アンコールワットの魅力を紹介しています。 このページでは、アンコールワットの西参道から聖池までを歩きながら、その景観の素晴らしさを紹介します。 |
第一回廊 |
アンコールワットを西参道から入り聖池で逆さアンコールを見た後に、私たちを迎えてくれるのは第一回廊です。上の写真は聖池から見たところで、手前が第一回廊、その向こうの第三回廊越しに中央祠堂が見えます。写真の通り、第一回廊は外に向かって壁がなく、逆に内に向かっては壁しかありません。窓もありません。 |
アンコールワットは言うまでもなく巨大ですし、見るべきところは沢山あります。できるだけ時間をかけてみたいものですが、もう一方で、カンボジアのとてつもなく暑い気候という問題もあります。 私のアドバイスとしては、朝、アンコールワットの日の出を見て、その足でアンコールワットの中まで入っていくと良いと思います。この時間ですと、気温も低く体には負担がかからないのです。ところが、そういう観光のやり方を取る人は意外に少なく、ほとんどの観光客は日の出を見ただけでいったんホテルに戻り、朝食を摂ったうえでまた出直すというパターンです。 |
上の写真二枚は朝6時ごろのアンコールワット第一回廊です。日の出を見に来た人たちがいくらかは第一回廊まで来ていますが、このように観光客が少ないのです。団体ツアー客は皆無と言って良いでしょう。 カンボジアの日中は暑くて体力を消耗しますので、朝食を抜くことはおすすめできません。6時から8時か9時ごろまでアンコールワットを歩き、そこで一度シェムリアップの街に戻り、遅い朝食を食べるのが良いと思います。 |
はがきなどを売るカンボジアの子供たちも、朝のこの時間ですと観光客も少なくて気合が入らないらしく、売込みにも来ません。 |
上の写真は第二回廊から見た第一回廊です。二つ下にある平面図を見るまでもなく、アンコールワットは外側から第一回廊、第二回廊、第三回廊という三つの回廊で中央祠堂を取り囲んでいます。第二回廊から第一回廊を見ると壁しかありませんし、この壁にはデバターなども彫られていません。 |
第一回廊の様子です。 左が内側、右が外側です。内側の壁には一周ずっとレリーフが彫られています。このレリーフの素晴らしさはアンコールワットの魅力の一つになっています。このレリーフを見る時も外側からの光線の強弱で、随分と表情が変わります。アンコールワットは午後に見学することが多いのですが、そうすると西面(上の写真は西面です)は日がよく当たるのですが、東面は光が弱くなるのです。 |
上の図はアンコールワットの平面図で、上が北になります。 第一回廊のレリーフが素晴らしいといっても、四周すべてが見どころかというと、そういうことでもありません。西面(左:ラーマーヤナ、マハーバーラタ)と南面(下:スールヤヴァルマン二世の行軍)、そして東面の南側(右の下半分:乳海攪拌)は素晴らしいレリーフです。逆にそれ以外は彫りが粗く、後日中国人に彫らせた部分があるとも言われています。 このページでも、第一回廊の見どころである西面から東面の南側まで、言い換えればラーマーヤナから乳海攪拌までを紹介します。 |
第一回廊の見どころは、この後で説明するレリーフにあるのですが、ところどころにデバターも残っていますし、デバターと連子窓が醸し出す雰囲気が、アンコールワットに来たという実感を感じさせてくれます。 |
第一回廊というとレリーフがある壁側ばかりを見て歩いてしまいがちです。私も初めて行ったときはそうでした。でも、第一回廊の外側には上の写真のように、デバター、連子窓と見事な壁面装飾が施されていたりするのです。見落とさないようにしましょう。 |
それから、アンコールワットの第一回廊には、猿も住み着いています。アンコールワットはもともと密林の中に埋もれていましたし、今はアンコールワットの周りは密林です。昔からその密林に住んでいた猿の子孫が、アンコールワットを住処としているのです。カメラを向けると、じっとカメラを見つめてくれます。ポーズをとってくれているのではなくて、警戒をしているのです。 |
観光客が捨てていった弁当箱をあさる猿もいます。アンコールワットにいる猿が凶暴性を持っているのか否かということについては情報がありませんが、猿に襲われたという話は聞いたことがありません。とは言え、医療事情も違いますから、写真を撮る程度にとどめて、あまり近づいたり捕まえようとしたりしない方が賢明でしょう。 |
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ラーマヤナから(サル軍と悪魔軍との戦い) |
西参道から第一回廊に来ると、まず入るのが第一回廊の西面です。第一回廊の西面には、北側にラーマーヤナが、南側にマハーバーラタが、それぞれ描かれています。いずれも古代インドの叙事詩(伝説)で、ラーマーヤナでは第6巻(戦争の巻)が中心に描かれています。 このラーマーヤナ戦争の巻は、主人公であるラーマ王子と鬼神(魔王)ラーヴァナとの戦いを描いていて、ラーマ王子の援軍としてハヌマーン将軍率いるサル軍が登場します。正義(ラーマ王子)と悪(ラーヴァナ)との戦いということになります。 |
このラーマーヤナのレリーフを見るときに頭に入れておきたいのは、棍棒を振り回し敵に噛みついたりしながら戦っているのがサル軍で、刀や弓といった武装をして戦っているのがラーヴァナ軍だということです。 ですから、よく目を凝らしてみると、例えば上のレリーフでも武器を持っているラーヴァナ軍の兵士にサル軍の兵士が噛みついたりしています。 |
士気盛んなサル軍の兵士たちです。正義の戦いというものは、戦うものの士気を高めるのです、と言っているのかも知れません。ここのレリーフの彫りの深さも見事ですが、レリーフにおける躍動感には恐れ入ります。 |
上のレリーフには弓を射る兵士が描かれていますが、この人がラーマ王子です。ラーマ王子を担いでいるのがサル軍のハヌマーン将軍だと思われます。このレリーフの中で弓という武器を使うのはラーヴァナ軍以外ではラーマ王子だけです。ラーマ王子の見分け方は、馬か馬車などに乗っているか否かです。馬か馬車などに乗っていれば、ラーマ王子なのです。 |
上のレリーフで弓を売っているのもラーマ王子でしょう。 車に乗っていますからね。 |
この上のレリーフもラーマ王子に違いありません。 こういったちょっとした知識を持ってレリーフを見るのとそうでないのとでは、レリーフ見学の楽しみは大いに違います。壁一面に描かれているレリーフの中にお目当ての場面を探すのは大変なのですが、ガイドの人に頼ってばかりいないで自分で見どころを発見するのも、レリーフ鑑賞の楽しみの一つです。 |
一方、上のレリーフの上でも車の上に乗って戦っています。しかし、この人には手が何本もありますから、どうやらラーマ王子ではなさそうです。実は魔王ラーヴァナの戦闘の様子です。 |
魔王ラーヴァナは10の頭と20の腕を持つといわれています。とすると、恐らくこの写真が魔王ラーヴァナなのでしょう。ラーマーヤナの話では、魔王ラーヴァナはラーマ王子に討たれて戦争の巻が終わるのは言うまでもないことです。 |
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スールヤヴァルマン二世の行軍 |
アンコールワットの平面図をご覧ください。南面の西側は「偉大な王の歴史回廊」と図面には書いてありますが、スールヤヴァルマン二世の行軍が描かれています。スールヤヴァルマン二世は、言うまでもなく、ここアンコールワットの創建者です。スールヤヴァルマン二世が自らの墓として建造したのがアンコールワットです。 クメール王朝(アンコール王朝)が最盛期を迎えたのは12世紀末のスールヤヴァルマン七世が王だった頃で、王国の範囲はタイ東北部・中部、ラオス、マレー半島、ベトナム南部に及んだと言われています。スールヤヴァルマン二世がアンコールワットを創建したのが恐らくは12世紀の初頭だろうと思いますので、王朝が伸び盛りだったころです。スールヤヴァルマン二世もシャム軍などを打ち破り領土を拡大する一方で農業の振興を図るなど、国力強化に成果を挙げたとされています。 |
また、スールヤヴァルマン二世はヒンズー教を信仰しており、アンコールワットのみならず、バンテアイサムレやタイのピマーイ等のヒンズー寺院を建設したことで知られています。それだけにカンボジアでもスールヤヴァルマン二世の人気は高く、このレリーフを説明してくれたカンボジア人のガイドさんからも彼に対する尊敬の念が強く感じられたものです。 |
さて、行軍の様子を描いたレリーフですが、この分の上下の写真を見ていただいて気づいてもらいたいのが、兵士たちの集中度です。上のレリーフでは、全員が脇目も振らずに歩いています。これがクメール軍です。 |
馬に乗っているのはクメール軍の将軍でしょうか。勇ましい兵士を描いた躍動感あるレリーフです。 |
こちらは行軍が乱れています。わき見したり、隣の人とおしゃべりしたりしている兵士もいます。こちらの行軍は傭兵部隊であるシャム(タイ)兵士だと言われています。兵士の頭の飾りが違いますから、これで見分けるのかも知れません。 |
タイからの傭兵の中には、戦場に行きたくなくて泣いている人もいます。 大変わかりやすいレリーフです。この面のレリーフでは、クメール人の勇敢さや規律の厳しさといったものが描かれていて、私はクメール人のプライドのようなものを感じるのですが、皆さんは如何ですか。また、西面のラーマーヤナのラーマ王子の戦いのレリーフの後にこのレリーフを見ると、スールヤヴァルマン二世の戦いも正義が悪を懲らしめる戦いに見えるのですが如何でしょうか。 |
天国と地獄 |
南面の東側は天国と地獄と題されたレリーフです。アンコールワットの平面図をご覧ください。 この面は、天井から床までを横三列に分け、上から天国、現世、地獄が描かれています。現世というのは死後の裁きを待っている間と解釈することもできます。 |
その三段のうち、二段目(現世)と三段目(地獄)を見てみます。現世では裁きを待つ人々が見え、地獄では鞭うたれながら行進する人々が見えます。上の写真は気に入っているので、地獄に堕ちないように戒めとして、しばらく私はパソコンの壁紙に使用していました。 |
このレリーフでは、一番下の層にある地獄がわかりやすいです。上の写真は地獄で鞭打たれる人々を描いています。また、その体の動きから情けを乞うような仕草も感じられます。しかしながら、地獄ではそんな情けや容赦などなく鞭が打たれます。 |
同じく地獄では苦行を強いられ、少しでも手を抜いたようなことをすれば棍棒で打たれます。この他にも舌を抜かれたり、火あぶりにされたりとリアリティを持ったレリーフが描かれています。見学者が手で触ることができる高さにあるせいか、黒光りしていて見やすいので、地獄には行きたくないなあと今さらながら思ってしまいます。 |
これは中断で閻魔大王に剣を突き付けられて裁定を下さられる場面です。減刑を乞うような人々の姿が印象的です。この現世である中断や天国(極楽)である上段は、手垢がつかない場所なのでちょっと見づらいですね。 |
上の写真は中段から下段へ、ということは現世から地獄へ落される人たちを描いています。何とかしがみつこうとしていますが、落とされていってしまう人々の様子が見えます。落とされた後には、たちまち地獄での厳しい処分が行われています。 |
中段から下段に、すなわち現世から地獄へ落ちていく人々を拡大しました。地獄では棍棒を持った鬼が地獄に堕ちた人々に厳しい仕置きをしています。。 死後は地獄に落とされることのないように、私も誠実な暮らしをしようと改めて誓いました。(?) |
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乳海攪拌 |
アンコールワット第一回廊のレリーフの中で最も有名なのは、「乳海攪拌」のレリーフです。アンコール・ワット第一回廊東面の南半分の壁面にあります。アンコールワットの平面図をご覧いただくと、場所が分かります。このレリーフは、全長49メートルあって、上の写真は東面の南の端から撮ったもので、奥に見える門の横までこのレリーフは続いています。 乳海攪拌の話は、神々と阿修羅が長年の戦いをやめて、共同して不老不死の薬(アムリタ)を手に入れるというヴィシュヌ神の提案により、共同で海を攪拌するというインド神話です。この攪拌は神々だけでは不可能な作業だったため、不老不死の薬を半分与えることを条件にアスラの協力も求めたという背景があります。 この乳海攪拌の話はヒンズー教における天地創造の話であり、太陽・月、雲や雷、さらには日食や月食などが生まれた背景なども神々との関連で説明されているヒンズー教の中では最も重要な神話です。ですから、ヒンズー寺院であるアンコールワットにこの乳海攪拌のレリーフがあるのは当然であり、最も重要なレリーフでもあるのです。 |
マハーバーラタにある乳海攪拌の話では、亀王アクーパーラをマンダラ山の支えとしたうえで、竜王ヴァースキをマンダラ山に巻きつけ、それを神々と阿修羅たちが両端から引っ張って攪拌をしたとされています。このときほとんど既存の世界が崩壊するかのごとく激しい綱引き〜攪拌が行なわれたのですが、竜王ヴァースキは頭を阿修羅たちに引っ張られ、尾を神々に引っ張られ、体は巨大な攪拌棒に巻きつけられ、あげく口から火と煙を伴う風が出るほどだったとされています。 上の写真は、乳海攪拌のレリーフの南端、すなわちレリーフに向かって左端の部分で、阿修羅が竜王ヴァースキの頭のところで、最も左端で綱を引っ張っているところです。 |
上の写真は、レリーフのほぼ中央に描かれているヴィシュヌ神です。ヴィシュヌ神の下には、亀王アクーパーラがいます。彼を中央にして、左が阿修羅、右が神々に分かれて、綱代わりの竜王ヴァースキを引っ張り攪拌しているのです。 |
第一回廊で見ごとなレリーフを堪能した後は、十字回廊と第二回廊へと進みます。 |
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