伝説のシェフ、タムさんのタイ料理「バーン・タム」 |
「今(2016年10月)東京のタイ料理レストランでどこが一番おすすめですか」と聞かれたら、私は迷わず新大久保のバーン・タムの名前を挙げます。ここ10年くらい、同じ質問をされると、答えがそのたびに変わってしまっていたのですが、これからはどうやらここバーン・タムの名前が不動になるようです。 というのは、かつては小岩のいなかむらだったり、金町のサイフォンだったり、また小岩に戻ってサイフォンだったりインターだったり、私のおすすめのタイ料理レストランはコロコロ変わっていたのです。これは私が移り気なのではなく、実はそれらのレストランのシェフはいつもタムさんで、タムさんが店を変えるたびに私のおすすめのレストランが変更されていただけなのです。 このページではタムさんのタイ料理をいただくときに、どんな料理を注文したら良いかということを主たるテーマに、あちこちで食べたタムさんの数々のタイ料理を紹介していきます。 |
この人がそのタムさんです。タイのイサーン(東北部)出身で料理人の家庭で生まれ、タイ料理一筋に歩んできました。日本に来たのはもう十数年前で、お花茶屋を手始めに小岩、金町などを転々とし、彼がシェフを務めたレストランは悉く人気のタイ料理レストランとして知られることになりました。ただ、レストランがせっかく人気が出てくるとしばらく数か月間姿を消したり、時によっては店を変えたりするものですから、彼のとりこになっているタイ料理ファンとしては彼の消息が常に気になっていたものでした。 |
そのタムさんが初めて自分の店を持ったのが、このページで紹介している新大久保のバーンタムです。そうなんです。今までタムさんは雇われシェフであって、レストランのオーナーではなかったのです。初めてオーナー兼シェフを務めるのがここバーン・タムです。もうオーナーですから、気まぐれに所在不明になったりしないと思います。 新大久保という場所がら、周りに韓国料理の店も多いからなのでしょうか、韓流スターのようなタムさんの写真が看板に出ています。 |
バーン・タムがあるのは、山手線新大久保駅から徒歩5分くらいの場所で、上の地図の通りです。 中央線大久保駅や東京メトロや都営地下鉄の東新宿駅から歩いても7〜8分といった場所です。 2016年10月に日テレで大々的に紹介されてしまったので、予約困難なレストランになってしまっています。確実に食べようと思ったら、予約した方が無難だと思います。なお、その日テレの放送の中で私もインタビューを受け、長々としゃべってしまいました。そうなんです、あの番組で分かったようなことを話していた親父がこのページを書いている私です。 |
上の写真はバーン・タムの調理場です。タムさん一人で調理をします。一人で調理しますから、この広さが限界なのでしょう。店内は20名ちょっと入ると満員になってしまいます。ですから、予約をして行くようにしてください。 |
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タイ風のサラダを選びましょう |
では、バーン・タムで美味しいタイ料理を食べるにはどうしたらよいのでしょうか。 タイ料理を美味しく食べるためには、料理の組み合わせを考えることです。まず第一に、サラダ系の料理を注文します。サラダ系のタイ料理というと、ヤム系のメニューが頭に浮かびます。ヤム・ウンセン(春雨サラダ)とかヤム・ヌア(牛肉サラダ)などが代表的ですが、「ヤム」とは「混ぜ合わせる」という意味で、唐辛子やマナオ(ライムの一種)などの調味料を加えて混ぜるため、辛くて酸っぱい味になります。 上の写真はヤム・タクライというレモングラスのサラダで、レモングラスを薄切りにしてヤムにしたものです。タムさんの作るヤム・タクライは香辛料がかなり効いていて刺激的です。 これは、他の料理にも言えることですが、タイ料理を食べ慣れない人にとっては、現地の辛さはつらいかもしれませんし、また、パクチーがふんだんに使われる料理は口に合わないかもしれません。注文時にそうした好みを伝えておけばそれなりに作ってくれます。ただ、タムさんからしてみると、本場のタイ料理を愛してくれる人が好きなので、日本人向けにアレンジしたタイ料理を食べたいのなら、別のレストランに行ってもらった方が良いかもしれません。 |
ヤム料理の中でもう一つおすすめは、ヤム・プラームック(イカのスパイシーサラダ)です。ヤム系のサラダですから、刺激的な辛さになるのは当然です。 タイはイカが豊富に採れるので、イカ料理のというは大変一般的ですし庶民的な料理です。イカと野菜を香辛料とともに混ぜ合わせるヤム・プラームックは、私がタイでもよく食べているサラダです。タムさんのヤム・プラームックはまさに本場の味です。ちょっと辛いなと思ったら、ビールなど水分を取るのではなく、添えてある生野菜を食べて辛さを中和してください。水分を取るより効果があります。そのために、生野菜が添えられているのです。 |
アップして見ると、唐辛子やニンニク、その他の香辛料がいろいろ使われていることが分かります。ですから辛いのです。でも、この辛さが食欲を掻き立てるわけで、この後に紹介するソムタムやラーブ系のサラダも同じような食欲増進効果があると私は考えています。食前酒と同じようなものです。 ですが、タイ料理というのは辛ければ良いのかというと、そうではありません。辛さ、甘さと酸っぱさが絶妙に組み合わされなければなりません。口の中に入れた瞬間に辛さが来てしまう料理では甘さと酸っぱさが消えてしまいます。そこで、タムさんの料理は、甘さと酸っぱさが先行して、辛さが後から時間差攻撃でやってくるのです。 |
続いて、これもタイ料理の定番、ソムタムプー(蟹入りソムタム)です。ソムタムは青パパイヤのサラダと言われていますが、青パパイヤに干しエビやトマトなどを加え、ニンニク、ナンプラーやライムで味付けしているサラダで、すり鉢でコンコンコンと良い音を立てながらたたいて作る姿は、タイを旅行した人なら屋台などで一度ならず見ているはずです。 正直言って、このソムタムも本来はかなりスパイシーですので、十分に覚悟をしてください。 |
ソムタムは代表的なイサーン料理で、その種類はかなりあるようです。日本で食べられるのは、上の写真のように蟹入りのソムタム・プー、蟹が入っていないソムタム・タイ、塩漬けした卵の入っているソムタム・カイケムあたりでしょうか。他にも、コームーヤーン(豚ののど肉のバーベキュー)入りですとか、イカやエビなどのシーフードを入れたソムタム・タレーなどがありますが、タムさんのことですから材料さえあればどんなソムタムでも作ってくれるはずです。そういえば、私はいつもソムタム・プーかソムタム・タイを食べています。 |
スパイシーなサラダには、他にラーブがあります。ラーブ・ムー(豚のひき肉のスパイシーサラダヤム)やラープ・ガイ(鶏ひき肉のスパイシーサラダ)が代表的で、これらもおすすめです。上の写真はラープ・ムーです。 ラープはひき肉を唐辛子、ミントやネギなどの野菜と混ぜ合わせたうえで、荒く挽いた炒り米も入れてあります。唐辛子の量が半端ではないのでかなりスパイシーな味付けになります。 |
ラープを注文すると上の写真のように別皿で野菜がたっぷり運ばれてくるのは、先ほども書いたように辛さを中和して食べた方が良いからです。キャベツでラープを巻いて食べるという方法もありますが、そうやって食べるといざ口の中が火事のようになった時に中和してくれる野菜が無くなってしまうので、私はラープはラープ、野菜は野菜で別々に食べています。 |
タイに行くと、ラープを注文するとカオニャオは必要ですかと聞かれます。カオニャオは糯米を蒸したもので、一定の量を手に取って団子状に丸めて食べるものです。カオニャオ自体も美味しいですけれども、ラープとの相性は最高です。しかも、辛さを中和してくれる作用もあります。ですから、ラープだけではないですが、スパイシーなサラダを注文した時にはカオニャオも少し注文して、何人かでつついて食べたら良いと思います。 |
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一方、スパイシーでないサラダということでは、ヤムの料理で、ヤム・プラードック・フーがあります。これは、ナマズを細かくして揚げたものを青マンゴーのヤムと一緒に食べる料理です。上の写真で奥にヤムがあって、手前にナマズのふわふわ揚げがあります。まさにふわふわに揚がっていますので、へたに取ると簡単に崩れてしまうのでご注意ください。 |
こちらがヤムです。ナマズのふわふわ揚げとヤムを一緒食べると食べやすくなります。ヤム料理ですからサラダのコーナーで紹介していますが、個人的には実はサラダという感じではありません。このタレが白身で上品な味のナマズによく合って、酸っぱくて甘い味わいになります。その酸っぱさがビールに合います。 |
タレを上からかけてしまうと上のようになります。ナマズを崩しながらヤムと一緒にスプーンとフォークで上手に取って食べると食べやすいです。 |
同じような料理にヤム・パックブーン・トードクローブがあります。これはタイでポピュラーな野菜の一つである空心菜を揚げて、これをヤムのタレと一緒に食べるものです。こちらのたれにはエビ、イカや野菜が入っていて、味付けは甘酸っぱいものです。空心菜カリカリ揚げに野菜だけのヤムですと豪華さに欠けてしまいますね。ですから、この料理の場合はヤムに様々なシーフードが入っているのです。そんな具合に、美味しく食べられるように工夫されている料理なのです。 |
ヤム・パックブーン・トードクローブ、日本語だと「空心菜カリカリ揚げのヤムサラダ」とでも言うのでしょうか。この料理にしてもヤム・プラードック・フーにしても、日本のタイ料理レストランではあまり一般的ではありません。タムさんが作るこれらの甘酸っぱいヤム料理は絶品の味で、日本人の舌には合うと思います。 |
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肉料理はこれがおすすめ |
では肉料理に入ります。 最初に紹介するのは、コームーヤーンです。豚ののど肉(トントロ)のバーベキューで特製のタレを付けて食べます。タレは辛めのソースです。タムさんの作るコームーヤーンはいつも焼き具合が良いので、私は毎回のように注文しています。ひどいレストランで食べると固くて美味しくもなんともない料理になってしまうのですが、タムさんのコームーヤーンはぜひ試してみてください。 |
思わずコームーヤーンをアップで撮影です。 絶妙の焼け具合が分かるでしょうか。これ以上焼いたら固くなってしまいます。できるだけ焼きたてのうちに召し上がってください。美味しいですよ。写真をつけていませんが、専用のタレが一緒に運ばれてきます。ちょっと辛めのソースです。そのタレをつけて食べていただくとさらに美味しく食べることができます。 |
タイの肉料理というと必ず紹介されるガイヤーン(タイの焼き鳥)も、もちろんメニューにあります。人数が多いなら、豚肉(コームーヤーン)と鶏肉(ガイヤーン)の両方を注文したら良いですし、人数が少ないのなら同じバーベキューの類ですからどちらかを注文するようにしたら良いと思います。 |
タイで食べる鶏肉料理は当然ながらタイの鶏肉です。私はタイの鶏肉は結構おいしいと思います。一方で牛肉は地元の牛肉ですと、恐らく水牛の肉ではないかと思っていますが、固い場合が多いです。その点、鶏肉は美味しくて安い肉ですから、私はタイの鶏肉料理が大好きです。 例えば、後ほど紹介するカオマンガイ(蒸した鶏肉ごはん)ですとか、スープのトムヤム・ガイですとか、ひき肉サラダのラーブ・ガイですとか、鶏肉を使った料理で私が好きな料理はいろいろあるわけです。したがって、その日のメニューを組み立てる時に鶏肉料理がいくつかある時にはガイヤーンの注文は見送って、コームーヤーンを選択することになります。 |
そして、牛肉です。タムさんのタイ料理で牛肉のおすすめは、写真の牛ステーキグリーンカレーソースがけです。私がタイのパタヤビーチに行くと必ずと言って良いほど行くステーキ専門店があるのですが、実はそこで食べたステーキに匹敵するステーキは、日本ではタムさん以外の調理人から食べさせてもらったことがありません。私の少ない経験ではありますが、タイカレー風味の美味しいステーキは、日本では希少価値なのです。 |
食べやすいようにステーキを小さく切って出してくれます。グリーンカレーがビーフステーキにすごく合うのです。ご飯も欲しくなりますが、ビールやメコンウイスキーにも合うのです。 タムさんのタイ料理を食べる時は、牛肉に関してはステーキで行くか、ヤム・ヌア(牛ステーキのスパイシーサラダ)で決まりです。ヤム・ヌアもステーキにしたビーフを小さく切りヤム料理にするわけで、牛肉の調理法は同じようなものです。このヤム・ヌアもおすすめです。 |
タムさんの肉料理をもう一つ紹介しましょう。カー・ムー・バローです。豚足煮込みです。「カー」が足で、「ムー」が豚を、そして「バロー」が煮込みを意味します。私が食べたことがあるカー・ムーはカオ・カー・ムーといってこれをスライスしてご飯に乗せたぶっかけご飯だけでしたから、豚の足が丸ごと出てくると、それはそれで新たな感動です。 五香粉や八角の香りがしていて、それにタイのシーズニングソースやショウガなどでさらに味付けしています。写真からも分かるように、トロトロに煮込まれていて見るからに美味しそうです。 実際に食べてみると、トロトロ感がたまりません。そして、味付けはタイ料理なんですけど、ちょっと中華料理っぽい複雑な味でした。コラーゲンたっぷりなのでお肌も綺麗になりそうです。私は男ですけど、最近は歳とともにお肌も気になるのです。嬉しい逸品ですが、これは人数がいないと食べきれません。また、食べたい場合は事前に料理も予約しておかないと豚足がないこともありますから気をつけてください。 |
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シーフードはタムさんの得意料理 |
シーフードになると、タムさんのメニューは実に多彩です。皆さんにはいろいろな料理に挑戦してもらいたいのですが、まず紹介するのは、タイ料理の定番、プーパッポンカリー(蟹の卵炒め)です。これは同じカレー料理でも玉子で炒めますので辛くない料理です。これに関しては美味しくないわけではないですが、タムさんの個性があまり感じられない料理なので、実は私はあまり注文していません。 |
私の一押しはオースワン(牡蠣の卵とじ)です。鉄板で出てくることが多い料理で、写真に撮ると濛々と湯気があがっているので、ちょっと見づらいかもしれません。でも、アツアツの時に食べると美味しい料理なので、バーン・タムでは鉄板に乗せてサーブされます。本場のタイでも中レベルくらいの店に行くと、鉄板で出てきます。 |
写真がちょっと見づらいので、金町のサイフォン時代にタムさんが作ったオースワンの写真を上に載せました。 この料理を食べるといつも感じるのは、タムさんの絶妙の火加減とトロトロ感です。味付けはタイ料理というよりも、むしろ中華料理をタイの調味料で作ったような感じです。タイには華僑の人が多く、しかもその華僑の出身地としては潮州の人が多いと聞きます。潮州料理という広東料理の一分野の料理に近いのです。 |
上の写真で見るとトロトロ感が分かるでしょうか。もともと私自身が牡蠣好きだということもありますし、中華料理が好きだということもあるのですが、このオースワンは私としてはまさにイチオシの料理です。 |
次に紹介するのはホーモックタレー(シーフードのカレー味蒸し)です。今回はココナッツに入れて出してくれました。タイのカレーにはココナッツミルクが入っていますから、そんな意味もあって、タイでこの料理を注文した時も、お洒落なレストランではココナッツに入れて出てきたことがあります。 |
タムさんがココナッツに入りきらなかったと言ってお皿にも盛ってくれました。良心的ですね。イカ、ホタテやエビの姿が見えます。このようにシーフードをレッドカレーで味付けして蒸したものがホーモックタレーです。レッドカレーですから辛さはほどほどで、辛い料理が苦手な方でも美味しく召し上がることができます。白いご飯にかけて食べると美味しいです。 |
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魚料理にしましょう。プラーニン・トート・サムンプライ(イズミ鯛のハーブ揚げ)です。タイでは魚をカリカリに揚げた料理が多いですね。プラーニンという魚の上にカリカリに揚げたレモングラスが乗って、そのレモングラスと一緒に魚を食べると一段と美味しい料理です。見た目にも派手なので、私の好きな料理です。 なお、ここで使われるプラーニンという魚は、今から50年以上前、天皇陛下がまだ皇太子だった時代に、タイの食糧事情が良くなかったためタイのプミポン国王にティラピアを50匹寄贈したそうですが、その後養殖も行われた結果、プラーニンは今ではタイでは広く食べられています。タイ語の名前も天皇陛下の名前から一文字取って、タイ語でプラーニン(仁魚)と名付けられたそうです。 |
そんな日タイ間の絆になった魚だということにも思いを馳せながら、プラーニン・トート・サムンプライ(イズミ鯛のハーブ揚げ)を食べます。テーブルにサーブされた状態のまま食べるのは難しいので、魚の身を崩して骨を取り除いたうえで少し混ぜ合わせ、皿に取り分けて食べると食べやすくなります。こうすると、魚にハーブの味が絡み、タムさんが意図した味になるのです。 |
こちらは同じくイズミ鯛を蒸した料理で、マナオとナンプラーで味付けがなされています。タイで魚を食べる時は、一つ上のカリカリ揚げかこのような蒸し料理ということになります。魚の蒸し料理は中華料理では最高級の調理法と言われていますが、私としては、タイ料理ならカリカリ揚げをおすすめします。 |
そして、上の写真はクンチェナンプラーです。日本語ではタイ式エビの刺身という人もいますし、エビのタイ式マリネなどという人もいます。私としてはもう少し正確に表現して、エビのタイ式刺身ナンプラー味と呼びたいです。 |
拡大すると分かりますように、生のエビ(エビの刺身)に唐辛子やニンニクなどを入れたナンプラーをかけています。タイの料理というのは刺身でもこのようにタレの味にこだわって作っているのが分かります。味付けとしては激辛というよりもニンニクの味が利いています。 こうしてタイ風に食べるのが美味いのか、日本のようにわさび醤油で食べるのが美味いのかという不毛な議論は横に置いておきましょう。タイ料理レストランなのですからタイらしく食べたら良いのです。とにかく、見た目に華やかな盛り付けですから、この料理を出すと連れてきた人たちがワーッと騒ぐ名物料理の一つです。 |
エビについては刺身にしないで揚げてもらうこともできます。エビをニンニク揚げにした料理、クン・トート・ガティアム・プリックタイです。これも美味いんです。タムさんが作る揚げ物は脂っこくないのが特徴です。ひどいレストランに行くと、ころもばかりが大きくエビが極端に小さいなどということもよくありますし、もっとひどい場合は使い古されたとんでもない油が使われていることさえあります。タムさんの場合はプライドが許しませんから、そんな料理はしません。素材を厳選し素材の味を生かす調理をするのです。 |
上の写真ですと分かりづらいので、アップにしてみました。このサイズのエビですと、頭から尻尾まで全部食 |
エビについては、揚げた後にカレーをかけた料理もあります。これは私が注文したのではなく、タムさんに料理をお任せした時に作ってもらった料理ですが、チューシー・クンと言ってエビフライにレッドカレーがかかった料理です。カレーがかかりすぎてないので素材(エビ)の味も十分に生かされています。ですから、食べやすくて美味しかったという記憶が残っています。 このようにエビについては、刺身または胡椒味かカレー味の揚げ物にして食べるというのがタムさんのタイ料理の特徴です。そう考えると、エビはこの三種類のどれかを食べたいので、トムヤムクンを食べると素材がダブってしまいます。そこで、私はタムさんにトムヤムクンを作ってもらうことは殆どないのです。 |
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スープはガオラオが一番のおすすめ |
タムさんの作るスープはいくつか試していますが、最近私が注文するのはすっかり上の写真のガオラオ(豚の内臓と野菜のスープ)ばかりになってしまいました。これ、美味しいのです。癖になる味なのです。ガオラオには豚の血を固めたものを入れる場合も少なくありませんが、タムさんの作るガオラオには豚の血を固めたものは入っていません。でも、具だくさんで豚の内臓はいろいろ入っています。 |
タムさんの作るガオラオの味というのは、豚の出汁がよく出ていて、胡椒が結構利いています。調味料として何を入れているのか、私にはよく分かりませんが、滋養強壮に効きそうな匂いと香りです。 タイのスープと言えば、トムヤムクンとかの名前がすぐに思い浮かぶのですが、タムさんのレストランで食べる場合は頭をちょっと切り替えて、このガオラオに挑戦してもらいたいと思います。 |
ガオラオ以外のスープでは、もちろんトムヤムクンも食べたことがありますが、このトムカーガイも美味しかったです。大人数で来ると上の写真のような大きな鍋に出てきて、見るからに美味しそうですね。 |
大きな鍋のままですと、スープの様子や具が分からないので、取り分けた後の写真も載せました。大きな鶏肉がいくつも入っています。そして、スープに浮かぶ唐辛子のかけらが目立ちます。そうなんです。このトム・カーガイも結構辛いのです。しかも食べた瞬間に辛さが襲ってくるのではなく、上でも書いた通り甘酸っぱさが先行して辛さが時間差攻撃をしてくるのです。これこそ、タムさんの料理の真骨頂です。それでもガオラオよりは食べやすいので、タイ料理初心者の方にはおすすめです。 |
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タムさんのアヒル料理(ダック料理)三連発 |
以上、ジャンル別にタムさんのタイ料理を紹介してきました。その中で紹介しても良かったのですが、アヒル料理(ダック料理)について、ここでまとめて説明します。この日は9人でバーン・タムで食事しました。前日にアヒル二羽を持ち込み、お任せでタムさんに調理を依頼していたのです。そのアヒルをタムさんがどのように調理したかをこのコーナーでまとめて説明したいと思います。 まず、上の写真のローストダックです。丸ごとローストしてくれました。焼き色が素晴らしいです。私は香港に住んでいたので、当時からガチョウ、チキンや豚のローストは大好物です。ローストものはやはり良い焼き色に焼けていると味も美味しいことが多いです。そんな経験があるので、この焼き色の具合を見ていると、食べる前から期待が膨らみます。 |
ローストの間からアヒルの肉も少し見えてきます。美味しそうですね。 そして、注目すべきはアヒルのローストに添えられているパイナップルです。ここまでの写真を見ていただいてもお分かりの通り、タムさんの料理はもちろん食べておいしいタイ料理なのですが、見ていてきれいな盛り付けをしているのです。黄色いパイナップル、そしてパイナップルの間にニンジンを花状にして乗せています。視覚的にも食欲をそそるのです。 |
いよいよアヒルのローストを食べてみます。専用のタレも出してくれました。美味しいです。皮はパリパリで肉はジューシーです。これは見事なローストです。アヒルのローストというと北京ダックが有名です。ただ、北京ダックの場合は北京ダック用にアヒルに食料を詰め込むように食べさせ、一定の重さになると出荷します。運動させないから肉はあまり美味しくなくてパリパリの皮に価値があるメニューです。 でも、タイのアヒルにしても、この日食べた日本のアヒルにしても、運動させていますから肉もそれなりに美味しいのです。そして、ちょっと辛めの専用ダレをつけるとさらに美味しく食べることができます。皮のパリパリ感も素晴らしかったです。 このローストダックも食べたい場合は予約時にその旨を伝えておかないと食べられないと思いますので気をつけてください。 |
そして、アヒルの二品目は、アヒルのラープです。アヒルはタイ語で「ペッ」と言いますから、ラープ・ペッです。山盛りで出されてきました。ラープについては、上のサラダの項目で紹介している通り、スパイシーなサラダです。大きな唐辛子が山の上にいくつも見えていますが、山の中には刻んだ唐辛子がいっぱいです。この日はとりわけスパイシーな出来で、ラープらしさがあふれる美味しいラープでした。おかげで生野菜サラダが大活躍しました。アヒルのラープ(ラープ・ペッ)はラープ・ムー(豚ひき肉のラープ)に比較しても、味がスッキリしていて美味しいですね。 アヒル料理、ここまで二品とも参加者から高い評価を受けています。 |
アヒル料理の三品目はアヒルのカツです。これは珍しい料理ですね。私は初めて食べました。ペッ・ランとタイ語では言うそうです。それにしても、タムさんの盛り付けはどうですか? 日本のとんかつの盛り付けに比較しても、ビジュアル的にレベルがはるかに高いと感じてしまいます。周りの緑色のものはバジルを炒めたものです。そして、マヨネーズがまるでお好み焼きにかけられているかのようにかかっています。 |
数切れ取った後にアップして撮影したところです。ジューシーそうな肉が垣間見えます。写真なんか撮らずに一刻も早く食べたい気持ちです。バジルの葉が良いアクセントになっていますね。 |
そして、自分の取り皿の上でもう一枚写真を撮りました。ころもを見てもらいたかったのです。見るからに軽そうなころもです。 食べると確かにお腹にもたれないころもです。この日も沢山注文してお腹がいっぱいになりそうですから、ころもの厚いカツは気が進まなかったのですが、そんな心配は全く無用でした。 味付け的には、マヨネーズとバジルで十分に美味しく食べることができますが、スパイシーな味を好む方は、ローストの時に紹介したタレをつけるとさらに美味しく食べられるはずです。 |
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カオマンガイとカオソーイ |
最後にタイのご飯の話をします。他の店だとカオ・パッ・クン(エビ炒飯)を注文することの多い私ではありますが、とにかく得意料理の広いタムさんの場合には、カオ・パッ・クンでは満足できません。 上の写真はカオマンガイ(タイ式チキンライス)です。はっきり言ってこれは美味いです。タイに行くとバンコクではピンクのカオマンガイ、チェンマイではキアット・オーチャー、そして、東京ではピンクのカオマンガイ(渋谷店)や東京カオマンガイに入り浸り、パタヤでもカオマンガイ、ラオス国境のチェンコーンでもカオマンガイとカオマンガイ三昧の私でも、このタムさんのカオマンガイに勝るものは食べていません。 |
確かに美味しいです。鶏肉のふっくら感、ジューシーさがたまらなく良いのです。だけど、カオマンガイっていうのはB級グルメだから、それまで本格的なタイ料理を食べた後にドーンとカオマンガイが出てきても感動がちょっと薄いのです。本格グルメの後にちょこっと食べるご飯としてはふさわしくない感じがするのです。カオマンガイを食べるなら、朝食とか、昼飯とか、夜食とか、専らカオマンガイを目的に食べるほうがシチュエーション的には合っていると私は思うのです。 タムさんの店に行くと、上で紹介した通りあれこれ食べてしまいますから、ご飯ものを食べられる余地が私の胃袋にはあまりないのです。大人数で来ると上の写真のようにご飯とチキンが別皿で出てきます。 |
それを取り分けて、銘々の皿で食べるのですが、上の写真のようになるわけです。鶏肉が本格的過ぎてご飯にぶっかけて食べるにはもったいなさすぎると私は思います。美味しいけれども、この鶏肉を食べるならご飯と一緒ではなくて鶏肉だけで食べたい、そんな気になってしまうのです。 |
日本人が好きなガパオも、タムさんはもちろん作ってくれます。だけど、タイ料理の鉄人のタムさんにガパオを作ってもらうなんて、ちょっと不釣り合いだなと私は思ってしまいます。あまりにもお手軽料理すぎるのです。当然美味しいガパオは食べられます。だけど、タムさんはガパオよりもずっとずっと美味しい料理をいくらでも作ることができるのです。 |
それではタムさんのタイ料理で、コースの締めには何がおすすめかというと、カオソーイです。タムさんは人数に合わせて、お茶碗に一人分が一〜二杯くらいの量のカオソーイを作ってくれます。これを取り分けて食べるのです。上は5人で来た時でしたが、量的には2〜3人前の麺の量だと思います。カオソーイの場合には、スープの中に中華麺が入っていて上に揚げ麺が乗るのですが、それがこれだけの量で来ると、迫力あるカオソーイになって、食欲を増進させてくれるのです。 |
上の写真は、もっと多い人数で食べた時のものです。鍋の間口が広い分、こちらの方がビジュアル的には好きです。 そして、肝心のカオソーイの味ですが、これは日本人なら誰もが食べられるカレーラーメンです。カオソーイが出てくるころには、もう完全にお腹いっぱいになってしまうのですが、それでも完食してしまう味です。スープが美味しいのでスープまで飲み干してしまうのは言うまでもないことです。 |
最初はもうお腹いっぱいだから一杯だけでやめておこうと思っていても、食べてみると美味しいのでお代わりする人が相次ぐのです。 タムさんのお店で締めに何を食べるかというのは、その日の料理の組み合わせにもよります。カレー系の料理がもし二品以上入っているのなら、締めにカオソーイという選択はないでしょう。そんな時はどうするのか説明しましょう。 カレー系の料理、例えば、ビーフステーキのグリーンカレー掛けですとかホーモックタレーとか、普通のグリーンカレーやレッドカレーなどを注文するのであれば、ライスを注文したら良いと思います。また、ラープやコームーヤーン(トントロのバーベキュー)、ガイヤーンといったイサーン料理系のスパイシーな料理が多いのであれば、カオニャオを主食として注文するのも良いと思います。 |
お客様に敬意を表してワイをするタムさんです。感謝したいのはむしろ私たちの方で、いつも美味しい食べさせてくれてありがとうという気持ちで、タムさんがワイをすると私もワイを返します。 バーン・タムはレベルの高い本場のタイ料理を食べることができる貴重なレストランです。皆さんも行かれるのであれば、このページや様々なグルメサイトもご覧になって、タムさんの店だからこそ食べられる料理を事前に研究して行かれることをおすすめします。タムさんは皆さんの期待以上の料理を作ってくれるはずです。 |
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