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アジア写真帳(アンコールワット)             アンコール遺跡の観光とグルメを紹介しています。 

         タ・プローム|アジア写真帳

  アンコール遺跡の一つ、タ・プロームは12世紀に建てられた寺院です。19世紀まで森の中に埋もれていたため、構内はガジュマルの木の根により浸食・崩壊が進んでいます。タ・プロームの力強い木々の生命力を見ると、我が力の及ばざることを改めて認識してしまいます。

タ・プロームの見どころ

タ・プロームのガジュマルの根に押しつぶされそうな建物

 タ・プロームは1186年にスーリヤヴァルマン七世により、母の菩提を弔うために建てたという仏教寺院です。アンコールワットは12世紀前半に建てられましたので、それよりも新しい寺院です。東西1000メートル南北600メートルという広大な敷地内に、12000人以上が暮らしたといわれていて、その当時は一つの都市のような寺院だったと思われます。
 このタ・プロームがアンコール遺跡の中でも人気を博しているのは、榕樹(ガジュマル)に浸食された風景にあります。実はこの遺跡は1860年に発見され、当時からガジュマルに浸食されていた遺跡なのですが、浸食された状態はそのままにして保存されているのです。(ガジュマルの浸食がない部分は、少しずつ修復はしています。)当然のことながら、ガジュマルは生長を続けており、着実に生長するガジュマルの根に、タ・プローム遺跡はさらに浸食され続けています。また、5年後、10年後にはタ・プロームは、ガジュマルにさらに浸食された姿を見せるのでしょうが、要は、行くたびにタ・プロームの姿は変わるわけで、私などもアンコール遺跡に行くときは必ずまた立ち寄るであろうに違いない遺跡なのです。

鶏の脚のように根が伸びている(タ・プローム)

 タ・プロームを写真で見ると、その部分だけがガジュマルの根に押しつぶされているかのように思えるかもしれませんが、そうではなくて寺院全体のあちこちでそうした光景が見られます。ガジュマルの不気味な白い根が、タ・プロームの建造物に絡みついているのです。
 確かに、森の中に何百年も埋もれていた遺跡ですから、その間の木々の成長で、人工的なものなど破壊されていっても何ら不思議はないのです。そんな自然の力強さみたいなものがこの遺跡全体から感じられるのです。

蜘蛛の巣のように根が絡み付く(タ・プローム)

 ガジュマルの白い根が絡み付くのは、タ・プロームの建造物ばかりではありません。上の写真にあるようにガジュマルの木そのものにも、蜘蛛の巣のように絡み付いているのです。ガジュマルの木の生への執念、成長への執念みたいなものが感じられます。

タ・プローム

 上の写真をご覧ください。さすがにこれほどの大木が建物の上に乗ってしまうと、建物は簡単に崩れてしまいます。そこで、危ないところには補強工事をして、できるだけ発見された時の浸食状況を保存しています。

アンコール遺跡のタ・プローム

 上の写真はガジュマルの根が建物の石積みされた壁の中に入り込み始めたところです。ここあたりも5年くらい経つと、建物が崩れ始めていくのでしょう。
 さきほども書きましたが、タ・プロームの場合は行くたびに寺院の崩壊状況が変わってきます。今のタ・プロームを見たいのなら、今、タ・プロームに行く必要があるのです。



 タ・プロームを歩く

タ・ブローム(アンコール遺跡)平面図

 さて、タブロームの平面図は上のようになっています。この図はタブロームの構内に立てられてあったものを撮影したものです。平面図だけ見ればシンプルな構造です。実際に見学するとなると、一般的には左側の西門から入ってくる場合が多いと思いますが、青い細い線で描いてある順路に沿って見学してくださいということを示しています。崩落している建物が多いので、アンコールワットやアンコールトムのように、どこでも歩けるという遺跡ではないのです。
 ところが、この順路はこの平面図にしか描いてありませんし、この平面図は西門の近くに立っているだけで、他には順路を示す看板さえほとんどありません。ですから、この図を持って、自分がどこにいるかを確認して歩かないと、見落としてしまう一角が出てしまう恐れがあります。初めてタブロームを訪問しガイドをつけない方は注意が必要です。

タ・ブローム(アンコール遺跡)

 西門を抜けて回廊方面を見たところです。上の図では左の門から入っています。蛇神ナーガが彫られた参道を進むわけですが、正面の回廊を通り抜けることはできないので、上の図では手前から左に入って行くようにと示されているのです。

 
タ・ブローム(アンコール遺跡)塔門

 一つ上の写真の回廊中央に見える塔門付近です。この回廊はまずまずの保存状態ですので、タブロームのように崩壊しつつある部分ばかりが有名な遺跡では見逃されてしまいがちなところです。でも、よく見ると美しい装飾が施されていることが分かります。連子窓の偽窓の上の模様ですとか、両側のデバター周辺の装飾など綺麗です。

タ・ブローム(アンコール遺跡)偽窓

 その部分を拡大したのが上の写真になります。 タブロームを見学すると、特にガイド付きのツアーですと、こういった部分はすべて素通りし、ガジュマルによって浸食された有名な個所だけを駆け足で見て回って、写真を撮らせて次の遺跡に移動するという行動パターンが多いようです。

タ・ブローム(アンコール遺跡)の回廊

 でも、そういった観光というのは実にもったいないと私は思うのです。上の写真は一つの上の回廊を左に少し移動した部分ですが、ここの回廊は実に雰囲気が良いのです。修復された部分の彫りなどを見ると、手の込んだ彫刻があったりして感動的なのです。行ったというアリバイを作るための観光はつまらないです。

タ・ブローム(アンコール遺跡)回廊
 
 上の写真は回廊南側部分の外側です。このあたりは樹木による浸食がなかったため、ほとんど修復せずにもともとの状態で残っています。

タ・ブローム(アンコール遺跡)塔門と回廊
 
 上の写真は回廊の西側の塔門です。ここは恐らくはガジュマルによって破壊されてしまった部分の一つですが、樹木も残っていません。建物のがれきが無造作に転がっていて、ただ無常感だけが漂います。

タ・ブローム(アンコール遺跡)
 
タブロームで有名な個所は確かに感動的ではありますが、それ以外の部分も自分の足で歩いてみると、新しい発見があったり感動があったりするものです。そういった気持ちも持ってタブロームを歩いてもらいたいものです。



 タ・ブロームのハイライト部分


 タ・プローム見学は、東門から入る場合と西門から入る場合とがあります。上の写真は東門からの参道を歩いてくると見える建物と巨大なガジュマルです。西門から入った場合も回廊の外側を回ってここに出てくるような順路になっています。
 写真が斜めになっているように見えるかもしれませんが、そうではありません。建物が建つ地面は水平に撮っているのですが、建物が崩れているので、屋根のラインを見ると写真が斜めになっているように見えてしまうのです。

タ・プローム(アンコール遺跡)

 一つ上の写真で見えた建物の裏側に来ました。鶏の足のように見えるガジュマルの根が建物を押し潰しています。手前で建物の復元工事をしているものですから、写真の見栄えはちょっと良くないですね。
 タ・プロームの構内全体に言えるもう一つの特徴として、苔が蒸していることがあります。。何度も言うように、タ・プロームは森の中に何百年も埋もれていました。それだけ森が深かったとも言えます。その森はできるだけそのままにしていますから、構内全体が木々に覆われて、昼間でも日が射さないところが多いのです。

 
 角度を変えて、この鶏の足のような根を見てみます。迫力ありますね。ガジュマルの木というのは上の方にしか葉がないので、よけいに鶏の足に見えますね。どこまでが根でどこからが幹なのかもよく分かりません。

タ・プローム(アンコール遺跡)
 
 さらに角度を変えて見てみます。よくよく目を凝らしてみると、苔むした建物には精巧なレリーフがあります。建物は苔むしているのに、ガジュマルの根だけは白く、それが余計に不気味さを感じさせます。

タ・プローム(アンコール遺跡)
 
 同じ建物のレリーフです。アンコールワットの建造から100年も経たないうちに建てられた寺院ですから、当然のこととして、アンコールワット同様に精巧なレリーフが施されています。

タ・プロームの崩れゆく風景

 奥の建物にもデバターが見えます。デバターの右にある窓から、補強の木材が見えると思います。これがなければ、この建物はすでに瓦礫と化していたに違いありません。

タ・ブローム(アンコール遺跡)
 
 少し離れた場所からこの部分を見たのが上の写真です。建物の壁面だけでなく屋根の上に覆いかぶさるようにガジュマルの根が張っていることがよく分かります。

タ・プローム

 内側から見た回廊です。崩れた状態のままに保存されています。今残っている部分だけ見ても、当時は立派な寺院であり、華麗な回廊であったことが偲ばれます。



タ・プロームのガジュマル
 
 大蛇のように建物を這うガジュマルの根です。ガジュマルの成長力は強いのですが、石で建てられた建物の中に割って入れない場合は、そこから曲がって先に延びていきます。ここは二つの堅牢な建物に挟まれた短い回廊部分であるため、このようにくねくねと蛇のように根が伸びているのでしょう。

タ・ブローム(アンコール遺跡)
 
 何百年も密林に埋もれていると、建物の真上に樹木が伸びていってしまいます。自然が人間の力を破壊する様子が見えます。

タ・ブローム(アンコール遺跡)で建物を覆う樹木の根
 
 樹木が自分のために十分な栄養を得るために、根が建物の表面を網のように覆う様子です。

タ・ブローム(アンコール遺跡)
 
 樹木の根は樹木の幹にも絡みついていきます。生命力の強さを感じさせます。


 大蛇のように根が這うガジュマルの右側の建物です。ここのレリーフの保存状態が良いのでここを見てみましょう。

タ・プロームの建物

 入口の上のレリーフ二つは仏教寺院らしいデザインです。左側は削り取られてしまってますが、入口の両脇にはデバターが彫られていたものと思われます。

タ・プローム

 回廊の中から中央祠堂方面を見たところです。このあたりは、ガジュマルの木をかなり伐採してしまったエリアだと思います。結果として広々とした構内になっています。その結果、日当たりも良いので、外壁の色は白っぽく、苔も少し少なくなっています。

タ・プロームのデバター

 私が見た中できれいなデバターが数多く残っていたのは回廊の北側部分です。この辺りは日当たりの良いこともその原因の一つだと思います。精巧なデバターだとは思いますが、アンコールワットのデバターに比較すると躍動感がなく、バンテアイ・スレイのデバターに比較すると妖しさが不足しています。
 左の女性は、この日、ガイドをしてくれた方です。

タ・プロームのデバター

 可愛らしくおとなしい感じのデバターです。

タ・プローム、東門付近

 これは東門でしたでしょうか。門の装飾だけを見ると他のアンコール遺跡同様に、デバター、レリーフ、そして連子窓が美しく彫られています。それを浸食するガジュマルの根。タ・プロームらしい風景です。

タ・プロームとガジュマルの樹

 建物の間にガジュマルの二本の木が残っています。おそらくこの周りはガジュマルの木が密生していて、昼間も全く日が当たらない状況だったのかと思います。と言うのも、今かなり日が当たる状態になっているにもかかわらず、苔むした跡が建物の随所に見られるからです。

タ・プロームの門
 
 入口部分をアップしてみました。連子窓に見えたものは、偽の連子窓、すなわち開口部ではなくて単に飾りとしての連子窓ですね。これもアンコールワットでは特に第二回廊で見られた手法でした。

タ・プローム

 こうして見てくると、自然の力の偉大さというものを感じます。人間がいかに堅牢に建造物を建てようと、自然の力は見事にそれを崩していってしまいます。言い方を変えれば、生物の生命力は人間の力と変わりはないということなのでしょうか。
        
タ・プロームの風景

 ガジュマルの木の前で立ち尽くしている赤い短パンをはいたおじさんも、何を見ているかというと、ただ茫然と木々の生命力の強さを感じ取っているのだと思います。ここタ・プロームの苔むした石の上に座って周りを眺めていると、人間の力の小ささみたいなものを感じてしまうのです。

タ・プローム、木の根に押しつぶされる寺院

 それは、自分を見つめ直す良い機会なのかもしれません。この力強い木々の生命力を見て、我が力の及ばざることを改めて認識する良い機会だと思うのです。




アンコールワット

アンコールワット概要
西参道から聖池まで
第一回廊
十字回廊と第二回廊
デバター
中央祠堂と第三回廊
アンコールワットのサンライズ

バイヨン寺院    

 バイヨンの概要
 バイヨンの威容と第一回廊
 バイヨンの観世音菩薩四面塔

アンコールトム

 象のテラス
 空中参道のあるバプーオン
 王宮とピミアナカス
 南大門

バンテアイ・スレイ


タ・プローム


ベンメリア遺跡


 ベンメリア遺跡の概要
 参道を通り南門へ
 南門からの風景
 回廊の風景
 天空の城ラピュタ
 ベンメリア遺跡への行き方

プリア・カン


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 タ・ネイ
 バンテアイ・サムレ
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 チャウ・サイ・テボーダ
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