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アジア写真帳(アンコールワット)             アンコール遺跡の観光とグルメを紹介しています。 

         バンテアイ・スレイと東洋のモナリザ

  アンコール遺跡の一つ、バンテアイ・スレイはアンドレ・マルローの盗掘事件で有名になった「東洋のモナリザ」を有する小寺院です。赤色砂岩で造られた寺院やレリーフの美しさは数多いアンコール遺跡の中でも際立っています。また、「踊るシヴァ神」をはじめとした素晴らしいレリーフが多く、魅力的な小寺院です。

バンテアイ・スレイの見どころ

バンテアイスレイに続く道

 バンテアイ・スレイは967年に建てられたヒンズー寺院で、シヴァ神とヴィシュヌ神に捧げられた寺院だと言われています。アンコールトムやアンコールワットといった主要なアンコール遺跡から遠く離れたこの地に、何故この小寺院が作られたかというと、それはこの寺院を赤色砂岩で建てるというコンセプトがあったからだと言われています。すなわち、この赤色砂岩が採れる土地の近くに建てたということなのです。
 シェムリアップから北東に約40㎞離れたこの地に建てられた小寺院は、朝は朝日に照らされて赤く燃えるような雰囲気が漂います。私も朝9時前にバンテアイ・スレイに着きました。駐車場からバンテアイ・スレイに続く道も、なるほど赤色です。確かに赤色砂岩が採れるエリアなのです。

バンテアイスレイのデバター

 このバンテアイ・スレイを一躍有名にしたのは、フランスの作家・冒険家であるアンドレ・マルローがこのバンテアイ・スレイの壁面に彫られたデバターに魅せられて、盗掘して国外に持ち出した事件です。上の写真はアンドレ・マルローが盗掘したデバターで、今では「東洋のモナリザ」と名付けられています。
 この盗掘事件でバンテアイ・スレイはシェムリアップから遠い小寺院であるにもかかわらず、観光客でごった返す人気スポットになったわけです。ただ残念なのは、この事件のおかげで、東洋のモナリザなどのデバター周辺は立入禁止区域となっていて、遠く柵の外から見ることしかできなくなっていることです。

バンテアイスレイのデバター

 バンテアイ・スレイには東洋のモナリザ以外にも美しいデバターが沢山あります。赤岩砂岩で建てられた建物に彫られ、しかも彫りが深く美しいデバターが多いのが特徴です。このバンテアイ・スレイも東向きに建てられていますので、午前中、できれば早い時間に訪れると、朝日に照らされたデバターはより妖しく映ります。

バンテアイスレイの建物
 
 西側の方からバンテアイスレイを見たところです。祠堂を守るように半神半獣の像があり、建物の扉の両側にデバターが見えます。少し画像が小さすぎてわかりづらいでしょうか。

バンテアイスレイらしい風景
 
 バンテアイスレイは小さな寺院です。しかしながら、赤色砂岩で作られたこの寺院の美しさは、アンコール遺跡の中でもひときわ印象的です。上の写真は、そんなバンテアイスレイらしい雰囲気が良く出ている建物です。

象に乗るシヴァ神(バンテアイスレイ)

 デバター以外にも、門や建造物の上に彫られたレリーフも見どころの一つです。上の写真は象に乗るシヴァ神。深い彫りとリアルな描写が印象的です。

バンテアイスレイの遠景

 バンテアイ・スレイの全景です。本当に小さい寺院です。周壁が三つあって、上の写真は第一周壁を入ったところにある聖池から第二周壁を見たところです。第二周壁を入るとすぐに第三周壁があり、第三周壁内部が立ち入り禁止となっていますから、第二周壁と第三周壁の間のスペースをぐるりと回りながら観光するということになります。
 この寺院は小さいですけれども、午前中早い時間に朝の日差しが強いうちに観光すると、印象深いものになるはずです。

 バンテアイ・スレイの平面図<上が北になります。>

バンテアイスレイの平面図


 バンテアイ・スレイの建造物

バンテアイスレイの入口付近

 バンテアイ・スレイへは大きな駐車場から5分ほど歩きます。その道自体がこのように赤みがかっています。正面にバンテアイ・スレイの東門が見えました。

バンテアイスレイの入口

 東門です。朝8時にホテルを出て、バンテアイ・スレイに直行したのですが、ここは朝が綺麗だということを知っている観光客が、もう沢山訪れています。

バンテアイスレイの東門上のレリーフ
 
 東門の上に彫られたレリーフです。何か細かく描かれているのですが、かなり強い朝日が当たって明るすぎるので、ちょっと見づらいです。

バンテアイスレイの東門上のナーガ
 
 よくよく目を凝らしてみると、塔門の左から伸びているのは蛇神ナーガでした。まず、ナーガの頭があって、ナーガの胴体に囲まれたスペースの中に、象に乗ったシヴァ神が見えます。

 連子窓と朝の光(バンテアイスレイ)
 
 東門にある連子窓には東からの強烈な朝日が当たります。門を入った横の部屋にはこのように連子窓の美しい形が影になって映ります。この連子窓の影が映るのは朝の早い時間だけで、太陽が高くなってしまう昼ごろには、もう見ることができません。

バンテアイスレイの参道

 東門から第一周壁の門までの通路です。両側に立つのはリンガです。リンガは男性性器を形どっていますが、リンガはシヴァ神の象徴であるとされています。

バンテアイスレイ

 上の平面図で東門から入り、第一周壁との中間地点のあたりです。両側に建つ小さな建物は何なのかわかりませんが、もう柱しか残っていません。

バンテアイスレイのレリーフ

 第一周壁の手前におかれているどこかの塔門の上のレリーフです。きっと大切なレリーフなので、この目立つところに置かれているのでしょう。
 インドの伝説「ラーマーヤナ」に出てくる魔王ラーヴァナがシータ姫を誘拐する部分でしょうか。とにかく彫りが細かくて分かりづらいです。

魔王ラーヴァナがシータ姫を誘拐(バンテアイスレイ)

 やっぱりそうでした。魔王ラーヴァナがシータ姫を誘拐していますね。誘拐からシータ姫を守ろうとして、兵士たちが魔王ラーヴァナに立ち向かっているところが彫られています。こんな素晴らしいレリーフがすのこの上に無造作に置かれているのも、ちょっと驚きです。
 レリーフもこんな風に細かく見ていくと、インド神話に少しでも慣れ親しんでおけば楽しくなりますし、ガイドさんがいればガイドさんの話も理解しやすくなります。

バンテアイスレイ

 第一周壁の東側の門です。こじんまりした寺院ですが、なんとなく気品を感じさせます。そもそも、バンテアイ・スレイの「バンテアイ」というのは砦を意味していて、「スレイ」が女性を意味していますから、バンテアイ・スレイというのは日本語でいえば「女性の砦」というネーミングになります。このネーミングの原点が、美しいデバターにあるのか、赤砂をふんだんに使った色合いにあるのか、あるいはそれ以外のものなのか、私には分かりません。
 魔王ラーヴァナがシータ姫を誘拐しているレリーフはこの写真の右側に置かれていました。

バンテアイスレイの門

 続いて、第三周壁です。ここには有名な「踊るシヴァ神」のレリーフがあります。この塔門では、シヴァ神が描かれている部分だけではなく、塔門全体が細かいレリーフで装飾されていて見事です。こうした塔門はすべて東を向いていますので、朝早い時間ですと、写真のように強い陽射しが塔門に注がれるので、より美しく感じます。

バンテアイスレイの踊るシヴァ神

 「踊るシヴァ神」を拡大してみました。シヴァ神で重要なポーズは「踊り」と「瞑想」です。「瞑想」については後ほど触れます。シヴァ神は踊りの神様であり、シヴァ神の踊りはすべてを破壊できるものとされています。このレリーフでは、左下の端にいるのはカリーカラミヤというインドの王様のお妃で、シヴァ神に自分の美貌を破壊してくれと依頼し、シヴァ神がそれに応えて踊っているところです。

バンテアイスレイの瞑想するシヴァ神

 瞑想するシヴァ神はこちらです。シヴァ神は瞑想に励んでいたとされていますが、瞑想すると、例えば第三の目を持つようになったり、さらに強い力を持つようになってしまうので、これを魔王ラーヴァナが邪魔しているところが描かれています。
 第三周壁の内部にある経蔵の上の部分に彫られています。

バンテアイスレイの経蔵

 これが瞑想するシヴァ神と邪魔する魔王ラーヴァナのレリーフが彫られている経蔵です。目を凝らして見ないとこのレリーフは見落としてしまいます。

シヴァ神と象(バンテアイスレイ)
 
 中央にいるのがシヴァ神で、両側に象がいます。

バンテアイスレイ

 第三周壁から中央の祠堂方面を見たところです。このページの冒頭で書いた通り、フランスの作家・冒険家であるアンドレ・マルローによる「東洋のモナリザ」盗掘事件の影響もあって、第三周壁内は立入禁止区域です。このように少し離れたところからしかデバターを見ることができません。
 では、次にデバターを見ていきましょう。
        


バンテアイ・スレイのデバター

バンテアイスレイの「東洋のモナリザ」

 ここバンテアイ・スレイのデバターは赤色砂岩とラテライトで建てられた建物に彫られていますので、赤みを帯びています。また、大変彫りが深く、967年に建てられ既に1000年以上経過しているのに、その年月を感じさせない保存状態です。
 上の写真が「東洋のモナリザ」と名付けられたデバターです。
 
東洋のモナリザ(バンテアイスレイ)

 「東洋のモナリザ」と名付けられたデバターをアップしました。このバンテアイ・スレイには沢山のデバターがあります。彫りの深さや保存状態から考えれば、他にも良いデバターはあるのですが、モデルの美しさという点では、やはりこのデバターが一番でしょう。ポーズもきれいですし腰の曲線や指のラインも魅力的です。


バンテアイスレイのデバター

 このデバターなどは、素晴らしい彫りですし、保存状態も良いです。そして、朝の時間は東からの光線を正面に受けるので輝いて見えます。そういう意味では、東洋のモナリザは朝の時間よりも、もっと別の時間の方が良く見えるのかも知れません。

 
バンテアイスレイのデバター

 祠堂の周りの壁には、このようにたくさんのデバターが彫られ、また、デバターとデバターの間にはヒンズー寺院らしい模様が彫られています。それらが朝の光線で輝いているのです。

バンテアイスレイを観光するなら朝

 このデバターなどはまさに光線を一身に浴びていて、まさに輝いています。でも、女官ではなく男性のように見えてしまいます。

バンテアイスレイ
 
 上の写真は昼ごろに来たときに撮影したものです。この時間の方が光線が弱くなるせいか、赤みが強くなりますね。バンテアイスレイでは、兵士もすらっとした体格をしていて、何かお洒落な印象を受けます。

バンテアイスレイのデバター
 
 上の写真も昼ごろに来た時に撮影したものです。赤みが強くて、それはそれで美しい色の寺院になります。私は朝と昼に来ているので、昼も赤みが強くてそれはそれで良いということを書いています。もし、バンテアイスレイ観光に一度だけしか来ないのであれば、朝と昼とを比べると、朝に来られることをおすすめします。

バンテアイスレイの美しい建物とデバター
 
 上の写真も昼ごろに来たときに撮影したものです。光が弱まり眩しさを感じなくなりますので、壁面彫刻などは見やすくなります。その分、輝きが落ちる気がします。

バンテアイスレイのデバター

 また、早朝に撮影した写真に戻ります。
 このデバターもきれいなのですが、口の周りや膝の下を削り取られています。雰囲気やポーズは「東洋のモナリザ」に似ています。
 上の写真では朝日がデバターの横に当たっていますが、太陽の向きや高さが変化することにより、光が当たる場所が変わり、その影響でデバターの表情も変化します。ですから、デバターによっては、彫られている位置により、朝よりも午後に見た方が綺麗なものもあります。

バンテアイスレイのデバター
 
 上の写真も朝撮影したものですが、日陰ですから特に輝いては見えません。時間によっては、このデバターにも光が当たり輝くわけです。
 バンテアイスレイのデバターをいろいろと見てきました。動きや表情という点ではアンコールワットのデバターにはやはり敵わないという印象ですが、その美しさという点ではアンコール遺跡の中でも随一だと私は思います。



半神半獣の座像(バンテアイスレイ)

 祠堂の周りに鎮座する半神半獣の座像です。これらが中央祠堂を守る体制をとっているのです。
 今気づいたのですが、中央祠堂の連子窓は、アンコールワットの連子窓とはデザインがかなり異なり、凝ったデザインになっていますね。これも一つの特徴ですね。

半神半獣の座像とデバター(バンテアイスレイ)
 
 指導を守る半神半獣、デバターと連子窓が朝日に輝く姿は美しいものです。バンテアイスレイには朝早く来ると良いと言われています。それは太陽の向きや太陽光線の強さから言われていることです。上の写真は12時頃に来たときに撮影したものですが、この時間でもまだ魅力的な写真が撮れます。以前に来たときは朝9時前でしたので、その時の光の強さと比較すると、随分と印象が異なります。

バンテアイスレイの半神半獣の座像

 祠堂の周りに設置された半神半獣の座像の一つ、ガルーダ頭座像です。頭や足などに繊細な彫りがなされています。

象に乗るシヴァ神(バンテアイスレイ)

 一緒にバンテアイ・スレイを見てきましたが、小寺院とはいえ、他のアンコール遺跡とは異なる色合いと濠の深いレリーフやデバターが大変印象的な寺院でした。午前中早い時間の訪問であれば、強い朝日の光に照らされて赤く輝くバンテアイ・スレイを楽しむことができます。

 
 第一周壁を入ったところにある池の手前からバンテアイ・スレイの全景を見たところです。森の中にひっそりと建つ小寺院。大変味わい深いものです。

      



アンコールワット

アンコールワット概要
西参道から聖池まで
第一回廊
十字回廊と第二回廊
デバター
中央祠堂と第三回廊
アンコールワットのサンライズ

バイヨン寺院    

 バイヨンの概要
 バイヨンの威容と第一回廊
 バイヨンの観世音菩薩四面塔

アンコールトム

 象のテラス
 空中参道のあるバプーオン
 王宮とピミアナカス
 南大門

バンテアイ・スレイ


タ・プローム


ベンメリア遺跡


 ベンメリア遺跡の概要
 参道を通り南門へ
 南門からの風景
 回廊の風景
 天空の城ラピュタ
 ベンメリア遺跡への行き方

プリア・カン


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 バンテアイ・サムレ
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 チャウ・サイ・テボーダ
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