アンコールワットの魅力を紹介しています。このページでは、アンコールワットの十字回廊と第二回廊を紹介します。特に第二回廊の内側はデバターが数多く彫られていてどんなに時間をかけても見飽きることはありません。第二回廊については、デバターと連子窓が見どころだと言えます。 |
十字回廊と第二回廊の見どころ |
アンコールワット見学では、アンコールワットを西参道から入り聖池で逆さアンコールを見た後に、第一回廊のレリーフに感動し、中央祠堂へと向かいます。その中央祠堂と第一回廊との間に位置するのが十字回廊と第二回廊です。 私たち旅行者ではなく、アンコール王朝の時代にアンコールワットに入れた人々にとっては、西参道から第一回廊をくぐると、十字回廊を通ることになります。この十字回廊がアンコールワットの中でどのような位置づけにあるのか、そんなことも考察しながら、十字回廊と第二回廊を紹介していきたいと思います。 |
この十字回廊と第二回廊のあたりまで来ると、デバターの数が本当に増えてきます。デバターについては、別途ページを設けていますのでそちらで詳しく紹介していきます。 |
特に第二回廊の内側はデバターが数多く彫られていてどんなに時間をかけても見飽きることはありません。第二回廊については、デバターと連子窓が見どころだと言えます。 |
上の図はアンコールワットの平面図で、上が北になります。 アンコールワットへの観光者は、図面の左、すなわち西から入ってきて第一回廊に入るのですが、中央祠堂に行くためには、平面図にある西の「大塔門」から「十字型中回廊」を通って第二回廊に向かうのが本来の動線です。しかしながら、ツアー等で行くと第一回廊の乳海攪拌あたり(図面の右)から内側に入り、第二回廊を裏から入るということがありますので、そうした際は帰りの時に本来の動線で、すなわち、第一回廊から十字回廊を抜けて第二回廊へ再度向かうと、アンコールワットの設計意図が見えやすくなると思います。 なお、第二回廊内側でデバターが多いのは、平面図記載の二つの経蔵の周辺になります。では、十字回廊から紹介していきます。 |
十字回廊 |
アンコールワットの平面図を見るとよく分かるのですが、西参道の方から第一回廊を抜け、第二回廊に向かうと日本語の「田」の字の回廊があって、その外周を取り払えば「十」の字になる回廊があります。この部分を十字回廊と呼んでいます。よくよく考えてみれば、「田」の字を形成している左と右の縦棒はそれぞれ第一回廊と第二回廊ですから、この二本の回廊を除けば、「十」の字の回廊の上と下におまけの回廊がついているという感じなのです。 |
広いアンコールワットの中でも、この十字回廊の部分だけはもともとの塗装が若干残っていて、壁や柱が少し赤みがかっています。かつては朱色に塗られていたのかも知れません。その色だけ見てもこの十字回廊の部分というのは、他の回廊とは一線を画しています。 |
天井の模様にも赤みがかったものが残っていて、もともとはかなり華やかな装飾だったことが容易に想像できます。 |
また、デバターに関しても、この十字回廊に入るあたりから急に増えてくるような気がします。もちろん第一回廊にも描かれてはいるものの、その数は格段に増えてくるのです。 |
私が持った印象を素直に表現すれば、宮殿か何かに入っていく際に、美人の女官がお出迎えをしてくれているかのような感じです。柱の前にここにもあそこにも女官がご挨拶に出迎えているという感じなのです。実は、デバターは西塔門の周りにも多いのですが、やはり人々の参内経路で出迎えるような位置づけで彫られているのかななんて考えてみたりするのですが、そうすると後ほど紹介する第二回廊内側のデバターの大群を説明できなくなってしまいます。 話がそれますけど、この辺りのデバターの胸と顔は黒光りしています。この辺りは見学者が多く、また、デバターが手が届く高さに彫られているため、胸と顔に触れていく観光客が多いからだそうです。 |
デバターの上の装飾も、この辺りはかなり深い彫り方がされています。アンコールワットという広大な建物全体に装飾がされているわけなので、熟練した彫り師もいればまだ途上の彫り師もいたに違いありません。このあたりの装飾は、熟練した彫り師によるものではないかと私は勝手に推測しています。 |
デバターの上の装飾をアップにするとこんな感じです。かなり繊細でかつ彫りの深い彫刻なのです。こういった彫刻がこの十字回廊付近には多いのです。 |
また、デバターとあわせて連子窓が多くなるのも、十字回廊から第二回廊のあたりの特徴です。連子窓も装飾がいろいろ施されています。 |
前述した「『十』の字の回廊の上と下につけられたおまけみたいな回廊」には、多くの仏像が並べられていますが、もともとは信者から寄進されたもののクメールルージュにより破壊されてしまった仏像などのの一部が並べられているものと思います。 この「おまけみたいな回廊」と私が呼ぶ理由は、実はここの装飾は「十」の字の回廊部分と比較すると装飾が貧弱だからなのです。十字回廊の部分できらびやかな装飾がなされていたのは「十」の字の部分だけであって、だからこそ「十字回廊」と名付けられたのだと私は考えているのです。 |
首のない仏像です。 カンボジアやタイなどにおける仏教は小乗仏教(上座部仏教)といって、中国や日本の大乗仏教とは教えが違います。また、仏像の首だけも信仰の対象になりますし、首のない仏像も信仰の対象になります。したがって、アンコールワットの十字回廊にある首なしの仏像も、当然のことながら信仰の対象です。 これらの仏像の頭は、戦争で切られたものもありますし、盗掘者によって持ち去られたものもあります。いずれにしても、これらの首なし仏像は破壊の爪痕として飾られているのではなく、信仰の対象ですので、観光客としても非礼のないようにしたいものです。 |
では、十字回廊は何故十字型の回廊にする必要があったのかということなのですが、それは実は沐浴場を4つ作ったからです。「田」の字に囲まれる形で4つの沐浴場がここにあったわけです。沐浴とは身を清めることです。すなわち、宮殿に登る前に身を清めるための場所が十字回廊だったわけです。神聖な場所に入る前に身を清める場所ですから、それにふさわしい内装も必要だったと考えられます。 因みに、この沐浴場の水は第三回廊に溜めた雨水を使用していたということですが、現在は第三回廊には雨水を溜めこまないようにしているため、この沐浴場にも水はありません。 |
4つの沐浴場のうちどれかが王専用でどれかが王族専用で、こちらが一般男性向け、あちらが一般女性向けみたいな感じで使い分けがされていたのかななんて思いますが、そのあたりは確認をしておりませんので、私の勝手な想像です。 上の写真で、右下に沐浴場が少し見えます。連子窓があるのは第二回廊です。この十字回廊で身を清めたうえで、上の写真でお分かりいただけるかと思いますが、第二回廊に向かうわけです。 |
このあたりの建物は荘厳という言葉がぴったりするような重々しい作りです。参内する重臣たちにはできるだけ重々しい雰囲気を感じさせることも必要だったのではないでしょうか。 |
第三回廊から見た沐浴場です。連子窓の向こうに人の影が見えますね。この連子窓というのは、中から外を見ることはできるのですが、明るさの関係で外から中は見えづらくなっています。普通の開口部にせず連子窓にした理由は、単に装飾ばかりではなくそうした安全性を考えての設計だったものと思われます。 ところで、ここは第三回廊から十字回廊を見ていますから、西を向いていることになります。おそらく夕方の強い陽射しを受ける頃には、この連子窓から入る赤い光が第三回廊に伸びて、美しい模様を作り出すのだと思います。 今回アンコールワット訪問時に、そうした位置関係の理解が不足していたため、夕陽の当たる第三回廊を撮り損ねてしまいました。皆さんは、事前に十分に研究をして、夕方遅い時間にもアンコールワットを楽しんでもらいたいと思います。 |
十字回廊から見た第二回廊です。第二回廊は沐浴場から見上げる形で荘厳な風景を見せています。日本でいえば城の天守閣に近づいていくイメージでしょうか。いや、もっと神聖な場所というイメージだったに違いありません。神聖な場所に参内するために、身を清める場所、それが十字回廊横の沐浴場なのです。 |
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第二回廊 |
続いて、第二回廊について紹介します。 上の写真は第二回廊と第一回廊の間の部分ですが、十字回廊とは反対側である東側の写真です。この写真でお分かりの通り、第一回廊と第二回廊との高さの差は階段にして数段程度ですから、それほど大きなものではありません。 第一回廊(右側と正面)には窓はなく、平板な壁になっています。この壁の裏側に様々なレリーフがあることは第一回廊のレリーフのページで紹介した通りです。一方、第二回廊には連子窓がありますので、逆に回廊内にはレリーフはありません。 |
上の写真は第二回廊の裏手、すなわち十字回廊とは反対側の風景です。東側ということになります。こちら側は回廊の土台のへりに腰かけて一休みするのに都合の良い場所で、私も時間があるときには写真に写っている観光客と同様に、ボケっとアンコールワットの雰囲気を楽しみます。アンコールワットをただただひたすら歩いて回るのは結構疲れます。こうしたところで休みを取りながら、じっくりとその荘厳な雰囲気を味わうのがアンコールワット観光の楽しみ方だと私は思います。 ですから、アンコールワット観光は時間に余裕をもったスケジュールにすべきだし、アンコール遺跡観光は3泊4日などというあわただしい日程で組むべきではなく、最低でも4泊5日、できれば一週間以上の日程がほしいところです。 |
話を第二回廊に戻します。第三回廊から見た第二回廊と第一回廊です。手前が第二回廊、向こうが第一回廊です。 ここで気づいていただきたいのは、次の二点です。第一に、第二回廊は内側も連子窓をつけた開口部になっていることと、第二に、連子窓の間にデバターの彫り物がされているということです。 |
ちょうどこんな感じで連子窓の間にデバターが彫られています。デバターはすべて実在の女官のモデルがいたとされていて、一つとして同じものはないと言われています。私は全部のデバターを見たわけではないので事の真偽は分かりませんが、恐らくそうなのだろうと思います。 |
それから連子窓というのはすべて開口部なのかというと、偽の窓なんかもあります。上の写真は連子はついていますが、内側は壁になっています。 |
第三回廊から南西方向を見たところで、正面に左右に広がるのが第二回廊です。屋根の壊れた建物が経蔵です。このあたりもデバターがたくさん彫られているエリアになります。 |
上の写真は第二回廊の北西の角です。アンコールワットの平面図をご覧ください。この北西と南西の角にデバターが相当数並んで彫られています。連子窓がない部分でスペースがあればデバターで埋め尽くしているという感じです。 |
近づくとこんな感じでデバターが並んでいます。圧巻です。 白くなっている部分は修復した部分ということではなく、雨水による変色です。この辺りは雨水の通り道になっているようで、長年雨水が流れていた結果、白く変色したり崩れたりしてしまっているのです。ただ、だからこそアンコールワットの荘厳さがあるとも言えます。 |
より近づくと、同じ時期に彫られたであろうデバターが、正面の五体は雨水により浸食されつつあるのに、右の一体は比較的きれいに原形をとどめています。 第二回廊の見どころというのは、こうしたデバターと連子窓が醸し出すアンコールワットらしい雰囲気にあると私は考えています。ゆっくりと自分のペースで鑑賞してもらいたいエリアです。 デバターが沢山出てまいりましたので、次は、アンコールワットのデバターについて、まとめて紹介したいと思います。次のページはデバターです。 |
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