アンコールワットの魅力を紹介しています。 このページでは、アンコールワットの西参道から聖池までを歩きながら、その景観の素晴らしさを紹介します。 |
アンコールワットの入口、西参道 |
アンコールワットの景観はいつ見ても素晴らしいものです。こんな堂々とした建物が、日本では鎌倉幕府が成立するよりも前に、このクメールの地に築かれていたというのは本当に驚きです。実は、後で建物の装飾や壁のレリーフなどを見ると、それはさらに大きな驚きと感動になるのですが、ここではまずその景観の美しさをお話ししておきたいと思います。 アンコールワットの景観が楽しめるのは、アンコールワットの入口である西参道から、聖池と呼ばれる二つの池のあるあたりまでです。西参道はアンコールワットに入れる唯一の入口で、建物全体が西(真西)を向いているということになります。他のアンコール遺跡は東に入口があるのに、アンコールワットだけが何故西に入口があるのかということについては色々と言われていますが、私のガイドを務めてくれた方から説明された次の話が信憑性があります。 「例えば日本では北枕が忌み嫌われるように、クメールでは西が忌み嫌われている方角です。アンコールワットの創建者であるスールヤヴァルマン二世は、アンコールワットをもともと自分の墓地として創建したので、他の遺跡とは異なり、西に入り口を有しているのです。」 もっともらしい説明ですよね。 |
では、西参道を歩いてみましょう。 上の写真が西参道に上ったところからのものです。濠を渡ったところに横一列に広がる塀があって、目を凝らすと中央に一つ、そのすぐ両脇に二つ、ずっと端の方にさらに二つの門(入り口)が見えます。中央が王が通り抜ける西塔門、そのすぐ両脇が兵士たちが通る門、そして両端が像などが通る門です。 この西参道の一番手前からアンコールワットを見ると、どうでしょうか、海に浮かぶ要塞のように見えますが、創建されたころをイメージすれば海に浮かぶ大御殿のようだったのではないでしょうか。 |
参道を進むと左右で随分と見栄えが異なってしまいますが、これは、左が修復前、右が修復後というだけです。アンコールワットの参道ですから、右のようにあまりにきれいになってしまうと何か価値がなくなるような気もします。安全を考えれば、左側もいつかは修復されてしまうのでしょう。 |
左右の濠に目をやりますと、まさに森林の中にこのアンコールワットがあることがわかります。アンコールワットは、森林の中の満々と水を湛えた濠に囲まれているのです。 |
ちょっと話がそれますが、上の写真は別の日に、アンコールワットの近くにあるプノンバケン山から撮影したアンコールワットです。ここからは濠を見ることはできないのですが、森の中に浮かぶアンコールワットを見ることができます。 プノンバケン山は夕陽を見る絶好の場所として知られています。私もそれが目的で夕方にこの山に登ったのですが、あいにく当日は天気が悪く夕陽を見ることはできませんでした。けれども、この森の中に浮かぶようなアンコールワットが見れましたので、それだけでも価値があったと思います。 |
さて、話の都合上、順番が逆になってしまいましたが、上の写真が西参道に上ったところにある蛇神ナーガの頭の像です。蛇神ナーガはヒンズー教や仏教寺院で欄干によく描かれているのと同じように、このアンコールワットの西参道においても欄干に長々と描かれています。 蛇神ナーガは雨の神様です。アンコール遺跡のあるカンボジアでは、雨季と乾季がはっきりしています。ただ、雨期に十分な雨が降って初めて国が豊かになるエリアです。アンコール王朝が都としたこのエリアの近くにはトンレサップ湖があり、アンコール時代には西バライと東バライに広大な池がありました。この雨水をため込んだ池や湖があって、かつ雨期に十分な降雨があって初めて、米の三期作も可能になり国が富むわけです。そうした意味で、このエリアにおける雨の神様というのは、日本における雨の神様以上に崇められていたに違いありません。 ちなみに、今のカンボジアでは長期にわたる内戦の影響もあって、十分な貯水機能がなく、トンレサップ湖の周りの一部地域を除いて、米は一期作にとどまっているそうです。 |
海に浮かぶ御殿や年中実りがある水田など、アンコール王朝時代の隆盛なども思い浮かべながら西参道を歩ききると、目の前に西塔門が近づいてきます。 ところで、この西参道から聖池までの区間でアンコールワットの雄大な景色を見ようとすると、太陽が逆光にならない午後が良いと言われています。確かにそうだと思いますが、ここまでの写真はすべて12時前後に来て撮影したものです。午後はツアー客が多く、逆光にはならないものの、人を見に来るような感じです。他の観光客がお昼ご飯を食べているこの時間こそが、実は逆光にもならず観光客も少ないゴールデンタイムだと考えているのですが、どうでしょうか。 |
この日は西塔門の脇で結婚の記念写真を撮影しているカップルもいました。アンコールワットで結婚記念の写真を撮影できるなんて贅沢ですね。 |
いよいよ西塔門にやってきました。門の向こう側にアンコールワットの尖塔が見えてきます。門の上や左右のレリーフや数珠のような窓の格子(「連子窓」と言います)も見えてきます。いよいよアンコールワットの中に入るという気持ちが高まる場所です。 |
西塔門を斜めから見てみました。手前の像は蛇神ナーガの頭です。 |
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西塔門から見るアンコールワット。門がちょうど額縁の役割を果たして、美しい尖塔が姿を見せます。中国の庭園では「框景(きょうけい)」といって、窓や門を額縁のように見せて一幅の絵にする技法を指します。まさにこの「框景(きょうけい)」の技法と同じものがここでは使われています。 ここはアンコールワットでも一番の写真スポットなので、午後などはなかなか写真が撮れません。門の四角の形がそのまま撮影できたのも、前述した通り12時前後に来た成果です。 |
そんな框景を見ると、すぐに反対側に抜けていきたい気持ちになりがちですが、いくつか西塔門の周りも見てみましょう。 上の写真は西塔門のそばにあるヴィシュヌ像です。ヴィシュヌはヒンズー教の三大最高神(ブラフマー 神・ヴィシュヌ神・シヴァ神)の一つで、4本の腕を持ち、世界を維持する役目を負っています。スールヤヴァルマン2世は、このヴィシュヌ神を信仰し、自分のおくり名(死後の名)をパラマヴィシュヌロとしていたとされていますが、このアンコールワットは、自分の死後の墓として、また、ヴィシュヌ神に捧げるものとして建造されたのです。 このヴィシュヌ神には、今でも線香が焚かれ花で飾られています。 |
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西塔門内側のデバター(歯を見せて笑うデバター) |
ガイドブック等でよく紹介されている「歯を見せて笑うデバター」はこの西塔門の近くに描かれています。アンコールワットにある他のほとんどのデバターは口を閉じているのですが、このデバターは違います。この有名なデバターをはじめ、素晴らしいデバターやユニークなデバターが西塔門の内側に彫られているので、いくつかここで紹介しましょう。 |
西塔門の裏に彫られたデバターたちです。日本語ガイドに連れられてアンコールワット観光をすると、全体的に時間がタイトですので、西塔門では「歯を見せて笑うデバター」だけ見せられて、すぐ先に進んでしまうようなのですが、ここ西塔門の裏側の他のデバターも見応え十分なのです。 |
デバターについてはいくつも並んでいる壁面を見ると、それはそれで圧巻の眺めではあります。けれども本当の面白さは一つ一つのデバターをこまめに見ていくことです。例えば上の写真のデバターは手鏡を持ってポーズをとっているデバターです。腰の細さが目立ちますし、腰から胸のラインがセクシーです。 |
これは化粧をするデバターでしょうか。歯を見せて笑うデバターの近くにあります。 |
鏡に自分の顔やポーズを映している姿に私には見えますので、「鏡の前でポーズをとるデバター」と私は名づけました。なかなか魅力的です。 このように、アンコールワットの楽しみ方の一つに、デバターを一つひとつ丹念に見て、自分のお気に入りのデバターを探すことがあります。そういった楽しみ方をするためには、まず一回、できれば日本語ガイドに連れてきてもらって概要を掴んだうえで、今度はトゥクトゥクにでも乗って時間無制限に、自分の気が済むまでアンコールワットの中を見て回るのが良いと思います。何度見て回っても、アンコールワットには新しい発見があります。 |
後日、同じデバターを今度は正面から見たのが上の写真です。鏡の前でポーズをとっていたはずが、このように正面から見ると鏡を見ていません。ひょっとすると持っているのは鏡ではないかもしれません。 こんな具合に来るたびに新しい発見もあるのです。 |
私にとって魅力的なデバターということでは、上の写真のデバターです。気品が感じられるとともに、ウエストが異常に細くくびれています。 |
拡大してみると良く分かると思いますが、顔は柔和で、スタイルは抜群です。腕輪もお洒落ですし、花を持つ左手と腰の前に置いた右手のしなやかさも印象的です。 「気品のあるデバター」と私は名づけました。 アンコールワットには沢山の魅力的なデバターがあります。このサイトの「アンコールワットのデバター」のページでは、そんなデバターの魅力を紹介しています。 |
そして、歯を見せて笑うデバターなのですが、これは意外に小さくて、ガイドさんがいないと見落としてしまいそうです。上の写真の柱の奥にひっそりと彫られているのです。 |
上の写真にあるように、柱の角の所に見えます。あまり目立つ場所ではありません。 |
「歯を見せて笑うデバター」の全身です。このデバターは日本のガイドブックでは必ずと言って良いほど紹介されているので、日本語ガイドは必ず見せてくれますが、日本以外ではどれほど有名なのか良く分かりませんので、英語ガイドですと連れてきてくれるかどうかは不明です。 |
大きくすると、歯を見せて笑っているところが良く分かります。 ただ、地球の○き方をはじめ日本のほとんどのガイドブックでは「歯を見せて笑っているデバターはこれだけ」などと紹介していますが、それは間違いです。きっと旅行者の誰かが書いた旅行記にそんなことが書いてあったことがいつの間にか流布されてしまっただけだと思います。ガイドブックというのは、必ずしも現場を自分で見て書いているわけではないので、そういう間違いはよくあるのです。 このサイトの「アンコールワットのデバター」のページでは、歯を見せて笑っているほかのデバターも紹介しています。 |
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逆さアンコール |
ということで西塔門を抜けると、アンコールワットの尖塔が眼前に広がります。 上の写真は、1回目のアンコールワット見学時です。午後ですが雨が時折降るあいにくの天気でもう一つ気分が乗りません。そこで、‥‥。 |
天気の良い日の12時過ぎに再度アンコールワットに来たわけです。青空と明るい日差しの下では、全く異なる雰囲気になります。周りの緑も輝きます。 |
アンコールワットはどこかしら修繕をしています。私が行った2013年5月には西塔門から第一回廊に入る部分で工事していました。一番景観が良いところなのに残念には思いますが、これだけの遺跡を維持管理していくうえで、やむを得ないことです。 |
聖池の手前にある経蔵と言われる建物。参道の両脇にあります。古く朽ちてはいますが、それだけに雰囲気があります。 |
角度を変えて経蔵を見たところです。貫録が感じられ感心してしまうのですが、この先、アンコールワットの中で目にするものはそれをはるかに上回る感動を与えてくれます。 経蔵の建物の先に聖池があります。聖池も参道の両脇にあるのですが、乾季ですと右側の聖池は枯れてしまい左側の池だけになってしまいます。 |
私が行ったのは5月中旬で、ちょうど乾季の最後ですので、左側の池も水は少ししかありません。この聖池に映る逆さアンコールは、時期と天候さえ良ければ見事なものですが、この日のように、時期は乾季の最後ということで水が少なく最悪ですし、 天気は小雨模様で輝きに欠けて、しかも風が吹いて水面が揺れてしまうという最悪の状況です。 「アンコールワットに行くなら逆光にならない午後がいいですよ」というのは間違ってはいませんが、「時期」と「天候」も重要なのです。そこで、‥‥。 |
天気の良い日に出直してきたのですが、空が青くそして明るい分だけ良くなった気もしますが、よくよく比較すると曇天のアンコールワットも、それはそれで雰囲気はあるような気もします。 |
やはり致命傷は池の水が少ないことです。アンコールワット周辺では、雨季は5月末から10月くらいです。9月や10月になると第一回廊の手前まで池が広がり、逆さアンコールが最も美しくなるそうです。雨季と言っても、熱帯ですから夕立のような雨が降ることが多いだけで、青空も広がる季節です。私は10月か11月くらいに、また来たいと思っています。 それから、風による水面の揺れについては、少し辛抱強く風がなくなるのを待ってみるしかないですね。 |
これは別の機会に6月末に行った時です。雨季が始まっていますからいくらか池の水量も多く、アンコールワットがきれいに逆さに映っています。 |
また、この場所から見るアンコールワットで見逃せないのが、アンコールワットの日の出です。私がアンコールワットに行った時期は雨季が多いですので、何回かチャレンジしたものの、曇っていて日の出が見えないことが多いです。 大勢の観光客が5時過ぎにはアンコールワットについて日の出の時間を待つのですが、残念ながらシャッターチャンスは訪れないということもよくあります。 |
天候に恵まれサンライズが見れるときは、神秘的なアンコールワットの姿を見ることができます。アンコールワットのサンライズについては別ページで紹介しています。 |
聖池の先から第一回廊方面を見ますと、アンコールワットの威容が広がります。いよいよ、第一回廊に入ります。 |
次のページは第一回廊です。 関連するページ アンコールワットのトップページ 西参道から聖池まで 第一回廊 十字回廊と第二回廊 デバター 中央祠堂と第三回廊 アンコールワットのサンライズ(日の出) |
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