タ・ネイは密林に眠る静かな寺院です。整備が十分に進んでいないため、かえって発見されたばかりのような神秘的な雰囲気が漂います。数あるアンコール遺跡の中でも、最も神秘的な寺院と言えると思います。私おすすめのアンコール遺跡です。 |
タ・ネイは密林の中に眠る寺院 |
タ・ネイはジャヤヴァルマン7世により12世紀末に建立された寺院です。その発見が遅かったため、まるで発見された当時そのままのように、密林の中で苔生した状態で保存されています。 現在、日本とカンボジアの調査団が、この寺院に生息するコケなどの生物が建物等に及ぼす影響を調査中で、建物にとって有害な生物を除去し、無害な生物はそのまま生存させていく形で、発見当時の状態をできるだけ維持していくための保存方法を検討しています。 上の写真は第二回廊の東側です。東側は日当たりが十分でないせいか苔などの生物が多く生存しています。アンコールワットをはじめとしたアンコール遺跡が発見された当時も、このような苔生していた状態だったのだろうと想像できます。 |
崩壊した建物と苔生した柱や屋根がアンコール遺跡の歴史を現代の私たちに語ってくれています。昼間もあまり陽が当たらない密林の中に、タ・ネイは眠るようにひっそりと佇んでいます。 |
上の写真は、駐車場から少し歩き、タ・ネイに向かっているところです。薄暗い密林の中に忽然と現れるタ・ネイには寂寞感が漂います。観光客がほとんどいないことも、タ・ネイの寂寞感をより一層濃いものにしています。 タ・ネイは、幹線道路から狭い曲がりくねった未舗装の道をかなり入り込んだところにあります。私が行ったのは雨期に当たる時期で、タ・ネイに行くための曲がりくねった道には、トゥクトゥクが道路にはまりそうなくらいのかなりの水たまりが何か所もあります。移動時間を考えてもトゥクトゥクに連れて行ってもらう方が良い寺院遺跡です。 |
タ・ネイは小さな寺院で、観光客もあまり行かない遺跡です。しかしながらその印象は大変強く、ベンメリア遺跡を小さくしたような感じですから、シェムリアップからは少し距離があるベンメリア遺跡まで行く時間のない人には、ぜひお勧めしたいスポットです。 タ・ネイは日本のガイドブックでも採りあげられていないことが多いので、下に地図を載せておきます。地図上では、アンコール・トムの正方形の堀の右側で、タ・ケウの上になります。 |
タ・ネイの風景 |
では、タ・ネイの中を見て回りましょう。とは言っても、建物がかなり崩落していますので、第二回廊の外側を見て回るのが中心になります。 上の写真は第二回廊西側、すなわち、駐車場のある側で、こちらは建物には比較的陽が当たります。連子窓の偽窓やデバターが崩落した石材の向こうに見えます。 |
上の写真は第二回廊東側です。東側は陽が当たりにくいせいか、建物の壁に苔が生しています。変な感動ですけど、石材の散らかり方がとても自然で、散らかった石材にも苔が生しているのを見ると、寂寞感を覚えます。 |
タ・ネイも12世紀末にジャヤヴァルマン七世により建立された寺院ですから、プリア・カン、トマノンやチャウ・サイ・テボーダなどと同じくバイヨン様式の寺院です。回廊の壁にはには連子窓、デバターやレリーフの模様が彫られています。 |
このあたりは最も陽当たりのよい場所です。建物に張り付いていた植物も取り払われているので、建物装飾なども良く見えます。 |
アンコール遺跡の綺麗に修復された遺跡も魅力的ですが、ここタ・ネイのように整備がまだ十分でない遺跡は、それはそれで幻想的な魅力を漂わせています。 |
南側の門付近です。近くまで森が迫っているので、木々を通して光が差し込みます。密林の中に突然現れた遺跡のような雰囲気があります。 |
連子窓と小振りなデバター。そのすぐ脇には崩れた石材が積み重なって転がっています。 |
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苔生した遺跡 |
第二回廊東側は陽当たりがあまり良くないので、建物も崩れた石材も苔に覆われています。また、地震でもあろうものならすぐにでも全壊しそうなほど、建物は歪んでいます。あまり観光客が来ないタ・ネイだからこそ、このような危険な状態でも見学させてもらえるのでしょう。 |
第二回廊の内側の建物はほぼ崩落しています。ただ、タ・ネイと同様に崩壊がすすんでいるベンメリア遺跡に比較すると、タ・ネイは安全面では十分に整備されている状態ではありませんので、中に入る場合には十分に気を付けてください。 |
上はタ・ネイらしさが感じられる写真。ベンメリア遺跡もこんな感じですね。 |
一枚上の写真と同じ場所から少しアップで撮影すると、こんな感じで荒廃した遺跡の雰囲気が出てきます。 タ・ネイは小回りコースの中に入る場所に位置していますが、通じる道路が整備されていないせいか、観光客は少ないようです。日本のガイドブックでもほとんど紹介されていないマイナーな遺跡です。私が観光した時も、他の観光客は皆無で、地元の親子が遊んでいただけでした。そういう意味では、静かにアンコール遺跡の雰囲気に浸れる場所です。 また、タ・ネイという寺院は他のアンコール遺跡とは異なりあまり修復されていませんので、それだけに観光客にとっては逆に印象的な寺院だと私は思います。あまり観光客が多くなるのも困りものだなとは思いながらも、アンコール観光の時にはぜひ立ち寄ってみたらいかがですかと内緒で教えてあげたい超おすすめの寺院です。 |
アジア写真帳(アンコールワット) |
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