バイヨンはアンコールトムの中心にある仏教寺院です。バイヨンの第一回廊のレリーフは当時の戦争や生活を知るための貴重なものです。生き生きとして美しいレリーフは、アンコール遺跡に数多くあるレリーフのうちでも最も秀逸なレリーフです。また、第一回廊から見るバイヨンの威容もアンコール観光のポイントの一つです。 |
バイヨンの威容 |
バイヨンの入口です。その荘厳な威容に誰もが目を見張ります。遠くから見ると、岩山がゴツゴツしているだけなのですが、近づいてみるとその岩山が単なる岩山ではないことに気付かされます。 バイヨンはアンコール・トム観光のハイライトで、とかくアンコール遺跡観光というとアンコールワットに焦点が当たりがちですが、ここバイヨンも時間をかけてゆっまりと見て回りたい遺跡だと思います。時間がないとバイヨン観光は観世音菩薩(観音菩薩)の四面塔を見るだけになってしまいがちで、第一回廊のレリーフをはじめとしたせっかくの見どころを見逃してしまうことになります。 |
バイヨンの地図については、飲食店内装見積.comに掲載してあるものを借用させていただいています。私が見た中では、これが一番わかりやすい地図です。 これで見ていただくと分かりますが、観世音菩薩(観音菩薩)の四面塔は中央祠堂の周りにあって、中央祠堂の周辺を歩くことで見て回れます。ところが、レリーフは第一回廊にあって、暑い気候の中で第一回廊をぐるりと一周する必要があります。 |
バイヨンのレリーフは彫りの深いものが多く、迫力という点でもアンコールワットのレリーフを凌ぐものがありますし、当時の軍隊や住民の生活も描かれているのでわかりやすさという点でもアンコールワットのレリーフよりも楽しめると思います。 |
そして、そんな第一回廊を回りながら、様々な角度から見えるバイヨンの威容を楽しむのが、バイヨンの楽しみ方の一つです。なお、バイヨンのハイライトである観世音菩薩(観音菩薩)の四面塔については別ページで紹介しています。 |
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第一回廊から見るバイヨンの威容 |
上の写真は、第一回廊を回り、北西の方からバイヨンの中央祠堂方向を見たところです。上にある地図で言えば、第一回廊の左上の角から第二回廊との間のスペースに入ったところから撮影したものです。数段の石段の上に建つのが第二回廊ですが、屋根がなくなっている部分も多いですから、回廊のようには見えないかもしれません。 |
南側の第一回廊の所からですと、こんな感じになります。日本人の目から見ると、寺院というよりも城か砦のように見えてしまいます。 この位置からですと第二回廊の存在が確認できますね。ただ、観世音菩薩(観音菩薩)の四面塔が正面から見えているので、四面塔に見えないという欠点があります。 |
今度は第一回廊の北西の角から少し東に入ったところからの眺めです。ここからですと回廊も確認できますし、観世音菩薩(観音菩薩)の四面塔も四面塔らしく見えます。このように第一回廊を一周すると、どこから見てもバイヨンの威容は確認できますし、どこから見たバイヨンも記憶に残したい、写真に撮りたくなる威容なのです。 |
目を凝らして観世音菩薩(観音菩薩)の四面塔を見れば、あちらにもこちらにも、正面を向いていたり、横を向いていたり、斜めの方向を見ていたりしている観世音菩薩(観音菩薩)のお顔を拝めます。中央祠堂の周りを散策し間近で見る観世音菩薩(観音菩薩)の大きさに感動するのも良いですが、上の写真のように下から林立する四面塔を見ると、この複雑な建築物とも相まって厳粛な感動を覚えます。 |
レリーフを見ながら第一回廊を回りバイヨン建設時のクメールの国に思いを巡らせるとともに、回廊から中央祠堂とその周りに林立する観世音菩薩(観音菩薩)の四面塔の威容に感動したうえで、第二回廊から中央祠堂へと登って行くのが、バイヨンの感動的な観光だと私は思います。 上の写真で観光客が下りてくるところから第二回廊、そして、中央祠堂へと向かいます。 |
中央祠堂の周りに多く見られるデバターも、第二回廊から姿が増え、観光客を出迎えてくれます。 |
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バイヨン第一回廊のレリーフ |
バイヨンのレリーフは、第一回廊に描かれています。上の写真は入り口付近から見たものですが、第一回廊は屋根がなくなっていますので、塀にレリーフが描かれているかのような印象になってしまいます。バイヨンを一周取り巻くようにレリーフが彫られていることになります。 |
バイヨンのレリーフで目立つのは、クメール軍の戦闘シーンやクメール人の生活といった分かりやすい題材です。神話などと違って、日本人にはわかりやすい内容です。 上の写真はクメール軍の戦いです。裸の体に鎧も付けず褌一つで戦っているのがクメール軍兵士です。手には槍を持ち、チャンパの軍隊を負かしています。地面に倒れているのはチャンパ軍の兵士で、彼らは鎧をつけているので見分けがつきます。 このような彫りも鮮明なレリーフが第一回廊に彫られているのです。 |
それでは、正面入り口から第一回廊を歩いてみましょう。 上の写真は正面入り口から第一回廊に登るところです。欄干は蛇神、ナーガです。ナーガはヒンズー教でも仏教でも守り神とされていますので、寺院の入口や階段の欄干によく描かれています。 |
ここバイヨンのナーガ像は、日本の協力も得て、2014年に修復を終えたものですから、まだ新品みたいなものです。 |
ナーガの像の横を抜けて第一回廊に登ると、そこから第二回廊方面への通路があります。時間のない人は、第一回廊を見ることもなく第二回廊へと進んで行ってしまうのですが、それではアンコールトムの良さは半分もわかりません。 時間がなくても、ここまで来たら左に折れて回廊を見て回りましょう。 |
クメール軍兵士の行進の場面です。繰り返しになりますが、裸に褌がクメール軍です。将軍や王様は象に乗って進軍します。槍を突いている兵士たちが勇ましいですね。 |
上の写真は戦闘の場面です。クメール軍は左から右に攻めています。倒れているのは敵兵チャンパの軍隊で、クメール軍の強さと勇ましさを描いています。 |
上のレリーフで像に乗って描かれているのがジャヤヴァルマン七世だったと思います。 バイヨンを建設したのがこのジャヤヴァルマン七世ですが、アンコール王朝の隆盛期を築いた王です。ジャヤヴァルマン七世は即位すると、チャンパ軍により荒らされたアンコールの都を修復します。西バライ、東バライで水利工事を行い、当時から主要産業だったコメの生産を強化し人々の生活を建て直すとともに、アンコールトムに城壁や濠を築き都の守りを固めました。これらは、いま私たちがアンコール遺跡で目にする古都アンコールの基盤です。そのうえで侵略を重ねるチャンパ軍を討ち、ついにはチャンパの首都を占領するに至ります。 そして、戦勝後に建てた様々な建物のうちの一つが仏教寺院バイヨンです。それまでの王がヒンズー教だったのに対し、ジャヤヴァルマン七世は仏教徒でした。バイヨンに描かれている観世音菩薩も、ジャヤヴァルマン七世をモデルにしているとされています。 |
上のレリーフはかなりの乱戦模様です。だけど、槍で倒されているのは専ら敵国の兵士ばかりです。クメール軍は強い、ということを描いているのです。 |
最近修復されていない壁画はこのように黒ずんでいますが、それはそれで雰囲気があります。 |
上のレリーフはトンレサップ湖での戦いです。船に乗っているのはチャンパ軍兵士です。トンレサップ湖での戦いは、クメール軍とチャンパ軍との戦いの中でも激戦として知られていて、ここでの戦いに勝利したことが、チャンパを破る大きなきっかけになったのです。 |
よくよく目を凝らすと、ワニに足を食べられている兵士がいます。痛そうです。食べられているのはクメール軍兵士です。自分の命を懸けて戦った兵士たちを描いているのでしょう。 |
クメール軍のレリーフばかり紹介してきましたが、この辺りでは上にクメール軍、下にクメール人の生活が描かれています。下のレリーフは、戦争に勝って凱旋する兵士たちを迎えるクメール人たちの様子です。生き生きと表現されています。 |
これも戦勝で凱旋した兵士たちをねぎらう人々です。豚を焼いたりお酒を用意したりしている姿が描かれています。国が一つになって、隣国との戦いに臨んでいた様子がうかがえます。 |
上の写真はおそらく出産だと思います。全体的にアンコールワットよりわかりやすい壁画ですから、ぜひ細かく見てみましょう。 |
生贄にされる水牛です。水牛のちの入った酒を飲むと戦いに勝てるとされていたので、水牛が生贄にされるところです。 このように、バイヨンのレリーフは当時の生活や戦闘の一端を描いたものが多く、神話や政治を背景としているアンコールワットのレリーフよりも、私たち日本人にとっては親しみやすく分かりやすいものとなっています。 第一回廊のどこにどんなレリーフがあるかについてはバイヨンの地図をご覧ください。 |
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バイヨン第一回廊でのその他の見どころ |
デバターについては、バイヨンの第一回廊ではあまり見かけません。バイヨンでデバターが多いのは中央祠堂の周りです。でも、第一回廊を歩いていても、特に西側の第一回廊周辺にはいくつかのデバターがあります。この辺りは荒廃していますが、それはそれで遺跡としての雰囲気を感じさせてくれます。 |
また、上の写真のように柱だけが残っている部分に彫られているデバターには、やはり目が行ってしまいます。 |
ここバイヨンのデバターは全体的にお上品な雰囲気が漂う女官が多いと私は感じています。上のデバターもそうした上品なデバターの一つです。 |
そして、忘れてはならないのが、蓮の花の上で踊るアプサラです。バイヨンには、この蓮の花で踊るアプサラが大変多く彫られています。上の写真は三位一体のアプサラと呼ばれています。 現在のアプサラダンスは、アンコール王朝が滅んだ後に考案されたものなのだそうで、その際に参考にしたものの一つが、このバイヨンの三位一体のアプサラなのだそうです。そう言えば、シェムリアップの夜に見たアプサラダンスも確かに雰囲気が似ています。 |
上の写真も蓮の花の上で踊るアプサラです。二人で踊る姿もこのように対称的に踊っている姿もあれば、手をつないでいる場合もあります。 、 |
第一回廊にあるリンガです。 リンガは男性の性器を意味しており、ヒンズー教におけるシンボルで、通常はシヴァ神のシンボルとされています。リンガを受けているのがヨニで、ヨニは女陰を意味しています。このいかにもヒンズー教らしいリンガとヨニのセットがバイヨンの中でいくつも見られることから、バイヨンがヒンズー寺院として建てられたのではないかという説まで出たくらいなのですが、現時点ではもともと仏教寺院として建てられたバイヨンがヒンズー教寺院に改造されていた時期があり、その時にリンガ・ヨニも設置されたとする説が有力です。 |
第一回廊から中央祠堂を見たところに、今も多くのカンボジアの人々がお参りする仏像があります。私はここの景色が好きで、いつもこの場所で時間を暫く費やしてしまいます。もともとは回廊に屋根があって中央祠堂が見えなかった場所なのでしょうが、回廊に屋根のない今はかえってその柱だけの回廊と威厳のある中央祠堂を同時に見ることのできる場所として、何か寂しさも無常さもそして荘厳さも感じさせてくれる場所なのです。 |
人それぞれに感じ方というのはありますから、この場所を美しいと感じて足を止める人もいれば、横目で見ながらただ通り過ぎて行ってしまう人もいます。むしろ後者の観光客の方が多いような気がします。 |
バイヨン第一回廊の正面入り口に戻ってきました。第二回廊や中央祠堂へはこの階段を登ってもいいですし、一つ上の仏像のある場所から昇って行っても良いのですが、第一回廊を一周しないで直接中央祠堂に登っていくことだけは、もったいないですからやめましょう。 |
関連するページ |
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