出てくる場所に行くためには、もう少し歩かなければなりません。 |
茶館です。山塘書院という名前です。こういう茶館は、中国江南地方の伝統を重んじていますから入ってみる価値は大いにあります。この山塘書院では、時間を決めて蘇州評弾という形式の蘇州の伝統的な音楽が演じられます。通常、二人がそれぞれ中国琵琶と三弦(中国三味線)を演奏しながら、故事を歌い奏でるというものです。予めネット等で調べて行けば良いと思います。(因みに2012年5月では、夜は19時半から23時までやっていました。) お茶を注文するなら、江南地域という場所柄、龍井茶(杭州産の緑茶で緑茶の中で最も人気が高い)、碧螺茶(蘇州に近い太湖や羽庭湖周辺の山々で栽培しているお茶)や黄山毛峰茶(黄山付近産の緑茶)あたりがおすすめです。お茶を注文するとお湯を入れたポットも出てきますので、何杯でもお茶を楽しむことができます。しかも、茶菓子も無料で好きなだけとることができますので、ゆっくりとお茶を楽しみながら、旅の計画を練るのに良いと思います。 茶館の楽しみ方については、杭州や紹興での茶館の様子を参考にしてください。 |
山塘街で見かけた焼き味屋さんです。 焼味屋さんをはじめとした小吃店は、山塘街に沢山あります。地元の買物客が沢山繰り出す時間に行くと、美味しい小吃店を見つけやすくなります。何故なら、地元の人は美味しい店を知っていますから、お客さんで込んでいる店、お客さんが並んでいる店を探せば、そこは恐らく美味しい店なのです。 この時間帯ですとまだ買い物客も人通りも少ないので、そうした店定めができませんが、この焼き味屋さん、見た感じとしては旨そうな店です。 |
この日は小腹が空いたので、ちょっとした腹ごしらえが目的です。ちょうど良い具合に、生煎包の店を見つけました。大阿二生煎です。チェーン店のようです。生煎包は、日本では焼き小龍包などと呼ばれることがありますが、決して単に小龍包を焼いたものとは違います。 大阿二生煎の様子については、こちらをご覧ください。 ここで生煎包を食べた私は、目的であるちょっとした腹ごしらえもしたものですから、ホテルに帰ってしまいました。 |
山塘街です。南の入口の方です。 車道の両側に歩道がついています。観光客としては、杭州の清河坊のように歩行者天国になっていないと歩きづらいし、買物もしづらいですね。これが私の山塘街に対する第一印象でした。 などと思いながらホテルに帰り、ホテルの人と話していたら、どうやら山塘街の見所はもう少し先まで行って、運河沿いに伸びる道の両側なんだそうで、その道は車が通るような道ではないとのことです。しかも、蘇州料理の「松鶴楼」や茶館の「七里山塘茶楼」など老舗も店を出していますし、通りには蘇州名産やみやげ物店などが並んでいるのだそうです。 そこで、再度、山塘街探索に挑戦です。 |
生煎包を食べた大阿二生煎のすぐ先に、細い運河があってその横に御碑亭が建てられています。ここを運河沿いに曲がると、観光者用の山塘街が始まります。 |
山塘街で小吃やショッピング |
さあ、ここで、山塘街の地図を見てみましょう。 右側が石路方面で、中央左に走る道路が広済路です。 このページでは石街側の入口から入ってきましたが、上の地図の写真で言うと、右側から来て、左側に向かっています。御碑亭までが自動車も走る広い道で、御碑亭から左向きに歩いていきます。通貴橋とか戯台とかの文字が見えると思います。そして、広済路という斜めに横切る道の右側には松鶴楼があります。この広済路までのエリアが、私に言わせれば「観光者用の山塘街」で、広済路を越えると「地元の人のための山塘街」に変身します。アジアの街角が好きな私としては、「地元の人のための山塘街」を歩いているほうがワクワクします。「地元の人のための山塘街」の様子はこちらです。 また、夕方から夜にかけての山塘街は、昼間以上に賑わいます。また、運河沿いが美しく輝き、特に通貴橋からの眺めが最高です。山塘街の夜景についてはこのページの下で紹介しています。 |
山塘街は観光客に人気があるといっても、そのほとんどは中国人観光客ですから、街を歩いていても何となく庶民的です。前をたまたまチャイナドレスを着たお姉さんたちが歩いていますが、こんなことはごくごくまれで、むしろ普段着の中国人が歩く普段着の中国の街、それが山塘街です。 山塘街というエリアは、運河沿いに広がる観光客向けのお土産ショッピング&B級グルメ(小吃)ゾーンです。まず、山塘街の小吃店をいくつか紹介しましょう。 |
まず、大阿二生煎の向かいにある東呉麺館です。蘇州麺といえば中国を代表するラーメンですが、その御三家の一つが東呉麺館です。さっぱり系の白湯が人気の同得興と盛り付けも美しく蟹粉麺が絶品の朱鴻興麺館と並び評される東呉麺館ですが、この御三家の中では最も中国らしいワイルドなラーメンを食べさせてくれる店です。 |
東呉麺館の焖肉麺です。青菜をトッピングに加えて8.5元という破格の値段なのですが、なかなか旨いのです。東呉麺館は蘇州市内のあちこちにありますので、ぜひお試しください。 |
山塘街の小吃店の中でも私が一押ししているのが、ここ、秘製の臭豆腐が売り物の聞其香です。臭豆腐の専門店です。臭豆腐は確かに臭いのですが、私の大好物です。 |
私も中国歴20年、数多くの臭豆腐を食べてきましたが、これほど旨い臭豆腐は初めてです。豆腐の揚げ加減、たれの味付け、臭豆腐本来のあの臭さ、どれをとっても超一流です。 涙が出そうなくらい、旨い臭豆腐です。臭豆腐の好きな人も、苦手な人も、ぜひ行ってみて食べてください。大感激するはずです。 |
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山塘街には上の写真にあるような屋台で、蘇州の伝統工芸や伝統的な菓子が売られています。写真の店は、蘇州の伝統菓子、海棠糕と梅花糕を製造・販売している屋台です。蘇州名物だけあって、海棠糕と梅花糕の屋台は山塘街を歩いていると何軒か目にします。 |
「糕」という字はお菓子とかケーキとかといった意味の漢字ですから、海棠糕と梅花糕は甘いお菓子です。日本で言うとたい焼きのイメージでしょうか。こちらの店では、素早い手つきで次々と焼き上げています。こういう地元のお菓子を作っているのを見るのも楽しいものです。 |
見ていると、食べたくなってしまうところが食いしん坊の悪いところです。念のため、お店の人にどちらが甘いのかを聞いてみたところ、海棠糕の方が甘いとのことですので、私は梅花糕を食べました。 |
さて、それでは、山塘街の散策を始めましょう。 上の御碑亭のところを右折して観光者用の山塘街に入ると、道幅は少し狭くなりますが、自動車は進入禁止です。ゆったりと歩けます。すぐに見えるのが七里山塘茶楼で、入口から中を見ると、店内の雰囲気も良さそうです。山塘街を散策してちょっと疲れたら、ここ老舗の七里山塘茶楼で一服するのも良いと思います。 |
道の両側には店が並んでいます。黄色い旗が出ていると分かりやすいですね。手前が櫛の店、奥に宜興紫砂壷の店があるのが分かります。 この山塘街には観光客が寄りたい店が集まっていて、しかも歩行者天国ですから安全です。杭州の清河坊ほどには店も集積していませんしお客さんの数も多くはありませんが、観前街辺りを歩くよりは風情があると思います。 |
黄色い旗が出ていない店にも、興味を沸かせる色々な店があります。 例えば、上の写真は「工作室」という看板が見えますが、ギャラリーです。沢山の作品が展示・販売されています。 |
こちらは、蘇州刺繍の店です。手ごろな価格のものから本格的な商品まで揃えています。蘇州刺繍二千年の歴史を持ち「中国四大刺繍」の一つと言われています。蘇州土産に良いかもしれません。 |
上の写真は、乾生元というお菓子屋さんです。清の乾隆年間(1736~1795)に創業したと看板に出ていますから、200数十年の歴史を持つ老舗です。 市内にいくつか店があって、陳皮梅をはじめとした中国茶のお茶請けを買う店として、私も利用しています。店内は本当に品数豊富で、種類が多いので何を買おうか迷ってしまいます。土産用の箱入りお菓子や、量り売りされているお茶菓子などもあります。 |
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左側は、ご覧の通り婦人服の店。チャイナドレスも売っています。蘇州故事という店名です。北京故事とか上海故事とかという店名の店をよく見かけますが、ショーウインドウの中は同じようなファッションが並んでいますから、同じ経営なんでしょうか。 |
暫く歩いていると船着場があって、そこで紙芝居(?)をやっている大道芸人がいます。芸人は、中国語で大きな声で説明しています。箱の中を見ながら彼の話を聞いているお客さんは白人です。キャッキャッと笑い声を出しながら白人さんたちは聞いていますが、中国語を理解してキャッキャッと笑っているとも思えませんから、きっと彼らが覗いている箱の中で面白いものが見えるのでしょう。 今回は時間がなくて見れませんでしたが、ちょっと残念です。 |
船着場の横に運河を渡る橋が掛けられています。通貴橋という橋です。橋の上から写真を撮っている人が沢山いますので、きっと眺めが良いのでしょう。 |
通貴橋から見た船着場方向です。運河沿いにはレストランもあって、夕方もう少し暗くなると夕闇に赤い提灯が輝き、幻想的な風景になります。夕暮れの山塘街については、後ほど紹介します。。 |
通貴橋から船着場の反対方向を見ると、昔の運河の街、蘇州の雰囲気がちょっと味わえます。悪くはないですけど、もっと運河を遡っていけばもっとそれらしい風景になります。山塘街はこの運河に沿って伸びていますから、山塘街をさらに歩いて、橋を見つけたらその橋からまた運河を見てみるのです。 そうした橋の上からの山塘街の風景は、「地元の人のための山塘街」のページで紹介しています。 |
山塘街をさらに進むと、上の写真にある戯台があります。戯台は江南地方の鎮(街や村)では,よく見かけますが、その街や村の中心となる建物で、様々な催しが行われます。正面二階が舞台のようになっているのが分かりますか。この戯台は今でも京劇などに使われているようです。 |
運が良ければ、上の写真のように、戯台で中国音楽を演奏している場面に遭遇することもあります。 |
山塘街をさらにどんどん進みましょう。美術品の店やお茶屋さんなどが並んでいます。 この写真は、夕方5時ごろに撮影したものです。この時間のお客さんは、観光客よりも地元の人が多いようですね。 |
骨董品屋さんの店先には、上海万博のマスコットキャラクター、「海宝(ハイバオ)」が置かれていました。この写真は2010年5月に撮影して、既に上海万博も始まっていますが、その影響で蘇州の観光客が増えているというほどの影響はないようです。 天工坊というこの店は、リッチな観光客向けの店なのでしょうか。景徳鎮をはじめ、見応えのある商品を品揃えしていました。 |
レストランが少ないなあなどと思っていましたら、ありました、松鶴楼です。本店が観前街にある蘇州料理の老舗で、松鼠桂魚(桂魚の丸揚げ甘酢あんかけ)で有名なす。桂魚は川や湖沼にいる淡水魚で、中国では淡水魚の王様といわれています。これに衣を付けて熱い油に入れて強火で揚げると、反り返った形や揚げられた外見が、まるでリス(松鼠)の尻尾のように見えることから、その名が付いたと言われています。 石路エリアにあるホリデイイン・ジャスミン蘇州(蘇州茉莉花暇日酒店)にある松鶴楼の支店で食べたことがあります。松鼠桂魚(桂魚の丸揚げ甘酢あんかけ)はもちろんのこと、他の料理の味も素晴らしく、大変満足度の高い店です。 |
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山塘街の夜景 |
夕暮れの山塘街は、昼間よりも賑わいます。それは、運河の両側に灯る明かりに照らされる蘇州風情を見学する観光客が多いからです。昔の蘇州の風情は確かにこんな感じだったのかなあと思います。 |
石路側の入口の方の写真です。あまりにもきれいにライトアップされているので、これで満足して帰ってしまう人もいるかもしれませんが、山塘街の夕暮れの景色はもっと情緒たっぷりです。広済路方面へと歩いていきましょう。 |
例によって、石路方面から入ります。昼間と同じルートになりますが、まず、山塘街入口の門(碑坊)を抜けます。この辺りから、昼間より多い人出に驚くと思います。 |
歩行者専用の道路は御碑亭から先になります。それまでは、自動車も通る広い道なのですが、歩道にせり出すように、レストランのテーブルが広がるようになります。賑やかな通りを御碑亭に向かいます。 山塘街付近の地図はこちらを参照してください。 |
御碑亭のところを左折し、歩行者専用の道になります。 昼間よりも人通りが増えています。提灯などの灯りに照らされた風景は、作られたものとは知りつつも、魅力的なものです。 |
山塘街から左右に伸びる路地にも、上の写真の通り、人があふれます。昼間とはまた違う雰囲気の中で、山塘街を楽しむことができます。 |
そして、上の写真は通貴橋から広済路方面を見たところです。夕暮れの運河の写真であれば、ここ通貴橋からの眺めが一番だと思います。 |
上の写真は、今度は広済路から通貴橋方面を見たところです。風景としてはまずまずなのですが、手前が暗いのでシャッターなしで撮影すると暗くなりすぎる感じです。 こうした運河の夜景としては、私は西塘の素晴らしい夜景を何回か見に行っています。蘇州の賑やかな夜景に比べると、ひっそりとした寂しい夜景ですが、水郷情緒もあって私は好きです。西塘の夜景については姉妹ページをご覧ください。 |
切り紙細工の店です。昼間もあるのですが、切り紙細工は照明に照らされた方が綺麗なので、夜の方が賑わいますね。 こんな風に、夕暮れから夜にかけての山塘街は、昼間とは一味違った雰囲気に包まれます。昼か夜か一回だけしか行く時間が取れないという人は、夜の方が印象深くなるかもしれませんね。昼間行かれる方は「観光者用の山塘街」ばかりでなく、広済路を越えたところに広がる「地元の人のための山塘街」にも足を延ばしたら良いと思います。 |
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