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サイアム・スクエア近くのバーン・クン・メー|アジアグルメ図鑑(バンコク)

サイアムスクエア近くのバーン・クン・メー−アジアグルメ図鑑

 バーン・クン・メーは美味しいタイ料理レストラン(2014年)


 私がバンコクに行き始めた1990年代後半、たまには、お洒落にタイ料理を食べてみたい。その日は不思議にそんな気持ちになって、友人と連れ立ってお洒落な店を探しました。バンコクでお洒落に食べるんだったら、サイアム・スクエアあたりがいいんじゃないの、ってなことで、バンコクの渋谷とも言われているサイアム・スクエアで、上品そうなレストランを発見しました。バーン・クン・ポーレストランです。
 私はサイアム・スクエア周辺には殆ど立ち寄りません。それは昔も今も変わりません。午後になると、近くにあるチュラロンコーン大学の学生達で一杯になるというこの地域は女性向けの店が多いようです。若者の街ですから、タイ料理も自ずと洗練された辛さが抑えられた料理になってしまうというのが、私の先入観なのです。
 しかしながら、このバーン・クン・ポーは違いました。意外に本格的な辛さが味わえるレストランだったのです。それから10数年たった2014年に、久しぶりにこのレストランを訪れると、名前はバーン・クン・ポー(お父さんの家)からバーン・クン・メー(お母さんの家)に変わっていました。
 上の写真は、懐かしいバーン・クン・ポー(お父さんの家)の看板です。今は看板もバーン・クン・メー(お母さんの家)になっていますが、デザインは昔のままです。


 久しぶりに来たバーン・クン・メーで食べた最初の一品は、定番のヤム・ウンセン、春雨のサラダです。上に乗っている具が多すぎて春雨があまり見えませんけれども、春雨が手前に少し顔を出しています。そうなのです。屋台で食べるヤム・ウンセンに比較すると、サラダらしく豪華なのです。と言うか、サイアムスクエアらしくお洒落なのです。それでいて、味付けはしっかりスパイシーです。
 当時から味付けはスパイシーということだった以外、以前のバーン・クンポーの時代の味など覚えてはいませんが、こんな味だったかななんて懐かしくなってしまいます。


 続いて、バイトーイ・ガイ・ホーです。たれで十分に味付けをした鶏もも肉をバイトーイという葉に包んで揚げる料理です。いつもならガイヤーンで鶏肉をそのままバーベキューしたものを食べる私ですが、ここお洒落なサイアムスクエアでは、食べ方もおしゃれにしています。
 

 バイトーイの葉から鶏肉を取り出したところです。美味しそうに焼けていますね。バイトーイの香りがジューシーな鶏肉を包み込み、これはこれは美味しい料理です。タレがついてきますけど、タレなど付けずにバイトーイの香りも味わいながら食べた方が美味しいです。


 続いて、コームーヤーン、豚ののど肉のバーベキューです。似たような料理が続いてしまいましたが、こちらはイサーン地方の庶民料理で、こういうお洒落でない料理については、バーン・クンメーはちょっと見栄えが良くありません。それと、肉も少しパサついた感じがして、今一歩の味です。鶏肉のバイトーイ包揚げが美味しかったから許してあげましょう。



かつてはバーン・クン・ポーというレストランでした


 2014年に再訪した時の料理は以上ですが、以前にバーン・クン・ポー時代に来た時の料理を少し紹介しておきましょう。当時書いた文章、そのままで掲載します。今回は10数年ぶりの再訪でしたが、味付けのイメージも食器の雰囲気も当時と変わりません。
 ガルーパのにんにく風味カリカリ揚げ。
 中華料理の中で私が最も好きな広東料理や潮州料理では、専らガルーパは蒸し料理になるのですが、タイではどうしても揚げ魚になってしまいます。近海魚ですから、臭みもないし蒸しても良いと思うのですが、これは食習慣の違いから来るのでしょうか。それとも、タイが暑すぎるので、体力をつけるためににんにく料理を必要とするのでしょうか。私としては、軍配は中華料理に上げざるを得ません。
 でも、素材が良いからでしょうか。この料理、旨かったです。及第です。


 次は、バンクンポー風野菜炒め。
 メニューでは、単に野菜炒めと書いてありましたが、お上品な体裁で出てきたため、敢えてバンクンポー風と命名しました。屋台で食べる野菜炒めはビールのつまみにぴったりなのですが、この店の野菜炒めはやはりワインか何かがよく似合います。ワインを飲みながら野菜炒めをつつき、ファッションや映画の話に興じる。それがバンクンポー風です。
 味付けについては、辛さが控え目で、今のタイの若者向けという気がしました。




 次は、バンクンポー風シーフードスープです。この前日に、源利大飯店でシーフードスープを飲んだのですが、何かが違います。
 まず、見た目です。どうです、バンクンポーは上品でしょう。これに対して源利大飯店は貝殻が沢山見えているなどワイルドです。ただ、バンクンポーのほうが値段がいいだけあって具が沢山入っています。
 問題のお味ですが、源利大飯店が期待以上の辛さなのに対して、ここバンクンポーの方は予想通りの辛さという感じで、手加減のない普通の辛さでした。辛さが足りないということはありませんでした。むしろ、素材の味を殺さないほど良い辛さと言うことができるでしょう。
 ただ、私としては、あの悪魔のような刺激的な辛さから、源利大飯店に軍配を上げます。


 そして、春雨と海老の蒸しです。この料理はどうしたのでしょうか。盛り付けに美的センスが感じられませんね。お洒落にタイ飯を食べたいと思っていた私には、ちょっと残念でしたね。 

 この日は、タイ料理を食うのではなく、お洒落にタイ料理を召し上がるという趣向で、ここサイアム・スクエアに足を運びましたが、私達の入ったバーンクンポーレストランは、街並みに融けこむような概観と、店内に入ってからも高級喫茶店のような内装が印象的です。ここに来たらどうしてもデザートまで進みたい。
 で、この料理、春雨と海老の蒸しものは、口の中の辛さを抑えてくれて、次のデザートへと進む橋渡しなのです。


 いよいよデザートの時間です。タイ料理というと、私はワイルドな食べ方を好みますので、通常はデザートを食べません。だから、この分野、実は詳しくないんです。
 この日は、お洒落にタイ料理を召し上がるという趣向ですし、店の作りも高級喫茶店のような内装でしたから、デザートを注文したわけです。
 揚げバナナでしたか、これは、甘い。でも、旨い。バナナをこんな風に食べるなんて、などと批判しないで下さい。日本だって、バナナチョコレートがあるじゃないですか。思わず、昔懐かしいバナナチョコレートを思い出してしまいました。バナナチョコレートも最近飽きられているでしょうから、今年のお祭りには屋台でこの料理を出してみようかな、そんな気持ちにさせてくれるようなスイートなお味でした。

 このバーン・クン・ポー・レストランの評価ですが、サイアム・スクエアという若者向きの街に所在しているわりには、しっかりした伝統的なスパイシィーな味付けだと思います。せっかくだから、お洒落な街で食べてみたいという人にはおすすめです。私にとっても、また、行ってみたい店の一つです。場所は、ノボテル・ホテルの向かい側です。

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